チリの風  その78  04年6月20日―26日

仕事でバルパライソ港に行ったら、貨物船に荷物を積み込むところでしたがジープなどの機械類に大きな字でUNと書かれてありました。ハイチで働くチリ軍向けの資材でした。韓国人がイラクで殺されて大問題になっていますが、チリも日本も、それが自国の問題として認識されていないようです・・・


(政治)
週によっては、これが今週の目玉とすぐに決められるときもありますが、今週は何が重大だったのか、よくわからない週でした。
1)公共事業省の不正事件とそれに関連した裁判官への介入問題が、いよいよ山場にかかったと思ったら、今週は全く動きが無く、介入問題が明らかになるまで不正事件の調査も一時停止とか?良く分かりませんね。
2)順序はわかりませんが、これを2番目にしましょう。ボリビア問題が、進展しています。チリとボリビアの関係ではなく、ボリビア国内で崩壊作業が進んでいます。同国でもっとも発展しているといわれるサンタ・クルス州で大規模な集会が開かれ、同州の自治を要求しています。
それからまだボリビア内で経済活動を行っていたチリ資本が次々に撤退を余儀なくされています。今週はチリ資本家ウレンダがウニオン銀行に持っていた持分をすべて売却しボリビアから撤退しました。
もっともボリビア資本家グループのすべてがこうしたチリ叩きを喜んでいるのではなく、ボリビア政府が不必要にチリ叩きを奨励していると反対声明を出したグループもあります。

3)テロリストのハンガーストライキ
軍事政権時、反政府というのは命がけの仕事だった。実際、何人もの反政府グループメンバーが暗殺されている。今回、政治犯と呼ばれる4名がハンストに入った。政府内で調整し、超法規的釈放を国会に持ち出したところ、大多数の提案は否決されたが、一部、彼らの要求が通り、そのハンストが中止になった。74日の長きに及んだこのハンストで、体重を25キロも落とし、彼らの生命の問題も出ていたので、政府としては一安心。一人でも死んでいたら、政府の責任を追及されるところ。

4)サンティアゴ交通計画
以前この計画がうまくいかないと報告しました。6月30日が応札締切日だったのを9月末に延長。今週それをさらに延長して12月末になるだろうと関係大臣が発表。これでは誰も相手にしなくなるでしょう?


(経済)
1)落ち着いてきました
ガソリンの値段が毎週上がり、ドルの価値が毎週上がって、この先どうなるのかと思わされましたが、ここに来て一段落。ガソリンの値段も最高550ペソだったのが、今週は500ペソを割って493ペソ。
また為替も1ドル650ペソを超えていたのに、今週は634ペソで終了。

2)最低賃金
政府は国会に最低賃金を3.8%アップして12万ペソにするよう国会に提出。一方労働組合側はこれを拒否し、14万5千ペソにするよう要求中(大体2万円ですね)


(一般)
1)セックス
最近、新聞でセックスに関する記事が掲載されることが多くなりました。社会面ではなく家庭欄です。つまり一般問題として考えられているということでしょう。
さて先日、テレビの討論番組で「チリ社会は性的に思春期か」と言うテーマが取り上げられました。性に関し非常に保守的だったチリが、日本ほどではないにせよ、性的に解放されてきたことを取り上げての話題です。登場した一人は、この風潮は一時的なもので、また1,2年したら元のレベルに戻るでしょうと発言しましたが、それはまさに思春期的な状況というわけです。
ところで、最近、新聞にのったその類の記事で面白かったのは、性の充足度は社会レベルの高低に関係しないというものでした。
つまり金持ちがセックスを満喫して、貧乏人は楽しめないのではないということです。やっぱり。

2)アメリカの航空母艦リーガンがバルパライソに入港。世界最大級の軍艦としてニュースに大きく取り上げられましたが、上記の項目に関連して、5千人といわれる乗組員のために、バルパライソだけでなくチリ各地からまたアルゼンチンから売春婦が応援に来て港で並んで出迎えるとか、さすがといおうか、なんと言おうか。

3)政府の役人を逮捕
日本では各地の区役所で、住民の登録をしますが、チリでは政府機関がそれを行っています。で、今回逮捕された3名は、役所で得た個人情報を第三者に流し。その犯罪組織はそれを使って不法に利益を得ていたというもの。
情報化社会ではこの種の犯罪は増えるでしょうね。

4)線路の延長
現在首都サンティアゴから南は第9州のヴィクトリアまで汽車が走っています。これを10州の州都プエルトモンまで390K路線延長をしようとするもの。来年下半期には開業予定。

5)ロビンソン・クルーソ島の冒険
この島の正式名称はフアン・フェルナンデス島です。この島が今から3百年前、ロビンソンの話の舞台になったとされています。そこに今年一人の日本人(高橋大輔さん)がそれと同じような生活をしてみようという計画を立て許可が下りました。どんなことになるのでしょう。

6)インディへナの新年
チリに住む少数民族アイマラ族は21日、新年を祝う行事を実施。大地と太陽の神に祈りをささげました。


(スポーツ)
1)サッカー  
前期リーグの決勝戦が行われていますが、全然盛り上がりません。もう一番がWカップ予選、それからアメリカ・カップとなり国内戦はどうでもよい?と言うことでしょうか。
7月に入ればすぐにアメリカップがペルーで開催。チリ代表は現在カラマで合宿中です。

2)テニス   
イギリスで開催中のATP4大大会ウィンブルドンに出場中のチリ選手は、ゴンサレスだけが勝ち残って3回戦まで行っています。
さてどこまで行くかな?日本も女子選手の活躍が目立ってますが。


追加 以前、チロエ島の巨大にんにくの話を書きました。それについてもう少し詳しい話が聞きたいとの読者の質問があり、詳しい調査を進めてきましたが(嘘、ちょっと聞いただけ)結局、一番目は土壌、二番目は湿気の多い状態が作物の発育をよくすると言うのが結論のようです、にんいくだけでなくトマトなどもサイズの大きなものが出来ています。確かにチロエは雨の多い島で、土壌が常に湿気を含んでいるのは確かなようです この大きさは人間の拳大で味はばっちりでした。  


 以上