チリの風  その148  05年10月24日―30日

まだ夏らしい雰囲気は出てきていませんが、日に日に日が長くなるのを感じます。で、会社から戻ってからのマラソン練習に熱が入るわけです。同僚にマラソン狂がいて、そいつの車で6時の定時で会社を抜け出し、私のアパートに6時半過ぎに。すぐに服を着替え、走り始めるわけです。週末は走る距離を伸ばします。走れるうちは走る!
ところでショッピング・センターに行ったら、なんとサンタクロースが宣伝していました。私のマラソンより早い!もうクリスマスか?


(政治)
1)大統領選挙
  先の大統領候補者のテレビ討論会を受け、4人の候補者間の人気が若干変わりました。首位を走るバチェッレトが5%落としその分をヒルチが獲得。右翼の二人の候補者は変化無し。つまり社会党の彼女を支持していた票が共産党系に移動したと言うわけです。
もっともこれはイデオロギーの問題と言うより、討論会でさえなかった彼女から、どうどうと発言していたヒルチに人気が移ったと見るべきでしょう。これで12月の投票で、彼女が過半数を占めて大統領になると言う可能性が薄れ、上位2者による決選投票が実施されるだろうと想像されます。このため押されているバチェレット側は同陣営の最高メンバーたるラゴス大統領にもっと親身の応援をしてほしいと要請。大統領はそれならあらゆる会合の場で、ラゴス政権の側に立って発言し、自分の批判をするのは避けるように交換条件をつけたらしい。
そんなことで世論も、各政党もそれに向けての作戦を練っています。特に右翼側では自分が2位に入ったとき、もう一方の協力をどう取り付けるかがカギになってくるわけで,目に見えないところでの綱引きが始まっています。さらにRNは右翼の二大政党が合流しても与党側に勝てる戦略が立たないと、2次決選投票時は与党側のDCをたとえ一部でも自陣に加えたいと牽制しています。
選挙運動はまだ法的には許可されていないのに街の中心広場など、候補者の建て看板が乱立し、街角で候補者の名前の入った旗を振っている宣伝員が目に付きます。野党側だけでなく与党側の候補者もやっているがチリらしい。ルールはあるのに誰も守らない。
次回のテレビ討論会は11月の中ごろです。

2)政治暗殺
先週、ピノチェット軍事政権時、左翼側の人間の暗殺が行われ、その暗殺候補者のなかにラゴス現大統領も入っていたと先週のチリの風に書きました。今週の報道では、1986年に左翼極左ゲリラがピノチェットを襲撃し護衛が何人も殺される事件が起こっていますが、その事件の直後、モネダ宮殿で緊急会議が開催され、その席で、左翼側への報復として、政治暗殺が決定されたとなってきています。
この件に関して、当時の大臣など軍事政権の要人が裁判所から訊問を受けることになりました。事の真相をはっきりしようと言うわけですが、もちろんそれが明るみに出るわけは無いでしょう。

3)外国の話題
先ずはボリビアの混乱。チリと同じように年末に大統領選挙が予定されていますが、実施されるかどうか予断を許しません。国中が混乱状態で、サンタクルス州は、現在よりもっと自治権をよこせとか、独立したいと言っており(以前からの問題の継続),有力候補の一人コカの生産業者代表のモラレスさんの発言もよくわからない。ようするにこの先この国がどうなるのか分かりません。
もう一つの隣国ペルーはチリとの国境問題で、陸地ではなく領海権の問題で攻撃をかけてきました。現在の領海は緯度と平行になっていますが、それを角度をつけチリ側に下ろしていこうとするもの。チリは一方的なペルーの言いがかりに困惑しながらも国際機関を通じての折衝を考慮しています。でないと戦争ですからね。しかしトレド大統領も国政の失敗を唐突にチリとの問題にすりかえるなんて、世界の歴史の上では,珍しくもありませんが、気の毒ですね。まぁペルーとチリの実際の問題はルケッチのスパゲティ工場の建設問題の件で、同国から逮捕状が出ているルクシック社長がどうなるか注目の的です。チリ側ではこの逮捕状はチリ国内では実効性が無いとしています。


