チリの風 その992 2022年5月16日ー22日

私の好きな街路樹リキダンバルの紅葉が進み、多くの葉が地面に落ちています。朝晩は気温が下がっても、穏やかな初冬と言う
雰囲気のサンティアゴです。

土曜日、今年度、2回目の登山教室。プロビンシア山系の一番軽い歩きの石碑コースを10名で歩きました。戻ってきてから両方に参加している子供にサッカー教室と登山教室はどちらが楽しいかと聞くとサッカー教室と答えがありました。ボランティアとして教室をやっているので子供とコンタクトが出来ます。嬉しいです
ラソンもいつもの通りです。週日 一人で10キロを走っている時、段差に躓いてこけそうになりましたが、何とか持ち直しました。
まだ運動神経が機能しています。

日本の歴史の方も進み、チリ人の友人の前で練習しました。

嫁さんに付き合って病院にも行きました。
毎日いろいろすることがあって、楽しいです。

(政治)

1)ボリッチ動向
先週と同じです。公報で彼の動向として、南米スポーツ青年大会で活躍した選手をモネダに招待して祝福したとなっています。
彼の人気がないと言うのは世論調査で頻繁に報告されますが、就任1年までは軽々しく批判するなと言うコメントもありますし、逆に4年の任期を全うできないで途中で投げ出すのではと言うきつい意見もあります。
彼の現在の最も重要な事項は市民生活の安全保障ですが、南部の州を特別区として軍隊のサービスを使用し始めました。
左翼の社会党と最右翼のUDI党が幹線道路のパトロールだけでなく市民の生活を守るよう一般道路・市民地区のコントロールもすべきではないかとしています。右・左の意見の一致です???
結局、今まで批判してきたピニェラ方式と同じことをやり始めたわけです。

キリスト教民主党DCはボリッチに市民の安全保障に関し文書を提出しました。今まで中道左派の中でDCは中心政党だったのですが、この内閣では蚊帳の外で、まるで野党のような振る舞いです。
この他では、土曜日の海軍記念日に彼は隣州のバルパライソを訪問し、海軍パレードを見ました。コロナ問題で2年続けてそのパレードは中止されていました。その日は太平洋戦争のイキケの戦いの記念日です。
彼は海軍はチリ国家の安全確保のため最も重要な組織の一つだと演説しました。しかし海軍の上部の一人が、チリ海軍にとって脅威になるのは隣国の侵略かチリ国内の混乱だろうと政治批判をしています。アジェンデの思い出でしょうか?

2)新憲法委員会
中心委員が北部のアントファガスタを訪問し、現地と交流したほか、新憲法草案を発表しました。
元大統領のバチェレットが新憲法案の成立を全力で応援したいとしています。
新聞社説で新憲法の経済部門を調べれば、将来の外部からの投資・経済成長率にマイナスの影響を与える可能性があり心配されるとされました。投書欄には1973年のアジェンデ内閣の時、エラーをしたグループ(共産党など)が同じことをこの新憲法で実行しようとしていると心配の声。どうなるかな?
それから教育問題で、政府の援助で運営されている民間校に援助が行かなくなったら、当然、閉校になるわけで、それは望ましいことなのか?と記載されました。
9月4日に新憲法投票がありますが、その前に賛否両方のプレゼンテーションをテレビでしますが、各政党ともすっきりイエスともノートとも言えないとか。それは同じ政党の中でも賛否の意見があって単純にイエスともノーとも言えないからとか。社会混乱・騒動が再燃しないことを願いますが。
今日からイエス・グループが活動を始めたとニュースに出ました。歌手とか俳優のグループで、新憲法で私たちの自由を守ろうとしています。

(経済)

1)銅価格と為替
1ポンド当たり4.3ドルと先週より大きく上がりました。このため為替も1ドル842ペソとペソ高になりました。中国経済問題がはっきりしてきたので、銅価格が減少したと、先週、説明されましたが、わずか1週間で銅価格が元に戻って来たと言うことは中国はそれほど危険な状況ではないと言うことですね。プロの言うこともあまり信用できませんね。
つまり銅価格の変動は誰かが動かしているのでしょう。買いに出るか売りに出すか。

さて経済活動の一つに住居の建設販売がありますが、国立銀行が大広告を出しました。購入価格の80%までを20年期間の貸し出しをするとし、金利はUF建てで年3.85%の金利です。UF建てと言うのは物価が10%上がれば貸し出された金額も10%上がります。今の所6500万ペソの貸し出しでは毎月41万ペソほどの支払いになります。
少し前のチリの風に給料が上がっても物価上昇率IPCより低いので実質的には給料は下がっているとありましたが、その問題をなくすため、給料をIPCに関連したUF建てにしようとする動きが出ています。それが成立すれば、給料の安定は確保ですね。また税務局のトップがボリッチ政権の終わる前に現行の消費税20%を14%に下げたいと発表しました。ボリッチも頑張らなければ国民の評判は上がりませんからね。

(一般)

1)コロナ問題
 何とこの木曜日、新規感染者数が6000人を超しました。陽性者数の合計は2万人まで上がっています。
 このまま加速すれば、確かに第5波になりそうです。また外出禁止令とかになるのかな?
2)マプチェ問題
ボリッチが幹線道路に軍隊使用を発表すると、直ちに、反政府マプチェは道路の封鎖、車両への銃撃と政府のやり方は納得できないと行動を開始。毎日の様に事件が起きています。どこまで行くのかな?
内務大臣は、わが政権は軍隊を出してマプチェを殺しに行くことは考えていないと場違いなコメント。
その女性内務大臣を憲法会議に訴えようと共和党が申し出ましたが、右翼の中で合意に達しません。
その党はボリッチに敗れたカストが作った党です。
市民生活の安全保持の件に関して、ボリッチは首都圏の中央駅区にあるメイグ地区にある不法露店を一掃しました。そこは道路にテントを張って自分の所有地のようにして店を構えていたわけです。道の両側にそれがあったので車はその道を走れませんでした。
今年のメーデーの時、その近くで露天商とデモ隊がぶつかり、彼らの発砲した弾丸に当たったマスコミ関係者が死亡しました。犯人はまだ逮捕されていませんが銃を撃っているのはビデオにとられています。
そして今週、とうとう政府は動いて、彼らのテントを全部、取り払いました。夜のニュースで、全く、誰もいなくなった道路が報道されました。
しかし、次の日、彼らは机を持ち出し、また商売を始めました。警察は何をしているのかな???
それから、政府は市民の銃の所持を禁止しようとしているみたいです。
現在は、正規の銃器販売所で購入し届け出ると銃の所持が認められます。それを廃棄しようとするわけです。その法案が通ると、怪しい場所で歩行者を調べて銃を持っていれば全員逮捕出来ます。犯罪の数は激減するでしょう。
そうなるとボリッチの人気は上がるはずです。

3)イースター島
8月1日から一般観光客が島を訪問できそうです。この2年超の期間、観光客が全く入れなかったので、島の唯一の産業たる観光が閉ざされ、生存の危機です。
町はボリッチの訪問を要請していますが、彼は故郷のパタゴニアは行きましたが、イースター島には反応していません。
収入がなく、島にはほとんどない野菜果物などの食品は本土から入れるわけですが、それが極端に減少し、価格が上がれば島民の生活は破産になるのは当然ですね。
どうしてそこの所属する第5州、そしてチリ政府が真剣に島民の保護・援助をしてこなかったのでしょうか?

