チリの風 その1049 2023年6月19日ー25日

先週と違って最低気温がマイナスになることはなかったサンティアゴです。それは雨が降ったからです。木・金曜日と雨になりました。特に木曜日はかなりの雨が降りました。今まで雨が少ないと文句を言っていた私たちですが、小雨でなく本格的に振り出すと、もう少し抑えて降ってくれと頼みます。情けないですね。
私の例ですが、用事で街に行きましたが、家の前の道路が川のようになり、向こう側に渡るのが大変でした。それから道路にたまった水の所を車が走ると水しぶきが飛び散り、そこを歩いていた私は濡れました。「なんやお前」とクレームしても車は遠くに行ってしまいます。
首都圏や近隣の州で河川が溢れ、道路や家屋の被害がたくさん出ています。先週書いたホームレスの人たちには厳しい週でしたね。

21日は冬至の日でマプチェのお祝いをするため祝日になっています。近くの公園でマプチェのイベントがあり音楽・踊りがありました。
それから26日がカトリックの祝日なので週末は3連休になり、多くの車が首都圏から郊外に出るはずでした。最初は30万台が予想されていましたが、大雨のために政府は外出をやめるよう要請したので、車の数は激減したとか。
ところで私たちは明日から1週間、南部の旅を楽しみます。毎日、雨の予報が出ています???

今週のスポーツですが、マラソンは2回練習しました。そのうち10キロを走ったときは、5月の新記録まではいかないけど、結構よい記録が出てにっこり。
サッカー教室は前日の大雨のため中止。最近ずっと中止です。
山登りも木曜日に計画していましたが、雨のため中止になりました。もちろん、雨が止んだ土曜日に近くの丘に登りスモッグが無くなった素晴らしい景色を楽しみました。

日本から送られてきたプレゼントを渡すため、チリ人夫婦と集まりお茶会を楽しみました。楽しかったです。

こうして、いろんなことがあって毎日幸せです。

(政治)

1)ボリッチ動向
 モネダ宮殿で多くの関係者の前でマプチェの件について新提案をしました。それは昨年11月に、彼がアラウカニア州のビジャリカを訪問し、そこでマプチェ問題に本格的な対応をしたいと発表しました。それがこの新提案になったわけです。「平和と理解」というテーマでマプチェ問題を検討する委員会を作り、本格的な対策案を考えるとします。現在の新憲法委員会でも先住民問題は対応が議論されますが、それに並行してこの委員会が働くわけです。
委員には同地区の国会議員やピニェラの時に大臣をしていた人など、顔が知られた人がメンバーになっています。
さて最近、オーストラリアで先住民問題が話題になっています。そこでも、隣のニュージーランドでも先住民が住んでいるところへ、欧州人、イギリス人が侵入し殺人暴行を繰り返して領土を取り上げたわけですね。チリでも同じです。チリがスペインから独立したとき、アラウカニア地区はチリ国の領土には入っていませんでした。つまりオーストラリアの例と同じなわけです。木材会社の森林に入って木材を伐採する(盗伐)の場合でも、マプチェはここは自分たちのものだと言います。そして彼らの放火事件はずっと継続です。
ところでチリの政府はマプチェに特例をいくつも実施しています。例えば、彼らの子供が大学に行くのに特別な奨学金を出すとか、土地を無料か安い値段で譲り渡すこともしています。さぁ、この委員会や新憲法委員会がマプチェ法案を作成し、マプチェの承認を得られるかな?

