チリの風  その835  2019年5月13日―19日

秋の気配が濃厚です。木曜日、朝早く一人でマラソン練習をしていると霧が深く近くのビルが見えないほどでした。それでも汗をかいて走りました。
チリ大病院で血液検査をしました。静脈血栓症の薬の効用のチェックです。何年も続けていますが、うれしいことではないですね。
使っていた携帯電話が古くなったので電話会社に行って新しいのに変えました。一番人気のあるのは今、話題になっているファーウエイ、そして2番目はサムスンの由。日本製はないのかと聞くと昔はソニーがあったが、今はもう南米から撤退とか。しかたないのでモトロ-ラにしましたが、製品は中国製でした。
土曜日は日本人学校の登山教室。29名の参加者でプロビンシア山の石碑コースを歩きました。歩き終えたとき小さな子供が、私に「おじさん、まだパワーは100%残っています」とコメント。すばらしい。
日曜日はマラソン練習。仲間と3名で走りました。今週は5日もスポーツをして限界だったので, 楽しく走るのではなく仲間の後ろをよろよろ歩くという感じでした。
今日の夜から暖房を使い始めました。電気ストーブです。今週の最低気温はマイナス2度が予想されています。                          

(政治)

1) 国会
月曜日、教育法改革案と厚生年金法の改定が討議され、野党側の反対で否決されました。政府が厚生年金に関し、追加4%分の運営に関し提示案を変更したところ、キリスト教民主党DCの一部議員などが賛成に回り、可決しました。ピニェラは国会の承認を得られたことを大きく評価し、国民のために働きたいと喜びを表しました。
共産党の議員は旧与党グループ(新多数)でDCと組みたいという組織は皆無だろうと怒りをあらわにしました。
ピニェラの人気がガタ落ちです。カデム世論調査で彼を支持するは34%、不支持は54%。上記の厚生年金政府案を喜ぶは35%、がっかりは53%です。 それから先のアジア訪問時の彼の子供の同行について政府案は「政府関係者(大統領、大臣、政府機関幹部など)が子供を同行するのは拒否しないが、費用は親持ちで公式行事には参加できない」でした。これはピニェラが言っていたことと同じですが、反政府側は怒りの声。
2) スキャンダル
毎週、チリの醜聞が出てきますが、今週は経済の項目で書かれている物価上昇率のエラー(もしくは改ざん)でしょう。それでも政府統計の6割強が不適切と言われる日本よりはましかもしれません。
司法関連事項ではランカグア検察の検事だったモヤが上司の不正を訴えていますが、今回は逆の動きで、先年の制服警察のマプチェ問題で警察が偽の情報を使ってマプチェの組織に介入したハリケーン作戦と呼ばれる事件で、その情報を入手したモヤは、制服警察に私服警察の手入れが入ると前もって警告したことになっています。情報の不法使用ですね。各自が自分の行動が正義・正当と考えて情報を私有化しているのは法の前で裁かれるべきでしょう。どうなるかな?
3) 外交問題
ボリビアがオランダのハーグ国際法廷にチリが自分たちの川シララの水を不法に使用していると訴えました。チリ側は国際慣例で「川の水は上流から下流に流れる。ボリビアに生まれた川がチリ領土に入るのは全く不可解なことではない」としています。ボリビアの海問題と同じように時間と金をかけて最後はチリが勝利するのでしょうか?
べネスエラ問題は私の想像通りの進展。クーデターが失敗すれば首謀者グアイドは刑務所入りか、射殺されるのが普通ですが、全く通常にテレビカメラの前で話しています。
来週、欧州ノルウェイで政府・反政府側が会談するとか。
それから国連高官のバチェレットが7月にベネスエラ訪問をするらしい。
先週のチリの風で彼女を批判しましたが、それに関し日本から次のようなコメントが来ました。   
「無能な聖人君子より有能な悪人のほうが政治家には向いていると思っているので、浮気しようが賄賂を受け取ろうがきっちり仕事していれば関心は無いです。」
確かに、ブラジルのケースですが、収賄罪で刑務所に入っている元大統領が多くの支持を集めています。それは上記の考え方と同じでしょうね。
「バチェレのような無能な悪人は最悪な選択だったと思います。」
前回、私は彼女に投票しました。競争相手が最右翼のUDI党党員だったからです。 チリの市民調査でまだ国民に人気のある政治家として彼女の名前が出てくるのは調査会社が彼女の名前を外さず市民に問い続けているからと言われます。その手法も何だか怪しいですね。野党側に人気政治家がいないので彼女の人気にまだしがみついているのかな?次の選挙でバチェレットが出れば、もう彼女には投票しません。最近の調査で一番高い評価を得ているのはラス・コンデス区長のラビンです。

