チリの風 その916 2020年11月30日ー12月6日

今週は毎日30度の日が続いたサンティアゴです。今年の春の気候(9-11月)は1950年以来2番目の高温・乾燥だったとか。チリの風でしょっちゅう書いていますね。山火事のニュースが出始めました。
10か月ぶりに街のセントロ(中心部)を訪問しました。そこにある美術館・歴史博物館・考古学博物館に行きましたが、全部オープンしていました。その日は歴史博物館に入りました。それはサンティアゴの中心のアルマス広場の前にありますが、広場にはたくさんの人が集まっていました。そこからモネダ宮殿まで歩きました。来週の火曜日はカトリックの祝日なので、月曜日に休みを入れて4連休にする人が多く、この週末サンティアゴから近くのビーニャなどになんと23万台の車が出かけたとか。その地区のホテルは50%の部屋に客が入っている由。通常化ですね。私は山歩きはできなかったけど、丘上り、マラソン練習とスポーツをちゃんと実施。いつもの日曜日のマラソン練習も仲間3名と楽しく走りました。

(政治)

1)ピニェラ動向
 市民調査で彼を支持するのは13%に下落。彼がさぼっているとは思えないけど、人気はないのは感じます。ピニェラはマイプの電動バスターミナルの開所式に出席しました。そこで、「チリは電動バスを導入して大気汚染を少なくし、皆さんの生活向上に力を注ぎます」とコメント。現在776台が走行中とか。
 それから厚生年金の積立金の第2回払い戻しが決定しましたが、ピニェラはクリスマス前に、そのお金は払い戻しを申請した人の手に入ると発表しました。前回の時、野党側は私たちは皆さんのために戦い、政府に勝って払戻金を皆さんに渡せるようにしましたと発表しましたが、今回は野党だけでなく与党も賛成し、国会では議員ほぼ全員が賛成に投票しました。政府が貧しい人に援助するなら議会の勝利とか言えそうですが、将来の各自の年金の基礎になるお金を途中で崩して使ってしまえば、年金が減少するのは当然で、それを喜ぶ議員のレベルの低さにはがっかりします。払い戻しを受ける人の収入レベルによって税金を取るということになったようです。政府としては少しは返してもらおうということでしょうか。
 この週末、ピニェラは海岸に散歩に出かけたらしい。そして土曜日、そこでマスクを着けずに歩いていて、通りがかった人と記念写真を撮りました。共産党区長ハドゥエから、「大統領は海岸でもマスクを着けてコロナから身を守ろうと言うが自分は実行しない、それが彼の実際の姿だ」と厳しく批判され、自分が間違っていたと反省。また人気が落ちますね。

(経済)

1)経済成長率
  OECDの推定ではチリの成長率は今年はマイナス6%、来年はプラス4.2%になっています。少しづつ元に戻っているのは数字にも出ていますねその例ですが、地下鉄の11月の利用者数は2600万人とコロナ発生以降で最高の数字になりました。5月には週に百万人まで落ち込みました。昨年は同じころ、週に1600万人だったので激減でした。
  さて年金の第2回払い戻しが決まったので、年末に向けて多くの人の懐が温かくなり、クリスマスプレゼントも派手になりそうです。小売りや卸の商店はニコニコ顔でしょうが、ストックが足りなくなるかもという心配もあるらしい。ぜいたくな悩みです
2)銅価格と為替
  銅の価格はポンド当たり3.5ドルを超え、2012年以来の高い数字になりました。今年の今までの平均価格は2.75ドルで昨年を少し上回っています。このためペソが強くなり1ドル751ペソまで来ました。これは今年で1番のペソ高です。ところで銅の生産ですが、コロナ問題からメキシコやペルーがコロナ問題で昨年対比、11月までかなり下がっているのに、チリは粘って今までに5.8百万トンで0.6%と、わずかでしたが、上昇しています。銅価格が、このペースで進むと来年のチリの経済成長率は今の予想より高くなるとみられています。でもそれは中国の経済回復によるわけですね???

(一般)

