チリの風 その999 2022年7月4日-10日

サンティアゴの最低気温がマイナス1度迄下がりました。ホームレスの人には厳しい状況です。昨年は全国で約2万人、今年はそれより増加しているだろうとのこと。今週から公共機関が、彼らを収容する施設を用意しました。そこに行くと夕食を出してもらって、ゆっくり眠れますね。今の所、凍死者は出ていませんが、その寸前で入院した人は数名とか。
もちろんホームレスの人だけでなく、不正建築をしている簡易家屋の人たちも強い雨風が家に入り通常の生活ができない状況です。サンティアゴには7百万人ほどが生活していますから、それぞれの暮らしは大きく異なります。
悪天候は首都圏だけでなく各地に起きています。チリとアルゼンチンのアンデス山脈の国境地区で多くのトラック・バス・乗用車が吹雪で動けなくなり、数十名が軍隊に救助されました。チリ南部でも雪で山奥の幾つかの村が通行不能になっているとか。

今週、首都圏は水曜・金曜・土曜・日曜日と4日も雨になりました。その50ミリほどの雨で、あちこちで水による被害が出ています。来週も何日も雨の予報です。
土曜日の登山教室・日曜日の仲間とのマラソン練習は中止になりました。その前に一人で走りましたが、10キロは無理でした。もちろんそれでも満足です。
安倍元首相が暗殺されたニュースが大きく報道されています。アメリカでは銃殺事件は日常茶飯事ですが、日本ではそんな事件はないと思っていました。日本も変わりましたね。

(政治)

1)ボリッチ動向
大統領府の大統領の動向報告ですが、火曜日に中高年ツァーが久しぶりに開始され、その最初の汽車の旅に彼も同行したとか。昔、バチェレットが大統領だった時、彼女は政治的にはパッとしませんでしたが庶民と楽しく交流する様子が頻繁に報道されました。ボリッチもその路線を歩くのかな?
その汽車に乗ったニュースがなんと日曜日までトップで継続。じゃ今週はそれより大事な仕事はしなかったのかな?
2)新憲法委員会
 9月4日の投票に向けて賛否の両グループが活動を始めました。
もっとも多くの国民は賛否を唱えていても、過半数の人は新憲法をちゃんと読んでいないとされてます。私も読んでいませんが、私の語学力では憲法案を読みこなすのは無理です。
単語も言い回しも良く分かりません。実力不足ですね。
しかし揉めているのはキリスト教民主党DCです。党としては賛成に回るようですが、旧党首など主要メンバーの多くが反対に回っています。私はそれで党が2分し、野党と与党に分かれるのではと想像しましたが、そこまではまだ行っていません。その党員で元大統領のフレイは反対を表明しています。
そして元大統領のラゴスも新憲法は自分と意見が一致しないところがあるとコメント。それで彼ら二人は新憲法委員会の閉会式に参加を拒んだのですね。
新聞の特集で、民政化して以来の中道左派政権の時の大臣一人一人に賛否を問いかけたところ、50.3%が賛成とか。賛否がぴったり半々なのですね。与党側は賛成と言うのは間違いですね。
ところで、憲法は軍事政権が作成したものではなく、自分たちの手で作ろうとこの委員会が発足したのですが、うまく行かなかったようです。9月4日の投票はどうなるでしょう。
その後、右翼も左翼も陣営の再建築の問題が待っています。
さて日本では外人が作った憲法をいまだに大事に守っていますね。チリと大きな違いがあります。

(経済)

1)物価上昇率IPCとインフレ
 6月のIPCは0.9%、過去12か月で12.5%になっています。その12.5%は過去28年で最高とか。現状はそこまでひどいのです。
 給料は上がっていますが、物価上昇率より低いので実質賃金は下がっているとか。日本も同じようですね。
 つまり物価上昇を抑えるのが、緊急の課題になっています。ガソリン価格は、その動きを原油市場・為替に直接反映させず、政府機関のクッションを通してコントロールしています。
 それで今まで週に5,6ペソの上昇・下降が通常でした。ところが今週はそれが一気に跳ね上がって20ペソ高になりました。ドライバーが怒っています。政府は何を考えているのだと。
 でも不思議ですね、ほんの少し前に政府の金をつぎ込んで価格の安定を図ると発表しているのにボリッチは何をしているのかな?
 ボリッチ大統領を支持しないとする市民が今週は60%まで上昇です。
 野党の右翼が、政府の側に立って市民の援助をしたいのでガソリン税の一部を下げる・無くす案を出してほしいと発表しました。マプチェ問題と同じくボリッチは野党と組んでいるみたいですね。
 何か手を打てるのかな?
2)銅価格と為替 
 1ポンド3.53ドルとまだ下がっていきます。今週、為替が一時期1ドル1000ペソを超え、大騒ぎでした。恐慌とさえ言えそうでした。それがやや収まり金曜日は公式には960ペソ、一般的には974ペソで閉めました。これに関し、政府側が中銀にどうして適切な介入をしないのかとクレームしているらしい。
 そのペソ安が、輸入品の価格を上げているわけですね
もっとも農産物の輸出業者はこのペソ安で、ニッコリと言う記事が掲載されました。雨が少ないので生産が上がらず、コストが上がったので今年は軒並み赤字と言われていました。
 それがこのペソ安で・・・、神風ですね。

(一般)

1)コロナ問題
 毎週同じです。毎日1万人ほどの感染者が出ているのに大騒ぎにはなりません。感染率も15%ほどと高いレベルが継続です。大騒ぎする必要はないのかな?
2)マプチェ問題
 先週、軍隊駐在案を国会が認めましたが、政府をそれをさらに15日延長するようよう要求とか。全く理解できませんね。
 その無駄な動きを止め、一度で3か月、認証すればよいのでは???
 しかし今週も各地でマプチェグループの攻撃があり、多くの施設・車両が破壊されました。森林地区での盗伐も継続ですが。どうしてそれだけの組織を持つマプチェのグループを
 監督・把握できないのでしょうか。小さな町で何も仕事をせずに生き延びている若者がいれば、その人はグループに関連している可能性が大きいですからね。

 先週のチリの風を読んだ読者から次のコメントが来ました。
「警察力で国内治安を維持できないのであればそれはもう非常事態です。
 軍事力導入での治安回復は、右傾化ではなく、左翼政権の優柔不断さが過激派を増長させた結果です」
 私は政治家は右も左も同じようなものだと最近思っていますが、読者のコメントはどう思われますか。
 3年前、ピニェラ政権を潰すための大規模デモが起きましたが、その暴力デモを起こしたのはボリッチなどの新左翼でした。

(スポーツ)

1)サッカー
南米カップに参加したコロコロとカトリカは、敵地のブラジルに渡りました。そして両チームとも4対1で惨めに負け、カップ戦から外れました。
国内リーグ戦の人気チームの結果は、コロコロは勝利、チリ大学は引き分け。カトリカは明日です。コロコロは首位を維持しています。
2)テニス
ウィンブルドン大会でベスト16に入ったガリンは月曜日にも勝ってベスト8へ。これはもしかすると決勝までと思わされましたが、そこまで。ベスト4には届きませんでした。

