チリの風 その198  06年10月30日-11月5日

チリの風 その198  06年10月30日-11月5日

地球の温暖化問題は最近チリでもニュースになりましたが,今週はなんだかその逆で涼しい日が続き,風邪を引く人がでています。
さて土曜日は天気が良くて,日本人学校の生徒、保護者と一緒に山にハイキングに行きました。通常コースでなく冒険コースを選んで川を遡っていったらさすがに疲れました。翌日の日曜は朝から雨でしたが、雨が上がった昼頃マラソン練習をして汗をながしました。
ところで日本人学校から12月の陸上記録会の1500m走に誘われましたが,先月のハーフマラソンで足の痙攣による不本意な結果から、レ−ス引退宣言したので遠慮することにしました。


(政治)
1) バチェレットはこの金曜日、側近に,「ほんと毎日わくわくするわね。今日は何が起こるのか想像も出来ないって感じ。テレビの連続ドラマなんてこの最近の政界の動きと比べると全く面白味が無いわ」と言って「大統領,そんな発言が新聞記者に聞こえると大変なスキャンダルになりますよ」とたしなめられている。(推定です、もちろん)
しかし先週まではチレ・デポルテの問題は政府のスポーツ援助が不正に使用されているという問題でしたが,今週はそれがズームアップです。
与党は4党からなっていますが、大きいのは3党。DC(キリスト教民主党)、PS(社会党)PPD(民主主義のための政党)です。最後の二つはほとんど同じ考え方で、ラゴス前大統領はPPD出身。さて今回の不祥事はPPDが中心。
ところで今回、不正疑惑の中心になっているのがジラルディ上院議員ですが彼はPPDの中心メンバー。とにかく政府から金を出させて自分の選挙運動に使っていた疑惑がでています。そのほかにも10人くらいの同党議員に疑惑が出ており全党の問題に見えそうですが,同党は何とか彼一人の問題で片をつけようとしているように見えます。
ところでそのジラルディが使っていた幽霊会社をなんと右翼の前大統領候補ピニェラも使っていたことが分かり激震。政府は飛び上がって喜びこれで悪いのは与党だけでないと国民をだますことができるのか、それとも右翼も左翼もみんな同じ,政治家は全員嘘つきという最悪シナリオになるのか、可能性が広がりバチェレットが毎日ワクワクするのは当然ですね。
確かにその疑惑のジラルディは新しい疑惑がでると、私だけじゃない政治家全員を調べよとわめいているらしい。これでは彼の政治生命も終わりでしょうね。
私は次回国会議員選挙には、こいつらはみんな嘘つきだと投票用紙に書くつもり。で、無効投票が増えるでしょうね,きっと。

2) さてその彼女は週末、ウルグアイに飛びイベロアメリカ会議に出席しました。この大会、一応欧州と南米各国が参加する最重要会議に位置付けられていますが,なんとブラジル,ペルーそしてベネスエラも大統領が出席せず、重要度が落ちていることを示しました。
ところでその会議で目立ったことは,アルゼンチンのキヒネルはもうバチェレットに親密さを示すジェスチャーを示さず,チリなんて興味ないとしました。ボリビアのモラレスは会議の前にバチェレットに一応挨拶はしたものの、会議の中で突然,ボリビアの海問題を切り出し、それは二国間問題で国際会議では話さないとするチリ側との大きな違いを見せました。彼がボリビアの海の発言をしだすと,テレビカメラはバチェレットを写していましたが,見る見る表情が替わっていきました。「私はもう疲れた,こんな毎日を送りたくない。いやなことばかり。人生って短いんだから」と言っているようでした。気の毒。


(経済)
1) 10月の物価上昇率はマイナス0.3%で、10月としては過去40年間に無かった低い数字。インフレは低く,失業率の改善も見られないとして中銀は金利を年間5.25%に維持すると発表しました。

2) 労働法案の改正が政府内部の不一致から進展せず,大統領は苛立っているとか。確かに労働者の側に立った法案では会社側が納得しないし。その逆では労働者が街頭を埋め尽くすし。
女性の定年を現行の60歳から引き上げしたいとする案とか,退職金の支払方法を変更する案(現行は1年間働けば1か月分の退職金がもらえる。トップは11ヶ月・・・・昔はその上限が無かったので、私は最初に勤めた企業を退職したとき,19か月分の退職金をもらっている。つまり労働者にとって現行案は改悪されたもの)、その他の案が検討されている。
チリ労働組合の委員長は政府案は一方的に企業側に立っており、労働者にとっては許しがたいとコメントしています。