(経済)

1) 物価上昇率(IPC)計算のエラー
毎月、国立統計局INEが諸物価の変化を調査し発表します。もちろん上昇と下降、それに変化なしの3つの可能性があるわけですね。今週の発表で、その中で昨年の8月と9月の数字に誤りがあると発表されました。そのあと、2か月ではなく3か月と訂正されました。関係者の一部が調査が実施されている間、職務停止になりました。顔写真・名前は報道されています。
チリではこのIPCが生活に大きく影響します。私のもらっている年金もIPCが上がれば、受給額が増える仕組みです。マンションの支払いも同じようになります。政府は即時、問題を明らかにすると発表しましたが、その間違いが単なるエラーだったのか、意図的な改ざんだったのか報告されません。どうしてそのエラーが見つかったのか、どういう仕組みで誤った数字が発表されたのかも不明です。  
中銀が公定歩合の上げ下げにIPCの動きを使用するわけで、景気回復のためとしてIPCを政治利用していれば、大蔵大臣、経済大臣の首が危なくなりますね。いやピニェラの立場が危ない。こう言う説を退けるため、エラーのあった月の発表された誤った数字の合計と正しい実数の合計を比較すると同じ数字になりエラーはなかったと言われます。何だか作り上げた説のようですが・・・。               
  2)銅価格と為替
銅価格が1ポンド2.73ドルとパッとしませんから為替もペソ安が進み、1ドル697ペソと大台の700ペソが目前になってきました。
リチウムもおかしな状況です。過去5年で167%も上昇した価格が今年の第1四半期は前年対比1%の減少。たった1%ですが、上昇傾向が終了したのでしょうか。2018年のチリのリチウムの生産量は30万トンでしたが、それが2025年には85万トンになると見込まれています。
3)支払い遅延
現在一般市民の支払い遅延で問題になっているのはこの第1四半期で460万件です。これは前年対比3%の上昇となり過去最高の数字。1件当たりの額は175万ペソです。自転車操業、借金の追加とかで苦しい市民・家族が多いわけですね。

(一般)

1) 刑務所の不正
チリの囚人は刑務所の中で狭い場所に雑魚寝をしているようなイメージがありますが、テレビのニュースに麻薬関係者が一流ホテルのような部屋にいたのが報道されました。看守が入れないよう中から鍵をかけていたわけです。部屋の中には豪華な家具、大型テレビ、冷蔵庫には酒・肉などが詰まっていて、多くの携帯電話、ナイフなども見つかりました。看守を買収してやっていたのですね。それも一つの刑務所ではなく何カ所も。メキシコであるような話がチリにもあるなんて。刑務庁長官や法務大臣を更迭してほしいですが、そんな話は全くありません。しかしチリのイメージは毎週下がりますね。

(スポーツ)

1) サッカー
チリで最も人気のあるコロコロとチリ大学が国立競技場で対戦。スーパークラシックと呼ばれる戦いです。競技場の内外で熱狂的なファンが暴れ、逮捕者が多数出ました。その日、リーグ戦最下位だったチリ大学が前半に得点を挙げ、番狂わせでまさかの勝利を勝ち取るかと思われましたが、後半同点打を受け、引き分け。
この結果、国内リーグ戦は今週も勝利したカトリカが首位で、2位のコロコロに勝ち点6の差をつけています。
来月の世界大会を前にしたチリ代表が国内での最後の親善試合、対コロンビア戦を今日実施。前半はひどかったけど、後半、レベルが上がり、結果は1対1で引き分け。世界選手権で活躍してほしいです。ご免、女子サッカーのニュースです。

以上