チリの風  その893  2020年6月22日―28日

今週も雨の多かったサンティアゴです。昨年までの雨不足がかなり解消してきました。
窓から外の景色を見ていると、雨の翌日、一番近いマンケウエ山も雪をかぶっていました。
ところで道路を歩く人は週日でもほとんどいません。大げさに言えば、コロナウィルスで市民の人生が変わってしまったわけですね。いつまで続くか分かりませんが。
土曜日、スーパーマーケットに買い物に行きました。警察の許可を得て3時間の外出が許可されます。家を出て戻ってくるのに11000歩ほど歩きました。余分の散歩を入れるからですが、雪をかぶったアンデス山脈を見ながら歩いていると幸せを感じます。その時、ちょっと走って見ると、わずか1キロでへたばりました。
少し前は、毎週日曜日、仲間とマラソン練習をし、走り終えた後、ベランダでコーヒーを飲みながら会話を楽しみました。その幸せがまた元に戻るかな?

(政治)

1)ピニェラ動向
隣の州バルパライソ港に入港した海軍の船を訪問。その船は病院船として同州のコロナウイルス患者の看護にあたるとか。
  それから彼が働くモネダ宮殿で爆弾騒ぎがありました。
  電話がかかってきてモネダに爆弾を仕掛けたと。警察は慌てて大掛かりな捜査をしましたが爆弾は見つからず、悪戯電話だったみたいです。
  野党側議員が、例の一人当たり10万ペソの援助金が、いつどのように実施されているのか分からないとクレームしました。
  いつもと同じですね。良いアイデアが出てもそれがどう実行されているかよくわかりません。食料品の配給も同じです。

(経済)

1)経済成長率
  IMFの発表ではチリの今年の成長はマイナス7.5%。しかしその数字はラテンアメリカ諸国の中では、最も良い数字です。すべてマイナスですが、ブラジルは9.1%、アルゼンチンは9.9%、メキシコは10.5%です。
2)銅鉱山
  世界最大級の銅鉱山のチュキカマタで従業員に4名、死亡者が出ました。
  そのためコデルコ銅公社は同マインの生産部門を一時的に閉鎖しました。それがどれだけ続くのか分かりません。また首都圏から現地に行って働く社員を止め、現地従業員だけにするとか。他のマインでも同じような動きが出ています。もちろん生産に大きく影響しますね。
  それらを総合するとコチルコ(チリ銅協会)の推定では20万トンの減産になるだろうとか。
  すると銅価格が急上昇。生産が止まると供給に影響が出ると考えられるわけですね
  銅価格はポンド当たり2.7ドル、一方為替は1ドル819ペソになりました。
  そのマインのあるアントファガスタ州は人口当たりでサンティアゴを抜いて最も患者の多い地区になりました。患者が首都圏から病原菌をもってきているわけですね。
  これが続くとピニェラにとって頭痛の種になります。IMF予想の数字ももっと下がるかもしれません。そんなことは想像しませんでしたと言うなら彼らはプロではないですね。
    
 2)ラタムの危機
   アルゼンチン、コロンビアの国内線を凍結しました。チリの国内・国際線も一部凍結。
   従業員の首切り継続ですし、従業員の給料を20%、幹部社員は25%下げるとか。破産の可能性もかなりありますね。

(一般)

