チリの風 その989 2022年4月25日―5月1日

サンティアゴの最低気温が今週は零度まで下がりました。もっとも昼には20度くらいまで上がってポカポカの暖かさです。
火曜日、とうとう降りました。天気予報の通り、短時間で30ミリも降り、水害が出ました。それでもこれだけの雨が降るのは素晴らしいです。
その後、三日目に山登りをしたら、サンティアゴの空はスモッグで汚れていました。
さて家屋税所得税を支払いました。そして先日、申請したカルネ(身分証明書)を入手しました。これで5年間チリの中を自由に歩けます。
次の申請時には私は80歳、まだ生きているかな?

土曜日のサッカー教室は10名強の参加者で、いつもより少なかったですが、楽しくプレー。日曜日は仲間とマラソン練習をしました。チリの学校での授業のための日本の歴史の準備も進んでいます。やることが一杯あって、これ以上贅沢は言えませんね。
美味しいものを毎日食べているし、嫁さんとうまく行っています。今週も毎日幸せな日が続きました。

そうそうマンションの住民総会があり、私はオーナーですから、それに参加して意見を述べました。コロナ問題で過去2年間、集会が出来なかったので久しぶりでした。

(政治)

1)ボリス動向
EU代表のウレボラと面談し、チリの現状を説明しました。その他、近郊の住民集会に参加して政府の社会安全政策を説明しました。
5月1日のメーデーの前に労働者連盟CUTと面談して、労働者援護の政策を説明しました。
そのメーデーですが、いつもの通り、イタリア広場に集まったデモ隊は街の中心アラメダ通りをデモし、モネダ宮殿近くで集会を持ちました。CUT代表が長々と演説しましたが、その中で何度もアジェンデの名前が出ました。「彼は銅鉱山の国有化を行いました。そしてコデルコ銅公社を作りました。その恩恵を私たちは今でも受け取っています」そのおかげで外国資本はチリから抜け出し、経済危機が襲ったことを忘れていますね。更にその代表の彼は新憲法で労働者の権利が明確になると喜んでいました。
そのデモ隊に中央駅付近で露天商が攻撃し、ピストルで撃たれてデモ隊3名が負傷。政府はその事件を裁判所に訴えました。犯人が二人逮捕されましたが、コロンビア人とべネスエラ人でした。俺たちの商売の邪魔をするなとしたわけです。
今晩のテレビのニュース番組にボリッチは招待され話をしました。その中で就任50日で新政権の人気は低いですがと厳しいコメントを受けると、旧政権が出来なかったことを新政権が即時に解決すると思われたのでしょうが、そうはいきません。私たちの努力を見守っていただきたいとしました。 

2)新憲法委員会
 もう最後の日が近いのに、これが私たちの作った新憲法ですと言う最終案がまだ出来上がっていません。なんと、もう少し、3か月ほど期間を延長してはどうかと言う声が委員から出ています。既に一度延長はしていますから、これが通ると、延長が何度も続くでしょうね。
 新憲法が国民に否決されれば、社会騒乱の復帰になるのでしょうか?

(経済)

1)最低賃金の変更
8月から最低賃金は40万ペソになります。最近の物価上昇分に見合ったものと言えそうです。その額を比較すると、ラテンアメリカではコスタリカに続いて2番目の高い数字とか。それからブラジルの2倍になる由。各国が独自の政策を取っているのが良く分かります。しかしブラジルの人の生活は厳しいですね。もっともOECD参加国の平均賃金と比べるとチリのそれは約半分とか。世界の壁はまだ遠い。
2)女性の幹部が増加
 上場企業の重役に女性が増えています。2019年に8.6%だったのに今年は一気に18.4%になりました。有名企業の女性幹部の数が新聞に掲載されましたがそれを受けて、「うちももう少し女性を増やそうよ」と言う社長が出てくるでしょうね。必要と言うより、雰囲気の問題ですね。
3)銅価格と為替
銅の価格はポンド当たり4.45ドルと先週からかなり下がりました。するとそれにつれて為替も1ドル857ペソと先週よりチリペソは約5%弱くなりました。銅公社コデルコは昨年過去9年で最高の利益を出しましたが、今年は風が変わって売り上げが下がりコストが上がり今年の第1四半期は昨年から6.5%の減少になりました。もっともまだ今年は始まったばかりですけど。

(一般)