(スポーツ)

1)サッカー
国内リーグ戦は人気のコロコロは引き分け、チリ大学は勝利、カトリカは敗戦になりました。
順位はトップはコロコロ、ニュブレンセ、ウニオンの3チームで勝ち点28です。
チリ大学は10位、カトリカは12位です。
リベルタドール杯のチリ代表のコロコロとカトリカはそれぞれアルゼンチンとブラジルで敵と対戦し、0対4,0対3で敗戦。1次予選突破は困難です。

以上

チリの風 その991 2022年5月9日―15日

最高気温が上がらず曇った日が続いています。洗濯ものが乾かないのが困ります。
今週もいつものように過ごしました。
さて4回目のワクチン接種をしました。私はもう3回で十分だと思っていたのですが、4回目を打たない人の移動パスは
来月から無効になると圧力がかかりました。それまではワクチン接種所は閑古鳥だったのですが、私と同じ考えの人が殺到し長蛇の列になりました。
山歩きはいつもの第1展望台に。丘の上から下の街を見るとスモッグで汚れていました。
土曜日のサッカー教室は大人・子供合わせて13名の参加者で楽しく汗をかきました。
日曜日は仲間とマラソン練習をしました。いつも週に2,3回走っていますが、今週も10キロを走りました。
その後、友人・家族を招待して昼食会をしました。食事をしながら会話を楽しむのがうれしいです。
いつも同じことを書きますが、幸せです。

(政治)

1)ボリッチ動向
大統領府の広報で、今週の彼の行動はほとんどありません。私の推定では、それは「俺はもう駄目だ」「どうして大統領の俺が言うことを他の人間は尊重しないのか」のどちらかでイライラしていたからでしょう。
問題は軍隊の使用です。トラック業界との合意で道路の通行の安全確保のため軍隊を使用するとしましたが、それは国会で認証される必要があります。与党の中の新左翼が、「ピニェラと同じことを何故、自分たちがやるのだ。俺は反対するぜ」とコメントしています。
政府として「それはしません」と今まで言ってきたのを裏切るわけですね。
土曜日の新聞に、「市民の安全確保のため軍隊を使用すると言うアイデア新左翼が抗議したため、政府は凍結しました。そしてキリスト教民主党DCのウォーカー議員に国会で討議するため仲介してもらえないかと依頼した」と書かれてありました。与野党のぶつかりは世界中同じですが、同じ与党の中で意見が乱れるのは悲しいですね。
私の想像もかなり当たっていました。
国会で、この問題に関し、右翼側は賛成が多く、左翼側は反対が多いので、まるでボリッチは右翼政権のようです。
先週、エナップ石油公社が下請けのストでガソリンの供給に困っているとありましたが、話し合いが進まなかったため、警察が労働者を排除しました。すると例の共産党の区長が「労働者の権利を警察が排除するなんて、どう言うことだ」とクレームしました。

それに少し関連していますが、犯罪の増加が目立ちます。今週は防衛大臣の家に泥棒が入り、貴重品・車が盗まれました。(車は後で見つかりました)そしてボリッチの護衛をする警官が誘拐されて金品をはく奪されました。いやはや。


2)新憲法委員会
テレビの番組で、委員会の実情を紹介する番組がありました。右翼・左翼の委員が二人ずつ、そして評論家が2名隣のテーブルに座りました。
私は憲法関連の単語や言い回しを全部理解する能力はありませんから、ところどころ理解不明でしたが、それでも教育関連でこんな議論がありました。
左翼側は公立学校の教育を重要視し、金持ちが行かせる私立なんかどうでも良いと言う感じの発言をします。なんとなく理解はできますが、現在、順調に活動している私立の学校を嫌がらせるのは納得できません。その他、厚生年金、水利権、上院議会とか問題が山積みと言うのは理解できました。
明日、新憲法草案が発表されるとか。来週は、それに関していろんな意見が出るでしょうね。

(経済)

1)銅価格と為替
銅価格は急落です。1ポンド当たり4.11と4ドル近くまで落ちました。今年の銅鉱山への投資は2%減少するとニュースに出ました。その数字が当たっているかどうかは分かりませんが。この傾向では前向き投資はする気にならないでしょうね。
中国の低迷がどこまで続くか分かりませんが、銅価格の急激な下落はチリに大きく影響します。これは経済の問題だけでなく社会全般に影響しますね。ウクラニア戦争で銅価格が下がったと言うのは間違いです。わずか1か月にもならない4月17日に4.71ドルまで上がっていますから。さぁどうなるかな?
このため為替もペソ安が進み、1ドル868ペソです。
2)移民就労ビザ
2021年は97800人と過去10年で最小でした。2018年は42.8万人とピークになりましたが。それ以降は派手に縮小しています。
2012年は96000人でしたから、それが今までは普通だったのですね。チリ経済が上向きになって、移民がチリに行けば夢がかなうと殺到するようになったのですが、3年前の社会騒乱でその夢は消えました。おまけにコロナ問題が重なって。
過去10年で就労ビザを取得した移民は1位がべネスエラで50万人、次いでペルー36万人、コロンビア31万人です。中国が10位で2.5万人と言うのが目立ちます。日本人の数はいくらかな?

