チリの風 その993 2022年5月23日―29日

先週と似たような天気の毎日が続くサンティアゴです。最高13度、最低気温は3度くらいの日が続いてます。来週はもっと寒くなってマイナスになり、何日か雨が降りそうとか。天気予報が当たるかな?
今週の山歩きは先日、登った中間展望台へ仲間と二人で行きました。肌寒い日でしたが、しっかり歩きました。途中の道路で放牧されている牛があふれていて
彼らを怒らせないように回り道をして彼らの後ろに出ました。展望台から下の街を見るとスモッグの上に霧がかかり、まるで湖の前にいる様でした。向こう側の山が
湖に面した島の様な幻想的な風景でした。確かにそのスモッグのため、土曜日に今年初めて準非常事態宣言が出され、車の通行が制限されました。
もちろんマラソン練習もいつもと同じです。ちゃんと10キロ走っています。週に5日スポーツをしました。
そして週末、嫁さんの友だちを招待して食事会をしました。
土曜日、近所で蚤の市があったので、嫁さんと行き、数品買い物をしました。沢山の人が歩いていました。
毎晩ベッドに入ると今日も楽しい日だったと感謝しています。

(政治)

1)ボリッチ動向
タイムス誌で今年世界で注目される100人が発表されましたが、その中にボリッチの名前がありました。目立って活躍したと言うより、超若手の大統領と言うことで注目されたのではと思いますが、どうでしょう。
チリ国内で ボリッチを支持すると言う層は50%ですが、彼が大統領特例として南部に軍隊を派遣したことを評価するのは77%です。つまり右翼・中道、そして一部の左翼が賛成し、共産党新左翼がそれに反対しているようです。共産党の党首は「軍隊を派遣すると言うのは危険が伴う」と反対の声明を出しています。この大統領特例をどうするか、継続か変更化が明日の月曜日に発表されるらしい。
土曜日、2年ぶりに文化財の日が復活して、全国各地であちこちの場所が市民に開放されました。例えば、中央銀行、国立テレビ局NTV(日本のNHK)、その中で、モネダ宮殿も一般市民が入るのを認めました。ボリッチはそこにいて市民と一緒に写真を撮らせたりして歓迎しました。
さてその前に、彼はモネダ宮殿に労組代表などを招待して、最低賃金のアップを祝いました。歴代の政府の中で、今回ほど大幅アップをしたケースはないとコメントし、参加者から拍手を受けました。
庶民援護の一つとして、今週、灯油の値段を平均300ペソも下げました。ガソリンスタンドによって少し差はありますが,1300ペソだったのが、突然1000ペソに下がったわけです。ボリッチの評判が上がるかな?

2)新憲法委員会
9月4日に新憲法の是非を問う国民投票がありますが、それを受けて国会で認証するかどうかの討議が行われますが、見通しは困難です。

これを応援するバチェレット元大統領は現在国連の人権部門のトップですが、2005年以来初めて、中国に入国し調査をすることになりました。6日間の滞在でしたが、調査はあまり進まなかったようです。もちろん中国政府は内政干渉をするなと軽くあしらいました。

(経済)

1)チリ国の危険度
 JPモルガン社の調査で、チリの危険度は4月の場合、危険度が減少と良い評価だったのですが、5月は逆になりました。経済成長率の低下、インフレの継続、金利の上昇などが問題のようですが、もちろんボリッチ政権の評価、新憲法委員会の動きなどがマイナスの動きになったのでしょうね。
2)小売業界
消費者の動きですが、首都圏では動きがはっきりしています。今年4月の売れ行きは前年対比66%のアップでした。すごい売れ行きだと思うのは間違いです。昨年の4月は外出禁止令が出て、店は閉まっているし、買い物に出られなかったわけですから。コロナの始まる前の2019年より1%下です。
同じように1-4月の合計でも今年は17%の上昇ですが、2019年より2%マイナス。まだ元に戻っていないわけです。
それとは違って株式市場は上昇中です。5,388ポイントまで上がり、それは2019年2月以来の高い数字です。
今年の第1四半期は上場企業の80%が前年対比で良い記録を残しています。
3)銅価格と為替
銅の価格は1ポンド当たり4.26ドルと先週とほぼ同じでした。為替は1ドル829ペソとすこしペソが強くなりました。
このまましばらく安定してほしいです。
3)厚生年金の運営
チリは各自が積み立てた金を年金運営会社が投資するわけですが、先月の結果は一番危険の多い(従って見返りも大きいい)AランクからDランクまで全部マイナス成長、ただ一番安全なEランクだけがプラス成長でした。このシステムが開始してからの長い期間でマイナス成長になったことはほとんどありませんから、今年の後半にかけて少しは良くなっていくでしょう。

