チリの風  その72  04年5月9日―15日

チリの風に掲載したチロエの旅04年に巨大にんにくの話が出てきます。それについて読者から質問がきました。

私は素人ですから的確な回答はできませんが、巨大にんにくの発祥地とか現在どこで生産されているか調べています。首都圏ではありませんが、近くの第5州のカルタヘナにそれが生産されているところがあると分かりました。それはチロエから移植されたと聞きました。やっぱり。

ところで今週、チリの新聞に日本に関する記事が二つ載りましたが、一つは援助交際、もう一つはインターネットの2チャンネルでした。

最初はチリのナイトクラブで女子高校生の服装をさせて客にアテンドさせるのが始まったと言うのですが、その記事によるとチリでは単に女子高校生のまねをしているだけだが、日本では実際に女子高校生が売春しているというもの。もう一つのほうは、日本は勤勉とか実直という国民性で知られるが、そのストレスを2チャンネルというインターネットで憂さ晴らしをしているというもの。私は2チャンネルを見ていませんが、お互いにののしりあうとか、そうなのでしょうか。援交の話といい、火のないところに煙は立たないかな?

さて今週は第10州のバルディビアに出張に行きましたが、森林地帯に路線調査に入ったところ、道の両側にコピウエ(チリの国花)の赤い花が並んでいてその量に驚かされました。少し花を摘んで、家に持ち帰りました。


(政治)
1)最高裁判所の長官が、公共事業省関係の汚職を調べている女性裁判官を自宅に呼んだ「事件」が注目されています。彼は彼女を呼んでいったい何を指示したかったのかと言うわけです。
彼は当初、お茶を一緒に飲んだだけと言明しましたが、そのうち、この事件についてあまりにもマスコミに漏れる情報が多すぎるのではないかと聞いてみたと変更。
国民の大多数はそんな彼の説明を信用していません。政府の顔色を見ながら、彼女がこれ以上深く問題を掘り下げないように圧力をかけたのだろうというわけです。

2)もちろん、そんな事件よりもっと市民生活にとって重要なのはアルゼンチンからの天然ガスの輸入量が減少していることです。まだサンティアゴ市内で停電や、ガスが止まることは記録されていませんが、こうして様子を見ていると遅かれ早かれそういう非常事態が起こるのは間違いないようです。ラゴス大統領は何度もそれを否定していますが。
ところで今週、始めてアルゼンチン政府が、この事態に関し、自己批判をしました。どうして今ごろという気もしますが、やっぱり彼らの中にも良心的な役人がいたのか、非を認めたほうがこれからの戦略を立てやすいと見たかのどちらかでしょう。
一方国内で、天然ガスを算出する南部地方からアルゼンチン大統領に抗議する声が高まっているようです。
もっともチリ国内で、アルゼンチンを信用できないと、他国からの天然ガスなどの熱源供給へ切り替えた場合、アルゼンチンから、チリまでのパイプラインの建設費用をめぐって訴訟が起こるだろうと心配する声も出ている。

3)ハイチへの派兵
国会が承認すれば、ハイチへの第2段の派兵(今回は一部警察軍も含む)を行いたいと政府はしていますが、国民の間からどうして第2段まで送る必要があるのか、さらに軍隊だけでなく警察までと疑問視されています。アメリカへの受けを狙ってというのはあまりにも単純な推理ですが、不必要に年次予算を消費し、近隣諸国との格差を広げないためというのはあまりにも穿(うが)っているかな?
実際、アルゼンチンなどの近隣諸国とチリとの経済格差がひろがると南米の中でチリだけ連帯の中から外れてしまうという図式が目立ってきている。
もっともアルゼンチンもハイチ派兵に同意したらしいから、近隣諸国と歩調を合わせることにはなる。(しかしもうチリの一次派兵は終わっているのだが)


(経済)
1)原油の値段の高騰からガソリン価格が上がり、バス代も15日からアップしました。またドルに対し、ペソが下落したので(金曜日に1ドル642ペソ)、先行き不透明になってきた。このままガソリンの値段が上がりつづければ、チリ経済に与える影響は大きいでしょう。
バス代に続いて航空運賃の値上げも検討されている。

2)4月の輸出統計が発表されましたが、統計史上初めて中国向けが日本向け輸出を上回りました。輸出国ランキングで1位アメリカ、2位中国、3位日本となりました。確かに中国の躍進は目覚しい(でもバルブでしょうね)

3)イキケ・フリーゾーンの今年の売上げが前年対比14%アップと発表されました。ここからの売上は大半がボリビア向けで、彼らはチリとは取引しないといいながら、安定性のないペルーや経費の高くなる、アルゼンチンなどへシフトせずチリの港イキケを使っているわけだろう、政治の世界と違って経済は正直でよい。


(一般)
1)麻薬
麻薬はチリの一般社会に既に深く根付いていると言えそうですが、学生の間での麻薬、たばこ、アルコールの使用量、頻度についての調査が発表になりましたが、中学2年生でコカインを使用したことのある学生が2%もあります。
高3では52%がタバコを吸い、60%がアルコールを飲んでいる。

2)エイズ予防にコンドームというのは世界中で確認されていますが、カトリックの国のチリではそれはすんなりとは受け入れられません。
なんとこの避妊用具を新聞に折り込まして配達させた政府役人が解雇されました。どうコメントすればよいのか、私も苦しい。フーム。


(スポーツ)
1)テニス
テニスのWカップが来週から始まります。昨年世界チャンピオンになったチリがそのタイトルを保持できるか国民の注目の集まるところ。
日本ではこの大会についてあまり報道されていないようですが、チリのほか、スペイン、ドイツ、豪州など計8カ国で争われます。
戦前の予想では、チリ、アルゼンチン、スペインの中から優勝国が出ると言われますが・・・

2)登山
以前のチリの風で、チリの有名財閥ルクシック・グループの長男がエベレストに挑戦というニュースを書きましたが、3月にチリをでた彼はとうとう今週頂上に到達しました。彼個人がスポンサーで、自分が頂上に立つのを目的とした計画ですが、いかに彼が財産を持っているといっても、並外れた意思と体力がなければヒマラヤには行けません。50歳の誕生日を途中のベースで迎えた彼はすごい。

3)サッカー
国内は熱の入らない前期リーグ戦のプレイオフが始まったが、話の中心はアルゼンチンでプレーするサラスで、今週彼はプロとして200得点をマーク。来月はじめのWカップ南米予選での活躍が期待される。

以上