チリの風 その87 04年8月22日―28日

今週は疲れた。連日、帰宅が遅かったから。火曜日は日本人会の50周年記念行事のコンサート、水曜日は山下ジャイカ所長のお別れパーティ参加、木曜日は会社のバンドで練習、金曜日は第6州に出張と連日帰宅が9時、10時。すっかり疲れました。
えっ、日本じゃ9時帰宅なんて当たり前だよと言う声が聞こえます。そうでしょうが、私は入社以来6時に定時退社してすぐに家に戻る習慣がついているので、慣れていないことからくる疲労でしょう。おまけに、水曜日、パーティから戻ってすぐに服を着替え、夜の公園に走りに行ったら、足を怪我してしまい、現在ビッコを引いて歩くしまつ、惨めです。気持ちは若いつもりでも、身体は中高年ですからね。
ところで水曜日のお別れパーティはラヂソンホテルで行われましたが、そこでの話。そこに出席していたチリ人は、私が一緒にフォルクローレを練習しているチリ人と全く違う人種で、話の内容も話し方も単語も違いました。
パーティに参加していた人たちは、日本のオリンピックのことに触れ、「貴国選手のオリンピックでの活躍ぶりには驚嘆の他ありません」と言っていましたが、私の同僚たちは、(次のデービス・カップで)「日本をぎたぎたにやっつけるからな」とか「日本相手なら(利き腕でない)左でも勝てるんとちゃうか?」と言います。

ところで、暖かくなってきました。もう昼間は半そでで十分です。


(政治)
1)これまでピノチェットはその高齢のため、心身とも裁判に耐えられる状況ではないとして、すべての訴訟から逃れていましたが、彼が街の本屋に入っているニュースがテレビに出たりして、彼は確かに老人だが、通常で、痴呆症でも寝たきり老人でもないとして、今回再度彼を法廷に立たせることが最高裁判所で決定されました。もちろん、私はこれは全くのショーで、彼の犯罪が裁判所で今まで以上に検証され新たな判定が下されることはないと考えています。過去に彼がすべての罪状からフリーになったのも政治的配慮、今回の全く異なった採決が行われたのも政治的配慮。三権分立って何のこと?と聞きたいところです。

2)ブラジルの大統領がチリを公式訪問
ラゴス大統領は「ブラジルを今までと同じようにチリが南米の一員として機能していくための大事な橋渡しと考える」と、チリーブラジルの友好関係を強調した。しかしブラジル大統領の公式訪問の後、こんな軽い表現しか出来ないほど現在の両国の関係は薄いと考えられる。


(経済)
1)失業率が増えてきまして・・
政府にとって頭痛の種ですね。経済が順調と言いながら経営者側は楽観をしておらず、最近改正された労働法ではいったん雇用すると、解雇するのが簡単でないことから、どうしても人の採用に関し絞る傾向になっています。政府は新規雇用について企業にインセンティブを与えると約束していますが、どうなるでしょう。
5―7月の全国平均失業率は9.7%と10%に肉薄しています。04年上期の経済成長は4.9%と決して悪くはないのですが。(同時期の日本は4.8%の成長率とか)

2)原油値上がりがチリ経済に与えるネガティブな影響は04年だけで6億7千万ドルに上り、それは国民総生産の0.8%になる試算が発表されました。しかしこんなのは運みたいなもので、銅の値段が急上昇したことからこれ以上の代金が臨時収入として国庫に入ってきているわけで、それを隠して原油高を嘆いてもしようがない。世の中なんでも自分の思うようには行きません。

3)最初に今週は夜遅く帰宅したと書きましたが、チリ人も遅くまで仕事をしているようです。今週の発表では世界仕事時間ランキングでチリはなんと8位にランクされています。そんなにチリ人は長時間働いているのかと私は思いますが。ちなみに私の会社は朝8時半始まり、昼食は事務所内の食堂で30分、夕方6時まで働きます。つまり1日9時間。週5日ですから、労働時間は週45時間です。

4)モリブデンの生産
モリブデンは鉄やニッケルの生産時必要な金属ですが、中国やアメリカを抜いて03年チリが世界1の生産国になりました。今年も好調で年間輸出額は7億ドルを見込んでいます。


(一般)
1)9月18日
建国記念日の休みが土曜、日曜日になったので、何とか金曜、月曜日を振り替え休日に出来ないかと要求がでています。国会で審議をしようと言われていますが、大統領はチリはまじめな国、いいかげんに祝日を作るわけには行かないとかたくなにこれを拒否しています。
しかし一般チリ人は、そうはいっても最後になれば、何か理由をつけて、月曜日(20日)を休みにするはずだと考えています。チリの風の読者の皆さんなら、この辺の空気は理解していただけると思います。