(経済)
1)スーパー木曜日
スーパーマーケットの宣伝ではありません。この木曜日、あまりチリの調子が良かったので、テレビでそう持ち上げていたわけです。
  なにしろ銅の値段が上がって国営銅公社(コデルコ)の利益が際限ないくらい?上がっています。また石油の国際価格が下がり、来週からガソリン価格が下がりそう。失業率が下がり、前年同期より2%ほども下がった。もう政府もホクホクでしょうね。打つ手が当たってしようがないという感じ。南米で最も信用できる国という評価は最近すっかり定着しましたからね。
失業率は8.5%と1993年以来の低水準に戻り,今年に入って22万人の新規雇用が発生した由。おめでとう。コデルコの9月までの利益は何と2004年1年間の利益を上回ったとか。
それでラゴス大統領の支持率が依然として高いのですね。南米諸国の中でもトップを争う支持率。99年の大統領選挙で、私は彼に投票し、彼の手腕に期待したのですが、その願いどおり発展していくチリと、任期最後の2年間、汚職関連から腐っていくチリの両方を見せられています。もう彼は辞めたほうが良いでしょう。彼の親戚が疑われても最後は司法の手から逃げているようで、まるでピノチェット(とその家族)問題に類似しているのが悲しい。

2)中国との自由貿易協定が実質合意に達したと発表あり。
世界の自由貿易協定の中でチリは42カ国との合意を持ち、その各国の世界総生産に占める割合は42%となり、これは2位のメキシコを抜いて世界1位とのこと。そうかチリはそれだけ世界にその重要性を認識されているのか!じゃ次は日本とですね。


(一般)
1)サンティアゴ新都市交通
さて新交通システムが発足して1週間がたちました。私は情報が足りないと先週書きましたが,同じことを誰かが新聞に投書していました。だってどの路線を新型バスが走り、旧型バスはどうなるのか全く分かりません。私は毎日まだ旧型バスを使っています?

2)整形手術の失敗から意識不明が続いていた女性がとうとう死亡。一方その手術を行った責任を問われ拘置所に入っていたエクアドル人医師は一時釈放になり奥さんとお母さんに囲まれて自分のマンションに戻っていきました。しばらくすればまた手術もやりたいと言っています。責任ってないのかしら。彼はあれは事故です。悪意の犯行ではありませんと繰り返しています。

3)観光
 その1) パイネ国立公園でチェコ人観光客の失火から大被害を受けたのは今年の初めですが、その公園の最近様子がテレビで放映されました。確かに火事の後は全く復旧していません。焼き落ちた木の下に雑草が少しと言う感じで動植物が生き延びられる環境になるにはまだまだかかりそうです。

その2) 本土とチロエ島を結ぶ掛け橋の工事が始まりそうです。チロエ島というと、同じ場所には二度と行かないと言うルールで渡航先を増やしている私には全く珍しいケースでなんと3年連続訪問しています。とにかく気に入っているわけです。まぁ

詳しくは私のHPの旅日記を見てください。工事が年内に開始されるとなんと来年末には開通の予想が出ています。その橋の長さは2600mで今までフェリーで結ばれていたこの島が本土と陸続きになるわけです。

その3) ロビンソン・クルーソ島で見つかったと言われる宝物は全く姿を現しませんが、政府はそれを発見したと発表したロボット操作会社に、天然記念物条約を適応して、見つかった宝物は国のもの、それの提出を拒めば、虚偽の証明罪で逮捕もありうると脅しをかけています・・・


(スポーツ)
1)サッカー  もちろん国際的な話は何もありませんが、チリの話が国際記録になってきています?
1部リーグでトップを走るカトリカは先週まで14試合を終えて無敗で無失点。で、そのキーパーのブルフバシッチは国内連続無失点記録を更新し、現在世界の歴史で5位になっています。あと2分守りきれば世界の歴代4位に浮上とか。
で、今週の試合で、その2分を守りきり世界4位に浮上しましたが、最後でチームは勝ったもののPKを決められ無失点記録は消滅。
しかし良く考えてみれば、こんな記録、全く意味の無いものです。世界最強のフォワードのいるイギリスとかスペインリーグでの数字なら素晴らしいが、ろくなフォワードのいないチリの記録なんて世界で認めてもらえるはずが無い・・・(実際彼は最近の南米カップアメリカやブラジルのチームに得点されている)
まぁカトリカが勝ちつづけてリーグ無敗で優勝でもすれば、それはそれで値打ち物だが。
ところで南米カップでチリで唯一生き残っているカトリカの次の試合は11月に入ってからでした。

2)テニス
  スイスのATP大会でマスはいつものように1回戦で敗退しましたが、ゴンサレスは順調に決勝まで進出しました。で、日曜日の決勝戦, レストランで食事をしながら、目はテレビに向いて、中継を見ていました。きっとチリ中で?私たちのようにゴンサレスの優勝を願っていたと思いますが、やっぱり、フーム、本当に、何と、立派に優勝してくれました。これで世界ランキング13位まで浮上し年末、中国で行われる世界トッププレーヤー大会に出場の可能性が灯りました。


以上