チリの風 その994 2022年5月30日ー6月5日

天気予報は当たって今週のサンティアゴの月・火・水曜日の最低気温はマイナスでした。5月最後の31日はマイナス2度でしたが、5月にその気温が出たのは53年ぶりとか。立冬はまだ先ですが、もう冬の寒さですね。
いつも山には木曜日に入りますが、その日は雨の予報だったので、水曜日に変え、一人で久しぶりに初級広場の方へ歩きました。最初はかなり寒かったです。
水曜日の夜に雨になり、ベッドに入るとボーウィンドウの窓ガラスに雨の当たる音が続きました。そして金曜日の午後もずっと雨でした。
ラソンも続けています。週日に一人でちゃんと10キロ走り、週末は仲間と練習しています。
土曜日はサッカー教室でした。前日の雨でグラウンドの状態が心配でしたが、それほどぬかるみなどはありませんでした。練習の前にお父さん方と3人で会話をしながらサイドキックの練習をしました。それも面白い。本番の教室は10数名の参加者で楽しくプレーしました。
現地の学校でスペイン語で日本の歴史の講義をする予定ですが、毎日、ベランダに座って一人でブツブツと練習しています。
カップルが日曜日に来て昼食を一緒にしました。その後、二人に歴史の話をしたら受けました。
こうして何かやっているのが心身の健康維持になるわけですね。
まだまだがんばります、同じことを言っていますが。もちろん、いつまで続くか分かりませけれど。

(政治)

1)ボリッチ動向
今週の最大の話題はこれです。彼にとって初めての年次教書の発表です。政治・経済・一般の各項目で今年・任期中に実行する案を発表するわけです。その中心項目になる税制改正は経営者陣ともめるでしょうね。今月中に政府案の詳細を発表するとか。
国会で約500名の議員・関係者を前に2時間20分のスピーチをしました。
そしてなんとその夜に全テレビ局で特別番組として年次教書の追加を発表しました。しかしこのエレルギーはすごい。普通なら2時間もスピーチをすれば疲れ切って国会のあるバルパライソ市から首都に戻り、すぐ自宅に入るはずですが、彼の場合は教書に満足せず、モネダ宮殿の事務所に部下を集めて内容を検討させ、足りないと思われた部門に追加のコメントを入れたわけです。
私は長々と続いたその演説の一部をテレビ中継で見ました。コロナ問題で、「私はワクチンの接種が大事と考えるが、その接種を始めたのはピニェラ政権で…」とコメントすると与党側から、何故反政府のピニェラを持ち上げるのかと厳しいクレーム。それは事実ですよ。
社会格差を是正する、貧困層に援助する(灯油価格を下げる、ガソリン価格が上がらないようにする、バスなど公共運送費用が上がらないようにする)そして彼らのために6万5千軒の家屋を建てるとしました。労働者の保護として最低賃金のアップ、労働時間を最高週40時間にするとしました。
犯罪の問題軽減に全力を上げるとしましたが、右翼の区長が「そんなコメントは信用できない。毎日、事件が起きているのに警察力の増加など全く聞いたことがない」と厳しいコメント。
現行の年金システムを全面的に更新させるようですが。現在各自が持っている基金には国は手を出さないとしました。
マプチェ問題で同地区に警備の仕事をしている軍隊をその努力に感謝するとしました。大統領としてのコメントですね。新左翼の頃は軍隊は権力者のために存在していると批判していましたから。
この演説の前に発表された 世論調査で、彼を支持するは27%、不支持は57%でした。この演説で少しは変わるかな?
さて今日の夕方、彼は大統領専用機で北アメリカに。アメリカで国際会議に出席してから、カナダで大統領と面談とか。どうなるかな?
 2)新憲法委員会
世論調査で新憲法を認証するは29%、拒否するは45%でした。長い間、変わりませんね. 来月初めにこの委員会の活動は終了します。そして9月に新憲法是非の投票になります。これが可決されるのかどうかチリにとって一大事になりますね。今日の新聞の特集で新憲法が否決されればどうなるかと言うのが書かれました。
軍事政権時に作成された現行憲法民主化のもとに改善すると言う意見が出され、その声が大きくなったので、政府は新憲法是非の投票を認めました。単純に言うと左翼は新憲法、右翼な現行憲法支持になります。そしてその是非の選挙でイエスが勝ち、新憲法への移行が動き出しました。次に新憲法作成をする委員の選挙が始まり委員が任命されました。
ここまでくればすべて過半数で来ているから、どんな新憲法が出来てもそれを認証するのが当然と言うことになりますが、世論調査では別の結果になっています。委員の質があやしいとか、現行をどう変化させていくのかがちゃんと報道されていないと言うこともあり、新憲法否決の声が大きくなっているわけです。ボリッチは現行憲法で自分たちの政策が実行できにくいことがある。新憲法の自由さが必要としました。共産党の党首は右翼は反対しているが、最後は自分たちが勝って新憲法が成立するとコメントしました。