(一般)

1)コロナ問題
 火曜日は新規感染者数が1462人でした。水曜日は3048人、木曜日は4333人。金・土・日も4千人を超えました。第5波の波が押し寄せていると言われます。
 これにともなって陽性患者数も1万人を割っていたのに1万5千人を超えています。
 シノバック社がサンティアゴのキリクラ地区に薬品工場の建設を始めました。コロナワクチンだけでなく、インフルなどの薬も製造するらしい。
2)マプチェ問題
 毎週同じで、住居や個人への攻撃が続いています
 政府が出した軍隊使用
案に関してマプチェの最も攻撃的なグループCAM
が、それは絶対に認められない。自分たちは身を守るため、銃器を使った自衛をさらに強めるとしています。今週、彼らの手で20台以上の車両に放火したとか。
3)学生運動
 有名学校の国立学院の占拠問題が解決しそうですが、校舎が壊されているとかで、来週から授業が始められるのかな?まだ選挙が継続している学校もあるらしい。

それとは関係ありませんが、チリ大学の学長に女性が就任しました。180年の歴史で初めてのことです。

4)大気汚染 
先日から汚染を少なくするため、古い車の通行が制限されています。先週1週間で、規則を守らず走行して捕まった車は5千台とか。罰金ですね。
大気汚染は良くならず、警戒警報が出されています。

(スポーツ)

1)サッカー
国内リーグ戦は13戦が終わった段階で、首位はコロコロ、2位はニュブレンセとウニオンが同点です。
人気チームの成績はコロコロとカトリカが勝利、チリ大は敗戦でした。

以上

チリの風 その990 2022年5月2日―8日

朝晩はともかく昼間は先週より少し暖かいサンティアゴでしたが、日曜日は霧雨になって初冬の雰囲気になりました。さて今日、サンティアゴラソンがありました。日曜日は地下鉄は8時から走りますが、今日は特別で6時から運行が開始されました。選手が会場に7時に着けるようにとの特別手配です。選手の応援をしようと朝早く駅に行ってみると、私の名前が呼ばれました。振り返ると、昔の同僚がいました。彼はハーフを走るとか。お互いに頑張ろうと言われました???。
昔は、私もその始発の電車に乗って会場に行ったのですが・・・
今週の山歩きは中間展望台に行きました。山の間の丘にあるのでその名前が付いたのでしょう。下りは同じ道を降りず向こう側の道を使ったので丘を一周しました。
3時間のコースでしたが楽しかったです。土曜日のサッカー教室は20名の参加者。楽しく練習しました。
もちろん私個人のマラソン練習もちゃんと走っています。
それから日本ラテンアメリカ協会のホームページにこのブログが掲載されはじめました。新しい読者が増えますね。誰かの役に立っているのはうれしいです。
日本の歴史の話をさせてもらおうとある私立の学校とコンタクトを始めました。興味を持ってもらえるかな?

(政治)

1)ボリッチ動向
2回目の国内視察は故郷のマゼラン州でした。プンタ・アレエナスで会議をし、その後、観光地のプエルト・ナタレスに行って観光事業の重要さを確認し政府の援助を約束しました。週末は両親の実家でのんびりしたらしい。
灯油の価格が大きく上がっているので、それを抑えるため、政府は4千万ドルを投資して価格の上昇を防ぐと発表。灯油が上がれば、そのほかに暖房がない家族は多いですから、冬の生活に大きく影響します。
さて、ボリッチが大統領候補だった時、奨学金の返済ができない人を助けると約束しました。「せっかく大学に入り、勉強したのに、就職した時に、大きな借金を抱えていれば、通常の生活を送れないだろう。それを助けるため奨学金返済をしなくても良いような手段を取る」としました。新政権が発足して2か月になりますが、この件に関し、ボリッチは口をつぐんでいます。
もちろん、彼の最大の最大の課題は社会不安・騒動の抑制でしょう。犯罪が増えて市民が落ち着いて生活できません。
それをクレームするトラック業界とは話し合っています。彼らの道路封鎖を違法行為として裁判所に訴えていますが、「それを取り消し、罰金などの刑を課さず、軍隊を利用して治安維持を図る」と言うのが合意事項になったようです。順調に封鎖が解放されるのかな?
高校生の学校占拠問題は継続です。
2)新内閣
24閣僚の中で5名だけ市民に知られているが、その他はほとんど名前も顔も知られていないと言う記事が出ました。なんだか私の感覚と同じです。私もその5名の他に一人だけ知っていますから、6名です。それ以外は誰も知りません。つまり私が普通の市民と言う証拠ですね???
その私の知らない一人の法務大臣リオスが、先年の社会騒乱の件で刑務所に入っている人間を政治犯として釈放したいとコメントしました。最右翼のUDI党首が何を言っているのだと噛みついています。私は騒乱で地下鉄の駅を壊すとか教会に放火するとかした犯人は政治犯とは思えませんが。
3)新憲法委員会
今週、水利権と鉱山権の案が出来たようですが、どちらもチリの将来に大きな影響を与えますね。
上院議長のキンタナは9月に新憲法が否決されれば、もう一度、新憲法委員会の設立を働きかけることになるだろうとコメント。全く無駄な時間と金をかけるわけですね。

(経済)

1)消費者物価指数IPC 
4月の数字は1.4%になり、過去12か月で10.5%を記録。これは1994年以来、過去27年で最悪の数字です。このまま続けばピークには13%まで上がると言われます。過去12か月で大きく価格が上昇した例として、ガソリン30%、新車22%、牛肉26%、観光ツァー56%、パン23%が挙げられています。
食品価格の上昇はウクラニア戦争の影響で世界共通ですね。
このため中銀は公定歩合を大きく上げて8.5%に。噂ではもうすぐ10%まで上がりそうとか。昨年、消費が低迷しているとき8月まで公定歩合を0.5%とほぼゼロにして、消費を煽ったのですが、今はまったく逆です。ローンが組めないとマンション・家屋とか新車の販売は激減でしょうね。
2)中銀経済月例( イマセック)指数
経済の動きを表すこの指数で2月は6.5%、3月は7.2%と好調な伸びを見せています。過去12月で8.5%。このままいくと素晴らしいですが。予想ではこの後は大きく下がるらしい。
3)実質給料 
昨年の実質給料は下がったとか。これは給料は7.4%上がったのですが、その指数がIPC9.4%より低かったので、実質賃金はマイナスになった由。
それで先週の、最低賃金を大きく上げるアイデアが出たわけですね。
4)銅価格と為替
銅の価格は4.27ドルと先週の4.45から大きく下がりました。このため為替も1ドル856ペソから863ペソとペソ安が進んでいます。
このまま銅価格が下落していけば、チリの近い将来は厳しいものになるでしょうね。すると社会騒乱がまたぶり返し・・・・

(一般)

1)コロナ問題
低め安定です。新規陽性者は3千名くらい、陽性率は5%くらいが続いています。もっともその数字は先週より少し悪くなっているとか。
2)マプチェ問題
継続です。どこまで行くのか分かりません。最悪のケースはコロンビアの様に国の一部がテロリストグループに抑えられることになります。
憲法委員会で先住民の権利が確認されていますが、全く予断を許さないと言う状況です。
3)ガソリン供給問題
エナップ(国営石油会社)の下請け企業の社員がストに入り、ガソリンスタンドへの供給に問題が出ています。南のビオビオ州ではあと数日、これが継続すれば、ガソリンがなくなるとか。そのニュースが流れるとガソリンスタンドの前に車の長い列が出来ました。どうなるのかな?