(一般)

1)コロナ問題
 水曜日、新規患者数が6000名を越えました。それが木・金・土・日と7000名を越えました。毎週、数が増えていますね。
 どういう手を打てばよいのでしょうか。前政権の時は毎日、厚生大臣が状況説明の場を作っていましたが、新政権は外から見るとかなりのんびり働いています。
 コロナワクチンは何回も打つと自然免疫を破壊すると言われています。私はそれに乗って4回目の接種は止めようと思っていたのですが、それまでの移動パスが無効になると脅されて4回目を打ちました???
 さてチリでこの問題はどう進んでいくのでしょう。
2)マプチェ問題
 第9州アラウカニアで林業会社の従業員の乗ったバスが攻撃され多数の負傷者が出ましたが、その中の一人は死亡しました。殺すつもりで射撃してくるのですね。これが大きなニュースになったら、翌日、北隣の第8州ビオビオで同じような事件が起きました。もう止まりませんね。
キディコの警察署にも銃を持った70名が襲撃をかけました。つまり、一つの町にマプチェのグループが集合しているのではなく、その2州にはどこへでも攻撃をかけられる力を持っているわけです。
今日の新聞の特集記事でWAMの紹介がありました。WAMと言うのはマプチェの言葉で反乱軍の戦いと言う意味ですが、自分たちのグループの名前に反乱と言う言葉を使うのは変わっていますね。正義の戦いと言うのならわかりますが。
そのグループはマプチェの武装組織CAMから分裂したとかで、WAMのリーダーはまだ表に出ていません。昨年、ピニェラが同地区に軍隊を派遣すると決定した時、彼らは警告のビデオを発表しましたが、40名ほどの組員が銃器をもって戦い宣言していました。住居、車両への攻撃・放火や警察・軍との戦いも記録されています。
まるでコロンビアの反政府ゲリラのように組織が勢力を上げてきているのが感じられます。ボリッチが話し合って解決したいと言うのは甘いでしょうね。もっとも彼らにすれば今から200年前にチリが独立した時、今の第9州アラウカニアはチリ領土に入っていなかったわけで、その後、チリがマプチェの領土に勝手に入ってきて武力で取り上げたのは歴史的にはっきりしています。

これに関連しているかのように高校生の暴力デモが継続です。サンティアゴの中央道路アラメダ通りを走る公共バスに攻撃をかけ、乗客を降ろして火炎爆弾で放火。バスは燃え上がりました。その放火事件は白いオーバーオールを付けたグループが実施したのですが、警察がその中の二人を逮捕しました。二人とも近くの高校の生徒でした。そのグループは極左のテログループに関連しているとか。3年前の社会騒乱の時と同じですね。
金曜日に同じような暴力デモが怒り、公共バスへの放火が起きました。どうして逮捕できないのか、逮捕した人間を調べてそのグループを解体できないのか不思議です。テレビのニュースにそのデモ隊のビデオが出ますが、顔が映っている人間もちゃんといますからね。

3)身分証明書RUT
 チリ人は10年ごと。移民は5年ごとに証明書の更新が必要です。それが市民登録所がうまく機能しないので、更新手続きが、たまり続けて250万人が期限切れの証明書を持っているとか。私は少し前に更新しましたが、ほとんど待たされることもなく手続きが終わりました。ラス・コンデス区の事務所はしっかりしています。政府はこのため1年間、古い証明書を有効にすると発表しました。

(スポーツ)

1)サッカー
 国内リーグ戦ですが、先週首位だった3チームの一つ、ウニオン・エスパニョールは引き分けで首位を堅持。もう二つのコロコロとニュブレンセは明日、対決します。
 つまり今日の段階では首位はウニオンですが、明日の結果で勝った方が首位になります。
 人気チームの結果はチリ大学は負けて11位に転落。カトリカは勝って10位に上がりました。

 チーム別の南米大会のリベルタドール杯でチリ代表のコロコロとカトリカはまた負けて1回戦を勝ち抜けませんでした。
 チリ代表チームの新監督が決まりました。昔、ビエルサが監督をしているとき、その助手をしていたアルゼンチン人のべリソです。少しはイメージを変えられるかな?


以上