チリの風  その904 2020年9月7日―13日

梅や桃の白とピンクの花が満開で、毎日快晴の最高の季節になったサンティアゴです。
夏時間になったので、今まで7時ころまで明るかったのが、夜8時ころまで陽が残っています。もちろんその分、朝が1時間遅くまで暗いですが。
今週、嫁さんとレストランと喫茶店に行きました。感激しました。と、書くと読者の方から喫茶店でコーヒーを飲むのが何故それほどうれしいのか、大げさだと思われるかもしれませんが、半年の間、そんな機会がなかったからです。正常化していくのは私にとって最高の喜びです。
日曜日のマラソン練習も復活です。通常と言うのが大事ですからね。

(政治)

1)ピニェラ動向
  9月11日は記念日でした。1973年9月11日、ピノチェットによる軍事革命がおこりました。ピニェラは全テレビ局を通じて演説しました。「右と左が憎みあい、相手を倒そうと戦うのは今までの日常だが、それをどう生かせば新しいチリを作ることができるのか、と言う観点での話し合いはできないものか」と切り出しました。そして自分の考えをいろいろ説明してから、10月25日の憲法改正投票について、政府は国民の声を尊重する。イエスでもノーでも。もちろん改正案が通ってもその後、現行憲法をどう改正していくかの重要な議論が待っていると、まるでノーが勝ちそうな雰囲気でした。
最右翼のUDI党は怒っているでしょうね。ピニェラは右の代表ということを忘れているのではないかと。
新聞の投書に。現行憲法は元大統領ラゴスの時に改正されている。それが成立した時、ラゴスのコメントは次の通りとされ、それによると「軍事政権時の憲法を廃棄し、新憲法がやっと成立した。今日、やっと民主憲法が自分たちのものになったわけだ。チリの独立の最大のプレゼントと言えるだろう。栄光のチリよ、永遠なれ」、じゃあ、何故、左翼は現行憲法を嫌うのでしょうか。ラゴスを攻めればよいのに。
新聞の特集記事で、各政治グループが、次の選挙でノーが勝った時、現行憲法のどこを残し、どこを変えるかと言う発表をしました
憲法改正に反対するグループが、首都圏知事の許可を得ないでデモをしました。政府側のデモなので警察もそれほどひどい扱いはしなかったようですが、それでも逮捕者が出ました。 
ピニェラは緊急令を90日延期することにしました。まだ国の中が落ち着いてきたという気にならないのでしょうね。
ピニェラは今日、キリスト教新教福音派の総会に出席し、コロナ問題・新憲法是非などの問題を市民が協力して乗り越えていきたい言う大司教のコメントを聞きました。

(経済)

1)失業率
5か月ぶりに失業率が前月より下がりました。30万人ほどが仕事に復帰とか。
経済成長率も今年はマイナス成長と言うのは変わりませんが、毎回その数字が少なくなっているのが素晴らしい。経済が正常化しているということですね。
8月の物価上昇率IPCは0.1%でした。正常ですね。9月はトラックストで少しは上がるかな?
2)銅価格と為替
銅の価格はポンド3.07ドルとどんどん上がっていきます。中国の輸出が大きく伸びているからだと言われますが、銅価格の上昇はチリにとっては大きな救い。そのため為替は1ドル768ペソとペソが強くなっています。

(一般)

1)革命記念日
全国で行われたデモで108人が逮捕され、警官16人が負傷しました。
大統領が働くモネダ宮殿の前の広場に銅像がいくつも建っていますが、その一つはアジェンデです。その前で共産党が記念式典を行い、次は同じ失敗を繰り返さないと誓いました。大統領候補のハドゥエ区長も拳を振り上げていました。
夜になると各地で道路の封鎖とタイヤなどを燃やす焚火が頻発。3や4カ所ではありません、多分、100カ所200カ所になっていたでしょう。それくらい夜の道に火が焚かれていました。デモ隊にけが人が出ると言う事件もありましたが、デモ隊も武器を持ち出し、警官、警察署を襲います。昨年からチリも変わってきましたね。
11か月ぶりにサンティアゴの地下鉄がほとんど全部、機能し始めました。正常化です。
また反政府運動が戻って駅に放火されたりしないよう祈りますが、現状ではいつまた反政府グループが同じことをするのか分からないという状況です。
2)コロナ問題
8月のコロナでの死亡者数はピーク時の3分の1になったと発表されました。
新規患者数も死亡者数もピークより少なくなってきているのは明白です。死亡者は平均1日50人くらいです。最も金曜・土曜日は一日の新規患者が2000名を超え、油断してはいけないという警鐘になっています。
それで厚生省は来週の18(ディエシオチョ)のお祭りで病気の復活が起こらないよう注意を呼び掛けているわけです。最もピーク時は毎日の新規患者の発生数はPCR検査の17%でしたが、今はそれが6%に下がっています。チリ人に抗体が出来てきたのかな?
さて今までの死亡者数の合計は確認されたのは11895人、疑惑付きの死者数は16222人です。国民数の比較ではチリは世界で6位の酷い状況。アメリカやブラジルより上です。
このまま収まっていくか、18のお祭りでまた病気がぶり返すか???心配です。
3)マプチェ問題
継続です。いやまだまだ問題が大きくなっていくみたい。車両・重機・汽車や家屋への放火は継続で、警察も軍も打つ手がないようです。
4)麻薬
もうチリも南米の他の国と同じように麻薬に侵された国になりましたが、毎日のように麻薬組織の争いや警察の手入れのニュースが出ます。
今週はマリワナを栽培していた中国人グループが捕まりましたが、中国人で同国から最新鋭の機械を取り寄せて室内栽培し市場価格で20億ペソと言う大量のマリワナが差し押さえられました。昔は韓国人がそういうニュースに出ていましたが、今はいつでも中国人ですね。彼らはどこにでも入っていく力があるわけです。
5)郊外移住
コロナ問題で首都圏の住居・事務所の販売は落ち込んでいますが、逆に郊外の住居は売り上げ増とか。
サンティアゴ近くのサパジャール、カチャグアなどは在宅勤務をしながら郊外の生活を楽しむとかですが、
最も人気のあるのは南部のプエルト・バラスで、今年の土地・マンションの売り上げは大幅上昇。それに今までの生き方を変える願いがあるからとか。そんなに多くに人が首都圏の人ごみにうんざりしているわけですね。
その街の次に人気のあるのがフルティジャール、そこは私たちが移住を考えているところです。

(スポーツ)

1)サッカー
  1部リーグ戦は17戦中の11試合が終わり終盤が近づいて来ましたが、この週末の結果は1位のカトリカが勝ったので
 先週と同じくカトリカの首位は変わりません。人気ナンバー1のコロコロは引き分けで下位低迷し過去32年で最低の成績とか。
 来週、チーム別の南米大会で一番重要なリベルタドール杯があり、チリからコロコロとカトリカが参加します。どうなるかな?


以上