(スポーツ)

1)サッカー
国内リーグ戦は先週、同点首位だったコロコロは今週の試合は明日なので、昨日引き分けたウニオンと下から上がって来たニュブレンセに首位の座を明け渡しました。 もちろん明日勝てば、首位に戻りますが。人気のチリ大学は勝利、カトリカは敗北でした。

南米大会のリベルタドールカップですがチリから参加のコロコロとカトリカは両方ともペルーで戦いどちらも引き分けました。
コロコロはグループ戦の2位なので1次リーグ戦は勝ち抜けそうですが、カトリカはグループ3位で2次予選に出場は先ず見込みがないでしょう。
2)サンティアゴラソン
29000人の参加で華々しく実施されました。女性ランナーが1万人と過去最高の数字でした。
今年のフルマラソンを勝ったのはチリ人でしたが、それは14年ぶり。いつもケニヤのランナーが勝っていました。今年の記録は2時間17分でした。レースの大半をテレビの実況で見ましたが、さすがに迫力ありますね。


以上

チリの風 その989 2022年4月25日―5月1日

サンティアゴの最低気温が今週は零度まで下がりました。もっとも昼には20度くらいまで上がってポカポカの暖かさです。
火曜日、とうとう降りました。天気予報の通り、短時間で30ミリも降り、水害が出ました。それでもこれだけの雨が降るのは素晴らしいです。
その後、三日目に山登りをしたら、サンティアゴの空はスモッグで汚れていました。
さて家屋税所得税を支払いました。そして先日、申請したカルネ(身分証明書)を入手しました。これで5年間チリの中を自由に歩けます。
次の申請時には私は80歳、まだ生きているかな?

土曜日のサッカー教室は10名強の参加者で、いつもより少なかったですが、楽しくプレー。日曜日は仲間とマラソン練習をしました。チリの学校での授業のための日本の歴史の準備も進んでいます。やることが一杯あって、これ以上贅沢は言えませんね。
美味しいものを毎日食べているし、嫁さんとうまく行っています。今週も毎日幸せな日が続きました。

そうそうマンションの住民総会があり、私はオーナーですから、それに参加して意見を述べました。コロナ問題で過去2年間、集会が出来なかったので久しぶりでした。

(政治)

1)ボリス動向
EU代表のウレボラと面談し、チリの現状を説明しました。その他、近郊の住民集会に参加して政府の社会安全政策を説明しました。
5月1日のメーデーの前に労働者連盟CUTと面談して、労働者援護の政策を説明しました。
そのメーデーですが、いつもの通り、イタリア広場に集まったデモ隊は街の中心アラメダ通りをデモし、モネダ宮殿近くで集会を持ちました。CUT代表が長々と演説しましたが、その中で何度もアジェンデの名前が出ました。「彼は銅鉱山の国有化を行いました。そしてコデルコ銅公社を作りました。その恩恵を私たちは今でも受け取っています」そのおかげで外国資本はチリから抜け出し、経済危機が襲ったことを忘れていますね。更にその代表の彼は新憲法で労働者の権利が明確になると喜んでいました。
そのデモ隊に中央駅付近で露天商が攻撃し、ピストルで撃たれてデモ隊3名が負傷。政府はその事件を裁判所に訴えました。犯人が二人逮捕されましたが、コロンビア人とべネスエラ人でした。俺たちの商売の邪魔をするなとしたわけです。
今晩のテレビのニュース番組にボリッチは招待され話をしました。その中で就任50日で新政権の人気は低いですがと厳しいコメントを受けると、旧政権が出来なかったことを新政権が即時に解決すると思われたのでしょうが、そうはいきません。私たちの努力を見守っていただきたいとしました。 

2)新憲法委員会
 もう最後の日が近いのに、これが私たちの作った新憲法ですと言う最終案がまだ出来上がっていません。なんと、もう少し、3か月ほど期間を延長してはどうかと言う声が委員から出ています。既に一度延長はしていますから、これが通ると、延長が何度も続くでしょうね。
 新憲法が国民に否決されれば、社会騒乱の復帰になるのでしょうか?

(経済)

1)最低賃金の変更
8月から最低賃金は40万ペソになります。最近の物価上昇分に見合ったものと言えそうです。その額を比較すると、ラテンアメリカではコスタリカに続いて2番目の高い数字とか。それからブラジルの2倍になる由。各国が独自の政策を取っているのが良く分かります。しかしブラジルの人の生活は厳しいですね。もっともOECD参加国の平均賃金と比べるとチリのそれは約半分とか。世界の壁はまだ遠い。
2)女性の幹部が増加
 上場企業の重役に女性が増えています。2019年に8.6%だったのに今年は一気に18.4%になりました。有名企業の女性幹部の数が新聞に掲載されましたがそれを受けて、「うちももう少し女性を増やそうよ」と言う社長が出てくるでしょうね。必要と言うより、雰囲気の問題ですね。
3)銅価格と為替
銅の価格はポンド当たり4.45ドルと先週からかなり下がりました。するとそれにつれて為替も1ドル857ペソと先週よりチリペソは約5%弱くなりました。銅公社コデルコは昨年過去9年で最高の利益を出しましたが、今年は風が変わって売り上げが下がりコストが上がり今年の第1四半期は昨年から6.5%の減少になりました。もっともまだ今年は始まったばかりですけど。

(一般)

