チリの風  その890  2020年6月1日-7日

火曜日と水曜日、サンティアゴは少し雨が降りました。ベランダから遠くに見えるアンデス山脈が雪で真っ白でした。
木曜日から週末は最低気温が0度と冷え込んでいます。もう晩秋と言うより初冬ですね。
しかし私は幸運です。年金は私の口座に振り込まれ、光熱費などはそこから引き出されます。チリではその受領・支払いに長い列を作って待つことが多いのですが、私には無関係です。他の送金もネットを使うので銀行に行く必要はありません。
食料品の買い物に宅配便を使えますが、私は自分で買い物に行きます。それが週に2回だけ外に出ることのできる機会ですから。毎回2時間近く歩きます。自宅待機令は4週間目に入りましたが、私は建物の敷地の中でマラソン練習、部屋の中で筋トレを毎日1時間ほど続けています。
それから日本の歴史の勉強も進んでいます。秀吉とサン・フェリッペ号事件はチリ人に興味を持ってもらえると思います。これからもコツコツ準備をします。
今の私は「何もしないで生きていけるのは最高」なのか、「したいことが何もできないのは最低」なのか、どちらでしょうか?
機会を待つしかないですが。

(政治)

1)ピニェラ動向
  突然、内閣改造が発表されました。4人の大臣が交替。厚生大臣が辞めさせられるのかと思いましたが、彼は無事で内務大臣・大蔵大臣などの重要職も変化なく、社会発展大臣、住宅相などの4名が交替しました。厚生大臣マニャリッチはコロナウィルスの問題解決に有効を手が打てず、疲労困憊と言われていますが、まだ継続です。彼の助手の2名は、女性と男性、厚生省の次官ですが、二人とも患者と接触があったとして前後して自宅待機になっています。女性の方は隣州バルパライソに行った時の運転手が感染し、その車に2時間以上二人でいたので、彼女も感染した可能性があるとなったわけです。さてこの内閣改造は与党の2大政党、UDI党と国民改革党RNの争いとかで、最右翼UDIの党首はRNの言う通りに内閣改造したようで不可解・不自然とクレーム。いや、ピニェラも忙しいのか、暇なのか分かりません。
 
  さて昨日、厚生大臣が明日、モネダ宮殿で閣僚会議があり、その後、重要テーマについて大統領が国民に連絡するとコメントしました。
  私は、そうか「首都圏全部の待機令を止めて患者が集中している8区だけにし、その地区の住民に外に出ないよう命令し、その代わり最低賃金を3か月間、支払う」とするのかと思いました。
  今日の昼頃、モネダ宮殿の前にスクールバスを6台並べ、そこで彼は「私たちは国民の皆さんのために働いています。患者と濃厚接触があった人を収容する施設を用意します。それから患者の人の病院移送にこれらのミニバスを使います」と発表しました。何それ、学校が閉まっているから使われていないスクールバスを使うことがそんなに重要事?こいつはアホやなと思いました。そんなこと内務大臣でなく、もっと下の厚生大臣の助手が言うことでしょう、違うかな?

2)国会
  議員の任期制限が決まりましたが、上院(2期まで)下院(3期まで)でこの制限にかかる議員が50名もいるとか。つまりそれらの議員は次の選挙には出馬できません。ところがもれてきたのはそれらの議員は任期制限ができても即時に適応されると思わず、次回の選挙には候補者になれると勘違いしたのがいたらしい。もちろん何名とか詳しいことはわかりませんが、そのエラーをした議員たちのおかげで法案が成立とか。笑話。で、その後、議会を変更して、例えば上院はだめでも下院には出てもよいのではとかふざけたことを提案しています。この任期期限は区長・市長などの公職にも応用されます。任期が切れる市長が選挙をして選ぶのは市民で、国会が決めることではないとクレームし、新しい法案を準備してほしいと要請。いやはや。

(経済)