2)南極旅行が始まります。
以前の風で南極旅行用に旧海軍の船(砕氷船)が改造中とお知らせしましたが、これがほぼ完成し、最初の航海は11月6日、プンタ・アレナス出発となりました。最低のクラスでも15日間の航海で6千ドルの費用がかかるそうです
南極関連のニュースとしては、11月2日に南米の国としてははじめてのチリ南極学術調査隊が極点を目指します。チリの南極ベースから極点までは片道1084キロ、これを雪上車に必要な資材を載せて踏破し、気候の変化などの情報を集めると言うもの。

3)チロエ島へ架橋
この2年続けて私はチロエ島に遊びに行きましたが(このHPの他の欄に記録あり)その島と本土を結ぶ橋が建設されることになりました。今年12月に建設業者の指名するためのテンダーが始まります。計画では全長2500mの橋で、途中海中に2箇所大きな塔(約180m)が橋げたのため建設される予定。これで島への交通が格段に便利になります。
さてチロエは第10州にありますが、専門家の見方では次の夏、観光客に注目を浴びるのはそれより南の第11と第12州と見ています。とにかく過疎で自然がそのまま残っていると言うのが世界的に観光の目玉になるらしい。そこでそれらの地区でのホテル建設が進んでいると言うわけ。


(スポーツ)
 1)オリンピックは29日で終わりになりますが、チリのオリンピックはテニスが終了した時点で終わっていました。そのころ、チリのメダル数は中南米のトップだったのですが、終了してみるといつのまにかブラジルとアルゼンチンに抜かれ中南米で3位になっていました。メキシコには勝っているが、もちろんこれが実力でしょう。
しかしあの金メダル2個の余韻は続き、ラゴス大統領が金メダルカップルとテニスの試合をしたいといっています。テレビの中継でもあるのかな?
さてこれでチリはテニスの世界では、既にATP個人ランキングの1位、Wカップ(2連勝中)を手中に収め、さらに今回のオリンピックの単複両金メダル獲得で、残るビッグタイトルはデービスカップを残すのみとなりました。
で、9月にチリのヴィーニャで行われるワールドグループへの復活戦日本対チリが俄然注目されることになりました。
入場券は既に完売。これでチリの応援体制はばっちりと言うところ。これに日本テニス協会は反応し、このままでは全員チリの応援のもとに試合が行われることになってしまう。それを避けるにテニス協会が入場券を購入して、日本人応援団を作り上げることだとなりました。この申し出が日本人会に入り、敵地で萎縮せずに応援できる人として、私がその応援団の一人に加わることになりました。行くで!まじに。その日は喉がかれるまで叫びつづけるつもりです。
しかしこの話は同僚のチリ人には違和感を持って受け止められています。藤尾さんはここに25年近く住んでおり、もうチリ人ではないのか?チリの応援をせず日本の応援をするなんて認めがたいことだとしています。
冗談なのか本気で怒っているのかはっきりしませんが、男女の別なく私にクレームしています。
まだこの話の続きがあって、最近引退を声明した元世界1位のリオスをチリ代表の一員にするらしい(思い切り日本を馬鹿にしているね)、またラゴス大統領もこのマッチの観戦を考えている由。

2)山の遭難
先週の風で書いたオホス・デル・サラド山でのスイス人の遭難者は山小屋に非難しているとことを無事ヘリコプターで救助されました。(その山小屋にはいつか私も一晩泊まっています)
その費用を誰が払うかでもめています。第3州の州知事はその捜索費用を遭難者に支払うよう求めていますが、彼らはスイスの保険会社にそれを請求するそうです。4百万円くらいですが。 

3)サッカーの話題。
オリンピックが終わったら、次はサッカーです。9月5日の日曜日に、Wカップ南米予選のチリ対コロンビア戦。地元のこのゲームに負けるようではWカップ出場が遠ざかってしまう。何としてでも勝ちにいきたい。
サラスが復帰との話もあるし。テニスの活躍を見習ってほしいもの。外国でプレーしている選手が、続々と帰国してきます。
ところで、1部リーグの後期戦は、前期不調だったカトリカ大学が大幅に選手を入れ替え、それら優秀選手の活躍のおかげで、トップを占めています。どうなるかな?
さてその1部リーグのチーム、ウニオン・サン・フェリッペに日本人プレーヤーが所属することは既に先週の風に書きましたが、そのキーパーの高橋さんが、私のやっている日本人学校のサッカー教室を訪問。プロのキーパー振りを子供たちに披露してくれました。やっぱりすごい。彼の活躍を祈りたいところ。


以上