以上

チリの風 その998 2022年6月27日ー7月3日

7月です。今年も後半に入りました。チリのニュースで東京は150年ぶりの暑さと報道されました。厳しいですね。
サンティアゴの冬は最低気温は0度ほどでそれほど厳しいことはありません。さて今週の天気予報は少し当たって月曜と金曜日が雨でした。
金曜日は20ミリの雨だったので、土曜日のサッカー教室は中止になりました。たまには運が悪いことも起きます。私の部屋の窓から見えるアプマンケ山は雪をかぶっています。
登山は軽くカランの丘歩きをしました。
ところでマラソンはもう駄目です。昔、会社員をしている時、4月のサンティアゴ・マラソンでフルを走っていました。その頃、仕事を終えて家に戻ってきて、時間がないから軽く10キロを走ろうとしていたのですが、今ではその10キロを走るのが困難です。今週は何とか完走しましたが。いつまで続くか心配です。
いつも同じことを書いていますが、それは昔の思い出が忘れられない老人症の特徴ですね。まぁ、仕方ないですが。
それでも友人を呼んで食事を一緒にしたり、嫁さんと買い物に出かけたり日常生活を楽しんでいます。

(政治)

1)ボリッチ動向
今週はチリ最北端のアリカ・パリナコタ州を訪問しました。その地区は隣国から不法に移民が入ってくる問題が長い間続いています。その移民が犯罪集団になって同地区の安全に大きな影響を与えているとか。そこでマプチェの問題対策と同じようにそこにも軍隊を駐屯させれば良いのではと言うアイデアが出ています。その凶悪集団がアリカの後ろの丘に違法建設をして住み着いているようです。素人の私の考えでは、その一軒一軒を訪ねて違法建設を確認するのと、そこの住民の身分証明書を調べれば、大半はチリ人でしょうが、移民の違法入国問題が分かりますから、犯罪歴によって刑務所に収容するか国外追放にすれば、そのグループは消滅すると思いますがどうでしょう。チリで活動する外国の3大麻薬グループはメキシコのハリスコとシナロア、それにべネスエラから来た「アラグアの汽車」と呼ばれるグループです。
その違法建設に関連して、ボリッチは今日、日曜日にモネダ宮殿で,記者を前に、貧困層の人の住居を用意したいとしました。彼の4年間の任期の間に26万軒の家を建てて市民に渡すとか。うまく行くでしょうか?
ボリッチはマプチェのアラウカニア州も近いうちに訪問するとしています。
そこは今週、国会で軍隊の駐屯をさらに15日間の追加が認められましたが、森林会社に銃を持った覆面グループが入り込み、従業員に発砲し、重機・トラックに放火しました。
軍隊を置いても犯罪行為は無くなりません。警察や軍隊が治安を維持できないことが、他の犯罪グループには励ましになって??チリの治安が悪化する一方です。
国際問題では、ボリッチはウクライナのゼレンスキー大統領と電話で話し、チリも彼らに協力したいと伝えたとか。

さて問題の新税制に関し、メルセル大蔵大臣は過去の9名の大蔵大臣と会談し、彼らのコメント聞きました。
その後、ボリッチは新税制を発表しましたが、ロイヤリティ税など鉱山関係の企業関連の他に、所得税としては人口の3%、所得が4百万ペソ以上の人がその増税の対象になるとか。また投資のためにマンションを買いそれを貸し出している人にも新税制では税金を払うように指示します。
ところで新税制システムの目標は合計でGDPの4.1%、120億ドルです。
大蔵大臣はこの新税制は新規投資を抑えることはないとしました。国会で議論が始まります。

先日、大きな問題になったコデルコのベンタナス精錬所が、1か月の停止期間を終え、許可をもらって再操業開始。全面停止までまだまだ問題が続きそうです。同地区の区長が私たちには全く事前の相談もなく、一方的に操業再開するのはどういうことか。5年で完全に閉めると言うなら4年11か月は操業の権利があるとでもいうのかと怒っています。
2)新憲法委員会
とうとうすべての議論を終えました。委員はこれで職務を終え、7月4日の閉会式の後に自宅に戻る(失業する)ことになります。その日、委員会はボリッチ大統領に新憲法案を手渡すことになるわけです。この後、新憲法是非の運動が始まります。
どっちが勝っても社会騒乱が起きると言う予想です。
新聞の社説に、同委員会が発足した時の熱気は消えてしまった。委員会の運営方法、そして委員の素質に問題があり、国民の共感を得られなかったと厳しいコメントが掲載されました。

(経済)

1)経済成長率
 中銀発表の月例指数が発表されました。5月の数字は前年対比6.4%の上昇でした。昨年3月以来ずっと上昇が継続しています。もっとも5月の上がり方は4月のそれより低かったので風が変わって来たのかと言われます。つまり今年の第2四半期は第1四半期より数字が下がりそうです。

2)銅価格と為替
 銅の価格は6月は13.2%も下がりました。6月30日は3.74ドルでした。7月1日はさらに下がって3.62ドルでした。
 それから6月のチリの対ドルペソの下落は世界で2番目とか。1ドル920ペソでした。3月28日は780ペソでしたから、わずかの期間にそれだけ落ち込んだわけですね。
 7月になって1日はさらに下がって932ペソ。どこまで落ち込むのでしょう。
3)株式市場IPSA
6月は4993ポイントで終わりましたが、月半ば5500ポイントほどまで上がっています。今年になてから1-6月で14.9%の上昇ですから、株に投資をしている人はニッコリですね。

(一般)

1)コロナ問題
今週も1万人以上の新規感染者が出ていますが、ほとんど大きな問題にはなっていません。もう慣れてしまったのでしょうね。
それで良いのか、また緊急病室が不足するとかの問題が出るのか分かりませんが。
 
2)雨量
 6月は一月で20ミリの雨しか降らず、過去20年で2番目に低い数字でした。(年平均は80ミリです)
 この乾燥状態がどうなるかは生活に大きな影響を与えることになります。7月1日の雨は少しは問題軽減になりそうですが。
 その日、首都圏のあちこちで水があふれ車の運行に支障が出ました。雨が降らないと困りますが。雨が降ると困るわけです。
 道路が冠水した所で、女性が靴を脱ぎ、はだしで道の反対側に渡るのがニュースに出ました。冷たかったでしょう。
3)冬休み
 今週から学校は冬休みに入りました。金曜日はかなりの雨だったのに、バスターミナルに多くの乗客が詰めかけました。200キロ以上離れた場所に移動するには移動パスが必要です。それは既に4回のワクチンを接種したと言う証明書です。それを携帯電話に入れて必要なときに係員に見せるわけです。ちゃんと機能しています。

(スポーツ)