1)コロナ問題
かなり良くなってきています。火曜日は新規感染者数が993人と今年最少の数字でした。今まで2回ワクチンを接種した人が持っていた移動パスは今日から効力を失いました。つまり3回目接種が義務付けられたわけです。入院者数は過去最少にまで減少しているとか。
さぁこのままコロナ問題は治まっていくかな?
隣国との陸の国境40カ所の内、22カ所が今日からオープンされました。
2)マプチェ問題
毎週、激しくなります。先週と同じく、トラックが銃撃され運転手が負傷しました。
これに関し前政権の内務次官をしていたガジが共産党新左翼は社会デモとゲリラの破壊活動の区別が出来ていないとコメントしました。
そしてなんとトラック・重機が30台以上も燃やされる事件がありました。防犯カメラに写っていますが、軽トラックに乗ったグループが手に機関銃を持っており駐車場施設に入る際から威嚇射撃です。そこに入ってくるトラックを止めて動けなくし、警察の車が入れないようにしてから、敷地にあったすべての機械を燃やしました。マプチェの問題なのか、一部のゲリラグループが社会騒乱をするためにこうした攻撃をしているのか分かりませんが、南の第8州、第9州でこうした社会騒乱が継続し、政府が全く手を打てないのは自明です。対話で問題解決を図るとするのは間違いでしょうね。
3)高校生の抗議活動
 政府は高校生の環境をよくする政策を取っていないと学校内外で抗議行動をしています。
 高校生の犯罪かどうかまだ決まっていませんが、学校近くで公共バスに火がつけられ全焼しました。
 話し合いが大事だ、そうした暴力行為は認められないと政府はしています。校舎の改善などに100億ペソの予算を組むと発表しました。
 今週、学校の前でモロトフ爆弾を投げた生徒が捕まりましたが、彼はその学校の生徒でした。
いくつかの高校が学生に占拠されています。それを警官が排除すると言うのはまだ起きていません。いつも出てくる共産党の区長が警察が学生をひどい目に合わせているとコメントしました。爆弾を投げる学生を逮捕するのは正常と私は思いますが。

4)トラックの抗議活動
 トラックが道路を封鎖する抗議活動が全国各地で起きています。3車線の道路を2車線分トラックで抑えると残りは1車線。交通渋滞が起きるのは当然です。
 彼らは、高速道路の料金・ガソリン代、そして何より交通の安全が保障されていないと政府に抗議しています。政府は、何日の何時以降はその行為を認められないと 脅しをかけましたが、彼らは政府案を無視したので、政府は裁判所に訴えました。
政府は彼らの抗議内容に関し、政府案を提示して説得するべきですが、今日、政府はそれをトラック業界と面談してに提示したらしい。
5)スーパーマーケット襲撃
 今週、首都圏近くの店が襲われました。数人のグループではありません。200名と言われる大集団です。そのグループは店の近くの道路を封鎖し、警察の介入を妨げようとしましたが、何人も逮捕されました。もちろん、偶然そのグループが出来たのではなく、作戦を練り上げて実行したのですね。
 逮捕した人間からどんな秘密が聞き出せるかな?
 政府はそのグループを犯罪者として起訴しました。3年前の社会騒乱の時、同じような暴動を裁判所に訴えたピニェラを左翼グループは批判しましたが、今回は自分たちも 同じことをしています。

6)交通規制
今週の山登りは大雨の3日後でしたが、空はスモッグで覆われていました。サンティアゴの場合は暖房に薪を焚くから空が汚れるのではなく自動車・工場が原因のようです。そこで明日から8月末まで週日の車の交通規制が始まります。新車は別にして、古い車は週に一回、通行禁止があります。
月曜日はナンバープレートの末尾の数字が0と1の車がそれに当てはまります。もちろん規則を守らないと罰金を取られます。

(スポーツ)

1)サッカー
 国内リーグ戦は今週は5月1日の祝日のため通常試合は中止。今まで延期されていた試合だけ実施されました。それで11試合が終わった段階でコロコロとウニオンが同点首位を守っています。カトリカは10位、チリ大学は13位と全部で16チームの1部リーグで下位低迷です。両チームとも不振の責任を取らせて監督を交替しました。
 リベルタドール杯は参加中のコロコロとカトリカが両方ともホームで対戦しどちらも負けました。惨めですね、


以上、

チリの風 その988 2022年4月18日―24日

なんだか夏から一気に晩秋になったようなサンティアゴです。今晩から暖房を使い始めました。昼間も太陽が当たって暖かくなるべランダに座って新聞を読みます。
ありがとう。金曜日の深夜、少しですが、やっと雨が降りました。来週はもっと本格的な雨が降ると予想されています。

19日、親父の命日でした。ロウソク・線香をつけて娘がお経をあげました、彼女は般若心経を日本に留学した時に覚えました。彼が亡くなって10年になります。
それからコロナ問題が収まってきたので、市内観光をしました。行ったのは歴史博物館、考古学博物館、カトリック大聖堂、新憲法委員会議場、モネダ宮殿、そしてその文化センターです。中に入ったのはその最初と最後の二つですが、どちらも移動証明書の提示が求められました。こうして街の中心部を歩いていると人々の生活が通常化(正常化)しているのが良く分かります。


もちろん、私の生活はいつもの通りです。一人で走った10キロで今年のベストと同じ記録が出ました。週に一度の山歩きはいつもの第1展望台へ。涼しくても少し汗をかきました。
それから4月は税金の月で、税務署に家屋税所得税について質問・相談に行きました。また区役所の中高年援助課に行くと、昨年私が支払った清掃経費が戻してもらえることになりました。こうした交渉は私にとって楽しみになります。
土曜日は今年度1回目の登山教室、楽しく近くの丘に登り、遊歩道を歩きました。

いつも言っていますが、毎日幸せです。

(政治)

1)ボリッチ動向
 ラテンアメリカカリブの自然保護条約についての話し合いがチリでありボリッチはそれに参加しました。
そして北部のラ・セレナを訪問していると、石を投げつけられました。その後のテレビの番組で、その件について、「私は国民の近くにいたい、この石投げ事件があってもそれは変わらない」としました。その犯人を裁判所に訴えたようです。
ただ、その前日に、政府の公安関係の人間が現在の犯罪状況はチリが民主化して以来最悪の事態だと発言した件について、自分たちはそういう状況で前政権から受け継いだとコメントし責任をピニェラに擦り付ける感じです。私なら、「そういう状況で引き継いだけど、それをよくしようと頑張っています」と言いますが。

