チリの風   その79  04年6月27日―7月3日

祝日の21日(月)参院選挙の投票に行ってきました。サンティアゴ日本大使館です。3人の係員が、投票者のくるのを待っていましたが、一日で10人くらいの投票者を待つのは暇で大変な仕事だったでしょう。
日本の政党にはまったく期待が持てないので、投票は・・・にしました。しかし日本も赤字をこのまま放置しておいて良いのでしょうか?

(政治)
今週は例の裁判ざたの2件で発展がありました
1)公共事業省の汚職関連
最高裁判所の長官が、この裁判を受け持っている女性裁判官にいろいろ口を出し、彼女がこれをクレーム文書で最高裁判所に提出したことから、問題がおかしくなっているわけです。確かに彼は政府との関係から、この裁判に関し口を入れたことが確認されてきていますが、その政府との関係とはいったい何を意味するのか発表されていません。まさかラゴス大統領から電話があって、「キミ、これもみ消してくれんかな」と言われたのではないでしょうね。

2)スピニャック子女売春問題
もうすぐ地方自治体の首長選挙があります。バルパライソの区長はキリスト教民主党の人間で圧倒的な強さで過去3回当選し、今回も再選間違いないと言われていました。ところが今週、彼がこの事件に関連して裁判所から呼び出しを受け、風が大逆転。彼は自分はこの事件には全く関連はない。容疑はすぐに晴らせることが出来ると発言しましたが、党から党籍の凍結を打ち出され、このまま政治の世界から消えていくことになりそうです。ところで不思議なのは彼が所属するキ民党から疑問がでたのに、それと敵対する野党のUDIの党首が負けるながんばれと声援?!を送りました。これは彼もその事件で児童売春事件にかかわったと報道され、一時期政治生命が危なかったからでしょう。
ところでその党首は偽の証言をさせたとしてテレビ局を裁判所に訴えました。これに対し裁判所は、その件に関してはすでに裁判官が任命され、調査中だからそれに平行した裁判は認められないと却下しています。

3)ボリビア問題
最近のチリの風で、チリの大統領は他国の大統領より見識があるのではと言うコメントを書きましたが、ボリビアの国情を見ていると大統領に力量が無いのか、あの国では誰が大統領になっても仕事は出来ないのかと思いはじめました。もっとも私は日本人と言ってもチリに住んでいるので、どうしても見方がチリびいきになっている可能性があります。と言うことは、ボリビアに住んでいる日本人がボリビアの風を書けば、チリ人の言っていることは理解不可能だと書くかもしれませんね。
今週の新聞記事で目立ったのは、ボリビア人実業家グループがチリに天然ガスの商売をしたいと言い出したのと、7月に予定されている国民投票をボイコットしようとする動きが強いと言うことでした。
そうでしょうね、チリと商売をして利益を上げたいと言うのは自然な理屈だし、国が正常化するのは困る(混乱の中に置くほうが何かと意見を通しやすい)と考えるグループがいるのでしょうね。


(経済)
1)失業率の増加
突然、失業率が増加したと感じで、3―5月のそれは9.4%となり。2001年の水準に戻ってしまいました。景気の回復が見られるのになぜ失業率が上がったのか専門家の間でも意見が分かれています。

2)コデルコと中国の間で話されている銅山開発の合弁会社に関して今年の11月に調印されそうです。これまで日本資本はチリの銅鉱山にいくつも入っていますが、国営銅公社と組む鉱山はありませんでした。中国の熱意の表れでしょう。


(一般)
1)大雨
チリの南部は2−3日間、雨が降り続き、洪水で村中、町じゅうに被害が続出しています。すでに22000人に被害が出て、道路の補修だけでも500億円の費用がかかると政府の発表。もう死者も出ています

 2)翌日服用の経口避妊剤が裁判所から堕胎剤との認定を受け、販売中止になりました。この裁定に関し、政府を含めたグループが、これは堕胎剤ではなく避妊剤として、再考を要求しており最高裁判所までもつれこみそうです。
医者の新聞への投書で、この薬が避妊剤か堕胎剤かの論争は置いておくとしても、科学の発達によって、避妊剤が開発されたことにより、非科学的な堕胎が縮小し、これによって死亡する母親が減少したことは認められている。今回の判定によって再度、堕胎が増加し、それによって事故死する母体が増えることを懸念する。

3)イキケの漁民が大暴れ
労働時間の厳守を要求する漁民が道路を封鎖し警察と対峙し、大騒ぎ。
彼らのコメントは単に8時間働いたら、休養時間がほしい。漁船で海に出てしまえば、帰港するまで、十分な休養が取れたことが無いとしています。

4)コデルコ銅山の盗難
ちょっと前、同じコデルコ(国営銅公社)のチュキカマタ銅山で製品が盗まれていたと大騒ぎになりましたが、今度は、地下鉱山では世界一の規模を誇るエル・テニエンテ銅山で50トンの銅が盗まれていたのが発覚。今回は犯人グループの持っていた倉庫にしっかり製品が残されていたそうですが、それにしても警備体制はどうなっているのかな?
ちょうど私は今週、この銅山で安全委員会の人たちをあつめて講習会をしていました。テーマは更生タイヤ(リキャップ・タイヤ)の安全性についてでしたが、参加していた課長級の人の中には、業者のトラックをチェックする部門の責任者もいて今ごろ彼は青くなっていることでしょう。


(スポーツ)
1)サッカー 
チリの前期リーグはチリ大学(ラ・ウー)の優勝で終わりました。ちゃんと伝統にのっとり、ファンがサンティアゴの中心地に集まって夜中まで騒いでいました。
さぁ、いよいよ来週からアメリカップ戦です。チリはどこまでいけるかな?初戦はブラジル。これに勝てば・・・


2)テニス 
残念ゴンサレス選手は3回戦で敗れ上位進出はなりませんでした。


以上