1)サッカー
チーム別の南米カップに出ているコロコロとカトリカは、今週ホームでそれぞれがブラジルチームと対戦しコロコロは勝利、カトリカは敗戦でした。
国内リーグ戦は16ゲームが終わりました。今週の結果はカトリカとチリ大学は勝利、コロコロは引き分けでした。そして順位は首位はコロコロです。カトリカは8位、チリ大学は11位です。
2)テニス
イギリスのウィンブルドン大会に参加しているガリンは3回戦を勝ち抜き、ベスト16に入りました。明日、ベスト8への試合があります。
ATP43位ですが、この大会を勝ち進めばランクがぐっと上がりますね。


以上

チリの風 その997 2022年6月20日―26日

この木曜日、かなりの雨が降ったサンティアゴです。雨の中、傘をさして買い物に出ました。別に雨がやんでからでも良かったのですがたまには雨の中を歩いてみたかったからです。来週は3日も雨が降る予想です。さて冬至の日が過ぎました。これから毎日少しづつ日が伸びますね。
来週の月曜日がカトリックの祝日になったので、3連休として首都圏からこの週末、郊外に多くの車・人が出てゆきました。

金曜日、久しぶりに大使館に行きました。選挙の投票です。しかし日本は変わっていますね。ネットを使えば瞬時に投票が出来るのに投票用紙を郵送するのですから。そのうち世界で日本だけ取り残されるのでは??
山歩きは、仲間と一緒に石塔へ。近くの丘に上がってから下に降りる冒険コースでした。雨の後だったので、サンティアゴの街が遠くまでくっきり見えました。
ラソンもいつものように週日一人で10キロ、日曜日は仲間と走りました。
このほかにも毎日のように、用事・仕事があって面白かったです。
いつものように幸せな毎日でした。

(政治)

1)ボリッチ動向
コデルコのスト突入と終焉
 コデルコの労働者がストに入ったので、毎日、多くの金が失われると言われました。なんでも一日当たり何百万ドルになるだろうとか。そんなに?
精錬所の労働者グループの代表は共産党員でした。共産党は現政権で与党側ですが、労働者のリーダーになるのは得意ですからね。
今まで、こういうストは数週間、ひどい時は何か月も続きましたが、今回は何と1週間にもならず終焉。どういう合意事項があったのか良く報道されませんが、全く不思議な終焉方法でした。
新聞の社説にこれに関してベンタナス精錬所完全封鎖を実施するための、事前の政府の準備が不自由分だったことが明白だと厳しいコメントが書かれました。
その精錬所は、独立した1部門ですが、採算が悪く、毎年赤字でした。このため精錬所を閉めるアイデアが2011、2015,2019年に出ています。
つまり今回は4回目です。それだけ効率の悪い、そして大気汚染のひどい工場を維持していく必要はないですね。
しかしストに入った労働者の
声はコデルコ幹部やボリッチ大統領より大きかったわけです。どうしてストが解決したか、その内、秘密が漏れてくるでしょう。

それから労働時間を週40時間とすることを政府案にして、国会に送ります。
新税制は7月1日に政府案が発表されますが、それに先立ってマルセル大蔵大臣は過去の大蔵大臣と会談する予定とか。プロの意見を聞くのは大事ですよね。
社員で所得税を払っている人は過去16年で16%から25%に上がっています。
マプチェに関しては、一向に状況は良くなりませんが、また国会に軍隊駐屯案の承認を要求しました。素人の私には何故その期間が15日で、頻繁に延長するのか分かりません。少なくとも3か月にすれば、6回分になりますからね。最右翼のUDI党の議員が、「私たちは政府案を承認するからボリッチは、仲間の人間の説得を図る必要がありますね」と馬鹿にしていました。
世論調査でボリッチを支持するは25%、不支持は44%でした。もういつもの数字ですね。

2)新憲法委員会
与党グループのキリスト教民主党DCの元党首9名が新憲法の是非について各自の自由にさせたいと発表し揉めています。普通、党として賛成反対を明白にするものですが、これに関して党が二つに分かれているわけです。党員の一部が新憲法反対のグループを作って行動し始めました。
そうそう委員会の最終日に元大統領を全員招待しましたが、4人が全員出席を拒否しました。何かその裏にあるのですね。
来週に新憲法委員会の全行程が終わります。なぜか、お疲れさまでしたと言う気にならないのですが。
鉱山関連の新憲法案に関し討論会がありましたが、委員がチリや世界の実情をちゃんと理解しているのか心配です。
世論調査では新憲法を拒否する人の方が認証すると言う人より多くなっています。9月4日の投票の結果が、どうなっても社会騒乱が起きるだろう予想されています。

(経済)

1)銅価格と為替
銅の価格はポンド当たり3.75ドルと先週から10%も下がりました。2021年12月以来の最低の数字です。
このため今週は対ドルでペソが大きく落ち込み、1週間で41ペソも下がりました。この数字は2009年以来の大きな落ち込みです。
為替は1ドル918ペソになりました。それは歴史上初めての記録です。中銀は手持ちのドルを売って、この動きを抑えるらしい。
この先どうなるのか極めて不安定な状況が続きそう。
このため輸入品が多い肉などの値段が上がり、消費者物価指数はまた大幅アップになりそうです。

(一般)

1)コロナ問題
 今週も一日の新規感染者数が1万人を超えました。ピニェラの時は厚生大臣がテレビの番組で感染者数について発表・解説をしていましたが、ボリッチになってそれは無くなりました。1万人を超えると大騒ぎをした感染者数が今ではほとんど取り上げられません。余裕が出てきたのか、5次の波でもう慣れてしまったかのようです。金曜日も土曜日も新規感染率が17%台と104日ぶりの高い数字でしたが、厚生省はそれほど驚かなったようです???

2)犯罪の増加
サンティアゴの大規模集会場で行われていた数千人が参加したパーティの途中、銃の発砲があり、4名の負傷者が出ました。その他に、街のディスコでも発砲事件があり負傷者が出ました。
なんだかアメリカ合衆国のようですね。
ボリッチが銃の所持を禁止する法案を用意していますが、それに抗議するデモがありました。国内で正規に販売された銃器が犯罪に使用されたとは報道されていない。つまり不正に入った銃器、もしくは盗難されたものが犯罪に使われているわけで、正規のルートを無視する・廃棄すると言うのは過ちとしています。どうでしょう。

(スポーツ)

1)サッカー
1部リーグと2部リーグの全チームが当たるチリカップで、コロコロとカトリカは勝って、準々決勝に進みました。私の予想ではそのどちらかが優勝するでしょう。もう一つの人気チーム、チリ大学は明日に試合が予定されています。


