チリの風  その891  2020年6月8日-14日

連日、最低気温が0度まで下がるサンティアゴです。もう冬至も直ぐですね。
金曜日は朝、かなりの雨になりました。20ミリでしたが、その雨量は2年ぶりとか。
さて週の初めの午後に風呂に入り湯舟につかりました。身体が隅まで暖かくなり最高。
その時に、昔はチリを北から南まで走り回って活躍したのに、今は夕方に風呂に入って喜んでいる。何という違いだろうかと落ち込みそうに。しかしその時、私の人生は終わったのではない、変わっただけだ。
そう感じると、自宅待機で欲求不満になっている気持ちが薄れ、今までと同じように人生を楽しもうと言う気になりました。????
日曜日は快晴になり、午後、太陽の当たるベランダでのんびり新聞を読んで幸せでした。

(政治)

1)ピニェラ動向

 先日、4名の大臣を交代させましたが、今週、週明けに女性省大臣が辞任。最右翼の彼女はわずか1か月しか仕事をしませんでした。(チリの風 その886に記載されています)新任の大臣サラケットもUDI党で、幾つかの女性組織から新大臣にも批判の声が出ています。それは妊娠中絶を認めないとか女性デモの対応などで、彼女は女性側に立っていないとするわけです。
そして次になんと厚生大臣を変えました。マニャリッチはその職に1年間就きましたが、コロナウィルス問題の対応に適切な対応ができなかったと思われたわけです。
詳しい理由は分かりませんが、コロナウィルスの死者数の報告がおかしいと言う意見があります。確かに今週、今まで毎日発表していた数字を止め、市民登録局に死亡が通知され、それが確認された時点で、病死とすると変更。その意味がよく分かりませんでしたが、死者数を少なくするのではと言われました。最後は同じと思いますが。
WHOチリ駐在の報告と政府発表の死者数が違うと言う声もありましたが、現地WHOと各国政府の数字が違うのは世界各地であるとかで、WHOの基準がおかしいか現地在住の人間のレベルが低いということかもしれません。チリでの死者はほとんど病院ですから、全国の病院での死者を調べればほとんど100%正しい数字が分かるはず。チリのマスコミはそれをする力を持っていますから、嘘の発表は通らないと思います。
つまりマニャリッチ厚生大臣が辞めさせられたのは、感染が収まらないのにその対応が適切でないということになるでしょう。
パリス新厚生大臣は政治畑ではなく医師会組織のトップを経験した人で、バチェレット時代も政府に協力しています。ピニェラは彼に「政治関係は部下の厚生次官を使え、君は感染を抑えるのに何が必要かに注力するんだ。国内・国外の医師連合などと力を合わせ、状況を把握して適切な処置をとるように」と言ったはずです。
日曜日、厚生省の次官などを連れて第1回の記者会見をしました。患者数などの発表はオリジナルに戻しました。マニャリッチの助手だった二人はそのままパリスの助手に残りました。

海外大使館の閉鎖
デンマーク、シリア、ギリシアなど5か国の大使館を閉めることにしました。経費の削減でしょうが、表面上は外交手段の統括のためにとしています。ところでチリ中央シリア人会が、70年にわたる友好の歴史をこのような形で終えるのは納得できないと再考を要求。チリにはアラブ系の移民が多く入っていますから。

与野党合意事項
これが今週の最大の話題ですが、まだ盛り上がっていません。ピニェラが要請して与野党が一致してコロナウィルスの抑制・経済回復の政策を実行しようとしたわけです。期限の2週間目の最終日に一応合意事項ができました。野党側とすれば、皆さんのためにけち臭い政策を続ける政府にパンチを入れ素晴らしいプレゼントをお持ちしましたと言うのでしょうね。与党側とすれば国の将来を見極めすべての努力・犠牲を払ってできる限りのことを用意しましたでしょうか。
何でも一人当たり10万ペソ、4人家族なら40万ペソを供給準備するらしい。詳しいことは来週ですね。

