チリの風 その112  05年2月14日―20日

サンティアゴは暑い日が続いています。でも気温は高くても太陽がかっと照らない日が多くなりました。そんな気候の中、連日走っています、4月10日のマラソンを目標に。この土曜日、相棒のリカルドと二人で16kの練習コースで今シーズンの新記録を出しました。来週は練習で42kを走ります。ちょっと怖いけど・・・。
ところで世界不思議発見というテレビの番組でビルカバンバが紹介されたそうです。ここはスペインに滅ぼされたインカの残党が立てこもったといわれるところで、私も以前クスコにいたとき死ぬ思いをしながら到達しています。そんなところがテレビの番組に出るのかとおもうと感慨深いです。


(政治)
1)やっぱり人権問題ですね。
これからどうなるかと毎週楽しみですが、今週はなんと軍事政権時代の政府要員(大臣経験者)が二人起訴されました。二人といわずこれからどんどん起訴逮捕されるでしょうね。しかし勝てば官軍とはよく言ったものです。起訴された彼らは、わずか20年前にはこの世の春を送っていたわけで、国内で何をしても怖いものはないと信じていたのでしょう。
それから面白いのが、これらの人権問題を担当しているグスマン検事が、「私は運が悪い。この問題を担当する前は毎年人事評価でトップのランクにいたが、ピノチェット問題を扱いようになって、右から、左から注文が入り、上から下から文句が来るようになって、その結果として人事評価が並以下になってしまった」とコメント。本当かどうかは別にして、これは言ってはいけないことではないかな。ちゃんとピノチェット裁判を終わらせたら、出世の道が開かれるからね、がんばれグスマン。
それから国税局がピノチェットの税金を1億円くらい値引いたものを新しく発表しました。おまけしたのか、その理由はわかりませんが、未納税金の罰金分と金利を入れて合計4億円くらいになります。さてこのさきどうなるのか?

2)ラバンデロ上院議員の幼児性的いたづら事件
しかしこの事件が訴えられたとき地方検事が、握りつぶしていたと報道されたら、今度は地方から中央検察にちゃんと報告は出たのだかそこから指示が戻ってこなかったとなったり、さらに今週、中央検察は同議員と面談していたと報道され、やっぱりあちこちで彼をかばう動きがあったようです。もうはっきりさせてほしいものです。彼が政権を担当する与党側の国会議員だとしてもこれだけはっきりしてきたら、ラゴス大統領もかばいきれないと思うのですが・・・。それにしても警察、検察、児童擁護委員会などは全く児童保護の立場を取らず、報道機関の活躍で?事件が明るみに出るなんて、情けない。

3)大統領選挙
右翼側候補のラビンは前回選挙で惜敗しましたが、次回は固いと思われていました。左翼の私でもそうかなと思っていました。ところが何年もたつと、その当時の熱気が消えてしまい、彼のベースになる右翼側の2政党の歩調が合わず、いがみ合い、それを調節できない彼の力量のなさもばれてしまい、もうほとんど勝つ可能性はないと見られています。つまり現在の与党を結成する2大政党の二人の女性候補のうちどちらかが次期のチリ大統領になりそうです。
風を取り戻さんとラビンは草の根運動と称し全国各地を回り、その辺のおばさんと写真をとって票のとりまとめを図っていますが、それでは何千票にはなっても何百万票には届かないでしょう。
さて与党側の小党PRSDに来月アビラという下院議員が入党し、そこから大統領予備選挙に出たいといっています。彼はもともと与党の大手に入っていたのですが、他の議員と揉めて党籍離脱の憂き目を見、その後、例のスピニアック・スポーツジムでの幼児性的パーティに参加していたと訴えられ(最近、彼を訴えていた神父がそれは誤りだったと認めたが)泣き面にはちの状態が続いていた。ここにきて風が順風になったため、小党に入党しそこから再度大統領予備選挙に挑戦するもの。


(経済)
1)チリの国別危険レートが過去最低を記録
ずるいよと言う隣国の声も聞こえそうですが、外国でのチリの信用は上がる一方です。まぁホンマの話、輸出の中心になっている銅価格が過去10年で最高の水準を維持して、もう鉱山会社や税金を受け取れる国庫は今年も笑いが止まらないという感じ。で、金に困っていなのに他国がお金かしましょうかと言ってくるわけです。で、危険の度合いは下がる一方。
ブラジルやメキシコには大きな差をつけています。でも不思議なのは中国がチリより国際信用力があることです?