1)経済活動IMACEC
  チリ中銀発表の4月の経済活動指数は前年対比14.1%ダウンと過去最悪の数字になりました。これは今年の4月は2013年ころのレベルまで下がったことになります。この先も下がり続けるのでしょうね。鉱業はほとんど前年と同レベルでしたが、そのほかの産業はすべて大幅ダウン。
  ところで新車の販売は5月に72%下がったそうですが、こんな状態でもまだ買う人がいるわけですね。車のディーラーはほとんど全部閉まったままのようです。住居の販売も同じで4月の首都圏の数字ですが、家/マンション平均で66%も下がったらしい。これは1998年以来のひどい数字。また価格も3年間上昇が継続していましたが、最近は風が変わり、価格は維持または減少とか。
2)物価上昇率IPC
  5月のIPCはマイナス0.1%でした。ガソリン価格の値下げが影響したとか。食品は値上げされている雰囲気がありますが。
3)銅価格と為替
  銅の値段が2.53ドルまで上がりました。昨年末の以来の高い値段です。為替は1ドル769ペソとなんと2010年以来10年ぶりのレベルまでペソが強くなりました。アメリカの失業率が予想以上によくなっていると言うのでドルが強くなると思いましたが違いました。最もアメリカの発表した数字も本当かどうか疑わしいですが。
4)テレビのニュースでチリ産品の宣伝が中国でされていると報道されました。
  中国の経済成長率が久しぶりにプラスになったと報道されると、チリにとって銅だけでなくすべての分野で最重要貿易国の中国にスポットが当たるわけですね。チリ産品輸出の支援をする政府機関プロチレの中国課の応援でワインなどの宣伝が中国で活発です。同国の首相が月収120ドルほどの人が6億人いると発表していますが、そんな悲惨な状況でもチリにとって中国は命綱ですからね。

(一般)

1)コロナウィルス
  もう限界を知らないと言う雰囲気でチリ全体で死者数は先週一日最高50人だったのが、今週は90名を超えています。昨日の新規患者数は6405人でした。今日までの数字は感染者数134150名、死亡者1637名となっています。アメリカのワシントン大学の予想の最新版ではチリの状況は8月4日に死亡者数は8331人になるだろうとしています。最大は12731人、最小の場合は5684人の予想です。そうなるかな?
  首都圏の5月の死者数は4873人と前年対比30%アップですが、その増えた分はほとんどこのコロナウィルスの問題から来ているのでしょうね。サンティアゴから地方に送られた患者は多くいますが、その中で初めて死亡者が出ました。彼女はエクアドル人でバケーションでチリに来ていましたが、発病。サンティアゴの病院から空軍機でコンセプシオンに運ばれ入院していましたが、残念、死去しました。それから病院で大活躍していた医師がこの病気で死亡。二人目ですね。
  もう病院に空きベッドはないと言う緊急事態が近づいています。それを助けるため軍隊の病院が一般に開放されることになりました。特に海軍の場合、船のスペースに機会を入れて患者を受けいるるとかで浮き病院ですね。

  木曜日のニュースでサンティアゴの中心地が写りました。「これは以前に撮影されたものではありません。本日のものです」。それだけ多くの人がいるということは全く自宅待機令が守られていないことが分かります。中心地に正規の許可証を持った人が歩いていますが、その人たちに売るため商品を地面に置いた商売人があふれているわけです。彼らは一人も外出許可証は持っていません。次の日のニュースに警察が公共バスに乗り込んで乗客に許可証を持っているか調べているのが出ました、政府はテレビ局に影響されているのかな?
  今週から北のカラマと第5州のサン・アントニオに自宅待機令か発令されました。その州のバルパライソはなぜここが入らないのかと悔しがっています。数字の上ではバルパライソの方がその2都市より病気の度合いは酷いのですが???

  大使館の前で寝泊まりするのはもうずっと続いていますが、今までのボリビア、ペルー、べネスエラ、コロンビアに続いて今週はエクアドル人も帰国援助要請を始めました。しかし零度の夜、雨の夜に外で寝るのは厳しいですね。チリ政府は彼らを送り戻す便を用意すると言っていますが、当該国から明確な返事が来ていません。ところでキューバ人夫婦で帰国の便の予約をしたのにそれがキャンセルされ戻れなくなったカップルが二組、空港で寝泊まりしています。3月からもう約3か月。待合室の椅子に寝て、空港の人が食事をプレゼントしてくれるとかで費用はかからないので何時までか我慢をするとか。
  ところが彼らがニュースに出た翌日、新しい風が吹き、一組はモスクワ行の便に乗せられそこからハバナに戻れるとか。もう一組みは便が出るまでチリ人の家に招待されました。テレビのニュースが影響力を持つわけですね。同じように豪州にいる220人のチリ人が帰国要請をしています。   
  政府の貧民援助の食料品ボックスは配布が始まって2週間で25%が実施されたとか。じゃ終わるまで2か月かかりそうですね。遅い。


以上