以上

チリの風 その996 2022年6月13日-19日

いつものように今週も楽しく忙しかったです。
山歩きは近くのサン・ラモン公園に行って、川のせせらぎを聞きながら歩きました。
それからカホン・デル・マイポ渓谷に行きました。地下鉄とバスを乗り継いで、2時間かけてその渓谷の中心にある町サン・ホセに着きました。そこから近くの丘に歩き、麓歩きを楽しみました。
土曜日のサッカー教室は大人・子ども合わせて十数名の参加者で実施。少し肌寒い日でしたが、楽しくプレーしました。体力では劣っても小さな子供が大きな兄ちゃんと同じ技術を持っているのが楽しいです。
日曜日のマラソン練習も仲間と楽しく走りました。出発の9時は気温9度ほどでしたが、走り始めるとポカポカするのが面白い。
今日は父の日だったので午後、娘がカップルでお菓子をもって挨拶に来てくれました。ありがとう。
静脈血栓症の薬の効果を調べる血液検査をするため病院に行きましたが、結果はばっちり。死ぬまで薬を飲みますが、血栓症で死ぬことはなさそうです。
こうして毎日幸せです。

来週火曜日が祝日なので、月曜日を休みにすると4連休。20万台の車が首都圏から郊外に出て行きました。
今週は晴れの日が少なくどんよりとした冬の日が続きました。
ただ予想と違って雨は降りませんでした。来週はかなりの雨の様子。予報が当たるかな?

(政治)

1)ボリッチ動向
最初の4日間、体調が悪いと自宅勤務をしました。しかし最後の金曜日は大活躍でした。先ず、モネダ宮殿で新税制について演説しましたが、この新税制は誰かを敵にすると言うのではなく、公正に全ての企業に適応するよう改正したいとしました。
その後、先週話題になった第5州の大気汚染問題で、コデルコが所有する精錬所を閉鎖すると発表しました。
「同地区にある10数か所の工場が大気汚染の源泉になっている。それは50年も前から継続している。つまりその間、時の政府は大気汚染の問題より産業開発の方が重要だと判断したわけだ。しかし私たちは違う。この問題で同地区の住民が病気になり、大気汚染指数が発表されると、近くの学校の授業が中止になると言うのは認めがたい。従ってコデルコ銅公社が所有する精錬所を段階的に封鎖することにした。しかし同工場で働く従業員を解雇するつもりはない。彼らとその家族に問題が起きないよう考慮して新政策を実施する」としました。その日の午前中に同社のダイレクター会議が行われ、「我々はチリを代表する企業だ。また世界最大級の銅会社だ。それが市民に与える問題を抑えることが出来ないのは恥になる」とし、同精錬所を永久に閉めることにしたもの。
同工場の労組は同市の道路を封鎖して、反対の動きをしています。全国的に政府案に反対するデモを実施するとしています。しかしボリッチの提案は大気汚染を防ぎ、そのために起きるだろう社員の解雇は認めないとするわけですから、立派なものです。
完全封鎖迄5年と言われますから、その間に同精錬所で行っていた作業を他の地区に移し、その新工場は汚染を出さない(もしくは少なくする)で現状より良くなるわけでしょうね。そこで仕事が見つかれば社員の問題はほとんどでないでしょう。
この問題は4年前、大問題になりましたが、ピニェラは各企業への政府の検査を入れるとあやふやな結論で終え、結局、改善はされませんでした。
そのコデルコの精錬所は最近、運転を止めていたそうですが、同地区の汚染度はあまり変化がなかったとか。つまり、コデルコ以外の15社の方が汚染指数が高いのでしょうね。彼らは汚染縮小のために何をするか発表していません。

今日の新聞に就任100日のボリッチの試行錯誤として10の疑問点が書かれました。就任する前、ピニェラ政権の反政府側だったわけで、そのころの彼の言動と現在がどう違うかの10の事項が書かれています。まず警察で、3年前の社会騒乱以来、警察はデモ隊に襲い掛かると言うコメントをしていましたが、今では警察はしっかり仕事をしていると評価を変えました。マプチェ問題で現地の安全確保に軍隊を使用していますが、それも昔は反対していました。厚生年金の引き戻しも昔は賛成でしたが、今は反対。移動パスも意味はないとしていたのに、今は4回目のワクチンを打っていないと移動パスが無効になると方向転換。その他の件も入れて、就任後は通常の人間になったようです。
2)新憲法委員会
憲法委員会の最後の日に前・元大統領を招いて記念式典を催すようですが、4人の招待大統領の中で2人は招待を断りました。いろんな考え方があるわけですね。

(経済)

1)銅価格と為替
1ポンド当たり4.13ドルとこの1月で最も低い数字になりました。それに関連して為替も大きく動き、1ドルが870ペソで終えました。しかし週日に877ペソと過去最高の数字にまでなっています。
少し前、3月30日は777ペソでしたから、わずか2か月と少しで100ペソも下がっています。
インフレがひどいと言うのは、毎週の話題になっていますが、そのため、今年は貧困層の比率が拡大しそうとか。今まで段階的に減少していたのですが。
2)最低賃金
国際機関の発表で世界の数字を比較した所、チリは下から6番目の酷いランクでした。1時間当たり3.3ドルです。ペソが弱くなるとこの数字が下がるわけです。
8月から最低賃金がかなり上がりますから、次回の発表時にはもう少し良いところになるでしょう。一番低いのはメキシコ、そしてブラジル、ロシアでした。
日本は19位で8.2ドルとか。
同じようですが、国際競争力ランクでチリは64か国中、45位になりました。一番良かったのは2005年で19位でした。世界で19位なんて素晴らしい感じですが、政治・経済の混乱から競争力が低下していったのですね。またいつか上に上れるかな?

(一般)

1)コロナ問題
 金曜日12111人の新規患者が出て、最近数か月で最大の数字。昨年、自宅待機令が出ましたが、その時の患者数を上回っています。今年はその自宅待機令は全国の
どこにも出ていません。つまりピニェラ政権の時は危機状況だったのが、現政権ではまだ許容範囲としているわけです。もちろん私は自宅待機に戻りたいとは思いませんが。毎週、患者数が増えているのは心配ですね。
猿菌と呼ばれる新しい病気にかかった最初のチリ人が見つかりました。その人は欧州から戻って来たとか。21日間、入院します。発熱、背中の痛みが目立つとか。それが新しいパンデミックになりませんよう祈ります。
コロナ問題など病気に関連して、この冬休みを大きく変更します。冬休みの開始を早め、期間を長くします。子供は大喜びと言う雰囲気はありませんが。

2)マプチェ問題
先週の動きは緊張感が上限まで達したと言う感じでしたが、今週も変わりません。ボリッチは軍隊派遣の延期を要請し、国会がこれを承認しました。普通、政府案は与党がイエス、野党がノーとするのですが、この案件では逆で、右翼の野党は全部、賛成で、与党は賛否に分かれました。共産党新左翼は軍隊を使用すると言うのに違和感があり、軍隊を中心にするこの法案は認められないとするわけです。
今週も、マプチェなどの反政府運動は活発に行われ、重機・家屋への放火は日常茶飯事になっています。

(スポーツ)

