チリの風 その1002 2022年7月25日ー31日

天気予報では何日か雨のはずでしたが、全く降らなかったサンティアゴです。もちろんそのためにスモッグがひどくなっています。
毎日がうすら寒い冬の気候ですが、金曜日は最高気温が22度にもなってポカポカでした。(最低気温は2度)
さて旅から戻って、今週は通常の毎日を送りました。いつも何かすることがあるのがうれしいです。
ラソン練習でちゃんと10キロ走ったし、仲間と山歩きもしました。
日曜日に日本に一時帰国する仲間を励ますため他の友だちも集めて昼食会。おいしい食事と楽しい会話を楽しみました。
それから健康検査も進んできて、医師に指示された心電図を加えた3つの検査をしました。
10月の訪日のための用意ですが、コロナ問題が大きくなっているので、訪日はまた延期になるかもしれません。
さて昨年は会社員生活を少ししましたが、今年は全く仕事がありません。それでも年金をもらって生活に困らないのが不思議です。

(政治)

1)ボリッチ動向
 教育と健康生活に関する二つの集まりで、彼は同じタイプのコメントをしました。それはすべての国民は健康で充実した生活をする権利がある。つまり病気・怪我をすれば誰でも適切な治療を受けることが出来ると言うことです。
国民の健康問題を営業目的にしないとか、世界でトップクラスの国になりますね。
また親の収入状況には関係なくすべての児童は充実した教育を受ける権利があるとしました。どちらも言うのは簡単ですが、それをどう実現させるのかな?
借金が増えれば隣国のような苦境に立たされますね。
2)新憲法
賛成・反対のグループが運動を準備中ですが、新憲法を勝ち取ろうと国民が動き始めた3年前の熱気はありません。左翼の賛成派の中では共産党新左翼が争っています。
主導権争いでしょうね。
どこの国でも共産党とそのほかの左翼は仲良くないみたいです。
反対運動の右翼側も似たようなものです。つまり左翼も右翼も大した差はないと言うのが結論でしょう。
政府がその活動に介入したとするクレームに関し監査委員会が調査することになりました。新聞の社説に速やかに調査を進めその結果を発表してほしい。そうでなければ新憲法是非の投票に悪影響を及ぼすとしています。
3)健康保険
チリの健康保険は国営のフォナサと民営のイサプレに別れます。フォナサのトップが「国民の健康を保証するため私たちが全力を尽くす。それが実現できればイサプレは必要ではない」としました。簡単に言うと、現在の情況はフォナサに加盟している人は毎月支払う額は低いですが受けるサービスのレベルも低いです。つまり何かの病気で手術をする必要が出たとき、何ヵ月、ひどい時は何年も待たされます。イサプレなら何日・何週間で実施されます。
もちろん民間の健康保険会社がニッコリ笑ってはいさようならと言うはずはありませんから、厳しい論争が始まるでしょう。
これと似たような気がするのですが、厚生年金AFPを国営に変えようとする動きが先の社会騒乱の時から続いています。民営ではなく国営にしようとするものです。でも親方日の丸式が民間の営業力を超えるとは、私には思えません。過去20年間の年金運営利益を比較すれば、ほとんど毎年チリの方が日本より上だったと記憶しています。

(経済)

1)経済成長率
最近のIMFの発表ではチリの今年度の成長率は1.5-1.8%とそこそこですが、来年度は成長なしとか。それはラテンアメリカ諸国の中で最低ランクです。チリの政治・経済が来年はそれほどひどい混乱に落ちるとみられているわけです。
しかしIMFは各国の政治・経済の動きを深く・細かく観察・予測出来るのですね。不思議です。
先週、アメリカでチリ政府がチリ・ディと言うプレゼンテーションを実施しました。それに参加した大蔵大臣に現地の経営者は新税法、特に鉱山のローヤリティ税について多くの質問をしたとか。想像できますね。
さてその新税のうちの一つ所得税ですが、個人のケースで、高額所得者は、例えば月収1500万ペソなら現行の税制では月給の3ヶ月分を支払うが、新税ではそれが4ヶ月分に上がるとか。
2)銅価格と為替
 同の価格は1ポンド当たり3.54ドルと先週よりずっと高くなりました。そのため為替も1ドル911ペソと落ち着いています。
 国立機関コチルコの発表ですが、今年の年間平均の銅価格は4月に発表した4.4ドルを下方修正して4.0ドルにしました。年末に4ドル辺りで落ち着けばよいのですが。
 IMFもその辺はちゃんと抑えているのでしょうね。
しかしドルの価格の変移は不思議です。今年の初め1月3日は1ドル853ペソでした。それがペソが強くなり始め3月25日に1ドル779ペソまで行きました。それが一変してペソ安に変わり、800,900、1000ペソになりました。7月14日は1051ペソでした。その日はアメリカの記念日ですね。チリの中銀の介入でそれが変化し、今月は903ペソ迄戻りました。つまりどこかの勢力がチリペソを操って商売をしていたのではないですか?素人の私にも不可解な為替の動きです。

