チリの風  その558  2014年1月6日―12日 

      
雨が多いですね、チリ南部は。ほとんど毎日雨の様子。しかし首都サンティアゴは全くその逆で雨が全く降りません。郊外の火事の煙が空を覆い、政府は戸外での 運動はやめるように指示し、地下鉄の出口でマスクを配るなど異常事態になりました。
しかし病人から半病人になった私は軽い運動を毎日続けました。
3か月ぶりにプロビンシア展望台へ、峰村夫妻、千葉、佐藤さんと5人で。無事に往復できました。山の上の展望台から見た街はさすがに煙(スモッグかな)に覆われていました。
土曜日はサッカー教室。20数名の参加者で今年1回目のプレー。34度の暑さで疲れが倍増。そのあと、仲間と6名でサン・カルロスへカトリカの応援。最近カトリカファンクラブを作り(会員20名ほどです)一緒にサッカー場に行くことになりました。その日が第1回でした。
日曜日はいつものマラソン練習。参加者は25名。これだけ並んでスタートすると目立ちますね。トップは新参加の宇田川さんと伊藤さん。私は久しぶりに5キロを走りました。
軽い旅も許可になったので、早速、来週1週間チロエ島に行ってきます。今回はタンタウコ公園が目的地です。どうなるかな?

(政治)      

1) 政府と司法の争い
ピニェラはことあるごとにチリ司法の不甲斐なさをなじりますが、もちろん向こうもピニェラを嫌って、次の大統領バチェレットにすり寄ります。今週もマプチェ関連の裁判が結審しました。先年、警官が殺された事件で逮捕されていたマプチェの人間を釈放しました。内務大臣は全く不可解とし、十分以上の証拠があるのになぜ釈放するのか、上級裁判所に望みをつなぐと司法とのいざこざを繰り返しています。
素人の私はそれに口出しする権利はありませんが、政府が言うように十分な証拠があるなら刑務所行きだろうし、釈放されたのなら容疑は薄いのでしょうね。検察側も裁判官は決断力がないと?クレームしています。
しかしマプチェの件は連日話題になります。何しろチリ南部は自分たちのものだとする彼らの理論では、彼らは他人の土地に入って乱暴狼藉しているのではないですからね。自分たちの土地を守るための警察との戦いと言うことになります。政府内でこれが続けば現在問題が起こっていない地区にまでマプチェ問題が波及すると心配しています。
ところが市民調査で政権末期のピニェラの人気が上がってきました。もう遅いと言うべきか花を飾ってお別れすると言うのか。
2) RN党の危機
同党の国会議員3名が離党届を出しました。もう一つの与党UDIのメンバーと面談。これは右翼側の第3党としてUDI,RN 
と組むことを明確にしながら、RN党の束縛から逃れるのが目的でしょうね。小さな党でも自分の思うように動かせるのはたまらない嬉しさでしょうね。まさかこの小党の党首にピニェラがなるのではないでしょうね。
3) ペルーとの領海問題
ピニェラが元大統領を招待してあと10日ほどに迫った国際法廷の最終結審について話し合いました。その後の記者会見でフレイはすべて現政府の問題だから、もし万が一、一部でも領海を奪われればピニェラの責任と厳しいコメント。あわててピニェラはこの裁判が始まったのは自分の政権時ではなくその前のバチェレットの時だから、すべて自分の責任と言われるのは納得できないと予防線。政治の世界はそんなもんです。フレイはピニェラと大統領の席を争って負けましたからね。

(経済)

1) 12月の物価上昇率
12月は0.6%を記録し、2013年通年では3.0%になりました。前年は1.5%ですから、少し値上がりしていますね。まぁインフレーションと言うほどでもないですが。銅の価格、ドルの為替など今週はほとんど動きはありません。
何でも新車の販売数は38万台で、この4年間毎年、新記録を出しています。チリ経済が好調持続と言うのはこの数字からもわかりますね。
とは言うものの、2013年の第4四半期の数字は2010年以降で一番悪い数字になりそうです。国民総生産は1.9−2.9%が予想され、今までの4−5%から大きく下がっています。
2) 港湾スト
もう毎年の行事になりましたが、各地の港がストで止まっています。チリから輸出される銅や果物が一番影響を受けています。一部の果物業者はこれ以上、港に材料を持ち込めないと収穫作業を中止し、季節労働者を解雇する地区も出てきました。これを毎年恒例のと言えるわけがありません。政府はなんとかコントロールできないのかな?
3) 火力発電所の一時停止
チリの発電は1位が水力27%、次いで天然ガス20%、それから火力発電17%と続きます。
今週、そのうちの一つボカミナ1発電所に操業中止命令の可能性がある判決が出ました。結審は政府機関の自然環境局が、発電所から出る汚染物が付近の海などを汚染していることを確認すれば操業中止とするです。この発電所の前の浜に死んだ魚貝類が大量に打ち上げられたことは何度もあり、以前からこの発電所は疑問視されていました。この発電所は全部の火力発電の中で20%ですから、影響は小さくありませんし、ここが止まれば他の火力発電所にも影響することは必至です。 最近の異常な乾燥状態が継続すると水力発電に影響します。何しろ85%のダムが通常レベルの水量を持っていません。 このため2014年はエネルギ−コストが上がるだろうと見られています。

(一般)

1) チリの安全性
友だちがメキシコ旅行をしてきたのですが、向こうで警官にお金を取られました。税関を出た後で、警官が所持金を調べるとして財布を取りあげ、紙幣を数えるふりをして抜き取ったらしい。その手はほかの中南米諸国でも使われる。
もっと厳しいのはべネスエラの殺人で10万人あたりで79人が殺されている由。殺されたのは昨年は25000人とか。政府が報道機関に不安をあおるから殺人事件は報道しないよう指導しているとか。今週有名人の元ミスべネスエラが殺され、さすがの政府も少しは治安の正常化を考え始めたらしい。しかしほとんどの犯人は捕まらないらしい。
アメリカに生活保護を受けている人間が5千万人もいるとか、スペインの失業者が450万人とか、欧米諸国の貧困ぶりも目につきます。
それに比べると犯罪はあるが数は少なく、失業者も少ないチリは数字の上からも安全に住める国です。良かったね。
2) 跳ね橋
南部バルディビア市のカウカウ川に船が来ると橋が上がってその通行の便を図る跳ね橋が建設中。もう全部施工が終わりそうになって、なんと橋の方向が間違っていることが見つかりました。道の端に自転車が通るようになっていますが、二つの橋の自転車通行場所が一致しません。逆につけられたわけですね。そんなバナナ、いやバカなと言うところですが、スペインの会社の責任らしい。いやはや、スペインもまずい。

(スポーツ)

1) サッカー
後期リーグ戦が始まり第2戦ですが、カトリカ、コロコロは勝ち、チリ大学は負けました。前期優勝のオヒギンスは引き分け。まだ始まったばかりですが、コロコロ対カトリカの争いかな?
2) ダカールラリー
最悪の結果になっています。アルゼンチンから舞台をボリビアに移していますが、何しろ始まって1週間ですでに3人の死者を出し、チリを代表するオートバイ選手ロペスは2位につけていましたが、事故で機械を壊し、棄権。今年のレースはチリにとって最悪ですね。4輪オートバイの部ではチリの選手がトップを走っています。
3) トライアスロン
南部のプコンで1200名の選手が参加してトライアスロン大会が行われました。優勝は男性がブラジル、女性はチリでした。この大会は世界的に評価されているとか。


以上