今週、もっとも重要な要件は第5回の年金引き出し案の失敗です。左翼側議員から5回目の引き出し案件が出たとき、政府はそれはチリ経済に悪影響するとして拒否の態度を取りました。
しかし市民を助ける引き出し案を認めよと押されると、借金があってその支払いに困っている人には引き出しを認めるとするアイデアを出し、議会に提出しました。今週その2案が別々に議論され両方とも拒否されました。政府にとって良かったねと言うところですが、左翼側から困っている市民を助けようとしない政府は何を考えているのかと強いクレームが出て与党内部の争いです。つまり内部の違う考えをうまく統一・抑制できないボリッチの力のなさがはっきりしました。
それにも絡んで、与党内でぎくしゃくしている関係を少しでも正常化するためボリッチはキリスト教民主党DCのメンバーをモネダ宮殿に招待し話し合いました。
民主化して以来、中道左派グループの中心党だったDCが今回はほとんど蚊帳の外ですからね。DCを嫌う共産党がボリッチを動かしていますから。
その共産党の区長ハドゥエは毎週のように問題を起こしていますが、今週は彼でなく彼の弟です。ボリッチはその弟を電話関連の政府機関の幹部に任命しました。右翼からおかしな人事はやめよと抗議が出ています。最もピニェラの時にも似たような人事はありましたが。
2)新憲法委員会
9月4日の可否投票が任意でなく義務制になりました。投票に行かないと罰金がとられます。急に義務制にしたのは、投票者数が半数にもいかないと後で問題が残るからでしょうね。世論調査でその委員会の活動について評価するとしたのは1年前は71%でしたが、今月は44%。逆に同意しないは29%から56%に上がっています。
3)大蔵大臣がアメリカ訪問
現地でIMFや世銀で面談するとか。

(経済)

1)経済成長率 
IMFの予想ではチリの今年の成長率は2.1%です。少し前は2.9%だったのですが、下がりました。ラテンアメリカの平均は2.5%ですから、チリは平均にもいかないわけですね。おまけに来年の予想は0.5%と最悪です。経済不安と言うより、政治の不安定、新憲法の可否が大きく影響しているのでしょう。
2)銅価格と為替
1ポンド4.64ドルと少し下がりました。為替は1ドル817ペソとペソ安になりました。
3)就業率
コロナ問題で失業者が急増したわけですが、それが収まり、今週の発表では、就業者数はコロナ前を乗り越えたとなっています。給料はどうなったかわかりませんが。
最低賃金を大幅に上げるアイデアが国会で議論されています。

(一般)

1)コロナ問題 
もう大騒ぎは治まったかのようです。前政権の時は毎日、厚生大臣がその日の新患者数などの説明をする番組がありましたが、新政権では全くありません。
新規患者数は、少し前一日3万人にもなっていたのに、今週は3千人以下でした。もっともPCR検査数も15万人にもなっていたのが、今週は3万人位です。
2)交通事故
先週の3連休で、首都圏から30万台の車が近郊に出たようですが、その3日間の事故の結果は、交通事故数は580件、死亡者は19名。アルコールテストで捕まったのは260人でした。 
3)マプチェ問題 
火曜日、なんと1晩で4件の襲撃事件が起きました。マプチェの政治犯を釈放せよと要求する文書が置かれていました。
それが継続して、金曜日、走行しているトラックに発砲し、運転手に命中。トラックは道のわきに転倒。彼は瀕死の重傷で入院中。その銃は小さなピストルではなく軍が使うような大口径のものでした。 もう誰も安心して仕事が出来ませんね。政府はその件に関し、政府の名前で裁判所に訴えました。
、新聞の社説に、各政権で独自の政策がとられるのは当然だが、このマプチェ問題は緊急に問題の軽減・解決が求められており、それをボリッチが実行しようとしているようには見えないと書かれました。軍隊で抑えるのではなく、対話で問題縮小を図ると言うわけですが、全く進歩はありません。

(スポーツ)

1)サッカー
国内リーグ戦は首位だったコロコロは引き分け、もう一つのウニオンは明日に試合があります。
 つまり明日迄順位ははっきりしませんが、今日の段階では首位はコロコロ勝ち点21点、2位はウニオン20点、3位はクリコとニュブレンセが19点で並んでいます。
 人気のカトリカは9位、チリ大学は11位です。

2)マラソン
サンティアゴラソンの宣伝がテレビで流れています。5月8日ともうすぐです。今年は3万人が参加するとか。2年ぶりですからね。
この時期、マラソン練習をするランナーが急増するのですが、今日、仲間とマラソン練習をしているとき、他のランナーにはほとんど会いませんでした???
3万人がスターを切るのは迫力ですね。


以上

チリの風 その987 2022年4月11日―17日

イースターの祝日が入ってこの週末は3連休でした。40年前はイースターのミサに参加していましたが、カトリックの腐敗でそんな気にならなくなりました。
金曜日、サンティアゴの最高気温は16度でしたが、夜になると最低温度は5度まで下がり、今年初めて暖房を使った所が出たらしい。
今週も山歩き、マラソン練習、目の検査、娘との食事など先週と同じようなスケジュールが続きましたが、一番、面白かったのは来月帰国する友人が挨拶に訪れてきてくれたことです。
彼女は長いチリでの仕事を終え、日本での勤務になります。遠くにいて日本の良さが分かったとコメントがありました。日本でまた頑張ってほしいです。
それから日本の歴史を、侍を中心にしてまとめました。そしてそれをスペイン語にしました。嫁さんに直してもらってからそれを頭に入れます。
近くの学校で特別授業としてやらせてもらいたいです。
また近くで拾った栗を茹でて、栗ご飯にしました。おいしかったです。
いつもと同じく今週も幸せな毎日でした。

(政治)

1)ボリッチ動向
チリ大学を訪問し挨拶。また首都圏のセロ ナビア区で区民を前に私たちは社会正義のために働いていると演説しました。
来週は初めて国内訪問で、北部を訪れます。移民問題で北部地区は厳しい状況ですからね。
就任1か月が経過しましたが、彼を支持するは落ち込んで28%、不支持は上昇して51%です。前のバチェレット、ピニェラと比較すると不支持はトップ支持は最下位でした。普通、新政権が出ると、4年間の古い政権をどう変えていくか期待感が多いのですが、ボリッチの場合は全く逆ですね。
さて新聞に南のマプチェ問題をどう解決するか、軽減させるかがボリッチにとって最大・緊急の問題だろうと言うコメントがあります。
それから厚生年金の5回目引き出しに関して、政府案を出しました。今までは野党の左翼が引き出し賛成、与党の右翼が引き出し拒否でしたが、ボリッチはこの引き出しでまたインフレが拡大すると考え反対側に立ちました。しかし与党側の左翼から圧力がかかり、引き出しを認めるが、条件を付けるとしました。例えばローンなどで借金がある人には引き出しを認めるわけです。それが通るかどうかで、彼が与党内を把握しているか、全く抑える力が無いかがはっきりするとされます。
明日の月曜日に国会で議決されます。与党議員が政府と対決するなんて今まででは考えられなかったことです。明日はこれで大騒ぎになるでしょうね。
ボリビアのシララ川問題は論議継続で大きな動きはありません。
さてレコレタ区の区長ハドゥエ(先の大統領選挙の時の共産党の候補者)がべネスエラを訪問しました。マドゥロ大統領を入れた会議に出席し、ここの人権問題が国連で論議されたりするが、チリでも同じような政治犯の収容もあるわけでここだけの問題ではないなど、べネスエラ援護の発言をしました。さらに「ボリビアの軍隊を尊敬する。彼らは国を守っている。チリの場合は逆に、軍隊が国を壊している」とコメント。これはアジェンデ政権を壊した軍事革命のことを言っているわけですね。
もちろん、チリの中で彼を批判する声も大きいです。
2)内務大臣
約1週間、姿を消していた内務大臣は仕事を始めたようで、私たちは市民のために全力を尽くしますとコメントしました。新聞に彼女について、自分の能力を過大評価しているのかとするコメントがありました。また政府内で彼女と対立するグループがあるとかで、見通しは苦しいですね。
3)新憲法委員会
国会の2院制から上院を廃止することになったようです。しかし地方議会を設置するとか。
上院関係者は右翼も左翼もこの委員会案に反対です。国民のほとんどが新憲法委員会の設立に賛成しましたが、ここまできて国民の過半数が委員会を否定です。
9月4日の新憲法是非投票は揉めるでしょうね。
なんでも現行の国歌・国旗・国の紋章は変更ないとか。

