チリの風 その162 06年1月30日―2月3日

チリの風 その162 06年1月30日―2月3日

今週のチリの風は対象期間が通常とは異なり、少し短くなっていますが、それは私が3日からバケーションに出てしまうからです。2週間あとに無事に戻って来れますように。
涼しくなりました。1日の水曜日の朝なんか、霧雨のようでした。水滴まではいかなかったけど、今年初めて雨の降りそうな雰囲気になりました。最高気温が25度の日もあり、気候の変化がしっかり感じられました。もちろんまた暑い日が戻ってくるでしょうが。


(政治)
1)バチェレットの組閣が終わり、新大臣が発表されました、意外と思われる点もそうだろうなと理解できる点もありますが、まずは順当なところでしょう。政府の枠組みを増やす(新省を作る)のは小さな政府の考えとは異なりますが、人事交渉の観点からは大臣の数を増やすことは常に大統領にとって有利になります。最も経費も上がりますが・・・
現行の16大臣(もしくは大臣格)が新内閣では20人に。その20人の内訳は確かに男女同数の男性10人, 女性10人でした。
彼女は友党の党首に組閣人事を全く相談しなかったらしいが、なかなか大したものです。頼もしい。このため各党から人選に関しクレームが出ているらしい。(そんなものは無視すればよいだけ・・・)
大臣の数は今回もDCがトップでしたが、毎回そのシェア-が減少しており,この新内閣ではDCからは7人(35%)となっている。つまりその他が65%です。フレイ大統領の頃はDCが大多数だったのに。
さて話題としては現大統領の息子が入閣しました。アメリカ、北朝鮮、チリでも親子二代で大統領が出ていますが、やっぱり世襲というのは面白みが少ない。確かに大統領の子供でも、その人間が優秀ならどんな地位につこうと関係がないという理論は正しいと思いますが、バチェレットのように私の尊敬する政治家はラゴス大統領ですと公言していると、日ごろお世話になっている感謝の心をこめまして・・・と言っているように見えます。
で、その息子の入閣についてあちこちから批判の声が出ています。

2)ピノチェット問題
長女ルシアは約60万円の保釈金を払って月曜日に仮釈放になりました。ところでスイスはチリ司法局の依頼を受け,ピノチェットとその家族、および関係者の同国にある銀行口座の調査を確約しました。また何か出てくるのでしょうね。
ところでそのルシアは自分たちの容疑の中に、パスポートの不正使用があるが、この容疑は5年経過しているので既に時効になるのではないかとコメントしています。ラゴスの親戚が昨年訴えられていた事件を時効とし、これ以上のその罪は問わないとした司法当局の考え方は、今回と全く異なり不公平そのものと政府に問題を突きつけました。
そのほかに軍事政権時代、軍の秘密部隊が行った左翼活動家に対する誘拐拷問殺人事件(コロンボ作戦)でピノチェットとその事件の関連についても取調べが進んでいるとのこと。もう少し待つと88年までの軍事政権問題の, 全容が明らかになるとは言えないが、少なくとも一部は結論が出されそうです。

3)フジモリ問題
昨年11月からチリで拘留されたままのフジモリですが、今週、チリの判事の訊問を受けました。うれしかったでしょうね。始めて公式に自分の見解を発表できたのですから。私はそこらのチンピラではないとか言ったのでしょうか・・・
ところで少し盛り上がっていたペルー大統領選挙が今週の人気予想で民族派の候補がこけてしまい、チリと同じくペルーも女性大統領が出現する様子を見せています。フジモリは完全にかすんでしまいました。


(経済)
1)国家財政
2005年のチリ国家財政はかってない54億ドルの黒字で終了したと発表されました。3月からのバチェレット新政権には最高のプレゼントになりました。もっともそれはチリ国民、政府の努力と言うより輸出の半分を占める銅の価格急騰がこの黒字の主要な原因ですから, まぁ神風のようなものでこれを如何に上手く利用するかが新政府の最初の仕事です。経営者のアンケートでは, 全く逆に、この先見通しは暗いとなっています。

