チリの風 その209  07年1月29日―2月4日

チリの風 その209  07年1月29日―2月4日

私が責任者になっているリキャップ・タイヤの仕事が順調で1月の売上は新記録。工場は出来てから7年目です。で、生産遅れから製品の納入が遅れお客さんから怒られっぱなしのうれしい悲鳴。これに対し機械設備の輸入,工員数の増加と増産体勢に入ります。
もちろん仕事は生活の一部で,週末なんか原稿書きに追われています。日本の雑誌から依頼が来て「セカンドライフを海外で」を書いています。もちろんマラソン練習も本気です。この日曜日は水野・リカルドの仲間といつもの16Kを走りました。リカルドは最初から記録を狙っての走り。途中水野さんが遅れました。一時200M以上遅れていた彼は脅威の粘りを見せ、前を走る二人に追いつき同時にゴール。リカルドは驚いて「日本のサムライはすごい!」しかしそんな無茶をした私はその日の午後過労のため死んでいました。


(政治)
1) 先週チレ・デポルテ次官の学歴詐称問題を書きましたが,それは他の種々の問題と関連事項があるみたいです。例えば,政府関係の役職につくにはその職種によって最低学歴が定められていること、そしてその場合,学歴手当てとして5万円とか10万円とかが給料に加算してもらえるらしい。つまり先に問題になった女性は毎月大卒手当てを騙し取っていたわけで,これは犯罪行為でしょうね。
私の働いている会社でも役職者は学歴を要求されています。もっともそれで手当てが増えることはありませんが。
しかしこのチレ・デポルテ問題は、そんな個人的な問題ではなく、スポーツ振興費を政治資金に流用していた重大な事件ですが,捜査は一向に進展していません。さらに、これだけでなく政府機密費の選挙費用への流用問題も裁判沙汰になっており、バチェレットは夏の休暇中,ずっと頭を痛めるはずです。

2) 上記に関連して政府は政府機関で働く人間のファイルをウエッブで公表しました。透明度を上げるとの趣旨ですが、大統領の友人とか、政府関係者の家族とかコネで働く人間も浮き上がってきて野党から批判が出ています。

3) ベネスエラの新大使(女性)が着任しました。前任者はチリ国政に口をはさんでチリ政府から追い出されたわけで,今度の大使はどうでしょう。それにしてもチャベスは石油を武器に着々と基盤を築いています。中米にもニカラグアに仲間が出来たので、反アメリカ網の構築が一段と堅固になってきました。エクアドル,ボリビアチャベスのお陰で?困難な国内状況を耐えしのげそうです。昔はキューバにしかお友だちはいなかったチャベスですが。そして彼は同僚のアルゼンチン,ブラジルの大統領に猛然と圧力をかけています。天然ガスの供給パイプライン建設で彼にリーダーシップを握られているので、両大統領ともむげにチャベスの要求を断りきれないのです。
チャベスはどう見ても尋常な政治家には見えませんが、彼のライバルのブッシュもそれに輪をかけて不謹慎ですからね。これからどうなるか?
さて国連の安保委員会でベネスエラ援護要請を蹴ったバチェレットは今回の同国訪問でなにを交渉するのか楽しみですが,その前に新大使の彼女と打ち合わせでしょうね。

4) 先週,チリとペルーの国境問題再発と書きましたが,バチェレットは向こうの大統領ガルシアに電話し,ごめんなさい、なんだか国境保全局がエラーしちゃったみたいで申し訳ありません。とエラーを下部機関になすりつけ問題の軽減を図ったようです。新聞報道では昨年12月5日に内務省から従来のペルーとの合意を逸脱した原案があがり大統領のサインを待っていたようです。彼女がサインをしたのか書いてありませんが、したんでしょうね。もう2ヶ月も前のことですから。それを知らん顔するんだからバチェレットもずうずうしい。しかしチリ側がエラーをしたように新聞に出ればペルーも面子を保ちましたね。

4) 国税局問題はどう言うわけか、新聞に大きく取り上げられません。いつものように政府が新聞社にあんまりきついこと書かんとってと頼んでるんかな?
しかし税金を取る方は情報もふんだんにあるから脅すのもすかすのも簡単でしょうね。そういうやつは全員刑務所ですよ。私は税務署に苛められた経験があるから,こいつらの悪事は許せない!
彼らは6千社の機密を握っていたとか。で、その情報を第3者に漏らし,それを使って,お宅の税務署との問題を解決してあげましょうかと持ち込んでいたらしい。


(経済)
1)06年の失業率の状況が発表になりました。それによると06年は99年以来最低の水準(7.8%)だったとか。98年以前は6%台の失業率だったのですが99年にアジア危機が起こり、10%までそれが跳ね上がり、そこから8年たって7%台まで戻ってきたというわけです。近年絶好調の中国がこけたら,第2次アジア危機になりそうですが・・・・

