チリの風  その200 06年11月13日―19日

チリの風  その200 06年11月13日―19日

しかし何とチリの風も今週で第200号になりました。よくここまで来れたものですね。自分でも感心しています。このブログもこれまであちこちにリンクされ毎日100名近くの人に見てもらっていますが、役に立っていること願って今日も書きます。
今週はなんと最高気温が17度なんていう涼しい日があって風邪を引いてしまいました。鼻水をたらしています。気持ち悪い。
にもかかわらず、土曜日はサッカー教室。そして日曜日はもちろん相棒とマラソン練習。16K。これはもう日課です、体調には関わらず。それから夏時間になったので仕事の後、夕方走っている週に5日のマラソン練習もちゃんと丘の上まで走ってあがれるようになりました。その前は公園をグルグルですからね。大変な違いです。
ところで南米周遊中の冬季オリンピック選手組は現在ボリビアサンタ・クルスに滞在中。少し前、コロニア・オキナワを訪問しました。彼女たちの目に古い日本が映ったと思います。


(政治)
1) 我がおばちゃんはハノイです。APEC総会に出席のためベトナムです。しかし私の北大時代ベトナム戦争反対のデモをしていましたが、その敵対国アメリカとベトナムがにっこり笑って握手しているのですからね。時代が変わったというより,世の中のことがわからなくなったというべきでしょう。自分が今真実と考えていることが何十年かすれば間違っているのですからね・・・。
そのAPECは、いつものように、あまり役に立たない名目だけの連合体のようです。バチェレットは日本の首相と握手し、両国の自由貿易協定が結ばれると発表しました。このあと、彼女はニュージーランドに飛びます。会議では彼女の目立った動きはありませんでしたが,会議の後、ベトナム女性を集めたミーティングで演説したようです。
いいわね,やっぱり外国は。皆さんが私を一国の元首として尊重してくれるし,チリで始めての女性大統領ってやっぱりニュースバリューがあるものだわね。そう独り言を言いながら飛行機に乗り込む彼女でした。

2) しかし国内は違います。チレ・デポルテ問題を発端とした汚職万延症状は一向に解決の兆しがありません。トカゲの尻尾きりと野党が揶揄するように政府の次官クラスを入れ替えて終わるにしようとする政府を国民は認めていません。テレビの番組で国民の92%は問題の根源にふれていないと考えています。本当に真相が見えてきません。
しかし私には見えてきました。焦点が前大統領のラゴスに向っています。彼はいまだに次期大統領の最有力候補ですが,その彼を引き摺り下ろそうとする動きが感じられます。(それは野党側なのか,与党側なのかはまだはっきりしませんが)つまりここで彼を叩いて次回の選挙には出られないようにしてしまおうということでしょうね。最有力候補を降ろすのはレースを面白くする最高の手段ですからね。
不思議なことにこれだけ醜聞が広がっても,一向に手を打てないバチェレットの人気は衰えません。どうして?さてその秘密は・・・
彼女が外遊前にPPD党内で不祥事に対抗して党籍凍結を宣言し一人がんばっている議員のアパートを訪問しました。これがPPD党内で問題になり,彼女はわが党を殲滅したいのかとクレーム。これが前大統領なら,自分が何をすれば誰がどう反応するか考えながら行動していましたが,バチェレットさんの場合は違います。一人でがんばっている可哀想なフローレス議員、じゃ話でもしてこよう。こんなものです。甘いんです,浅いんです,いや素人なんです。でも国民にはそれが受けているんですね。
しかしエネルギー問題とか、国内に問題山積のときに、アホな汚職問題に時間を費やしているチリ政界は情けない。

3) 水曜日,出張先から戻る飛行機で夕刊紙を受け取りました。一面トップにアルゼンチンがガス供給を全面停止とありました。となりの席のおっさんにこれはどういうことでしょうと大げさに聞いてみると,「心配せんでもええで、あいつらはきたないことやるんや。しばらく供給を止めておいて値上げをさせてもらえれば、また供給させてもらいますいうんやろ」
   実際は少し違いましたが,まぁ似たようなもの。
私がバチェレットならこういいますね。「じゃ、分かりました。もうアルゼンチンの天然ガスはいりません。その代わり、今月の代金も支払いませんよ。勝手に止めたり再開したりは認めません。代替燃料はもちろん今より高くなりますが,国民のみなさん、心配はいりません。国庫にはあまるくらいの外貨がありますから,現行分との差額は政府が払います。」この案どうでしょうか?熱狂的に受け入れられると思いますが。

4) 問題になっていた07年度国家予算は国会の承認を得て発効準備が完了
です。下院議長の言うように対前年度8.9%アップの大型予算がちゃんと国民のところに届きますように。

