チリの風 その199 06年11月6日-12日

チリの風 その199 06年11月6日-12日

季節は順調に夏に向って歩いているようです。また30度の日が戻ってきました。土曜日,友人たちと山登りをしましたが,天気が良く汗をたくさんかきました。サボテンが可愛いい花を咲かせていました。日曜はもちろんマラソン練習ですが、天候が変わり、走行開始時に霧雨だったのが、やがて小雨になり少し濡れました。寒かった。
ところで、来年のバケーションですが,とうとう航空券を買いました。4度目のアフリカです。カンボジアに行く予定だったのに予約が入らず,急にアフリカに変更。今回はマダガスカルに行くはずです。
旅行といえば,毎週お知らせしている南米自転車旅行のお二人さんは現在ボリビアのスクレ滞在中ですが,自転車での一番困難なところはこれまで2ヶ月かけて突破したとして,これから歩いて旅を続けるそうです(あれっ, バス旅行だったかな?)しかし旅行って人生の楽しみですよね。


(政治)
1)苦しい毎日が続くバチェレットですが、今週はテレビのニュースで、野党を攻撃しました。「政府が総力を上げて作り上げた07年予算は国会の手にある。貧しい人を救うための画期的な予算。野党が反対しても,与党だけで成立を図ることは可能だが、それをしたくないので野党との協調を訴えている。それを蹴っている野党の人たちの考え方が分からない。」まぁこういう調子です。国民の目をそらせようとしているわけです。それから政府のスポーツ機関の汚職問題についても,チリのイメージを汚すようなことを野党が取り上げるのはいかがなものかとしています。
オバちゃん,ええかげんにしーよ、という感じですね。イメージを汚しているのはそれを取り上げて批難する野党ではなく、それを起こしている与党の方ですからね。関が原の島津の敵中突破を思い出させる作戦です。
でも、これでは敵中突破できません。しかし時間が立ってもその不正の実態がはっきりしてこないのは,本気で調べていないか,それを報道させないかのどちらかでしょう。
与党の社会党(PS)の議員の中から,議員の委員会を作ってこの問題の徹底追求をしようとする動きが出たところ,話し合いは大事だが,同僚を追及するのは間違っているとする意見が強く,笑ってしまった。その発起人のロッシ議員は政府は追求しないように圧力をかけてきていると発言。
また与党の一つPPDのフローレス議員が自分の党籍を一時棚上げしたいとしたところ,わが党は開かれた党だから、入りたい人は入ってくればよいし、出て行きたい人は出て行けばよいという頓珍漢な議員もでています。そういう意見の集大成がバチェレットの発言になるのでしょうが,国民をなめていれば、次の選挙でしっぺ返しを食うでしょう。
あのアメリカ人でも、ブッシュのイラク政策は間違いとしましたからね。
それから政府機関の不正もしくは不可解な金の動きはスポーツ関連だけでなく失業対策などあちこちに飛び火しています。不正の蔓延ですね。
そんな状況下で国民の意見を聞いてみると、疑惑の中心ジラルディ議員は人気を大幅に落とし(当然),その他の与党議員も軒並みに信用を落としています。その中で何とバチェレットだけは人気を保ち,世間の批判から外れています。悪いのは議員たちで,大統領はかわいそうとか思われているみたい。私には理解できない現象です。


(経済)
1)やっぱり一番の問題は経済成長率の鈍化です。この話題が毎週出るのはそれが現在のチリにとって最大課題な訳でしょう。さて今回のアメリカ選挙の結果を受け、チリの通貨はこの先どうなるか、石油の値段は,銅の価格は,さらに2007年の金利をどう設定するか・・・問題は山積ですが,いずれにしても5%を切るような低成長率ではとても07年のチリ経済は明るいとはいえないとするのが一般で、じゃ、どう舵を取れば活性化が図れるのか,名案がほしいところ。
このため経済成長の世界ランキングでチリは90年代後半は平均35位くらいをキープしていましたが、同じようなポジションにいた国に次々と抜かれ,今年はなんと181か国中77位に転落。アルゼンチン(8%)、ベネスエラ(7.5%)などの後塵を拝しているようでは暗い。

2)競争力の低下
銅鉱山の場合、チリは極めて高い競争力を持っていますが,チリの通貨が切りあがって来ると,他の業種ではそうはいきません。例えば、果物,ワイン、酪農製品は軒並み国際競争力低下で過去10年間でそれぞれ、35%、16%、10%低下したと見られています。ただ林業関係の加工品は過去20%ほど競争力が上がった由。もちろん、その分、環境汚染などでたたかれていますが。


