チリの風   その150 05年11月7日―13日

チリの風   その150 05年11月7日―13日

もう夏日ですよ。日中30度を越える日が出てきました。ところでまだ花粉症が終わらず、事務所でも咳をしたり鼻水をかむ人がいます。そう、私もその一人ですが。
先週, 高校生たちを連れて山登りに行ったら、頂上付近であった登山者の中に多くの中高年がいてうれしかったです。そうか、日本の中高年はその元気さで有名だが、チリの中高年もちゃんと登山をしているのだ。


(政治)
1)先週の話題はペルーとの新国境線の話でしたが、突如その話題は消えてしまい、今週は同じペルーでも全く別のフジモリの話題。
しかしすごかったですね、大げさに言うと彼の話題でテレビのニュースが盛り上がっているという感じ。それもチリ政府の右往左往があったり、これに関して大統領候補の間の言い争いがあり、おまけに日本がそれに絡んできて、チリの新聞やテレビに私も知っている日本大使館の人が出たりして、実に身近な話題として感じました。
戦後約60年、アメリカは他国の内政に干渉するのを自国の特権のようにしていましたが、今回の事件ではそれを日本政府がやっているわけで、ことの良し悪しはともかく、そうか日本もそこまで来たかと感慨深いものがありました??
会社でも同僚からフジモリの件の感想を求められて不思議な感じ、日本代表ですかね。
さてフジモリはテロ組織の壊滅に力を発揮しただけでなく、ペルーの経済立ち直りに実力を発揮したのは歴史が証明している。ただ権力の使い方に問題(行き過ぎ)があり、おまけに汚職が見過ごせないほどのボリュームだったなど功罪半ばするのではないか?もっとも彼の前の大統領ガルシアもそうだったし、現在のトレドもそうだからペルーにはそういう土壌があるのでしょう。
しかしフジモリもちゃんとチリを選び、(他の国なら入管で追い出しをくい、即時ペルーに引渡しと考えられます)ここからペルーをけん制しているわけです。日本にいては遠すぎて、ペルー人の反応が見られませんが、ここからなら毎日ペルーの動きが手のひらを見るように分かります。もちろん反フジモリのデモなんか、政府が金を出して町中でやらせているのではないかと私は思っていますが。
チリ政府はペルーが国境問題で反チリの動きを見せているのだから、このフジモリ問題を利用して出来るだけ嫌がらせをしようとするはずで、すぐには問題は解決しないでしょう。フジモリがチリにいるだけでペルー国内は二分されて混乱するわけですから。
ピノチェットがイギリスで逮捕されたとき、チリ政府は、チリ人はチリの法廷で裁かれるべきと主張したのですから、同じ理由でフジモリはペルーの法廷で裁かれるべきとして、チリからの追放すべきです, 理論的には。それをしないのは、もちろん私の言っているように政治的な駆け引きのためでしょう。
それから,同じようなことですが、ペルー政府が日本との国交についていろいろコメントしているのはあまりにレベルの低い戦いで、見苦しい。彼らはとにかくチリでも日本でもどこかに標的を作り、失政に対する国民の批判を避けようしているとしか思えない。
さてフジモリは刑務所には入れられず刑務官学校の中に留置されている。 サンティアゴ市内の高級ホテルとまではいかなくても一応寝室と応接室の2室があてがわれ、テレビを見たり外部との人間の接触もあるから、贅沢はいえない。
ところで国際警察から指名手配されている彼が入国時空港で逮捕されなかったことから、空港警察の人間が左遷されているのは実際にそれがエラーだったのか、たんなる外国に向けた政治的配慮なのだろうか?
新聞発表ではチリの76%の国民はフジモリをペルーに送り出すのがチリにとって問題解決の正解と考えている。

2)選挙が近くなって、選挙運動が解禁になりました。町中に立て看板が立ってわずらわしいこと。ただ日本のような街頭宣伝車はチリではありません。大統領候補の4人の第2回テレビ討論会は来週の16日。 レースを大きくリードしていると言われるバチェレット側は前回の失敗を踏まないようにと必死の作戦。しかしこのままでは攻められてばかりとの心配論も大きな声になってきている。


(経済)
1)銅価格の上昇
これってもう何回同じ事を書いたか分かりません。別に書くことがないから同じことを書いているのではありません。
ロンドン商品市場で今週1ポンドあたり193セントになりこれは新記録。2ドル目指して尚も上昇中とか。
鉱山会社が国庫に納める金額は05年で推定70億ドル(税収ですよ、利益ではありませんよ)になるらしい。
確かにコデルコ(国営)は今年度9月までで100億ドルの利益を計上と言われ、鉱山のチリ国への貢献は顕著。
ただしコデルコやその他の私営企業の銅鉱山が、精錬のため使用するための水の使用量が既に川の水量からして限界に達しており、これ以上の増産を続けると水不足はチリ北部地区の真剣な問題になると警告されています。1州のイキケ、2州のアントファガスタ市なんて良く水不足の話がでますからね。

2)チリの05年総貿易額は、10月までで前年12か月分を越えました。
中国向けが73%アップ、2位は韓国向けで68%アップ、日本向けも49%アップしています。
まぁ輸出の45%は銅ですから、1)にあるように銅価格の上昇がこの素晴らしい数字になっていることは認識する必要があります。

3)景気の過熱を懸念して、中央銀行金利の引き上げを図っていますが、それが影響して年金運営会社などは軒並み業績低下になっています。銅価格の上昇と金利のアップからドルは最近5年で最低のレベルにまで落ちました。資産をユウロやドルで運営するのが賢い方法と言われていた時期もあったのですが。ドンドン金利が上がれば銀行預金が一番賢い方法なんていうことになるのですかね。
好調だった証券市場も最近低落気味です。