1)サッカー 
チリ代表チームは3連敗でアジア遠征を終えました。黄金時代と呼ばれるアメリカップ2連勝の代表選手は今回は全部外し、(一人だけ残っていましたが)若手を起用しました。つまり今回負けても2,3年後にまた高いレベルになれると言う計画です。そうなれば良いのですが。
以前、私と一緒にマラソン練習をしていた友人からメールが入り、チリ対チュニジア戦を神戸に見にいったとか。応援のため、ちゃんとチリのユニフォームを着て。
うれしいです、チリのイメージが日本人の心に残っているのが。
国内リーグ戦は来月までお休みですが、それとは別のチリカップ戦が始まりました。それは1部2部リーグのチームが参加するもので、ホーム・アウェーの2試合です決まります。
今週の人気チームの結果はコロコロは引き分け、カトリカとチリ大学は勝利でした。


以上

チリの風 その995 2022年6月6日―12日

先週は曇った日が続きましたが、今週は太陽がさして最高気温20度ほどになり秋晴れの雰囲気。
陽の当たるベランダに座り、ゆっくり本を読むのは最高の贅沢です。もっとも天気予報では来週は再度、元に戻って曇り・雨の日が続くとか。
土曜日、登山教室がありました。絶好の登山日和に恵まれ、10名で第1展望台に登りました。

意外とスモッグが少なく、きれいな街を見下ろす展望台に着いたのは全員の喜びでした。
ラソンもいつもの通り、週日は一人で10キロ、週末は仲間と楽しく走っています。
今週のトピックとしては準備が整ってきた日本の歴史の事を近くの四つの学校で登録(?)しました。ある学校の教頭の前で、少し話をすると、もっと聞いてみたいと言われました。先方からいつか依頼が来るでしょうね。日曜日の昼食は仲間と楽しく。今日は仲間が料理を作ってくれました。ありがとう。
こうして毎日、いろんなことが出来るのがうれしいです。

(政治)

1)ボリッチ動向
 私の先週の予想が当たって、彼の年次教書が良い印象を与えたようです。6月の世論調査で彼を支持するは44%まで上がり、不支持は47%に下がりました。
 その教書ですが、68%の人が教書の発表を見たらしい。そしてその内63%はそれを評価するとしました。その数字は2014年の時以来の高い数字。
ボリッチの人気が上になったわけですね。
ところが、その後の政府機関の世論調査は全く逆の結果が出ました。
ボリッチを支持するは32%にしかならず、民主化が始まってから最低の数字でした。国民の多数が、社会の安全・経済の安定を現行政権は実施できないと悲観的です。内閣の中では大蔵大臣がトップの評価を受け、逆に大統領に次ぐ内務大臣が低い評価を受けています。

さてボリッチの北米出張ですが、先ずカナダでトルードウ首相と会談して、同国の安全体制が隣国アメリカと全く違って堅固なのを評価し、カナダの銃の所持の仕組みをチリも学びたいとしました。
翌日、アメリカに入り米州首脳会談に出席しましたが、その前にロス・アンジェルスの区長と面談。水不足から来る問題を話し合いました。両者ともその問題を抱えています。
さらに起業家と会議をしました。彼は「チリでは右翼から左翼に政権が変わったが、皆さんの企業に与える影響はありません。皆さんの権利は全く不動です。
税務問題とか自然保護などの問題で関係省庁が連絡してくることは考えられますが、それは各省庁の動きで、責任は政府ではありません」
彼は「世界はチリを必要とする。そしてチリも世界が必要だ」としました。
その首脳会議に関しては良かった・大きな成果はないと評価が分かれていますが、ボリッチには初めての各国首脳とのコンタクトで値打ちはあったと思われます。その後、バイデン大統領と少し面談しました。
この北米外遊で、彼は英語とフランス語を使って面談しました。会談出席者の中の男性でネクタイを締めていなかったのは彼だけです。
2)新憲法委員会
 ボリッチの件と同じく新憲法を承認するはアップして42%、拒否するは下がって45%になりました。ほとんど互角の勝負ですね。9月まで緊張は継続です。
右翼側はもし否決が勝つとすれば、私たちは現行憲法の一部改訂を提案したいと余裕を見せています。

(経済)

1)公定金利の上昇
中銀の発表で再度金利が上がり9%になりました。昨年12月は4%でしたから、短期間に極端な上昇をしたことが分かります。
5月のIPCが再度大きく上昇していますから、物価上昇と金利の上昇が競っています??
その物価上昇率は1.2‘%、過去12か月で11.5%と高めで動きません。
このため、物価上昇率が賃金上昇を上回り、今月は実質賃金が下がりました。
2)銅価格と為替 1ポンド4.33ドルと高値安定、為替は1ドル827ペソとややペソ安になりました。

(一般)

1)コロナ問題
 木金と二日続けて新規感染者数は11000人を超えました。土曜日も10600人とほぼ同じ。陽性患者総数は47000人と3月以来の高い数字になりました。
 現内務大臣はピニェラの時代は医師協会の会長をしていて、政府のコロナ対策が適切ではないと批判していました。彼女が政治を動かすようになったら、適切な指示を厚生大臣に出していないようです。感染をどう抑えるか政府案は全く出ません。もっとも市民も緊張している様子は全くありません。慣れてしまったの?

2)マプチェ問題
 毎週、同じですね。今週もカニェテなどで放火事件が継続。死亡者も出ています。ビオビオ・アラウカニア州(第8,9州)の各地で市長・町長が脅されていると報道されました。
 コントロールができないわけですね。森林地区でトラックや重機に放火され、軽四輪車が盗まれるる事件が毎日続いています。
今日の新聞に「消えかかった町の明かり」として第9州のカピタン・パステネスの特集が組まれました。20世紀の初めにイタリア人の移民が住み着いた町です。イタリアの雰囲気で人気があったのですが、今では誰も来ません。以前はイタリア系とマプチェは友好な関係でしたが、今ではマプチェが移民の子孫の車に銃弾を浴びせ、出て行け侵入者と言うとか。
 コロンビアのゲリラ組織が同国の領土の一部を占拠していましたが、チリでも同じようなことが起きているわけです。
 ボリッチ政権は彼らとの会話が必要だとし、内務大臣がアラウカニア州を訪問しましたが、全く誰とも会えないで首都に逃げてきました。ボリッチもそこには行けません。
 政府は3回目の軍隊駐屯案を国会が承認するよう要求中です。これに関して前政権の内務大臣がどうしてこの案を犯罪が抑えられない首都圏にも運用しないのかとコメントしています。

