チリの風   その210  07年2月5日―11日

チリの風   その210  07年2月5日―11日

月曜日、今年初めて空が曇り、なんとわずかですが霧雨になりました。そうか夏の終わりが近づいてきたか思いましたが、その後また暑い日に戻りました。でももう一度、日曜日の朝も涼しかったし、三温四寒ですね。
さて長男の武蔵がブログを始めたようです。最新の釣りやサッカーの様子を書いてくれると面白いのですが。アドレスは次の通り
http://musachin.blog.shinobi.jp/Entry/3


(政治)
1) バチェレットはチリ南部のカブルグアでバケーション中です。のんびりできるかな?というのは休暇に入る直前に発表になった国民の支持率は、前回より7ポイントも下げて47%。国民の目はごまかせません。
さて2月はバケーションの月で、彼女のほか、すべての党首も休暇に入りました。与党側ではPPDの党首ビタルはパリに、DCのアルベアルはワシントン、社会党エスカローナの所在は秘密とか。一方野党の方はUDIのカルロス・ララインはメキシコに、RNのエルナン・ララインはチロエ島で静養とか。
前大統領のラゴスウルグアイですが、今週友党の議員から汚職問題はラゴスが大統領のときに始まっており、その釈明をすべきなのに沈黙を守っているのはおかしいとする爆弾発言が出ました。政府はあわててラゴスの業績はすべての国民が知っていることと援護しました。
さて彼らがたっぷり休養して3月に仕事に戻ったら、汚職関連で、国家機密費やスポーツ振興費用の流用と、問題山積です。

2) 今週はトランサンティアゴ計画実施が最大の話題でしょう。
過去何度も延期された暗い過去をもつこの計画ですが、実施予定日の前日、それも金曜日の夜10時に突如政府発表がありました。その骨子は次の3日間バス台を無料にするでした。新交通システムではバス料金はお金で払わずプリペードのカードで払いますが、そのカードが払底し、利用客に行き渡っていません。ということは土曜日から実施するとバスに乗れない市民が出てくるわけです。私はそれを考えて実施の延期を想定しましたが、政府はそれを嫌い、とにかく計画は実施するが市民に迷惑をかけない方針でこの無料案を選択したもの。政府がその費用をバス会社に払うのだから結局税金でまかなわれるわけで、政府の準備不足を市民がかぶるということでしょう、


(経済)
1) 地球温暖化の問題はチリでも報道されていますが、それを受けてチリも政策を換えなければいけないのではという議論には向っていません。車をやめて自転車に乗ろうはチリでは主流になりそうもありません。
新聞に石油、石炭をエネルギー源とした現在のやり方では温暖化にストップはかけられないから水力発電など他のクリーンエネルギーを検討すべしなどという論調がのりました。その一方、温暖化で人類の破滅というのは大げさとする論調もありました。その根拠は80年代、この種の論議をするとき2100年には海面は何メートルも上昇するとなっており、これが90年代には67センチの上昇となり、今回のIPCCの発表ではそれがさらに縮小し39センチメートルとなっている。この上昇推定数字は既に過去百年間で経験したものと同等で、それなら昨今の温暖化が原因で起こるだろうとされる海面上昇を大騒ぎするのはおかしいとか。
チリ最北部を流れるユタ川は数年前大洪水を起こしましたが、それがなんと今年に入って水量をなくし、とうとうアリカの手前5キロの地点で消えさっています。
温暖化は緩やかに人類を破滅に導いているのは事実のようです。

2) チリの06年の国民一人当たりの総生産は12750ドルとなり、ラテンアメリカでアルゼンチンについで2位でした。世界の先進国とはまだ大きな差があるがラテンアメリカではトップのランクを維持していると分析されています。

3) 働きすぎチリ人

   UBS投資会社の調べでは世界で一番長時間働いている都市は韓国のソウルとなりました。続いてメキシコ、香港、ボンベイ台北、デリーそしてなんと7位にサンティアゴ。そうかチリもそこまできたか、北京や東京を抜いたのか。年に2317時間働いているそうです。本当かな?と言う気もするし、本当ならもう少し生産性を上げてほしいという気もします。