5) 堕胎
社会党議員が堕胎を犯罪から外そうとする提案をしましたが,カトリックとしてそれを教理から受け入れられないキリスト教民主党は、これを国会で承認しようとするなら与党連合の終末になるとコメントしました。国民の67%は真剣に討議する価値ありとしているのですが。


(経済)
1) アメリカ人の経済学者ミルトン・フリードマンが亡くなりましたが、彼はチリでは非常に有名で,軍事政権時のチリ経済を引っ張った役人が多くシカゴの彼のもとで学びシカゴ・ボーイの名前で知られています。
軍事政権後でもシカゴ・ボーイは金箔ものです。

2) サラリーと教育の関係
しかしチリははっきりとした学歴社会で, 学歴がないと出世できない、出世できないと給料が上がらない。これが統計ですっきり出ています。
学校にいけなかった人の平均賃金は10万ペソ。中学校まで終わった人。14万ペソ。高校まで終えた人。22万ペソ。短大卒業で34万ペソ。大学卒では66万ペソ。大学院まで行くと平均で100万ペソがもらえるらしい。それで、教育にかけるお金は投資として十分ペイするとしています。しかしチリの教育費は給料に比較すると高いんですよね。


(一般)
1)チリ人は自分たちを幸せと感じているとの数字が発表されました。幸せさんが75%もいるらしい。しかしその後の解説に今までチリが順調に発展してきたことがこの結果になっているが、アメリカやイギリスの過去50年の例を見るように、経済がある一定のところまで行くと逆に幸福指数は減っていくとなっています。例えば,今までバスに乗っていた人がはじめて中古車を買うと極めて幸福指数が上がりますが,それを新車に変えても指数の上昇は少ないというもの。安い小型乗用車を買ったら隣りの中型乗用車に圧迫されるわけですね。なるほど。

2)世界のワインの品質テストでチリ産ワインが第4位にランクされました。
何はともあれすごいですね。でもワインの味ってそんなランクできるほど差があるのでしょうか?

3) バス代値下げ
サンティアゴ市内バスの料金が380ペソから360ペソに下がりました。どうせなら350ペソにしてほしかったです。その10ペソがいやらしいから。しかしガソリンの値段も下がりましたからね。

4)イースター島の高級ホテル建設がいよいよスタートします。2007年12月開業予定。海岸近くに建設されるこのホテルは客室30室で一泊500−600ドルとか。なるほど、一日に30人くらいなら世界中からの物好きでこのホテルは埋まるでしょうね。

5)いじめ
  いじめと言うと日本の特許かと思いましたが,チリでも学校の中でのいじめが問題になってきました。まだ日本のように自殺に追い込まれるまではいたっていませんが落ち着いて勉強できない環境があるようで,この先心配と報道されています。先進国病でしょうか?

6)サンティアゴ地下鉄の改善
  地下鉄運営を改善するため日本,欧州を勉強と言われると、いったいどういうことか気になりますよね。なんだ、階段の乗降に右側通行をさせるのが検討されている由。私は毎日メトロを利用していますが,階段が左右に分けられているのに乗降客がその両方を上り下りに使用するので、どちらでも蟻サンのようにぶつかっています。学習効果のない国民だなと思いながら毎日利用していますが,そうか日本式をこれから導入するわけか。パチパチ。

6)車の登録ナンバーを外したり回転させて見えなくして走っている車が多数捕まりました。もちろんこれらの車は高速道路を走るとき,走行料金を払いたくないので、写真をとられても車が特定できないように考えたものですが,警察もちゃんとそれを知って反撃に出たわけです。せこいチリ人を捕まえましょう。


(スポーツ)
1)サッカー
チリにとっては良い一週間でしたね。まずパラグアイとの国際親善試合ですが、3対2で勝ちました。最初3対0になったので,レベルの低い試合はこれ以上見たくないと、テレビを見るのをやめてしまいましたが,そのあと2点取られての辛勝。
その翌日,クラブチームの南米大会の準決勝戦,チリのコロコロとメキシコのトルーカ戦がありました。これも2対1でコロコロの勝ち。もう一つの準決勝はメキシコのチームとブラジルが戦っています。メキシコファンは南米カップの決勝をメキシコチームの間で争いたいといっていますが,そうは問屋が卸さないでしょうね。来週コロコロはメキシコで再戦です。

2)南米オリンピック・オデスール
  5位チリの金メダルは33個まで来ましたが、4位のブラジルが89個ですから,その差は大きい。スポーツ2流国から脱出できません。

3) テニス
  上海のATPトップ8大会にはチリの選手は出場できませんでしたが,シニアのその大会にはリオスが出場します。さてそのリオスは今年、6大会に参加して6連勝と負け知らずに来ていますが,今週のフランクフルト大会で始めての敗戦を喫しました。いつかは負けますよね。


以上