2)鉱山の開発
チリにとって新鉱山の開発は生命線のようなものですが、自然環境問題ももちろんおろそかに出来ません。で、パスクア・ラマ金山の許可が下りるのを待っているカナダのバリッグ社は, この新鉱山の開発と平行して新たにセロ・カサレ金山の新規開発も進めています。両方の開発資金は32億ドルが用意され、この両金山が生産を開始すると同社は世界1位の金生産企業になるとか。
しかし銅といい金といい、チリは鉱山資源に恵まれています。(もっとも石油と天然ガスが足りませんが)

2)チリの牛肉が米国へ輸出。
わずか50トンほどですが、初めて成約。これが数年後には急増する可能性があるらしい。しかしアルゼンチンから牛肉を出すのは理解できるがチリから出す必要があるのかな?この他豚肉は大分前から同国へ輸出されています。


(一般)
1)メキシコ展
モネダ宮殿前の広場の地下にある展示場で催されているメキシコ考古学展に最初の週末になった先週は15000人が訪問。大盛況でした。入場料は約100円ですが、日曜日は無料になります。191の展示物があり、その評価価格の合計は4200万ドルとか。すごい!
6月までの開催なので、私たちも間違いなく見に行きます。入場者の合計は60万人が見込まれており,これは昨年行われたロダン展の30万人を軽く上回るチリでの新記録になるもよう。

2)世界最南端のホテルが開業
昨年の今ごろ, 私たちは世界最南端の都市アルゼンチンのウシュアイアに行っていましたが、そのまだ南にチリ領の島があって、そのプエルト・ウイリアムにホテルが開業したというもの。(もちろん今までも簡易なホテルはありましたが、本格的なものはこれが始めてです)
ホーン岬地帯といわれるところで、そのホテル・ラクタイアから色々なツァーも準備される由。アルゼンチンに負けずチリもがんばり始めました。
ここまで日本人グループが行くかな?確かにその地区の自然は素晴らしいものでしたが。
(その旅の様子はこのHPの別の項目に掲載されています)
さてその近くにチリのトーレ・デ・パイネ国立公園がありますが、ちょうど1年前失火による火災で大被害が出ました。それが1年後、少しですが自然の息吹が戻ったらしい。お目でとう。
その近くのプンタ・アレナスに3日、世界最大の観光船クイーン・メリー2世号が入港します。10時間の自由時間があるそうで、用意されたツァーの中には南極へのフライトもあるとか・・

3)東京がオセロに世界1の物価高都市の座を譲ったニュースはチリでも報道されました。そしてサンチャゴは84位で南米の僚友ブラジルやアルゼンチンの各都市より上位にランクされました。物価高コンクールで南米1なんか全くうれしいことはありません。残念です。

4)第1州の銅鉱山コジャワシは海抜4000メートル以上の所にありますが、その鉱山とプラット大学、森林開発局(コナフ)の共同で同鉱山近くの5200メートルの地点に2万本のキニョアを樹林する計画が進んでいます。高所と低温に耐えて、それらの樹種が生存できるか?


(スポーツ)
1)ATPのビーニャ大会が始まり、チリ選手が優勝カップを目指して奮闘中さて来週からデービスカップの試合が始まりますが、既に対戦チームのスロバキアの選手が入国しています。私たちが戻ってくるまでに結果がでます。私はチリは苦戦するが最後は勝つと思うのですが。

2)サッカー
リベルタドール杯のコロコロ対グアダラハラの戦いはメキシコで行われ3対5で連敗。そうそうとコロコロの1回戦敗退が決定。チリは弱い。
チリからイギリスのリバプールに引き抜かれたゴンサレスは労働ヴィサが取れず、イギリスでプレーが出来ません。しようがないのでヴィサが取れるまでの間、スペインのレアル・ソシエダでプレーすることになりました。イギリスでプレーするには世界ランキングで60位以内に入っている国の選抜選手であることが条件で、チリは情けないことに世界60位に入っていないことから、この結果になったもの。ゴンサレス日本国籍ならいまごろイギリスでプレーしています。


以上