(一般)
1)住みやすい国の世界ランキングが発表されました。日本の新聞にも同じニュースが掲載されています。
それによると日本は昨年より少し上がって7位、一方チリは38位でした。この差は大きいです。両方の国を知っている私としては,その差は妥当なものと認めますが、何とかその差が縮まらないものかな?
平均年齢は日本が上ですが,これは医療施設が充実しているからで,老人を何とか生かして飯の種にしようとする医師団の努力(作戦?)が成功しているわけです。ただし老人を敬うとする考え方は日本のほうがはるかに優れています。平均所得は日本の方が上ですが,これは物価との関係で見る必要があります。チリは一人当たり年1万ドルです。
さて日本特有?のいじめや自殺はチリにはあまりありません。大気汚染関係ではチリ(特に首都圏)のほうに問題がありそう。
チリの問題点として,教育,医療、軍事に支出される予算が国民総生産のそれぞれ3.7%、3.0%、3.9%ですから、どこに問題があるか一目瞭然。

2)先週に現金輸送車が襲われ、警察と犯人グループの間で銃撃戦になりましたが、その犯人グループの使用していた銃器が軍隊から持ち出されたものと分かり大問題に。更に調べると,なんと陸軍,海軍の全国各地の保管所で多数の銃器が紛失しているのが見つかりました。これに関連して数名の兵隊が逮捕されていますが,なんだか映画の世界のようで,銃器の保管がこれほどいいかげんでは,この先チリの軍隊は木製の銃器で訓練した方がいいのではないでしょうか?

3)国鉄が赤字で困っているというのを聞いて,その実態を調べるため,列車に乗りました(もちろん,冗談です。仕事でサンティアゴからタルカまで汽車のサービスを利用したもの)
時速100キロほどで、ほとんど止まらず走行し、頻繁にお茶やコーヒーの車内販売があり、乗り心地はとくに悪くはありません。乗客は70%くらいで、それほど空席が目立つことは無く,じゃ、ひどい赤字は運営が下手だからではないのかな?それとも本数が少なすぎるのか?

4)大学の進級率
チリの大学は日本のそれと違って学生に勉強を要請し毎年進級試験があって,学力を調べます。この結果,大学3年生に進めるのは70%,つまり30%の学生はそれまでに脱落していくと発表されました。日本がいかに甘いか分かりますね。まぁ人のことは言えません,私もあまり勉強しませんでしたから・・・。

5)ロト宝くじが最近,当たりが出ず,賞金が積もり重なっていたのですが,とうとう今週その当たりがでました。50歳のその幸運者は,私はもう仕事をやめます,この賞金で,毎月2百万ペソ(40万円)を生涯もらえますからとしています。確かにそれだけあれば,チリでは裕福な生活が送れます。

6)テムコの中心街にピュ−マが出現。
テムコは第9州の州都で、人口20万人くらいでしょうか,その中心街にピュ−マが出現、車に轢き殺されました。近郊の森から出現したそうですが,そこまで来るのに誰も騒がなかったのでしょうか?札幌にも熊が出ますが、それは4丁目の繁華街じゃありませんから。


(スポーツ)
1)南米のオリンピックにあたるオデスール大会がアルゼンチンで開催されています。チリはちゃんと金メダルを今のところ10ほどとっていますが、国別ランクは5位で,どうしてもスポーツ2流国から抜け出られません。チリの上はアルゼンチン,ブラジルコロンビア,そしてベネスエラです。

2)サッカー
  12日の週に,チリのナショナル・チームはパラグアイと対戦します。あまり期待しないで待っていましょう。
それより南米カップの準決勝に進出したコロコロの対トルーカ戦の方が楽しみです。何とかホームの試合に大勝してほしいもの。
終末に近づいた国内リーグは好調のコロコロが弱小チームのアウダックスに敗れる波乱がありました。カトリカは首位を走るコブレ・ロアをホームで破り,プレーオフ出場権を獲得しました。

3)ポロ
  チリではポロは知られていないスポーツですが,チリのドノソと言えば知る人ぞ知るの世界のトッププレーヤーとか。イギリスの皇室とも親しいそうで、イギリスで皇室の人間とプレーをし、エリザベス女王と親しくしている写真が残っています。その彼がアルゼンチンで練習中,落馬して死亡しました。私のようなポロの知識の無い人間にはドノソ、それ誰?って言う感じですが、イギリスのマスコミにもその事故が大きく報道されたそうです。
サッカーで言えば,サモラーノのような選手といえばチリ人なら誰でもその偉大さが分かるとか。

4)10K
  12日スポーツ用品の有名ブランドが主催する10Kレースが行われ悪い天気でしたが、何と1万人近いランナーが参加しました。チリにもランニングの波がくれば良いのに。
 ところで先週お知らせした,ニューヨークマラソンですが、前チリ・サッカー監督のオルモスは4時間少し、政治家のラビンは6時間弱で完走。素晴らしい。とくに50歳のラビンが後数分で6時間の足きりになるピンチをなんとか凌いで完走したのはうれしい。意地を見せましたね。


以上