4) 1月の物価上昇率は0.3%と過去5年で最高を記録。電気と交通費用の上昇がその主な原因とか。石油の価格が上昇しており、いやな気配ですね。


(一般)
1) もちろん今週の話題のトップはトランサンティアゴでしょうね。開始の初日、私は試乗に出かけました(嘘、用事があって出かけたもの)
街に行くのには困難はありませんでした。セントロに行くバスはアパートの近所から通常通り出発、大きな混乱もなく進んでいましたが、今までの感覚で乗客がどこからでも手を上げてバスに乗ろうとするとバスが止まらず、怒る市民の顔。それから前から乗って後ろから降りる仕組みを理解せず、前のドアから降りる客もいました。
それとは違って午後、日本人学校に行くとき、今までなら1本のバスでいけましたが、その日は3本の乗り継ぎとなり苦戦しました。ちゃんと次のバスがこないので乗り場に多くの客が待って、バスが来ると大混雑。来週の月曜日が心配です。
しかしこの変革で私のアパートの前の道がこの幹線バス路線になってしまい、これからバスの騒音で悩まされないかと心配。もっとも文句を言っていく所はないでしょうが。
それから地下鉄1号線の延長工事が始まり、近くの公園がフェンスで覆われました。2年後には私のアパートから駅まで歩いて1分です。

2) 新世界の7不思議
   これがチリでも盛り上がってきました。チリ代表のモアイがこれに入選しそうだからです。ペルーのマチュピチュなどと一緒に世界代表になりそうですが、すばらしいことです。
   個人的にはタージマハ−ルを入れるのなら、それよりアンコール・ワットを入れてほしいですが

3) 先週、防衛大臣の息子が万引きで捕まったと書きましたが、今週なんと同じ息子が泥棒で捕まりました。先週は商品が間違って息子のポケットに入っただけとその大臣は言っていますが、今週は息子は間違って他人のアパートに入っただけと言うのでしょうか?はやく辞任してその17歳の息子の矯正に当たった方がチリ社会に役立つと思います。
野党の女性下院議員クリスティの息子が麻薬運搬の疑いで逮捕されました。私の息子は麻薬には関係ない、タバコだってすわないんだからと彼女は言っていますが。
まぁ子供が健全成長には親の影響が強くありますが、親が社会的な地位を占めているというのは何の役にも立たないようです。

4) 先週起こったバルパライソのガス爆発による事故は4人が死亡、2名が行方不明ですが、その事故のあったセラノ通りの建物は数棟が大被害を受けています。政府はそれらを取り壊して新しい街づくりをしたいと発表。03年にこの街は世界文化遺産に登録されましたが、この事故はそれには影響しないそうです。

5) 第十州にあるパンギプジ湖で10キロのサーモンが釣れました。体長は93センチとか。最近連れた魚ではトップクラスらしくニコニコ顔の釣り人が新聞に出ています。


(スポーツ)
1) テニスのデービス・カップはラ・セレーナで行われました。チリは現在の世界チャンピオンのロシアに堂々の試合を挑みましたが、金曜日のシングルでなんと2連敗。チリ中ががっかりです。もうおしまいか。
しかし土曜日のダブルスに勝って息を吹き返す。そして最終日のシングルで、最初の試合にゴンサレスがロシアのサフィンをやぶって2対2のタイスコア。熱狂的な国民の期待は最終戦のマスへ。ここまで書くと、なんだかチリの奇跡的逆転勝ちのような雰囲気ですが、残念、そこまで。3対2でロシアの勝ち。会場に集まったほんの少しのロシアのファンが騒いでいました。そう言えば、以前日本がチリと対戦して5対0の惨敗をしたとき私も一日ビーニャの会場に行って日本チームの応援をしたのを思い出します。

2) さてサッカーはチリ対ベネスエラの試合が敵地で行われチリが1対0で勝ちました。これでチリはアウェーの試合で6試合連続負け無しの記録となりました。ちなみに過去不敗というその対戦相手は、コロンビア、アイルランド象牙海岸スウェーデン、ペルーそして今回のベネスエラです。
こう書くとなんだか、素晴らしい試合だったかのようですが、実際は期待はずれの最悪内容で、これでは次のワールドカップには無理だろうと思わされました。
またリベルタドール・カップのコブレ・ロアはブラジルに渡って試合をしましたが1対1の引き分け。ホームで負けているのでこれでおしまいです。


以上