 さてマプチェの最大勢力のCAMの創始者がテレビのマイクの前で、彼らの信条を語りました。その中で学校の占拠案(彼らの管轄に置く)も出ました。
 もし彼が国会を訪問して、下記のように話せばどんな反応があるでしょう?
 「私はマプチェを代表してここに来ている。私は君たち全員を刑務所に送り込みたい。君たちがマプチェにおこなったことの責任を取らせるためだ。チリが独立した時アラウカニアはチリの領土ではなかった。しかし君たちは一方的に侵入し私たちの領土を奪い、住民を殺害した。その時、政府は会話が大事だと言ったか?
 ノーだ。国会は暴力はいけないと言ったか?ノーだ。
 私たちが森林会社の土地から材木を盗んでいると君たち喚くが、ここは私たちの領土だから、盗んでいるのではない。
 私たちが麻薬を扱っていると君たちは批判してくるが、君たちが銃で私たちを攻撃してくるのをどう防げばよいのか?私たちも銃で防衛する必要がある。
 君たちの銃は国税から費用が出るが私たちには税金は回ってこないから銃を購入する費用を自分たちで出す必要がある。
 税金を回してくれるなら麻薬を扱う必要はない。
 私たちはマプチェの領土に入ってきている君たちを追い払いたいのだ。のんびりとあの昔の頃のようにマプチェの生活を送りたいのだ。
 君たちの狂った頭を正常化したいのだ。君たちも私の言う事実を真摯に考慮し、一方的な考え方でマプチェを攻撃するのは止めてほしい」
 もちろん、これは私の発想ですが、これが発表されれば、世界中でマプチェ問題が取り上げられるでしょうね。
 
 いつも付加として出していますが、高校生の暴力デモも継続で、その内の一つとして有名な高校INBAの校長室に火がつけられました。その学校は授業が停止になっています。またイタリア広場のデモも金曜日にあり、交通が遮断しました。全く進展・改善がありません。
3)観光
 パタゴニアの最も有名な観光地はプエルトナタレスにあります。そこにサーモン業界が進出し、自然破壊の問題が出ています。
 養殖が全部悪いと言うことはないし、全部問題ないと言うこともありません。つまり今、そこで自然汚染が起きているなら現在そこで操業している会社に適切な指示を出すべきです。操業停止ではなく改善指示ですね。市民は観光が大事なのはわかっているが、サーモン関連でかなりの人が仕事を得ているのは喜ばしいと養殖廃止には反対しています。
4)大気汚染問題
 またキンテロなどで大気汚染問題が起こり、多くの住民の生活に影響が出ています。学校も授業が止まっています。ピニェラの時に大問題になった同じ地区です。
 その近くの数社の企業が石炭火力発電や化学薬品などを使用した操業をしており、問題の本質は既に明白のはずですが、問題が再燃しました。
 その頃、反政府だった新左翼は政府は企業の側に立って市民の健康を守るために企業の行動を抑えることをしないと批判しましたが、今こそ自由に企業を規制してほしいです。
 新聞にこの大気汚染問題は3月に始まっているのに政府は何ら対策を取ろうとしなかったとされています。右も左も政治家は同じですね。

(スポーツ)

1)サッカー
アジア訪問中のチリ代表チームは先ず韓国で同チームと対戦。0対2で軽く負けました。その後日本に入り、対チュニジア戦。朝3時の試合だったので実況は見られませんでしたが、昼頃、その試合を見ました。敵のゴールが取り消しになったり(日本人審判のエラー)、チリがPKを失敗したりしましたが、結局前戦と同じ0対2の敗戦。
チリがアメリカップで連勝した時、ブラジルやアルゼンチンにも負けませんでした。その頃はアジアやアフリカのチームに負けるのは考えられませんでしたが今では全く勝ち目がありません。その黄金の世代の選手で、今回の遠征でプレーしているのは一人だけです。
10代の選手がこの試合に出ていましたが、後2・3年で彼らがチリのトップ選手になれば、チーム力も上がるでしょうね。期待します。

以上

チリの風 その994 2022年5月30日ー6月5日

天気予報は当たって今週のサンティアゴの月・火・水曜日の最低気温はマイナスでした。5月最後の31日はマイナス2度でしたが、5月にその気温が出たのは53年ぶりとか。立冬はまだ先ですが、もう冬の寒さですね。
いつも山には木曜日に入りますが、その日は雨の予報だったので、水曜日に変え、一人で久しぶりに初級広場の方へ歩きました。最初はかなり寒かったです。
水曜日の夜に雨になり、ベッドに入るとボーウィンドウの窓ガラスに雨の当たる音が続きました。そして金曜日の午後もずっと雨でした。
ラソンも続けています。週日に一人でちゃんと10キロ走り、週末は仲間と練習しています。
土曜日はサッカー教室でした。前日の雨でグラウンドの状態が心配でしたが、それほどぬかるみなどはありませんでした。練習の前にお父さん方と3人で会話をしながらサイドキックの練習をしました。それも面白い。本番の教室は10数名の参加者で楽しくプレーしました。
現地の学校でスペイン語で日本の歴史の講義をする予定ですが、毎日、ベランダに座って一人でブツブツと練習しています。
カップルが日曜日に来て昼食を一緒にしました。その後、二人に歴史の話をしたら受けました。
こうして何かやっているのが心身の健康維持になるわけですね。
まだまだがんばります、同じことを言っていますが。もちろん、いつまで続くか分かりませけれど。

(政治)

1)ボリッチ動向
今週の最大の話題はこれです。彼にとって初めての年次教書の発表です。政治・経済・一般の各項目で今年・任期中に実行する案を発表するわけです。その中心項目になる税制改正は経営者陣ともめるでしょうね。今月中に政府案の詳細を発表するとか。
国会で約500名の議員・関係者を前に2時間20分のスピーチをしました。
そしてなんとその夜に全テレビ局で特別番組として年次教書の追加を発表しました。しかしこのエレルギーはすごい。普通なら2時間もスピーチをすれば疲れ切って国会のあるバルパライソ市から首都に戻り、すぐ自宅に入るはずですが、彼の場合は教書に満足せず、モネダ宮殿の事務所に部下を集めて内容を検討させ、足りないと思われた部門に追加のコメントを入れたわけです。
私は長々と続いたその演説の一部をテレビ中継で見ました。コロナ問題で、「私はワクチンの接種が大事と考えるが、その接種を始めたのはピニェラ政権で…」とコメントすると与党側から、何故反政府のピニェラを持ち上げるのかと厳しいクレーム。それは事実ですよ。
社会格差を是正する、貧困層に援助する(灯油価格を下げる、ガソリン価格が上がらないようにする、バスなど公共運送費用が上がらないようにする)そして彼らのために6万5千軒の家屋を建てるとしました。労働者の保護として最低賃金のアップ、労働時間を最高週40時間にするとしました。
犯罪の問題軽減に全力を上げるとしましたが、右翼の区長が「そんなコメントは信用できない。毎日、事件が起きているのに警察力の増加など全く聞いたことがない」と厳しいコメント。
現行の年金システムを全面的に更新させるようですが。現在各自が持っている基金には国は手を出さないとしました。
マプチェ問題で同地区に警備の仕事をしている軍隊をその努力に感謝するとしました。大統領としてのコメントですね。新左翼の頃は軍隊は権力者のために存在していると批判していましたから。
この演説の前に発表された 世論調査で、彼を支持するは27%、不支持は57%でした。この演説で少しは変わるかな?
さて今日の夕方、彼は大統領専用機で北アメリカに。アメリカで国際会議に出席してから、カナダで大統領と面談とか。どうなるかな?
 2)新憲法委員会
世論調査で新憲法を認証するは29%、拒否するは45%でした。長い間、変わりませんね. 来月初めにこの委員会の活動は終了します。そして9月に新憲法是非の投票になります。これが可決されるのかどうかチリにとって一大事になりますね。今日の新聞の特集で新憲法が否決されればどうなるかと言うのが書かれました。
軍事政権時に作成された現行憲法民主化のもとに改善すると言う意見が出され、その声が大きくなったので、政府は新憲法是非の投票を認めました。単純に言うと左翼は新憲法、右翼な現行憲法支持になります。そしてその是非の選挙でイエスが勝ち、新憲法への移行が動き出しました。次に新憲法作成をする委員の選挙が始まり委員が任命されました。
ここまでくればすべて過半数で来ているから、どんな新憲法が出来てもそれを認証するのが当然と言うことになりますが、世論調査では別の結果になっています。委員の質があやしいとか、現行をどう変化させていくのかがちゃんと報道されていないと言うこともあり、新憲法否決の声が大きくなっているわけです。ボリッチは現行憲法で自分たちの政策が実行できにくいことがある。新憲法の自由さが必要としました。共産党の党首は右翼は反対しているが、最後は自分たちが勝って新憲法が成立するとコメントしました。