(一般)

1)CAMの動き
 CAMと言うのはアラウコ・マジェコ連盟の略ですがそのリーダーのエクトル ジャイトルは「何年か前に政府が特別法案をでっちあげ、それを使ってマプチェを虐待してきた。それに反対する我々のグループから多くの逮捕者が出て刑務所に送り込まれた。
これは政治犯としてすぐに釈放していただきたい」とコメントしました。もちろん、これに関して大きな反応がありました。彼らの暴力行為を認められないとするのが多く、CAMのリーダーを(すでに逮捕されたこともありますが)コントロールするべきだとされています。
今週も、いつものように暴行事件が発生です。トラック・重機の他にホテル・教会などの家屋への放火事件があり、警官が4名火傷を負いました。マプチェの政治犯の釈放を訴えるパンフレットがありました。
さて今週の国会で、それに関連して大騒動がありました。いつものように南部の州を例外州(特別州)にして軍の駐屯を認めることになりました。その議論の場に内務大臣が呼ばれ、彼女がマイクを握りました。彼女はこの問題に関し、「皆さんはこれを3月11日(ボリッチ政権発足)以降に起きたと思っておられるかもしれませんが、違っています。その前の4年間も同じ問題が続いています」
問題の根源ををピニェラに渡したわけです。議場は混乱し、一時中断しました。再開した時、大臣は私の言い方に問題があったかもしれずお詫びしますと逃げました。結局、南部州の特別扱いは認められましたが、政府の考え方は頼りない・はっきりしない・リーダーシップがないことが分かりました。もちろん問題は南部のマプチェだけでなく、北部の違法移民問題は全く収まらず逆に増加しています。べネスエラの麻薬組織が地域住民に恐怖を与えていると今日のニューにでました。政府は何をすべきかよく理解していないようです。

2)犯罪の増加
 3年前の社会騒乱の時から人権委員会は政府にクレームしていました。ピニェラ政権が警察・軍隊を使ってデモ隊を襲いその人権を無視したと言うわけです。
 従って、左翼系からは政治犯の釈放を求める声が続いています。高校生の地下鉄タダ乗りから始まった社会騒乱ですが、商店を壊す、物品を奪う、建物に放火するなどの暴力行為が日常化でした。つまり反政府運動と言うより、日常の不満をそれで満足させる暴力行為だったのでしょう。政治犯とはとても思えません。
 そのグループを煽ったのが新左翼運動で、一気に注目を集め、大統領選挙でその中心だったボリッチが勝ちました。
 その後、暴力行為は一時収まりかけたのですが、また復活してきました。今週、イタリア広場の近くに30名ほどのグループが現れ、近くの店を襲いました。例えばレストランで、椅子を道路に投げつけるなどをしました。店の物を略奪すると言うのではなく破壊行為を楽しむと言う感じです。
それから最近多い犯罪は自動車の強奪ですが、止まっている車に近づき、運転手からキーを奪って、運転手を外に放り出し、その車で逃走するわけです。その事件で捕まった犯人の半数が未成年とか。中学生・高校生が目立ちます。
今週からほとんどの学校で授業が始まりました。サンティアゴで、国立学院の近くで、白いオーバーオールの服を着た高校生がバリケードを作って道路を封鎖して暴れました。
もう何回もそれを繰り返していますが、学校教育改善に結びつく抗議とはとても思えません。学校も行政機関も何もできませんね。
3)コロナ問題
先週とほとんど同じです。新規患者数は一日9000人ほど。陽性者合計は36000人ほどです。それに対し、政府の規制はありません。ピニェラの時は自宅待機令などいろいろ手を打ちましたが現政権はほとんどゼロです。今日、厚生大臣が5回目のワクチン接種を考えているとしました。

(スポーツ)

1)サッカー
チリの人気2チームが争う試合をスーパークラッシクと呼びますが、そのコロコロとチリ大学の試合が今週ありました。コロコロが勝って首位を堅持です。
カトリカは勝って9位になりました。チリ大学は12位です。

以上