チリの風 その1048 2023年6月12日ー18日

最低気温がマイナスになっているサンティアゴです。月曜日、朝7時前の地下鉄に乗ってチリ大病院へ。いつもの静脈血栓症の薬の効き目の検査です。全部うまくいって9時ころ外に出てセントロへ散歩。そこで何人もの人が寝ているのを見ました。毛布一枚で、その朝はマイナス1度でしたが、寒さを凌げますか?凍死者がそのうち出ますね。その前にどこかに簡易宿舎を作って彼らを収容できないのでしょうか?他に野宿している人もいたでしょうが、その人たちは朝になったら仕事に行ったはず。9時にまだ野宿していたのは仕事が無いからでしょう。ボリッチ頼むわ、たまにはこうした貧困層を助けてやってくれ。
木曜日の朝、日本では夜ですが、なるほどトークという番組があり、ネットで参加させてもらいました。今年の末にはそこで私も話をさせてもらいます。ドキドキしますが、何とかうまくいくでしょう。
今週もちゃんとスポーツをしました。マラソン練習は2回。そのうち一回は10キロ行きました。登山は仲間とアポキンド山系に入りました。もちろん散歩は毎日、それに夜のニュースを見ながら家の中で腹筋や柔軟体操を毎日続けています。何もしなければ心身ともに落ち込むのは自明です。
南部の移住予定地にこの月末に下見に行くことにし、航空券を手に入れました。もう10度くらい行っていますけれど・・・
大気汚染問題でサンティアゴに今日、準非常事態宣言が出て、車両の走行制限が増えました。天気予報では今週は月・木・金・土・日と毎日雨の予報なので空気はかなり良くなりそうです。天気予報が当たれば。
いつものように幸せな毎日です。

(政治)

1)ボリッチ動向
欧州連合EU委員長のフォン・デル・レイエンがチリを訪問しモネダ宮殿でボリッチと面談しました。彼女はチリに来る前にアルゼンチンを訪問してエネルギー関連で合意事項に達したとか。そしてチリでもグリーン水素イニシアティブの新規プロジェクトで合意が出来たらしい。そのほかリチウム開発でも合意に達したとか。リチウムが人気のある鉱物なのは当然ですが、ボリッチの国有化宣言の後、その政策がどのように実現するかを外国資本は見守る動きとか。アジェンデの時の様なら、チリではなく他の国に投資するのでしょう。
ボリッチはEUとは経済関係だけでなく文化などの分野でも連立していきたいとしました。
その後、バルパライソ州の政府の別荘でテロリスト対策関連の臨時会議が行われ懸案事項に関して討論されました。その中でボリッチがしゃべったことがどこかに流されたとか。どこにでも味方か敵かわからないない人間がいるわけです。集まったのは議員や政府関係者とかで約20名とか。ボリッチは犯人を捜せとその20人を全員調べさせようとしたらしいが、野党RN党の議員が自分がやったとしました。しかし犯罪行為とは思わないとしました。
その他ボリッチはアラウカニア州に飛んで、テムコとピツルフケン間の鉄道の路線開所に参加。集まった人と握手や抱擁をしてお祝いしました。
先日、新聞の風刺でボリッチは次の右翼政権のために道路の整備をしているとされましたが、右翼も左翼も内部の問題が軽減しません。
例えば、ボリッチは新左翼ですが、そこには3政党があります。それがバラバラ。そして他の左翼中道とコンタクトはほとんどなし。その中道左翼の中心のキリスト教民主党DC, そして社会党もPPD党も昔の勢いはなくなりました。逆に右翼の方も中心の国民改革党RNが今週の盗聴事件や元区長の事件で評判最悪になりました。それよりもっと右のUDI党は、最近共和党に自分たちの基盤を奪われ、チリ政党の最右翼ではなくなりました。
つまり各党がバラバラでピノチェット崇拝型の共和党だけニコニコしています???

外交
チリはラテンアメリカで唯一のアメリカ簡易入国ビザを使える国ですが、今週、同国の共和党がバイデン大統領にそれを止めるよう要求しました。アメリカ各地で、主にカリフォルニアでチリ人の犯罪グループが活発に行動しています。それらの犯人グループはその簡易ビザでアメリカ入国しています。
もちろんアメリカだけでなく、欧州でもチリ人犯罪グループは、例えばスペインで行動しています。
チリで外人グループの犯罪、特にベネスエラが注目されますが、外国ではチリ人が犯罪人として目立っているわけです。悲しい現実。

新税制
それから新税制問題がすっきり進みませんが、大蔵大臣は国の経済成長率を上げれば問題解決になるという意見があるが、それだけでは政府の目指す方針の実現には到達できないとコメントしています。

教育問題
学力テストが行われましたが、国語・数学の結果がなんと過去10年で最低レベルとか。この分析と対応が急がれますね。コロナ問題の間、チリは世界的にも珍しいほど長期間、授業は全部オンラインでした。それがこの学力テストの低いレベルになった原因なのかもしれませんが、現在はほぼ100%クラスでの授業になっています。 