(経済)

1)銅価格と為替
1ポンド4.29ドルと先週よりアップしました。このため為替は1ドル815ペソとペソ高になりました。
チリにとってありがたい傾向ですね。
2)ガソリン価格安定化
 15億ドルをシステムに注入して、小売価格の安定を狙うことになりました。さぁちゃんと機能するかな?
3)家の販売価格
 ラテンアメリカの各市の中で、価格の比較が行われ、サンティアゴはその中で高い順で3番目に入りました。プンタ・エステ市(ウルグアイ)が首位、2位はメキシコのリベラマヤでした。サンティアゴの人は家屋の購入に大変な苦労をしているわけですね。
4)観光
外国からの観光客を受け入れるため、ワクチン接種のことなど入国制限を軽減することにしました。
1-4月の数字ですが、コロナ問題の始まる前の2019年は190万人が入国、20年は108万人、21年はわずか7万人でした。それが今年は32万人に増えています。
 さぁこれから今までの数字に近づくかな?イースター島は8月1日から入島可能になりますが、それに先駆けて、今週、政府関係者のグループが入島。2年半ぶりの観光客でした。このままコロナ問題がうまく治まって行ってほしいです。

(一般)

1)コロナ問題
 先週よりさらに数が増えて新規患者数が1日8500人まで増えました。もっとも今までにも書いているように、PCR検査の数が2倍になれば新規患者数も2倍になるのは当然で、患者数が増えたと大騒ぎするのは意味がないのでは。陽性率は以前より増えているのは事実ですが。
そのほかに6月1日から4回目のワクチンを接種していない人の移動パスが取り消されました。なんでも180万人がそれにあたるとか。
そこで厚生省の関係者がレストランに入り、お客さんに移動パスを見せるように要求しました。それがテレビのカメラに写っていましたが、店のオーナーが嫌がってテレビ局の人間を外に出しました。
 移動パスがない客がレストランの中にいれば、客に罰が行くのか、レストランに行くのか知りませんが、チェックが頻繁になればレストラン・バー・スナックなどの経営に影響しますね。
2)マプチェ問題
 殆ど毎週同じです。今週も南部各地で車や家屋への放火が続きました。
 大統領特例で軍隊を派遣していますが、それが15日間延長になりました。その期間に国会で討議するのか、この特例を無期限に継続するのか。
 同じように高校生の暴動も継続。今週も車両への放火がありました。しかし高校生がモロトフ爆弾を作って校外の道路で車両にぶつけるのはどうして防げないのでしょう、学校も警察も見ているだけですか?最右翼のUDI党はボリッチに文書で問題軽減のため、火炎爆弾を投げた学生の処置をしてもらいたいと要請。
学生グループは問題の存在を無視して自分たちを攻撃するUDIは恥知らずだと発表しました。ボリッチがやっていた学生運動の時と同じようですね。

3)世界の料理 
テイスト・アトラス誌の発表で世界各国の料理が比較されました。チリはラテンアメリカ諸国の中でメキシコ・ブラジルに次ぐ3位。ペルーやアルゼンチンより上位で世界の30位でした。日本はさすがに6位です。 

(スポーツ)

1)サッカー
チリ代表は新監督のもとにアジアに向かいました。このため当分、国内リーグ戦はありません。明日、韓国で同国と対戦し、その後、日本へ向かいます。
新監督は黄金の世代と呼ばれる選手を外し、若手に変えることを考えています。それは今すぐには戦力ダウンになりますが、2,3年後のことを考えると正解でしょうね。新しい選手で新しいチリを作ってほしいです。
明日、朝7時に韓国戦が始まります。テレビの前に座ります。


以上

チリの風 その993 2022年5月23日―29日

先週と似たような天気の毎日が続くサンティアゴです。最高13度、最低気温は3度くらいの日が続いてます。来週はもっと寒くなってマイナスになり、何日か雨が降りそうとか。天気予報が当たるかな?
今週の山歩きは先日、登った中間展望台へ仲間と二人で行きました。肌寒い日でしたが、しっかり歩きました。途中の道路で放牧されている牛があふれていて
彼らを怒らせないように回り道をして彼らの後ろに出ました。展望台から下の街を見るとスモッグの上に霧がかかり、まるで湖の前にいる様でした。向こう側の山が
湖に面した島の様な幻想的な風景でした。確かにそのスモッグのため、土曜日に今年初めて準非常事態宣言が出され、車の通行が制限されました。
もちろんマラソン練習もいつもと同じです。ちゃんと10キロ走っています。週に5日スポーツをしました。
そして週末、嫁さんの友だちを招待して食事会をしました。
土曜日、近所で蚤の市があったので、嫁さんと行き、数品買い物をしました。沢山の人が歩いていました。
毎晩ベッドに入ると今日も楽しい日だったと感謝しています。

(政治)

1)ボリッチ動向
タイムス誌で今年世界で注目される100人が発表されましたが、その中にボリッチの名前がありました。目立って活躍したと言うより、超若手の大統領と言うことで注目されたのではと思いますが、どうでしょう。
チリ国内で ボリッチを支持すると言う層は50%ですが、彼が大統領特例として南部に軍隊を派遣したことを評価するのは77%です。つまり右翼・中道、そして一部の左翼が賛成し、共産党新左翼がそれに反対しているようです。共産党の党首は「軍隊を派遣すると言うのは危険が伴う」と反対の声明を出しています。この大統領特例をどうするか、継続か変更化が明日の月曜日に発表されるらしい。
土曜日、2年ぶりに文化財の日が復活して、全国各地であちこちの場所が市民に開放されました。例えば、中央銀行、国立テレビ局NTV(日本のNHK)、その中で、モネダ宮殿も一般市民が入るのを認めました。ボリッチはそこにいて市民と一緒に写真を撮らせたりして歓迎しました。
さてその前に、彼はモネダ宮殿に労組代表などを招待して、最低賃金のアップを祝いました。歴代の政府の中で、今回ほど大幅アップをしたケースはないとコメントし、参加者から拍手を受けました。
庶民援護の一つとして、今週、灯油の値段を平均300ペソも下げました。ガソリンスタンドによって少し差はありますが,1300ペソだったのが、突然1000ペソに下がったわけです。ボリッチの評判が上がるかな?