(経済)

1)銅価格と為替
 1ポンド当たり4.66ドルと先週とほとんど同じ。為替は1ドル805ペソで、まずまずでした。

(一般)

1)コロナ問題
 連日、新規感染者数は3000人ほどで、陽性率も5%ほどと低め安定しています。
今週から街を歩くのにマスクが不要になりました。もう2年ほどマスクをつけて歩いていましたから、マスクなしで歩くと不思議な気がします。
ただ商店や地下鉄の中では使用の義務は残っています。
2)社会騒乱
 毎週、金曜日の夕方にサンティアゴのバケダーノ広場でデモ隊が集まりますが、今週は連休になったので、一日前の木曜日に集会がありました。
 道路のバリケードをして車の通行を止めます。近くの地下鉄の駅もそのため全部入り口が閉められ乗客の乗降はできません。
 3年前にボリッチのグループがそのデモで
 騒いでいたわけですが、新政権になっても全く様子は変わりません。デモ隊は何を要求しているのか、政府はそれにどう対応しているのか不思議です。
 全然、それには関係ありませんが、最近電線泥棒が増えています。銅の値段が上がって、電線も高く売れるとか。もちろん電線を切られると、その地区は停電になります。
3)黒崎殺人事件
 チリでも注目されていましたが、犯人とみられるセペダに28年の実刑が課せられました。
日曜日にこの件の特集記事が掲載され2ページにわたって彼の異常な性格が詳細に書かれました。
「フランスの裁判所は素晴らしい。チリの裁判所ではそんな刑を科すことはないだろう」と言うコメントが出ました。
28年、異国の刑務所に入るのは厳しいでしょうが、もちろん。彼が殺人をしたのは間違いないでしょうから、当然でしょうね。再審を要求するようですが。新しい事実がなければただ時間と金の無駄遣いになるでしょう。彼らが30時間、一緒に過ごした後に黒崎さんが歩いているのが確認されれば無罪になるでしょうが。
4)交通渋滞
 この週末は多くの車が首都圏から外に出てゆき、交通事故のあった南行きの幹線5号線は何と12時間の渋滞になったとか。運転手は動かないと言ってもぐっする眠るわけにはいきませんから、疲労の極みでしょうね。水・食料が無ければ高速道路の中では近くで買い物と言うわけには行きません。
公共事業省の大臣が高速道路を設計した時の通行量を大きく越えているから、こうした問題は頻繁に起こる。車の運行量を下げるためには市民に今よりもっとバスや汽車の利用をしていただきたいとしています。
5)乾燥
サンティアゴは今年未だ1回しか雨が降っていません。13年ぶりの異常乾燥とか。そのため一部の区で断水が始まりました。
その内、私の住むところも断水になるかも。厳しいですね。

(スポーツ)

国内リーグ戦は人気3チームの結果はコロコロは勝利、チリ大学は引き分け、カトリカは敗戦でした。
今日までの所、首位はコロコロとウニオンが同点首位カ。トリカは9位、チリ大学は11位です。
リベルタドール杯に参加の2チーム。コロコロとカトリカはどちらも勝ってグループの2位を確保しています。


以上

チリの風 その986 2022年4月4日-10日

この週末、サンティアゴの最高気温は23、24度で秋の気配です。朝早く外を走ると指先が冷たく感じます。
昨年から眼科に通っていますが、今週、指示された目の検査に行くと、係の人が日系3世でした。彼女は私にどこの出身ですかと聞いてきました。神戸と答えると、私の祖母と同じところですと大喜び。おばあちゃんは終戦後、日本では将来がないと南米を目指した移民家族の子供さんでしょう。私と違って、命を懸けた移民の旅だったでしょうね。
山歩きは、先週見つけた新しいルートを一人で歩き始めました。もうその山系は40年以上歩いていますが、まだ知らないルートが見つかるわけです。楽しい。
ラソン練習で、週日10キロを走りましたが、今年の新記録がでました。にっこり。もちろん日曜日は仲間と一緒に走りました。そのうちの一人は来月のサンティアゴラソンでフルを走るので気合が入っています。私も昔はそれに参加していたのですが。
土曜日に今年度の第1回サッカー教室がありました。大人・子供で20名弱。いつものように楽しく練習しました。
また娘の所に行って話し合いをしました。彼女の人生の新計画が楽しみです。
いつものように今週も幸せな毎日でした。

(政治)

1)ボリッチ動向
 アルゼンチン訪問
 最初は飛行場に到着した時、そして飛行機の中で記者団に囲まれ話をするのがニュースになりました。向こうについてフェルナンデス大統領と政治・経済・文化などの話し合いをしたのも大きく報道されました。現地の経営者との集まりもありました。