(一般)
1)陸上交通見本市
今週一杯、見本市が開催されました。その中味は読者の皆さんには余り興味のないことでしょうが、それに関連したことで・・・
その1)運輸大臣の演説が終わった後, カトリック神父が出てきて説教。全員でお祈りします。カトリックが大多数のチリでは普通のことですが、私にはいつまでたっても違和感があります。教会でお祈りするのは分かるけど。
その2)どのスタンドにも宣伝のための女性を置いています。プロモーションの女性ですね。それがなんと半数以上がアルゼンチン人。
私の働いている会社の女性も二人ともそうでした。どうして国産品?を愛用しないのでしょうか?聞いてみると、アルゼンチン女性のほうが魅力があるし、経費が安くつくとのこと・・フーム。長身, 細身で金髪のバービー人形タイプの女性ですが、
どうせ整形して髪を染めて・・・なのでしょうが。

2)性的行動の世界調査
ヅレックスという会社の調べで世界各国の性行動調査が行われ、(ほんまに信用できるんかな)、その結果チリはかなり性的に活発な国と発表されました。ちゃんとテレビのニュースでもこの結果を発表していましたが、チリでは性交渉の回数が世界平均よりずっと多いらしい。(日本はずっと少なくチリの半分にもならない)。
まぁ私見ではチリ人はこの種の調査のとき、性交渉が少ないとは言わないで、大げさなことを言うのではないか?まぁそんなことは個人の問題で民族問題ではないと思うのですが。
同じ日本人でも日本に住んでいる日本人と外国に住んでいる日本人では性癖が異なるなんて結果がでれば面白いのに。

3)原油流失事故
アントファガスタ港付近で事故があったことは先週お知らせしましたが、ホテル・アントファガスタはこのたび裁判所に1500万ドルの賠償請求訴訟を申し立てました。この原油流失事故で、これから夏の観光シーズンになって観光客を呼び込もうとしているのに原油で黒く汚れたホテル前の砂浜では誰がバケーションを楽しめるかと言うもの。ちょうどこの事故のとき、会社の同僚がこのホテルに滞在していましたが、彼によると、事故の前、その船が不思議な動きをして(流されて)いるのを見たそうです。でも事故そのものはマスコミで言うほどインパクトがあるようには思えないとか・・・、最も彼は環境汚染問題には素人ですからね。
フィリピン人の船長は事故原因とその責任について取り調べを受けています。 

4)急流くだりの事故
サンティアゴ近郊のカホン・デ・マイポ川は急流ですから、それを利用してボートで川くだりをする遊びラフティングが行われます。ある銀行が社員研修の一環として(肝試しですかね?)これを行いましたが、何人かが川に落ち、泳げなかった二人が死亡しました。しかし泳げなかったから死亡したといわれますが、急流の中ではプールと違って少々泳げても役に立たない気もします。
しかし社員研修のラフティングで死亡なんて、気の毒です。
この川はチリのラフティングのランクでは5段階で難易度3,4に位置され難しい方です。そこを素人の銀行やさんが行くのですからね。スポーツもしていないおっさんやお嬢チャンでは無理でしょう。もちろん責任はそのおっさんではなく銀行側にありますが。

5)鳥のインフルエンサ
いつチリに上陸してもおかしくない状況ですが、まだ発生は報告されていません。しかし世界中で何十万人,何百万人が感染死亡する可能性が言われていますが、感染の恐れのある村や町を閉鎖することにでもなれば、そこの住民の人権ってどうなるのでしょう?


(スポーツ)
1)サッカー   もちろんクラブ対抗南米カップの話ですね。9日の水曜日。チリのカトリカ対ブラジルのフルミネンセ戦。これは同カップの準々決勝でした。カトリカ・ファンの私としては息子と二人で試合を見に行こうと計画していましたが、チリ人の通例で、何でも最後にすればよいと言う方式を採用して。入場券を前もって買わなかったのですが、何と前々日に全部売り切れ。試合を見られませんでした。
さて当日の話。私のアパート近くで歩いていると観光バスが来ました。見るとブラジル選手団が乗っていました。手を振ろうかと思いましたが、止めました。それからチリの旧式バスが警察に止められ、もめていました。中に球場に行くカトリカの応援団が乗っており、彼らが他の乗客を無視して騒ぎまくったため、運転手が警官を呼んだもの。どこのチームにもアホなファンはいます。
さて試合の結果ですが、チリのチームがブラジルに勝つのは珍しいのですが、この夜はカトリカが2対0で完勝。準決勝進出を決めました。次はアルゼンチンのボカ・ジュニア-です。さてどうなるか?
その夜、11時半過ぎから私のアパートの近くを車がクラクションを鳴らしながら走り回ってうるさいこと。まぁ私もそのファンだからしようがないですが。
カトリカの好調はまだ続き、13日の日曜日、宿敵チリ大学を破り、今シーズン18試合で負け無しの無敵振りです。

4)テニス
ATPの今年度の試合はもう終わってしまいましたが、世界トップレベルを集めての試合が中国上海で開催されます。世界のトップ8のトーナメントですが、予備としてチリのゴンサレスも招待されました。他のメンバーが怪我などで出場できなければトーナメントに参加出来るのですが。しかしその8人のメンバーの中にアルゼンチン選手が3人います。アルゼンチンはサッカーだけではないのですね。


以上