3) 中国との自由貿易協定が発効しましたが,中国品を輸入しているチリの業者がぼやいています。輸入税が低くならないと。その理由は中国側が正規の書類を提出しないからで、その理由は輸出業者が、メーカーにどこの誰と貿易しているか知られると次回,メーカーに直接貿易をされるのが怖いからとか。しかし中国という国はまさに恥も外聞も無い気がしますが、どうでしょう。


(一般)
1) 外人が問題視するチリの欠陥
   こんなテーマの記事が出たら,何が書いてあるか注意してみるのは当然ですね。それによると、サンティアゴで生活する外人が指摘するチリの5問題として

        英語力の不足(チリ人で英語のわかる人間は少ない)
        公共バスのサービスの悪さ
        生活する上の安全度が低い(犯罪・事故の増加)
        銀行サービスの悪さ
        町の外観(壁の落書き,ごみ)があるそうです。どうでしょう?

   私の場合はもう外人という感じではないので、ここで生活することに不自由はあまり感じませんが,近代的な建物の横に古い(朽ち果てた)建物が残っているというのは確かにセントロで見かけますね。それに住宅の壁に落書きするとか,バスの乗り場のガラスを石で壊すという悲しい人間が多いのは確かです。

2) 日本から秋篠宮が來智。在留邦人とコンタクト。
彼はパラグアイを訪問し,帰国の途中にチリに訪問したもの。新聞に彼が日本人学校の子供たちとサン・クリストバル公園で記念植樹をしている写真がニュースに載りました。そのあと、ホテルで在チリ日本人の主要メンバーと面談しています。

3) 高校生の喫煙,アルコール,麻薬使用調査でチリが世界で最も高いランクになりました。勉強やスポーツができるランキングならともかくこんなことで世界のトップにはなりたくありません。


(スポーツ)
1) サッカー
   南米大会の準決勝に進出のコロコロは相手チームが決まるのを待っていましたが,それはメキシコのトルーカになりました。飛行機恐怖症のボルジ監督は船で行こうかと言っています?(準々決勝はアルゼンチンだったので,彼は車で行きました)
   それからFIFA国際サッカー連盟)のランキングでコロコロが10月の世界1位になりました。まさかと思いますが,新聞に書いてあるのだから冗談ではないでしょう。2位はスペインのバルセロナとか(本当かな?)
   国内リーグは終末が近づいていますが,今週の話題はコロコロとカトリカの対戦で,コロコロが勝ちました。カトリカ・ファンの私は会社のコロコロ人間と賭けをしているので月曜日ちゃんとつけを払わされます。
   それからチリサッカー協会の会長が替わりました。現行のレベルの低い人間が少しはマシな会長に代わるようでうれしいことです。何より先ずチリのサッカーレベルを上げてもらいたいですね。

2) テニス
   最近参加した大会ですべて決勝まで勝ち進んでいたゴンサレスですが、最後のパリの大会では1回戦で敗れてしまい、帰国しました。これで世界ランキング10位で今シーズンを終え、上海の大会に参加できる資格(トップ8)には入れませんでした。彼より上位ランクに選手が辞退すれば参加する可能性は残っています。
   今年は良い成績をのこせたと満足しながら1ヶ月の休養を取るらしい。

3) マラソン
   日曜日,カトリカ主催のハームマラソン大会がありましたが,今年は参加しなかったのでレースの様子はわかりません。
その同じ日曜日,ニューヨークマラソンが開催されました。それにチリからなんと126人が参加。ちゃんとツァーがあって一番安いのは1500ドルとかで、このレースに参加して帰ってくるというもの。参加者の中で前大統領候補だったラビンが目を引きます。精神安定のため医者にかかっていたそうですが,それをやめてスポーツの世界に入り,なんとマラソンを走ることにしてから体重が12Kも減少,その引き締まった身体を見ると確かに別人です。同じレースをサッカーのチリナショナルチームの前監督オルモスも走り,マラソン人気が高まっています。
何しろ,ヘッド・ハンターの会社の話ではマラソンを走る人間はアルコール中毒ワーカホリックとは無縁で規律正しい生活をおくれることは間違いないと見るそうです。
このチリの風を読んでいる読者の皆さんは大半が私より若い年代と思いますが,今からでも遅くありません,スポーツをしてはどうですか?


以上