チリの風 その1007 2022年8月29日―9月4日

とうとう9月ですね。チリでは老人夫婦が「あなた、8月は終わったわよ。厳しい冬が過ぎればもう一年寿命が延びるわね」と話し合います。
そしてチリ人にとって建国記念日のある9月は一年で一番うれしい月です。
今週の話題は新憲法賛否の投票です。私は朝早く出発して約1時間歩いて投票所に。ほとんど誰もいませんでした。今回の投票に私はあまり熱意はなかったですが、こうしてチリの社会の組織に入っているのはうれしいです。
もちろん、その他はいつもと同じ普通の週でした。
山歩きは仲間といつもの第1展望台へ、3時間コースです。マラソンは日曜日の練習は投票のため中止でしたが、週日一人で10キロを走りました。
土曜日は学校でサッカー教室を実施しました。その他には丘登りを入れた散歩を毎日しています。そして毎晩、テレビのニュースを見ながら腹筋・柔軟と腕立て伏せです。
どうしてそんなに運動をするのかと聞かれましたが、私は四捨五入するともう80歳。ヨレヨレおじいちゃんの範疇です。そこで何とか元気な中高年グループに残りたいとスポーツを続けています。あと1か月1年、いつまで続くか分かりませんが、がんばります。
さて今月末に学校でチリの歴史の話をさせてもらうことになりました。毎年の特別授業ですが、ベランダの椅子に座って一人でブツブツ言いながら練習を始めました。
それから大使館に行って在外選挙人証を受領。これで次回の選挙で投票できます。

(政治)

1)ボリッチ動向 
彼は日曜日の投票に故郷の南米最南端の街プンタアレナスに飛び投票しました。
タイムス誌
アメリカの雑誌にボリッチ特集が掲載されました。ラテンアメリカに多い左翼政治家の新しい顔と言う書き方です。
ブラジル大統領選挙
現大統領ボルソナソが、競争相手の左翼を批判するのにボリッチを利用しました。安定していたチリが社会騒乱を起こし、危ない国になったのはボリッチの責任だとしました。チリ政府は全く根拠のない発言で容認できないと同国チリ大使を呼んで抗議しました。
ボリッチが3年前の騒乱で何をしたかは知りませんが

彼のグループがデモを繰り返し、その中のメンバーが商店略奪などの犯罪行為を起こしたのは事実でしょうね。
弟の事件
ジャーナリストの彼の弟は取材をしている時に学生グループに襲われ負傷しました。チリも危ない国になりました。
2)新憲法賛否
ラディカル党の前党首マルドナルドは党の決断(新憲法賛成)を受けないと発表したので、やむを得ず、党は彼を処罰することに決めました。
左翼は新憲法に賛成、右翼は反対と言う簡単な構造ではありません。党が賛成しても個人が反対する例とかがあり、各自が自分の判断を出しました。
バチェレット元大統領は4年間務めた国連の人権委員会のトップの座を明け渡しました。彼女はチリに戻って新憲法賛成のビデオに出ました。
さて、その結果はどうなったかです。予想ではノーが10%の差をつけて勝つでしたが、今日の数字は何と20%以上もの大差になりました。
今、道路を車がクラクションを鳴らしながら走っています。1台や2台ではありません、大量です。この投票は盛り上がらないと書きましたが、投票が終わってから随分盛り上がっています。???
ボリッチはパタゴニアから首都圏に戻り、モネダ宮殿でこの結果に関してコメントを出しました。新憲法に関し国民のあの熱意が、新憲法委員会に伝わらなかったと言う自己批判はするが、チリの現状で健康問題・年金問題・社会安全などなど数多くの問題を抱えているのは事実で、それを解決しようとするのは政府の責任だが、その基本になる憲法も訂正する必要がある。このため、明日両院の議長と面談し、どのように新憲法を作成できるか検討したいとしました。
まだ結論は出ていないようですが、来週に内閣改造をするらしい。

上記とは関係ないですが、国会で議員同士が揉めあい、右翼の議員が左翼の議員の顔にパンチを入れました。右派の議員は自党から離党処分を受けました。
更にこの後どんな制裁を議会から受けるか待つ必要があります。独りぼっちですねとマスコミに言われるとイエスキリストもそうだったとか???

(経済)

1)経済状況
チリの現状はほとんどの分野で停滞、もしくは縮小が進んでいます。
例えば、先月の新車の販売数で35000台と18カ月ぶりに7%も前年より下がりました。
新聞の社説にコロナ問題やウクナイナ戦争の影響だけでなく、チリ国内の政治・社会問題がチリ経済停滞を招いていると書かれています。
中銀発表では7月は1%の経済上昇とか。先月の失業率は7.9%で前年対比1%下がりました。まだ高いですが。
ところが、今週の株式市場は4.5%の上昇で5600ポイントを超え今年の新記録。日曜日の選挙でノーが勝って経済が安定化し、再度、経済成長が見込めると言うことらしい。その予想は当たりましたね。
大蔵省も先日発表した新税制の改定をするらしい。
2)銅価格と為替
1ポンド3.44ドルと1カ月ぶりの悪い数字。しかし為替はそれほど影響せず1ドル898ペソでした。
専門家が日曜日の投票の結果が月曜日の為替市場にどう影響するか議論しています。それは今週900ペソだったのがペソ高になって800ペソまで行くのか逆に1000ペソまで落ちるのかと言うことです。

(一般)

1)マプチェ問題
 南部のコンツルモで由緒ある建物に放火され、そこの住民3名に発砲がされました。一人は重傷です。マプチェのグループが攻撃を宣言しています。
もう、こうした襲撃事件は日常茶飯事ですね。
CAMのリーダーが先週逮捕されましたが、今週はその息子が捕まりました。こうしてリーダーが逮捕されてもグループの勢いは収まりません。
南部に住んでいる人は大変ですね。いつこうした事件に巻き込まれるか分かりませんから。
2)コロナ問題
今週は新規陽性者が1万人を超えることはありませんでした。収まっていると言われます。4回のワクチン接種が効いているのかな?
コロナ問題で急に出生率が減少しました。2020年からなんと30%も下がっています。2020年は1月から8月までで13万人、それが今年は9万人です。
しかしもっと遡ると2018年は16万人でしたから7年で44%の減少。
つまり出生率の減少はコロナ問題だけでなく,もう子供は欲しくないとするカップルが増えているのが原因でしょう。

(スポーツ)

1)サッカー
今週は投票のためサッカーのリーグ戦はお休みでした。


以上