2)チリ各州の発展状態
  昔はこういう資料では1位首都圏,2位第2州,3位第8州と決まっていたのですが、その8州が落ち込んで第6州が上がってきました。ところでどうして北部の第2州がいつも2位なのかというと、そこには幾つもの鉱山があります。とにかく銅鉱山の存在が光って,そのお陰で道路整備や教育研究にかける費用が出てきます。それが長い間2位を保っている秘密です。多分,第6州の躍進はコデルコのエル・テニエンテ鉱山の影響があるからと理解します。チリはやっぱり銅鉱山あっての国ですから。


(一般)
1) 今週は大事件が続きました。その1はバルパライソでガス漏れから爆発事故が起こり、それが原因で火災になり、なんと建物が4棟も全壊状態に。当然中にいた人間は生き埋めです。日曜日現在、まだ行方不明何十人といわれますがそのうち3人の死体しか見つかっていません。これほどひどい爆発火災事故は50年ぶりとのこと。世界文化遺産の街バルパライソはこうした古い建物が多く、メンテが十分でないためこうした大事故が起こるわけです。
チリの南部でバケーションを楽しんでいたバチェレットもヘリコプターと飛行機を乗り継いで現地入りしました。
最南端の町プンタ・アレナスのバックパッカーホテルがほぼ全焼して10人の外人観光客が焼死。欧州からチリに来て焼死では悔やみきれません。

2) ついでランカグアで地方裁判所に出頭していた犯人が、そこから逃げ出す大事件。4人組は逃走中、民家に入ったりしましたが,最後は警察と銃撃戦になり、一人が射殺され,残りは全員逮捕されました。警察側も二人が負傷。そう言えば,昔,私が裁判所に呼び出されたとき,(逮捕されていたのではありません。犯人を逮捕して警察に手渡し、その犯人と対決するため出頭です)、ずいぶん警備がお粗末だなと思った経験があります。

3) それから,まだあります。ある男が大統領官邸の正面玄関に車でぶつかりました。警備の警察官は車に銃を撃ちましたが,犯人は無傷で逮捕されました。そのあと、彼は射殺されたかった(!?)とコメントしています。彼がテロリストで車に爆弾でも仕掛けられていれば,大事件ですね。

4) 避妊剤の未成年への配布が法制化され問題に。この問題は既に昨年から顕在化していますが、バチェレットは14歳以上の女性が必要とすれば,両親の許可・認証を得ずともそのピルを入手できるとしました。これにカトリック教会を始め野党は反発し、チリ社会の秩序を乱し、混乱を招くだけとクレームしています。

5) 防衛大臣(女性)の息子がショッピングモールで万引き
その行為がガードマンに見つかり、さぁこれからどうしようかという所に母親の大臣が来て,息子が盗んだ商品の代金を払った後、その商品を床に投げつけて帰っていったらしい。しかし何を考えているのだろう,この女。それで大臣職が勤まるのか?

6) 海軍に女性の士官候補生が誕生
   チリ海軍188年の歴史で初めて海軍学校に女性が入学しました。合計250人の入隊者のうち一挙に44名が女性になりました。潜水艦などの特殊な任務以外は男女同列になるらしい。チリ女性の勝利?

7) 旅客便の伸び
06年の空の旅の結果ですが、国内線は5.7%、国際線は5.0%の伸びでした。全乗客数は760万人とか。
従来,チリの空を飛んでいたルフトハンザ、バリグ、それにロイド(ボリビア)が姿を消しましたが、乗客数は順調に伸びたわけです。国際線乗客の1位はブエノス・アイレス線、ついでサン・パウロ、マイアミ,マドリッドの順でした。会社別ではランチリが圧勝で、国内線が59%,国際線は何と70%のシェア−とか。無敵ですね。ペルーとアルゼンチンには既に進出済みのランは今年はブラジルの航空会社を買収するらしい。


(スポーツ)
1)テニス  豪州オープンで決勝までいったゴンサレスはもうチリの英雄です。チリに帰国した翌日からビーニャ・トーナメントに出場。準々決勝まで行きました。まぁ実力から行けば優勝でしょうが,疲労からそこまで。次はデービスカップがまっています。それは来週ですが、世界チャンピオンのロシアと対戦です。
   そのビーニャの大会はもう一人のデービスカップチリ代表のマスが決勝進出。チリの面子を保ちました。

2)サッカー 先週から国内リーグ戦が始まっています。
   それから南米のクラブ・チームの大会リベルタドール杯が今年も始まりましたが,チリ代表の一つコブレ・ロアは本拠地でブラジルのパラナに負け,チリ弱しの印象を与えてしまいました。


以上