(経済)

1)銅価格と為替
1ポンド4.29ドルと先週よりアップしました。このため為替は1ドル815ペソとペソ高になりました。
チリにとってありがたい傾向ですね。
2)ガソリン価格安定化
 15億ドルをシステムに注入して、小売価格の安定を狙うことになりました。さぁちゃんと機能するかな?
3)家の販売価格
 ラテンアメリカの各市の中で、価格の比較が行われ、サンティアゴはその中で高い順で3番目に入りました。プンタ・エステ市(ウルグアイ)が首位、2位はメキシコのリベラマヤでした。サンティアゴの人は家屋の購入に大変な苦労をしているわけですね。
4)観光
外国からの観光客を受け入れるため、ワクチン接種のことなど入国制限を軽減することにしました。
1-4月の数字ですが、コロナ問題の始まる前の2019年は190万人が入国、20年は108万人、21年はわずか7万人でした。それが今年は32万人に増えています。
 さぁこれから今までの数字に近づくかな?イースター島は8月1日から入島可能になりますが、それに先駆けて、今週、政府関係者のグループが入島。2年半ぶりの観光客でした。このままコロナ問題がうまく治まって行ってほしいです。

(一般)

1)コロナ問題
 先週よりさらに数が増えて新規患者数が1日8500人まで増えました。もっとも今までにも書いているように、PCR検査の数が2倍になれば新規患者数も2倍になるのは当然で、患者数が増えたと大騒ぎするのは意味がないのでは。陽性率は以前より増えているのは事実ですが。
そのほかに6月1日から4回目のワクチンを接種していない人の移動パスが取り消されました。なんでも180万人がそれにあたるとか。
そこで厚生省の関係者がレストランに入り、お客さんに移動パスを見せるように要求しました。それがテレビのカメラに写っていましたが、店のオーナーが嫌がってテレビ局の人間を外に出しました。
 移動パスがない客がレストランの中にいれば、客に罰が行くのか、レストランに行くのか知りませんが、チェックが頻繁になればレストラン・バー・スナックなどの経営に影響しますね。
2)マプチェ問題
 殆ど毎週同じです。今週も南部各地で車や家屋への放火が続きました。
 大統領特例で軍隊を派遣していますが、それが15日間延長になりました。その期間に国会で討議するのか、この特例を無期限に継続するのか。
 同じように高校生の暴動も継続。今週も車両への放火がありました。しかし高校生がモロトフ爆弾を作って校外の道路で車両にぶつけるのはどうして防げないのでしょう、学校も警察も見ているだけですか?最右翼のUDI党はボリッチに文書で問題軽減のため、火炎爆弾を投げた学生の処置をしてもらいたいと要請。
学生グループは問題の存在を無視して自分たちを攻撃するUDIは恥知らずだと発表しました。ボリッチがやっていた学生運動の時と同じようですね。

3)世界の料理 
テイスト・アトラス誌の発表で世界各国の料理が比較されました。チリはラテンアメリカ諸国の中でメキシコ・ブラジルに次ぐ3位。ペルーやアルゼンチンより上位で世界の30位でした。日本はさすがに6位です。 

(スポーツ)

1)サッカー
チリ代表は新監督のもとにアジアに向かいました。このため当分、国内リーグ戦はありません。明日、韓国で同国と対戦し、その後、日本へ向かいます。
新監督は黄金の世代と呼ばれる選手を外し、若手に変えることを考えています。それは今すぐには戦力ダウンになりますが、2,3年後のことを考えると正解でしょうね。新しい選手で新しいチリを作ってほしいです。
明日、朝7時に韓国戦が始まります。テレビの前に座ります。


以上