汚職
ビタクラ前区長のトレ・アブラが汚職で裁判になっています。公金を自分の懐か政治資金に流用したとされています。彼はサンティアゴのビタクラ区長を10数年続けた有名人ですが、最後は惨めな終わり方になりました。彼の所属する右翼のRN党は彼に不正があれば裁くのは当然だとしかコメントしていません。

(経済)

1)銅価格と為替価格
1ポンド3.88ドルと1か月ぶりの高価格でした。そのため1ドルは793ペソと少しペソ高になっています。
2)ワイン
チリからの輸出の新しい目標はインドで、今年は大きな進歩があるらしい。
さてチリのワインは値段が安い割においしいと言われていましたが、それが少しづつ替わり高級ワインの生産が増えたらしい。
ところが、今週、輸出ワインの国際価格比較が発表されましたが、1本あたりで一番高価のはアメリカで73ドル。続いてフランス。チリは下の方の9位で29ドル。まだ高級ワインには遠いですね。

(一般)

1)犯罪
 先週、高圧鉄塔の2か所で爆弾騒ぎがあったと書きました。今週はニュブレ州の鉄道路線の鉄橋に爆弾が破裂しました。橋は壊れなかったですが、線路は分断されました。もちろん、この先使用可能かどうかは詳細に調べる必要がありますね。
その他に南部でカトリックの教会が襲われ燃えました。そして今日の日曜日、パイジャコでトラックの基地が襲われ、12台のトラックが全焼しました。
政府はこのテロリスト対策を新法案で対応するように国会に働きかける見込みです。ボリッチは現行法案ではテロリストに有効な対応ができないとしています。
その組織に警察が(もしくは軍隊も含め)どのように対応するかが焦点ですね。銃撃戦になったら射殺しても良いとするのでしょうか?
現在ビオビオ(第8州)とアラウカニア(第9州)に特別区として軍隊が駐屯していますが、今回事件のあったのはその南のリオス州。そこで内務大臣は特別区の拡大を考えているとか。
2)インフルエンザなどの肺炎関連病
先週、赤ちゃんが死亡した事件ですが、都内には空いた緊急病棟がなくペルーとの国境のアリカまで行く必要があるとされました。ところが同じ日に都内のラス・コンデス病院に空いた緊急病床があったとか。その病院に昨年行ったことがあります。すると大きな声が起こり、厚生省はコントロールも出来ないのかと。
毎日、病床の使用率が発表されますから、政府は各病院とコンタクトしているはず。どうしてこんな惨めな事件が起きるのでしょう。
詳しい事情は分かりませんが、厚生省は大臣は触らずに次官の一人を交代させました。この問題で、馘首にしたのか自主退職なのでしょう。これに関し、新左翼はその後任を自分たちのグループから出すように要求しました。ボリッチはそれを拒否して、その分野で経験のある人間を使用するとしました。内務大臣で同じエラーをしましたからね。

さてコロナ問題の時、医師協会は大声でピニェラ政権を批判しました。その会長をしていたイスキアはボリッチの仲間になり、新政権が出来た時、彼女は内務大臣になってナンバー2の地位に就きましたが、大臣の力はなく、ほんのわずかの期間で現内務大臣に交代しました。
さて現在インフルエンザなどでかなりの混乱が起きていますが、医師協会はボリッチ批判をそれほどしません。どうしてかな?
今週から5歳以上の生徒・学生は学校でマスクをつけるよう指示が出ました。厚生省は市民にインフルエンサの予防注射をするよう呼び掛けています。
土曜日の新聞の一面に65歳以上のインフルエンザのワクチン接種率はわずか57%だと書かれました。80,90%くらいが望ましいのですが。厚生省の宣伝が拙いのか、中高年が気にしていないかですね。
コロナ問題の時、ピニェラは良く働きました。チリのワクチン接種率は世界のトップクラスでしたから。それだけワクチンを大量に輸入し、それを無料で市民に与えたわけです。ボリッチもこのインフルエンザで同じように頑張らなければ。
3)大学ランキング
世界大学ランキングで世界のトップ200に入ったチリの大学はただの1校。それはアンドレス・ベージョ大学でした。200-300位に入ったのはカトリカ大学とデサロジョ大学でした。一番古いチリ大学はいつもランキングに入りますが、今年は例外でした。

(スポーツ)

1)サッカー
チリ代表はドミニカ共和国チームと対戦し5対0で勝利を収めました。今回の国際親善戦で2連勝。来週は最後のボリビア戦です。
しかし3連勝しても国中が沸き上がることはないでしょうね。相手がアルゼンチン・ブラジルとかなら車がクラクションを鳴らして走りますが今回の相手はレベルが違いますからね。


以上