2)京都議定書
16日の新聞に、今日から京都合意が発効と掲載されました。その中で注目されるのは、全く違った二つの動きで、最初はその合意事項に乗っ取って、ガスの排出を減少しようとしているチリ企業の動きと、それとは全く逆にチリに許されているガス排出権を他国に販売して金を稼ごうとする動き。(これを認めれば地球温暖化など環境汚染を防ぐために排出ガスの減少を図ろうとしている努力の逆を行くことになる)

3)セルロース工場再開
1ヶ月以上、生産停止になっていたバルディビアのセルロース工場が生産再開になりました。前日、同社は意見広告を新聞に大きく載せて、「同地区の大学の発表で当社の操業と湖沼地区の汚染の関係がないと発表されているように当社は当初から首黒白鳥の死などの汚染は当社と関係がないとしてきました。また今回の当局との合意事項は当社の考えとは異なりますが、関係各位のご指示はすべて遵守し、内外機関の工場監査をこれからも継続して受け入れます。」と発表。
湖に重金属の沈殿が認められそれが環境破壊(白鳥の死因)といわれているのですが、じゃどこからその重金属が排出されているのか早く発表してもらいたいものです。昔、日本もこんな事件が続出していましたね。

4)銅の価格が過去10年以上で最高。
で、民間の最大手エスコンディーダ鉱山は過去の投資額のうち23億ドルわずか5年で回収とか。
で、その結果、ドルの値打ちが落ちてしまい、1ドル800ペソまじかといわれていたのとは全く逆に現在は1ドル570ペソまで落ち込みで、輸入業者は喜んでいるが、輸出業者は銅産業をのぞいて真っ青です。

5)航空産業
アルゼンチンからアエロリネア・デ・スールがチリのプンタ・アレナス線に参入してしばらくしました。それは現在のチリの空の1%シェア―を占めています。今回全く逆の方向イキケに向かう路線に参入を表明。その途中の空港にも寄る予定で、シェア―を早く10%に持っていきたいとか。最後の目標はサンティアゴ―ブエノス・アイレス路線参入でしょうが。

6)ガソリン価格が下落
今週ガソリン価格が下がりました。しかし私が分からないのは、毎週上がったり下がったりすることで、どうして1年間、半年とか価格をフィックスできないのかなということです、トラック運送会社は契約の中で原油価格の動きで運送費の値動きがあり、これが頻繁に変動すると経営に影響すると泣いています。


(一般)
1)交通事故
もう最近の話題はサンティアゴの中心道路アラメダでの交通事故死ですね
道路の舗装工事が始まって毎週、交通事故死が出て、合計既に七名。それも子供から老人まで、各種さまざまが26人轢かれて、7人が死亡というもの。もう警察官を増員しても、歩行者に反則切符をきっても効果がないと、首都圏当局は判断しなんと2月末に終了予定の工事を早く終われないかと工事会社に問い合わせ中とか。もうチリ人の交通センスは直らないと判断したわけですね。これは本当に現在のチリを代表するニュースです。 

