(政治)

1) バチェレットの動き
「私、ちょっとカリブに行ってみようかしら。じゃ、キューバにするわね」と言う感じで、コロンビア政府と反政府ゲリラFARCの和解が行われたキューバの式場にオブザーバーとして参列しました。
マルクス・レーニン主義の左翼ゲリラとして1964年に結成されたFARCは麻薬を扱って資金源とし、市民の誘拐も加え一時は大きな勢力を誇示していました。   
「バチェレットさん、チリですること沢山あるでしょ」と言われそうですが、マプチェとの和解の勉強になるのかな?
チリに戻った翌日、先住民記念日としてグループをモネダ宮殿によび、「皆さんの保護を国の大事な要因にする」と発表しました。その式典で大統領の前で踊ったのはマプチェ、ラパヌイ、ケチュアなどの人たちでした。
そして日曜日、パナマに飛びました。新パナマ運河の開通式に参加のため。教育・労働問題だけでなくサンティアゴの公共運輸システムのトランサンティアゴが破たん寸前ですが、彼女はほとんど姿を見せません。
飛行機の旅の方がもっと重要なのでしょうね。これを内務大臣が忠告すれば首が飛ぶわけです。
2) 国会議員の裁判
先週、UDIのオルピスが裁判中に刑務所入りをさせられましたが、今週は元大統領候補だったロンゲイラが夜間自宅待機・国外退出禁止の処分をうけました。両方とも野党側ですが、与党側から元大臣だったPPD党のインスンサが賄賂を受け取ったとし裁判にかかることになりました。これは鉱山法案を作成している段階で、鉱山会社を所有するルクシックグループから献金を受け取っていた疑いを持たれています。そこはチリ銀行も経営していて、バチェレットの息子夫婦の事件にも顔を出しています。
ゴルボルンの例など、この問題はまだまだ続きます。
3) 10月の地方選挙
先週の予備選挙が全く盛り上がらなかったのは、報告済みですが、議員の中に、それなら選挙は予備選挙も本選も投票を義務制に戻そうかと言う意見が出ています。チリでは以前は義務制だったのですが、国会で民主主義の基本は自主性、投票の義務化は古いと変更されたわけです。それを言い出した側がエラーだったかもしれないと逆の方向を示しているわけで、そんな議員はこれからもエラーするだろうから落選してほしいですね。
予備選挙で決まらなかった地区の区長候補について野党側のUDIとRNが話し合い、一応了解がついていましたが、サンティアゴ区の区長候補に突然UDIが前大統領候補のラビンを出したので両党が衝突しています。約束しても勝てば官軍式の考えが消えないようです。
4) 最低賃金法案
何と国会で政府案を共産党が反対し、どうなるのかと思わされました。そのままだと今年度は最低賃金は上がりません。野党からは「惨めな分裂政権の・・・」と厳しい批判。
議論の場によばれた大蔵大臣は政府として最低賃金の上昇分を説明した所、与党側が、特別出席者として労組の女性会長を招いたので、大蔵大臣は激怒して、「お前らはここをなんと思っているのだ、馬鹿野郎」(これを卑猥な言葉を使って怒鳴ったらしい) 労組は大蔵大臣を痛烈に批判。 結局、翌日の議会で共産党員も賛成側に回り可決されました。
この先、18か月で4回に分けて10.4%アップし27万6千ペソになります。これはラテン・アメリカの中でパナマ、アルゼンチンに次いで3番目に高い数字になります。
キリスト教民主党共産党に、与党の一員として政府に貢献するのか、反対勢力として自由に行動するのか決めたほうが良いと判断を迫っています。いつもと同じパターンですね。懸案の労働法案、教育法案と政府内での意見の不一致が目立ちます。バルデス大蔵大臣にとって最も厳しい1週間だったと言うコメントも出ています。
経団連の会長が来年度予算は予想の4%アップどころか3%にも届かないかも知れない状態を考え、大蔵大臣を締め上げる政府のやり方は彼を疲労させるだけとコメントし、先の内務大臣のようにならないでほしい気がしていると祈願している。いやはや。

5) 軍人裁判
軍事裁判ではありません。軍人を裁く裁判です。前陸軍長官のフエンテ・アルバの不正蓄財の件は、さすが検察、しっかり調べ上げ、とうとう本人からチリ以外の国に駐在・出張する仕事を何年か実施し、出張・駐在費用などで50万ドル受け取ったこと、父親から1億ペソ、母親や祖母からも多額の金が自分の口座に振り込まれたことを認めさせました。まだまだあるやろね。もちろん、税務局が口を出して来るでしょうが、税金を払えば済むことでもないでしょう。
それから元長官のチェイレを拷問殺人の罪で提訴することになりそうです。この二人のほかにもまだまだいそうですね。