さてボリッチは週末に最南端のマゼラン州に飛び、そこで南極基地と南米最南端の町プエルト・ウィリアムズを訪問します。彼の実家のあるその州へは頻繁に行きますね。「バケーションではない、仕事に行くのだ」と彼は言うでしょうが。もちろん、あちこちからこれだけの大水害になっているのに何人もの大臣・政府高官を連れて何故、外遊するのだ(外国ではないですけれど)という声が出ています。
土曜日の午前中に、そう書いたのですが、なんとその日の夕方、首都圏の方に戻ってきて水害地を訪問したとか。仲間内からお頼みがあったのでしょうね。
でも惨めだったのは、記者団を前に「私がパタゴニアに行ったことを批判する議員がいるがそれは間違っている。この視察は5か月前に決まった事だ。また今回のように大災害が起こっても、私一人がその対応に当たるのではなく組織として機能するわけで、私がサンティアゴにいなかったことを批判するのは当たらない」としました。それなら、そう言う代わりに「南の視察の仕事を途中でやめ、皆さんの様子を確認するため戻って来ました」とすれば市民に喜ばれたのでは。
2)世論調査
市民調査で政府のインフルエンザなどの健康問題につき、政府方針は正しいかと問い合わせるとイエスが27%、ノーが71%でした。これに少し関連しますが、コロナ問題で入院している人が、今週は10名とか。一時は1万人もいたのですから、如何に激減したか分かります。ワクチンの効果があったと言われます。
で、今の厚生大臣を支持するは47%、それから文部大臣を支持するは39%でした。
そしてボリッチを支持するはそれらより低い30%、不支持は65%と大差です。人気がないですね。
3)新左翼
新左翼の3政党で最大手は革命民主党RDですが、その女性議員ぺレスが議会の副議長職から外れました。彼女の同棲者がアントファガスタで不動産関連の不正をしたからと言われます。彼は政府の職に就きながら、自分の経営する会社を使って政府と契約して2重に収入を得ていたと、野党のUDIが訴えたからですが。もう野党も与党も同じですね。誰かを上手くだまして楽をしようとするわけです。政府から支払われたその簡易住宅建設費用も正しく使われたかはっきりするでしょう。
新聞に新左翼最大の危機と書かれました。そしてちゃんとそれらの関係者が過去にどんなことをしていたかの文書が掲載されています。それらの関係者は全員がRD党員です。「自分たちは市民のために働く・戦う。右翼の人間とは違う」と言っていたのですが。
ボリッチは報道陣を前にして、問題があればとことん追求する。不正は見逃せないとしました。家屋省の大臣や次官が調査されます。
これをやると政府内の混乱は更に大きなことになりますが、一般市民からはボリッチもなかなかやるねと評価されるでしょう。もちろん彼はそれを狙っているわけです。新左翼の崩壊もあり得るほどの大事件になるかもしれません。もちろん旧左翼(社会党など)はこのチャンスを使って過去の勢力を取り戻そうとしますね。
4)外交
アメリカの共和党が訴えていたチリが持つアメリカ入国の簡易ビザの取り消しについて、チリ米国間で合意に達し、情報の交換を条件にチリの特権を維持することになりました。
 

(経済)

1)銅価格と為替
銅の価格はポンド当たり3.85ドルと先週とほとんど同じ。週日に一時3.93まで上がったのですが。
為替は1ドル805ペソでした。
2)公定歩合 
中銀はそれを少し下げると言われましたが、結局は下がらず、11.25%を維持しました。
その中銀の予想ですが、GDPは今年の場合、マイナス0.5%からプラス0.25%の間です。そして来年は1.25%から2.25%になるだろうとのこと。
株式市場IPSAは長い間、5700ポイント以上をキープしていましたが、残念、この週末は5680に下がってしまいました。
大蔵大臣と新税制の件で面談をしていた経営者グループは全く同意に達することはなかったとネゴの終焉を確認しました。ボリッチ大丈夫かな?
3)5月の小売
11か月連続で前年対比で下がっています。5月は10.8%減少でした。その数字は過去3年で最悪。つまり5月の売り上げはそれほど悪かったわけです。
それに関連するのでしょうが、会社の都合で退職させられた社員が今年の1-4月で15.2万人もでました。前年対比29%も上昇で心配されます。

(一般)

1)水害
30年ぶりの大水害だそうです。首都圏だけでなく、近くのいくつかの州で川の氾濫が続き、それが住宅地区に流れ込み、多くの家屋が床上浸水までなっています。
首都圏と隣の州を結ぶ幹線道路もあちこちで河川の水が道路を覆い、一部で走行禁止になっています。橋が壊れたところも出ています。既に死傷者も出ています。
現在、住居から外に出られない状態の人が1万人にも上るとか。水が家屋の中に侵入してくれば落ち着いて生活できません。政府は被害者の援助を考えています。
ビーニャやバルパライソのホテル・レストランはこの3連休でサンティアゴから30万台の車が外に出ると予想されたときは、そのうち何台が自分たちの町に来るだろうと喜びの推測をしていたのですが、結局はほとんどゼロと言う最悪の結果になりそうです。3連休の最後の日、月曜日も雨の予報が出ていますから、まだ被害は増加しそうです。もちろん地区によって雨量は異なりますが、少ないところで100ミリ、そして200,300ミリの所もかなりあるとか。
いくつかの地区で病院や警察署にも浸水が起こり、移転をするべきか検討するとか。
金曜日の夜のテレビニュースはほとんど100%水害の報告でした。
南の方のラハの滝は有名な観光地ですが、その近くの橋で見物してた観光客を警官が危険として、橋を出るように指導したらしい。橋が壊れれば死亡事故になりますからね。

2)観光
 5月のサンティアゴ空港の使用率は21%アップとほぼコロナ問題前のレベルに戻りました。国際線は30%の上昇で、一番増加したのは
 サンティアゴサンパウロ間でした。

(スポーツ)

1)サッカー
チリ代表は敵地でボリビアと対戦し0対0でした。テレビの前に座って試合を見ましたが、どっちが勝ってもおかしくないという試合でした。格下のボリビアに勝てないなら、ワールドカップ予選が始まっても強敵のブラジルやアルゼンチンには無理でしょうね。
2)テニス
ジャリーはATPハレ大会で世界ランク5位のチチパスに勝ちましたが、その次の準々決勝で敗退しました。それでも強くなってきているのが分かります。


以上