 1)コロナウィルス
   厚生大臣の助手の厚生次官ダサは自宅待機令は思ったほどの効果を示さなかったとコメントしましたが、それは自宅待機令が効果がないというのか、それが市民に守られていないという問題があるからでしょう
   今週も待機令が適応される地区が拡大され、チリ全体で人口の半分以上がこの法令下に入りました。
   サンティアゴの場合、もう3か月になっています。これは7月3日までのはずですが、もちろんそれが延期されるのは間違いないでしょう。
   死亡者の数が高いレベルにとどまっていますが、100万人当たりの死者数が欧州の英国やスペインの600人は別格にしてもアメリカが386人、ペルーが271人、ブラジルが264人、そしてチリは何と265人。ブラジルを超えました。土曜日は1日で279人と新記録。
   ただ、少し風が和らいだと新厚生大臣はコメントしています。それは感染者の増加数が少し減少したからです。一時、連日6000人が感染していましたが、26日は4296人でした。
   本日の公式数字は合計では患者数271982人、死亡者5509人、27日一日では4216人、162人でした。
   最も死亡者に関しては、それより3000人多い数字もコメントされています。
   確認はされていないがコロナ関連死亡者とか????。
   さて人工呼吸器は重病者には欠かせない機械ですが、二つの話題があります、先ず、とうとうチリ製の器械が完成し、使用されはじめました。
   これで今までのように外国から輸入する必要がなくなりました。もう一つは、その機械を盗んだグループが売りに出したところ、警察が察知し、犯人を逮捕しました。機会を逃さない犯人はチリらしいし、それを逮捕できる警察は素晴らしいですね。
   9月と言えばチリは愛国記念で国中が大騒ぎですが、今年はそれが自粛という形でひっそりになりそうです。サンティアゴの一番大きな会場のオヒギンス公園で今年はフォンダ(屋台)が認められないそうです。チリの歴史で初めて?という感じ
   29日の月曜日はカトリックの祝日ですが、連休の前の金曜日、多くの車が郊外に向かいました。しかし今回は許可証を持っていなければ、外に出られません。タクシーが検問所で止められ、警備犬が知らせるので、後ろのトランクを開けさせると中に一人の人間が。
   彼は許可証を持っていなかったので検問所の前でトランクに隠れたわけです。その男は裁判所に送られました。

 2)雨
   先週、サンティアゴの雨は20ミリとかなりでしたが、今週の火曜日は26ミリまで上がりました。南部では大雨で水害が出るほどになっていますが、これで今までの雨不足から少しづつ正常化してきています。来週も雨が続きそうです。
 3)市内バスに老人パス
   サンティアゴの地下鉄は以前から老人パスがありましたが、来月からその仕組みが公共バスにも使えるようになります。新しいカードを買う必要がありますが、半額でバスに乗れます。もちろんバスに乗るには外出許可証が必要ですね
 4)免許証の更新
   3月がその時期でしたが、いろんな混乱があって3か月、延期になりましたが、今月末に期限が切れます。免許証更新には車の検査が必要ですが、その検査をする場所が全部閉まっています。仕方がないので車検なしに免許証を更新し,後で車検をすることになりました。安全性からは問題がありますが、緊急事態ですから。
 5)南部のマプチェの逆襲
   8,9州(ビオビオとアラウカ二ア州)で再度、マプチェの攻撃が激化しています
   アンテナの塔が爆弾で倒されたり、走行中のトラックが2台放火され、けが人が出ました。
   新聞に投書が掲載されました。先住民グループ代表の人ですが、アラウカニア州には私たちを代表する議員が必要だとなっています。彼の言うには、左翼系の二人の議員は、地元の製材工場から木材を盗む犯罪に関し、罰則を厳しくする必要があると議会に提出してい
   ますが、投書では、被害者と加害者を分かっていないとなっています。
   もう何十年、何百年も続いていますが、マプチェが住んでいた地区を外部から侵略してきた人間が武力で抑え、自分たちのものにしたわけで、従来の住民の私たちを犯罪者にするのは根本的に間違っているというわけです。スペイン人の侵略の後にチリ人の侵略が重
   なるわけです。チリが独立した時、第9州アラウカニアはチリ領土に入っていませんでした。
   この投書を本紙に掲載する新聞も柔軟性がありますね。
6)学校
   学校は閉鎖されたままですが、患者がほとんどいないイースター島で授業再開になるとか。その他の地区はどうなるのでしょうか。
 7)ホームレス援助
   チリには15000人と言われるホームレスがいますが、そのほとんどは首都圏です。 
   最低気温が零度になる昨今、彼らの生活は厳しいですが、その援助としてあちこちに簡易ホテルが彼らのために用意されています。ラス・コンデス区は集会所を利用して収容所を作り朝食から夕食まで用意しています。不思議なことに満室にはなっていないとか。
   無料で生活できるところを知らないのか、炊き出し所で食料さえ無料で手に入れば後は自分の巣で生きるということなのでしょうか。橋の下とか高速道路の下で屋根があるところに寝ているのですね。


以上