1)コロナ問題
かなり良くなってきています。火曜日は新規感染者数が993人と今年最少の数字でした。今まで2回ワクチンを接種した人が持っていた移動パスは今日から効力を失いました。つまり3回目接種が義務付けられたわけです。入院者数は過去最少にまで減少しているとか。
さぁこのままコロナ問題は治まっていくかな?
隣国との陸の国境40カ所の内、22カ所が今日からオープンされました。
2)マプチェ問題
毎週、激しくなります。先週と同じく、トラックが銃撃され運転手が負傷しました。
これに関し前政権の内務次官をしていたガジが共産党新左翼は社会デモとゲリラの破壊活動の区別が出来ていないとコメントしました。
そしてなんとトラック・重機が30台以上も燃やされる事件がありました。防犯カメラに写っていますが、軽トラックに乗ったグループが手に機関銃を持っており駐車場施設に入る際から威嚇射撃です。そこに入ってくるトラックを止めて動けなくし、警察の車が入れないようにしてから、敷地にあったすべての機械を燃やしました。マプチェの問題なのか、一部のゲリラグループが社会騒乱をするためにこうした攻撃をしているのか分かりませんが、南の第8州、第9州でこうした社会騒乱が継続し、政府が全く手を打てないのは自明です。対話で問題解決を図るとするのは間違いでしょうね。
3)高校生の抗議活動
 政府は高校生の環境をよくする政策を取っていないと学校内外で抗議行動をしています。
 高校生の犯罪かどうかまだ決まっていませんが、学校近くで公共バスに火がつけられ全焼しました。
 話し合いが大事だ、そうした暴力行為は認められないと政府はしています。校舎の改善などに100億ペソの予算を組むと発表しました。
 今週、学校の前でモロトフ爆弾を投げた生徒が捕まりましたが、彼はその学校の生徒でした。
いくつかの高校が学生に占拠されています。それを警官が排除すると言うのはまだ起きていません。いつも出てくる共産党の区長が警察が学生をひどい目に合わせているとコメントしました。爆弾を投げる学生を逮捕するのは正常と私は思いますが。

4)トラックの抗議活動
 トラックが道路を封鎖する抗議活動が全国各地で起きています。3車線の道路を2車線分トラックで抑えると残りは1車線。交通渋滞が起きるのは当然です。
 彼らは、高速道路の料金・ガソリン代、そして何より交通の安全が保障されていないと政府に抗議しています。政府は、何日の何時以降はその行為を認められないと 脅しをかけましたが、彼らは政府案を無視したので、政府は裁判所に訴えました。
政府は彼らの抗議内容に関し、政府案を提示して説得するべきですが、今日、政府はそれをトラック業界と面談してに提示したらしい。
5)スーパーマーケット襲撃
 今週、首都圏近くの店が襲われました。数人のグループではありません。200名と言われる大集団です。そのグループは店の近くの道路を封鎖し、警察の介入を妨げようとしましたが、何人も逮捕されました。もちろん、偶然そのグループが出来たのではなく、作戦を練り上げて実行したのですね。
 逮捕した人間からどんな秘密が聞き出せるかな?
 政府はそのグループを犯罪者として起訴しました。3年前の社会騒乱の時、同じような暴動を裁判所に訴えたピニェラを左翼グループは批判しましたが、今回は自分たちも 同じことをしています。

6)交通規制
今週の山登りは大雨の3日後でしたが、空はスモッグで覆われていました。サンティアゴの場合は暖房に薪を焚くから空が汚れるのではなく自動車・工場が原因のようです。そこで明日から8月末まで週日の車の交通規制が始まります。新車は別にして、古い車は週に一回、通行禁止があります。
月曜日はナンバープレートの末尾の数字が0と1の車がそれに当てはまります。もちろん規則を守らないと罰金を取られます。

(スポーツ)

1)サッカー
 国内リーグ戦は今週は5月1日の祝日のため通常試合は中止。今まで延期されていた試合だけ実施されました。それで11試合が終わった段階でコロコロとウニオンが同点首位を守っています。カトリカは10位、チリ大学は13位と全部で16チームの1部リーグで下位低迷です。両チームとも不振の責任を取らせて監督を交替しました。
 リベルタドール杯は参加中のコロコロとカトリカが両方ともホームで対戦しどちらも負けました。惨めですね、


以上、