これが将来の両国の関係にどう影響するかな?
戻ってきてチリ社会の安定化について新政策を発表しました。
しかし彼にとって頭の痛いのは内務大臣問題です。
2)内務大臣
新内閣開始でまだ1か月もしませんが、内務大臣は3つの大問題を抱えました。マプチェ問題で、ピニェラを批判し、彼の4年間の政権で同地区の犯罪は4倍になっている。従って彼と同じような軍隊を出して力で抑えると言う方針はとらないとし、現地でマプチェと面談するとしましたが、同地区を訪問した時、銃弾で脅され、全く話し合いは無しに終わりました。そしてマプチェ問題をウオルマプとしました。それは国境を挟んでチリ・アルゼンチンに住むマプチェ族を表すので、アルゼンチンから国内干渉をしないようにと苦情が出ることになり謝りました。
最後は不法移民問題です。彼らを国外追放にした飛行機が、彼らをその国に降ろさないで(入国を禁止されたのか?)またチリまで連れて帰ったと、ピニェラ政権を批判しました。しかしそれは嘘の情報だったとバレて、謝りました。このエラーはひどいので彼女を罷免すべしとするコメントが出ています。ボリッチは帰国後、彼女と面談し、その後、彼女を支持するとしました。
隣のペルーで、内閣が頻繁に入れ替わっていますが、チリもそんなことになるのかな?
新聞の社説に、これは彼女一人の問題ではなく、たった1か月で新内閣の疲労が表立っているのではとされました。
これに関しては問題点(もしくは課題点)として先ず、大使の任命問題が出ています。ボリッチは大統領候補の時、「大使はそれまでの政治的経験を考慮して任命したい。何かの褒美でその職を与えることはしない」とコメントしていますが、先月の彼の任命した大使は、全く逆ですね。社会党共産党の関係者を大使にしています。2番目は厚生年金の引き出し。これも大きく彼の見解が変わりました。3番目はマプチェ問題。ピニェラを批判していたが、新政策を全く実施できず、問題が悪くなっています。4番目は警察軍との関係。批判と協調が入れ替わり。5番目は教育問題、そしてコロナ対策問題。
つまりピニェラ政権を批判していたのに、自分たちが政権を取っても何も新しいことを実施していないと言うわけです。
もちろん、何もできないので疲労するなら、この先、新政権への世論の批判は厳しくなりますね。
3)新憲法委員会
 3社の世論調査で、全部が9月4日の新憲法可否の投票でノーが勝つだろうと発表し、問題になっています。ラゴス元大統領は新憲法を成立させるための努力をすぐに始めるべしとしました。まだ新憲法は完成していませんが、委員会のイメージがパッとしないのは事実です。
4)厚生年金積立金の引き出し
 5回目の引き出しを国会で審議中。いつまでこんなアホなことをするのか不可解。ボリッチは議員の時は引き出しに賛成しましたが、この引き出しがあれば、チリ経済に悪影響すると、現在は反対の立場です。

(経済)

1)経済政策
政府は国民援助として下記の政策を発表しました。
チリを安定的に成長させるため、37億ドルの費用をかけ21の項目で経済発展を図るとしています。例えば、次の2年間で50万人の新規雇用を創出し失業率の低下を図る。ガソリンや灯油の値上げを抑える。反インフレとしてバスなどの公共運送費を30ペソ上げることになっていたのを政府の支出で抑え、現状価格を維持する。IFEの低賃金労働者への援助を9月まで継続するなどです。最後のIFE(緊急家族収入案の略です)はピニェラが自分の政権が終わる3月以降も継続するとしたのを余計なことだとクレームしましたが、結局はピニェラ式の継続を認めました。
2)輸出の伸び
 1-3月の輸出は249億ドルで過去8年間の最高でした。
 輸出の半分近くを占める銅の価格が急上昇ですから、輸出額が伸びるのは当然ですね。
 これは年内続きそうです。
3)物価上昇率IPC
 何と3月は1.9%の上昇で、過去12ヵ月では9.4%。これは1993年以来の28年ぶりの酷い数字。中央銀行公定歩合をさらに上げる必要があると言われています。キリスト教民主党DCは食品についている消費税を外すか、減少してほしいと政府に要求しています、
4)銅価格と為替
銅の価格はポンド当たり4.71ドルと4.7の壁を越えました。チリ政府にとって最高のニュースですね。
それでペソは対ドルで強くなるとみられましたが、消費者物価指数がひどくなったのでドルが息を吹き返し1ドル817ペソになりました。
5)果物輸出
毎年、果物の輸出量が増えています。さて先月、ウニフルッチ社がアブダビの会社に買収されました。これで大手10社のうち、半数が外国資本で動いています。一番生産量が多いのはサクランボです。昨年の国別輸出先は1位がアメリカ41%、2位が中国20%、3位はオランダ8%でした。さぁ外国資本が参入してくると言うこの傾向はこれからも続くかな?

(一般)

1)コロナ問題
 低め安定です。新規患者数は5千人を割った所で落ち着いています、今日、日曜日は新規感染者数が3,057人でした。新規陽性率も4.7%。これは94日ぶりの低い数字。そのため、患者数も減少してきて、救急病棟などの余裕もかなりはっきりしています。
来週後半から、道路・公園などでは、マスクなしに歩けることになりました。5月1日からすべての国境がオープンになります。チリ政府はコロナが終焉すると見込んでいるのですね。
本当にこのまま収まるかな?
2)マプチェ
先年、マプチェグループに焼殺されたルーシンゲル夫妻の荘園にまた火がつけられました。マプチェの組織CAMが犯行声明を出しています。
政権交代後、一向にマプチェの攻撃が収まりません。逆に過激化しているようです。過去3週間で83件の攻撃が記録されています。ビオビオ州で37件、アラウカニア州で46件です。その大半は家屋への攻撃です。昨年は1786件と対前年で46%も上昇し、過去10年間で最悪でしたが、今年はそれと同じような傾向です。
3)黒崎殺人事件
もう数年前の事ですが、日本人留学生の黒崎さんが、元恋人だったチリ人のセペダにフランスで殺されたとみられる裁判が始まりました。彼は自分は無罪、彼女を殺した事実は全くないと主張しています。でもどうしてフランスの警察は彼女の死体を発見できないのでしょうか???
4)社会騒乱
3年前の10月に社会騒乱が始まりましたが、その初期に地下鉄の駅を襲う事件が続発。駅に放火して全焼状態になった所も出ましたが、今週、その犯人に判決が出ました。12年の刑でした。政治犯ではないですから、刑務所で反省してほしいです。出てきたら、また同じようなことをするかな?

(スポーツ)

1)サッカー
国内戦は人気3チームがすべて敗戦でした???
今日の段階で1位、2位はコロコロとウニオンが同点首位、3位4位もコブレサルとニュブレンセが同点で並んでいます。
今週からチーム別の南米の最大の大会リベルタドール杯が始まりました。コロコロはブラジルの敵地で勝利、もう一つのカトリカはアルゼンチンで敗戦と分かれました。


以上