(政治)

1) 大混乱
同じことを書いているようですが、毎週問題が複雑化、もしくは悪化しているのは事実です。
バチェレットに実力がないことから、政府・国会運営がちゃんと行われず、与党側もこのままでは次回の選挙で痛い目に合うと、政府に逆らうような言動を見せ始めています。
バチェレットの一番の護衛は共産党で、彼女の公約を全部実現させようとしています。予算の問題からすべての公約実現は無理だと新大蔵大臣がコメントすると、彼を罷免して他の大臣が必要ではないかと言うコメントも出てきます。予算のことでチリ社会の改善計画を中止・延期するのは認められないと言うのが彼らの論理です。
与党の中から無理はしないほうが良いのではと言う反論があると、それでは共産党は与党グループから離脱しますよと脅迫じみたコメント。現在保有している大臣や各省のディレクターの職をみすみすと捨てるとは誰も思わないでしょうが。共産党のコメントに対し、「チリは皆が思っているほど基盤がしっかりしてるわけではなく、それを無視して国民に夢をばら撒くごますり政治をするなら、教育にも、格差の是正にも、社会の発展にも悪い影響を与えるだろう」とコメントする識者もいます。
 バチェレットの精神状態が悪いと言う報道は以前にも出ましたが、もう身内も信用できないようになってきてますます落ち込んでいるようです。テレビのニュースに出る彼女を見てももう老人ですね。顔のしわがひどい。彼女は医者なのだから心身ともに気を付ける必要があることは理解していると思いますが、そうでもないようです。前内務大臣、前大蔵大臣が検察に呼ばれました。今は証人のようですが、風が変われば訴訟の対象になりえます。その時はバチェレットにも強い影響が出ます。
2) 教育問題
国会で新教育法案が可決されましたが、その前日の教育委員会で、法案を棚上げする動きがでました。与党側の議員にもそれに賛成が出て、採決がどうなるか危ぶまれました。
政府は野党側に連絡を取って法案成立に協力を要請するありさま。
教員組合も二つに割れていて、共産党系のグループは法案賛成、反対グループは法案否決を目指し、国会議事堂に両グループが乗り込み野次の応酬。下院委員長が聴衆席の沈黙がなければ議事は進めないと何度も呼びかけました。
結局法案は成立しましたが、全く支離滅裂で法案の内容について国会内、党内、組合内で理解しあっていないことがよくわかります。明日の月曜日に教員組合が全国大会を開催し、ストの継続問題と委員長の罷免を話し合うとか。スト参加者の7月の給料は平均で30万ペソほど下がるようですが、手取りが半分になったら応えるでしょうね。
3) 火傷問題
もう29年も前になりますが、軍事政権時代に反軍事政権デモがあったとき、二人の若者が軍隊のパトロールにつかまりました。軍隊の車で空き地に連れ込まれ、そこでガソリンをかけられた後に火を放たれました。一人が火傷で死亡、もう一人は大やけどを負いました。
それに関与した軍人側に秘密を守る約束ができ、これまで検察が情報を手に入れる手段がなかったのですが、一人がそれを白状し、今週、6人の元軍人が起訴されました。
殺された若い写真家の母親がバチェレットに、「あなたのお助けが必要です。犯罪の真実を明らかにするため、私の横にきて裁判を見守ってください」と要請。バチェレットはその母親を助けたい気持ちはあるでしょうね。しかしサッカーのチリ代表を助けるのとその被害者の母親を助けるのはかなり状況が違いますから、じっくり考えているでしょう。
もう一人の大やけどを負った女性は顔がまだやけただれていますが、カナダに住んでプロとして仕事についています。
 ニュースにピノチェットがこの事件についてコメントしているのが報道されました。軍隊側としてはその二人は火炎瓶などを持っていて、事故でそれが破裂・火災を起こし二人の生命に影響を与えたと全く逆の見方をしています。ピノチェットがテレビに出てくるのは久しぶりでした。白状した元軍人はピノチェットの言ったことは全くの嘘だと証言しています。検察は元軍人を起訴し、裁判に入ります。
似たようなケースですがチリのフォークソングの代表のようなビクトル・ハラも軍隊に殺されています。その事件でも元軍人の自白が出て、裁判が始まる可能性が出てきました。 もう40年も前のことですが、こうした問題が出てくると突然時間が止まってしまうようです。
私は北大時代に全国学園闘争を経験しました。日本なら、警察に調べられても殺される可能性はなかったと思いますが、チリでそれをやっていればあの世行きだったでしょうね。