2)ビーニャ歌謡祭
当然ならこれがトップニュースに来るところですが、私は特に好きというわけではないので、2番目に取り上げました。日本でいうと紅白歌合戦見たいな感じですが、水曜日から月曜日まで6日間続くこの歌謡祭は国民の熱狂的な支持を受けています。好きな人というのは、朝の2時まで見たとか3時まで見たとか言っています。終わるのは毎日4時ころとか言われます。
私の部下にも昨日は3時までテレビを見たというのがいますが次の日、ちゃんと働けるのかな?
それから今年から男性の司会がチリ人からべネスエラ人に替わって話題を呼んでいます。主催者側としてはこれでこの歌謡祭がチリの国内レベルを超えて、ラテンアメリカ全域に売り込めると判断したのでしょうが、フェスティバルを見に来た客から反発を招き、観客席が前司会の名前を呼び出す始末で、笑ってしまう。
しかし話は変わるが、インターネットはすごいですね。私は普通のファンだからどんな日でも夜12時前には見るのをやめます。ある晩、娘の好きなグループ「ルシベル」が出たので、アメリカにいる彼女のところに、おとうさんは深夜まで付き合えないので、ルシベルを見ないで寝ますとメールで打ったら、翌日、インターネットで番組の中継を見たと彼女から返事あり。フーム。

3)貝類の伝染病
夏の高温が災いして、生で貝類を食べると伝染病になる人が続出。
もう4千人以上の患者が確認されています。大きなニュースになっているのにまだ生で食べる人がいるらしく、病人の数が増えつづけて、とうとう死者も1名。これってアラメダ通りの交通事故死の話とどこか共通しているようですね。
もっとも魚貝類の売上は通常の80%減と新聞には出ていますが・・・。

4)おばあちゃんのマリワナ事件
普通マリワナって若い人間が吸っていますよね。ところで今週、おばあちゃんが逮捕されましたが、自宅の庭にマリワナの木が40本ほど植わっていたというもの。近所の人があそこにはマリワナがたくさんあるのよって警察に通告したのでしょうか?テレビのニュースでは背の高さ2m以上の立派なモンでした。
ところで、彼女の家は私のアパートの近くでした。ラス・コンデス区のロス・ドミニコスと言えば、サンティアゴでは名の通った地区です。それもそのはず彼女は昔キリスト教民主党のハミルトン議員と結婚していたとか。家も豪邸でした。で、その71歳のおばあちゃんは私は持病があって、その苦痛を和らげるためにマリワナを吸っていたと告白。さぁどうなるのかな?

5)クスコのインカの壁に落書きしたチリ人二人
彼らは依然として牢屋の中です。不自然な保釈金を払えとかクスコでなくリマで裁判をしようとか、正当に裁判を進め早く結審させようとしない理不尽なペルー側の態度は犯人がチリ人ということが原因としてしか考えられません。悲しいですが。
どんな壁にせよ落書きするのはいけないが、それをペルーでやってしまったところに二人の不運があった。もっとも書いたのは1人で、もう一人は見ていただけなのですが。


(スポーツ)
1)サッカー
せっかくナショナル・チームが活躍しているのに(20歳以下のチームは世界大会にノミネート、また大人のほうも練習試合ながらエクアドルに大勝)クラブチームは対外試合でさっぱり勝てません。リベルタドール杯で、コロコロは早々と敗退。次に出たコブレ・ロアはなんと本拠地でぼろ負け。ファンをがっかりさせました。最後にチリを代表して出るチリ大学(ラ・ウー)ももちろん駄目でしょうね。
ところでこのサッカーの試合結果を週末テレビで見るのを楽しみにしているファンはチリ全国にいますが、なんと最近のTVN(日本でいうとNHK)は全くチリのサッカーの話題を取り上げません。無視しています。そしてアルゼンチンやイタリアなど、他国のサッカーの話をします。このアホな状態は、13チャンネルがチリサッカー協会と契約を結び、そのテレビ局だけの独占放映権を得たため、他のテレビ局が反発し、チリサッカーを無視する結果となったわけです。しかしテレビ局がアホなのか、サッカー協会がアホなのか。最悪です。
そうそう、昨年チリに来た高橋選手が年末日本に戻り、今年はJ2の徳島でプレーすることになったそうです。彼の活躍を祈りたいですね。日本でこのチリの風を見ておられる方はJ2の結果も見てください。

2)テニス
昨年チリテニスが世界を舞台で大活躍したのが嘘のように、今年は揮いません。なんだか負けてばかりとか、故障で参加もしていないとか・・悲しい。3月のデービスカップは対ロシアですが、昨年の日本対チリのように5対0にならないように・・・

以上