2)新憲法委員会
9月4日に新憲法の是非を問う国民投票がありますが、それを受けて国会で認証するかどうかの討議が行われますが、見通しは困難です。

これを応援するバチェレット元大統領は現在国連の人権部門のトップですが、2005年以来初めて、中国に入国し調査をすることになりました。6日間の滞在でしたが、調査はあまり進まなかったようです。もちろん中国政府は内政干渉をするなと軽くあしらいました。

(経済)

1)チリ国の危険度
 JPモルガン社の調査で、チリの危険度は4月の場合、危険度が減少と良い評価だったのですが、5月は逆になりました。経済成長率の低下、インフレの継続、金利の上昇などが問題のようですが、もちろんボリッチ政権の評価、新憲法委員会の動きなどがマイナスの動きになったのでしょうね。
2)小売業界
消費者の動きですが、首都圏では動きがはっきりしています。今年4月の売れ行きは前年対比66%のアップでした。すごい売れ行きだと思うのは間違いです。昨年の4月は外出禁止令が出て、店は閉まっているし、買い物に出られなかったわけですから。コロナの始まる前の2019年より1%下です。
同じように1-4月の合計でも今年は17%の上昇ですが、2019年より2%マイナス。まだ元に戻っていないわけです。
それとは違って株式市場は上昇中です。5,388ポイントまで上がり、それは2019年2月以来の高い数字です。
今年の第1四半期は上場企業の80%が前年対比で良い記録を残しています。
3)銅価格と為替
銅の価格は1ポンド当たり4.26ドルと先週とほぼ同じでした。為替は1ドル829ペソとすこしペソが強くなりました。
このまましばらく安定してほしいです。
3)厚生年金の運営
チリは各自が積み立てた金を年金運営会社が投資するわけですが、先月の結果は一番危険の多い(従って見返りも大きいい)AランクからDランクまで全部マイナス成長、ただ一番安全なEランクだけがプラス成長でした。このシステムが開始してからの長い期間でマイナス成長になったことはほとんどありませんから、今年の後半にかけて少しは良くなっていくでしょう。

(一般)

1)コロナ問題
 水曜日、新規患者数が6000名を越えました。それが木・金・土・日と7000名を越えました。毎週、数が増えていますね。
 どういう手を打てばよいのでしょうか。前政権の時は毎日、厚生大臣が状況説明の場を作っていましたが、新政権は外から見るとかなりのんびり働いています。
 コロナワクチンは何回も打つと自然免疫を破壊すると言われています。私はそれに乗って4回目の接種は止めようと思っていたのですが、それまでの移動パスが無効になると脅されて4回目を打ちました???
 さてチリでこの問題はどう進んでいくのでしょう。
2)マプチェ問題
 第9州アラウカニアで林業会社の従業員の乗ったバスが攻撃され多数の負傷者が出ましたが、その中の一人は死亡しました。殺すつもりで射撃してくるのですね。これが大きなニュースになったら、翌日、北隣の第8州ビオビオで同じような事件が起きました。もう止まりませんね。
キディコの警察署にも銃を持った70名が襲撃をかけました。つまり、一つの町にマプチェのグループが集合しているのではなく、その2州にはどこへでも攻撃をかけられる力を持っているわけです。
今日の新聞の特集記事でWAMの紹介がありました。WAMと言うのはマプチェの言葉で反乱軍の戦いと言う意味ですが、自分たちのグループの名前に反乱と言う言葉を使うのは変わっていますね。正義の戦いと言うのならわかりますが。
そのグループはマプチェの武装組織CAMから分裂したとかで、WAMのリーダーはまだ表に出ていません。昨年、ピニェラが同地区に軍隊を派遣すると決定した時、彼らは警告のビデオを発表しましたが、40名ほどの組員が銃器をもって戦い宣言していました。住居、車両への攻撃・放火や警察・軍との戦いも記録されています。
まるでコロンビアの反政府ゲリラのように組織が勢力を上げてきているのが感じられます。ボリッチが話し合って解決したいと言うのは甘いでしょうね。もっとも彼らにすれば今から200年前にチリが独立した時、今の第9州アラウカニアはチリ領土に入っていなかったわけで、その後、チリがマプチェの領土に勝手に入ってきて武力で取り上げたのは歴史的にはっきりしています。

これに関連しているかのように高校生の暴力デモが継続です。サンティアゴの中央道路アラメダ通りを走る公共バスに攻撃をかけ、乗客を降ろして火炎爆弾で放火。バスは燃え上がりました。その放火事件は白いオーバーオールを付けたグループが実施したのですが、警察がその中の二人を逮捕しました。二人とも近くの高校の生徒でした。そのグループは極左のテログループに関連しているとか。3年前の社会騒乱の時と同じですね。
金曜日に同じような暴力デモが怒り、公共バスへの放火が起きました。どうして逮捕できないのか、逮捕した人間を調べてそのグループを解体できないのか不思議です。テレビのニュースにそのデモ隊のビデオが出ますが、顔が映っている人間もちゃんといますからね。

3)身分証明書RUT
 チリ人は10年ごと。移民は5年ごとに証明書の更新が必要です。それが市民登録所がうまく機能しないので、更新手続きが、たまり続けて250万人が期限切れの証明書を持っているとか。私は少し前に更新しましたが、ほとんど待たされることもなく手続きが終わりました。ラス・コンデス区の事務所はしっかりしています。政府はこのため1年間、古い証明書を有効にすると発表しました。

(スポーツ)

1)サッカー
 国内リーグ戦ですが、先週首位だった3チームの一つ、ウニオン・エスパニョールは引き分けで首位を堅持。もう二つのコロコロとニュブレンセは明日、対決します。
 つまり今日の段階では首位はウニオンですが、明日の結果で勝った方が首位になります。
 人気チームの結果はチリ大学は負けて11位に転落。カトリカは勝って10位に上がりました。

 チーム別の南米大会のリベルタドール杯でチリ代表のコロコロとカトリカはまた負けて1回戦を勝ち抜けませんでした。
 チリ代表チームの新監督が決まりました。昔、ビエルサが監督をしているとき、その助手をしていたアルゼンチン人のべリソです。少しはイメージを変えられるかな?


以上