1)コロナ問題
  火曜日は新規患者1,035名、死者8名と下がりましたが、木曜日は患者が1507、死者が81名と元に戻りました。金曜日は死者34名ですが、感染者の比率は3.8%ですから、確かに良くなってきていると思われます。
  ファイザー薬品のコロナのワクチンが来週からチリでも手に入るようですが、チリの私服警察が、犯罪グループがその薬品を強奪しようとしている情報が入ったと警戒を強めています。
  14日に皆既日食があります。チリ南部に日食を見に行く人は50万人と言う推定があります。しかしその観光地の中心のプコンの市長はコロナが心配だから観光客は一人も来ないでほしいと要請しています。政府はその地区への移動を規制する方向ですが、それでもかなりの観光客は行くでしょうね。同地区のホテル・レストランはどうなるかドキドキでしょう。ホテル協会の会長は「来週、多くの観光客に来てほしいという気持ちと、この皆既日食でコロナが今より増えれば、この夏の観光シーズンが台無しになってしまう」と二つの違った見方をしています。
  昨年のチリの皆既日食の時、私はガイドとして30人の日本人グループとラ・セレナに見に行きましたが、懐かしい思い出です。
  似たような例ですが、来週の火曜日のカトリックの祝日にバルパライソに近いロ・バスケスに巡礼が押し寄せます。サンティアゴから一日かけて歩いていく人もいるほど。しかし今年は政府はそれを禁じました。祝日の前の日の午後5時から、その教会の前の道路68号線を封鎖し車でも自転車でも歩いてでも近寄ることはできません。その規則を破って教会に侵入する人が出てくるかな?
2)国民投票
  先週の日曜日の予備選挙に投票者が来なかったと書きましたが、投票したのは41.9万人で先月の752 万人の10%からほど遠い6%ほどでした。意味のない投票だったというわけです。与野党が自分たちのグループの中の代表を選ぶのにどうして国が手間暇かけて国民に投票させるのでしょう。自分たちでやってもらえばよいことですね。
3)強盗
  駐車していた大蔵大臣の車が強盗グループに襲われましたが、大臣の護衛警官がそれを見つけ、そのグループに発砲。犯罪グループの一人は死亡しました
  同じく犯罪の例ですが、地下鉄で硫酸を持っていた男が逮捕されました。硫酸が漏れたのか彼のバックは破れそうでした。その男は最近のデモの時、火炎瓶を投げているのがビデオに写っています。日本のサリン事件を思い出させますね。それから今までに146回逮捕された男の歴史が日曜日の特別記事になりました。彼は26歳ですが、以前、年に36回も逮捕されたことがあります。
  彼が生まれたとき、父親は子供を認知するのを嫌がり逃走。母親はアルコール中毒になり、赤ちゃんを近所の家庭が引き取ったとか。それから点々と家族が変わり、10歳からマリワナにはまり、11歳で窃盗で捕まる。彼が通常の家庭で生活していれば、こんな人生にはならなかっただろうとその記事は結論付けています。
4)国外追放
  今週、外国人でチリで犯罪を犯した移民143名を国外追放にしました。強盗とか麻薬関連の罪です。ペルー、ボリビア人は国境まで、コロンビア、べネスエラなどは飛行機で送還しました。今年になって今までで1500人ほどとか。
5)中国問題
  もう毎週、中国問題がでてきますね。今週は中国の漁船がチリの領海に入ってイカコウイカ)を釣っている問題です。なんでも400隻ほどの船が南米の太平洋岸に現れ、その内64隻がチリ北部アリカの近くで操業しています。チリの海軍は24時間監視を続けているとか。しかしどうして船長を逮捕するとか、操業を禁止するとかできないのかな?日本の近辺でも同じ問題がありますね。

(スポーツ)

1)サッカー
  南米大会
  南米大会に参加のチリの3チームは今週の試合でカトリカとコキンボがベスト8に進出。国際大会の準々決勝に2チームも残ったのは8年ぶりです。しかし敗れたもう一つのウニオン・ラ・カレラも1勝1敗になったのですが、最後のPK戦で負けました。もしかしたら3チームが入っていたかもしれないなんて。でもそのため国内大会が混乱しています。
  国内リーグ戦
  日曜日にそのカトリカとチリ大学のクラシックと呼ばれる試合が予定されていましたが、南米サッカー協会が次の南米大会の試合を火曜日にしたため、日曜日では中2日になり規定違反。このため日曜日の試合は延期になりました。このため、今週の結果は首位はカトリカとラ・カレラが同点首位。ただしカトリカは1試合少ないですが。
  さて人気のコロコロは今週も引き分けで最下位を堅持ですが、怒ったファンが放火事件を起こしました???順位は最下位ですが、コロコロの選手の給料はチリでは断トツ。つまり給料は高いけど、プレーはひどいと言ういうわけですね。

  最後にチリ代表監督のルエダの件です。彼はコロンビア人です。先のワールドカップ南米予選でべネスエラに負けてチリが厳しい状況になったとき、彼を解雇して新監督を探せばどうかという意見が出ました。しかしその場合は退職金として220万ドル程を支払う必要がありますが、チリサッカー協会にはその金はありません。じゃ仕方がない彼に頑張ってもらおうかということになりました。ところがコロンビアの新聞にルエダはチリから戻ってコロンビアチームの代表監督になると報道されました。その場合は逆に彼がチリ側に220万ドル程を払う必要があります。しかし勝負の世界は面白いですね。そういう巨額の金が誰かから誰かに払われるわけですね。


  以上