2)生活物資支給
250万個を庶民層に配給すると約束しましたが、それに関していろいろ起きています
今週、私はスーパーマーケットに買いものに行くとき、遠回りをして歩いていたら
区役所のユニフォームを着た人たちが何人も手押し車にその箱を積んで歩いていました。
その地区の家に配布するわけですね。しかしチリらしいのはその箱を積んだトラックが
庶民地区に入ったら強盗団が来てトラックごと全部奪われました。プエンテ・アルト地区ですが、さすがチリらしい。
逆に、貧民層でないところに持ち込んで家のオーナーから、他の家に配達してくださいということもありました、そのうちの一つは国会議員の家でした。
最後に、一番ひどいのは先週もう65万個も配達したと言われたのに、それが嘘でした。
大統領府の責任者が「何か間違いがあったようです。責任は私です」と自己批判
ピニェラから大げさに数字を上げろと言われたのでしょうね。今週は100万個の発送を実施と言っていますが、同じエラ-でしょうね。ロビンソン・クルソー島(フアン・フェルナンデス島)にも貨物船でその荷物が運ばれたとか。

(経済)

1)経済の後戻り
 なんだか全部の分野で10年前に戻りそうとか。
 貿易額では2020年の予想は輸出は597億ドルで2009年レベル、輸入は478億ドルと2010年レベル。労働者数も2010年と同じレベル、GDPは2015年レベルに下がりそう。投資額も2011年と同じくらいとか。もちろん2020年は予想の数字です
 から、もっと下がる可能性はありますね。産業のほとんどすべての分野で後退が予想されていますが、鉱業だけは何とか正常に生産活動が行われているとか。おまけに銅の価格が上がっていますから、チリの救世主になるかもしれません。
2)銅価格と為替
 ポンド当たり2.64ドル、好調ですね。素晴らしい。1ドルは794ペソでした。

(一般)

 1)コロナウィルス問題
 患者が他の人に病気を移さないように自宅待機令が出されていますが、首都圏の場合、東部の区は人の動きが50%減少しているのに、中央・南部の区は20%ほどしか減少無し。つまり自宅待機令が機能していないことが確認されています。
 これを防ぐには警察・軍の監督管理を高め、市民を自宅に置く必要があります。それらの人は自宅にいては生活ができないと言う問題がありますから、これは政府の問題でそれをどう解決するか・改善するか決定することが必要です。
 今日の与野党の合意事項はこれにあたるわけですね。
 12日の数字ですが、一日当たり新規の患者数は6754人。これはアメリカ、ブラジルなどに続き世界5位。チリが世界5位なんて、どんな分野でも、普通想像できないですね。
 今日の数字は新規患者はそれをさらに上回って6983人。死亡者3323人。患者総数174293名です。
 そうそうまた大臣が一人感染しましたので、ピニェラも濃厚接触したとして様子を見る必要があります。
 人工呼吸器はまた今週も輸入されまだ余裕があります。しかし病院の医師・看護士の仕事はもう限界でしょうね。
 機械の数が2倍になって、患者が2倍になったら、医者の数は同じですから、2倍働かなければなりません。無理ですね。
 葬儀屋さんや墓地も限界とか。
 2)移民難民問題
 コロンビア大使館の前でテントを張って約400人が寝泊まりしていました。
 金曜日、雨になるとの予報だったので、チリ側が体育館を宿泊所に提供。半分はそこに移りました。トイレもあるし、夜に暖房も入ります。残った人はコロンビア政府に対し意地を見せたとか、麻薬の販売をしているのではと言われました。
 チリとコロンビア政府の合意で今週、チリ空軍機がボコタに飛ぶことになっていましたが、なぜかキャンセル。向こうが嫌がったのですね。その飛行機で現地に残っているチリ人を連れてくるはずでした。
 コロンビア政府はその代わりとしてチャター機を飛ばすのでそれを利用するよう連絡してきたらしい。ただしその便を利用するのには490ドル払う必要があり、移民難民はそんな金があるわけないとプンプン。
 べネスエラ政府はコロナウィルス問題はコントロールしているから外国からの入国はお断りとしているようです。しかし産油国のべネスエラがイランからそれを持ってくるなんて不思議ですね。原油を精製する施設のメンテが悪く機能していないからとか。政府が悪いと国民が苦しむと言う見本みたいです。この数年で500万人も国外に出ていきましたが、それがこの病気問題で母国に戻りたいとなったわけです。
 南米5か国の移民難民の数はサンティアゴで2000名ほどとか。それでもちゃんと寝るところ、食事をチリ側は提供しています。
3)雨の問題
 久しぶりに大雨になり南部で床下浸水の事故が多く出ました
 サンティアゴも雨になりましたが、まだ通常の雨量までは来ていません。
 スキー場は今年は危機的状態とか。その理由は雪が少なく、シーズンが来てもスキーができないのと雪が積もってもスキー客は来ないと言う問題です。


以上