チリの風その113  05年2月21日―27日

日本の警官が、犯人に終われて逃げるニュースがチリでも報道されたので、翌日会社に行くと大勢から馬鹿にされた。しようがないから、「死んだ兵隊は二度と戦場の戻れないが、逃げた兵隊は再度戦場に戻れるからね」と分けのわからないことを返事した。
暑い日が続いています。30度を越えています、連日。たまらんな、でもこれが夏やん。ビーニャ音楽祭が終われば秋が来ると言われ、それはもう今週の月曜日に終わったのですが・・・。でも、もうしばらくの辛抱でしょう。


(政治)
1)人権問題
 やっぱりチリのニュースでどきどきはらはらするのはこの項目ですね。
 今週は二つの大事件。

A)先ずは先週、軍事政権関係者が起訴され始めたと書きましたが、今週は一段と高位の元内務大臣(現国会議員)が訴えられました。このままでは裁判に入れないので、国会議員資格の剥奪を検討中。しかしこれはもう止まらないでしょう。もっと進みます。で、右翼側は軍事政権の元内務大臣を人権問題で訴えるなら、公共事業省の汚職や例の橋が落ちた事件で、当時の大臣(現大統領のラゴス)を訴えるのが認められるはずとしています。本丸のピノチェットは既に幾つもの件で起訴されていますが、この風潮が進むと、右翼側の人間は全員(ほぼ全員)傷を持つだけに外堀、内堀全部埋まることにもなりかねず無関心では入れません。もちろんどこかで逆襲に出ようとするのは目に見えていますが、はっきりしているのは、彼らにとって情勢挽回の最大のチャンスは次の大統領選挙に勝つことです。(こんなことは新聞には書いてありません)

B) それから御大ピノチェットの大金を預かっていたリッグス銀行が脅しにかかってスペインの組織に8百万ドルを支払わされたというもの。私にはその辺のからくりがよく理解できませんが、新聞ではリッグス銀行のオーナーが、この銀行を売りに出すにあたって。裁判でもめているそのスペイン組織にお金を払って問題を清算したというもの。しかし何故、スペインなの?と思ってしまう。そのスペインの組織はアジェンデ大統領基金と言う名前で、そのダイレクターによると裁判にかかったお金が百万ドル残りをピノチェット事件の被害者に渡したいといっているが???(結構儲かったなんて言っていたりして)
銀行はその金をどこから引き出すのかな?

2)ラバンデロ上院議員の少年性的いじめ事件
これももう本人一人の問題から、検察内部のいがみあい、責任のなすりあいに発展し、今週は検察官で、上院議員事件を適正に処置しなかったとして訴えられているピエドラブエナの弁護士が辞任。その理由は彼が上院議員とこっそり会っていたから。もう何でもありの世界ですね。しかしこっそり事件の当事者が(犯人)裁判を進めるほうと会って、何を話すのでしょう。適当なところで勘弁してくれとか言うのでしょうか?


(経済)
1)天然ガス問題
すでにアルゼンチンからの天然ガス供給に問題が起こっていますが、発電所側はこのままでは冬季の安定した電力の供給が危ないと警告を出しています。昨年も同じことがあって、政府は来年はこんな混乱を防ぐ手を考えていると言っていたのですが?
しかしそういいながら、アルゼンチンからの天然ガスの輸入は、ここが不思議なのですが、01年から毎年上がっているのです。つまりもっと買いたいとするチリの希望をかなえられないと言う訳で、一方的にアルゼンチンを責めるのは間違い?

2)鉱山会社の税金
大蔵省の推定では04年の税金として鉱山会社は6億ドルを支払う事になっていますが、鉱山会社の企業連合の推定では十億ドルとなっており、なぜかくも巨額の税金を徴収されるのかとしています。
そのうえ、3月から昨年同様ローヤリティ新税の検討が国会で始まるので、鉱山会社の悲鳴は高まるばかり。と言っても過去に見ないような銅価格が続いて、業績急上昇では悲鳴の出方もそれほどではないでしょうが・・・。さらに今年も中国を始め、各国の銅の需要は過去にないほど高い水準になり、生産過剰から価格転落というストーリーは見れません。

3)05年経済成長率
JPモルガン社の予想では05年の世界の経済成長率見込みは中国がトップで8%、2位がインドで6.5%、3位にチリとマレーシアが6%で入っています。日本は1.5%で下のほうですね。


(一般)
1)火事のニュース
もっとも話題になったのはトーレ・デ・パイネ、それから南部街道のコジャイケ近郊などあちこち(2ヶ所)で問題が起こっています。いずれも欧州人観光客がキャンプの許可されていないところでテントを張って、炊事したところ火事になったというストーリー。パイネといえば、パタゴニアでチリを代表するところですが現在まで11000ヘクタールも延焼し、500人の消化部隊が現場に張り付いていますが、いつになったら鎮火するか分かりません。もちろんその地区への観光客の立ち入りは禁止になっています。(パイネ全部の地区ではなく、延焼地区とそのい周辺)商売上がったりだと観光関連の人々が泣いています。エクスプローラホテル(同地区で最高のホテル)は火事から60kmも離れており通常営業中とのことです。
それでも焼死者が出なかったのは不幸中の幸い。この事故に関し、火事を起こしたチェコ人は罰金2万円くらいで釈放されていますが、火災の損害は推定何十億円ですから、あまりにも罰則が少ないとの批判が多く出ています。その他、火事が起こったときの消化体制の不備を責める声、軍隊が何故消火作業に積極的に協力しないのかなどの意見も新聞に載っています。
レンガという銘木が被害にあっていますが、成木になるのに百年もかかるような木が火事で簡単に灰になるのは悲しい話。ダチョウやりゃマなどの動物にも被害が出始めています。

2)マリワナおばあさん
 仮釈放されました。ただしチリの法律ではマリワナの木を栽培するのは禁じられているので、裁判自体は継続するよし。

3)クスコの落書き小僧
 捕まっていた二人のうち、落書きしなかったほうの一人が、仮釈放されました。つまり牢屋から出てクスコ市内に留め置きということです。彼は「最期の週は特にひどかった留置所の役人にぼかすか殴られたし、持っていたお金を取られるし・・・、反チリにかたまったひどいやつらだ。」と言っています。
 ついでに、落書きとは何の関連もないけど、チリ人女性を日本にだまして送り込んでいたと逮捕されていたアルバラードが無罪釈放されました。いいかげんにしてほしい。

4)アラメダ通りの交通事故
 このニュースもそろそろお仕舞い。チリ人のモラルが上がったからではなく2月末で工事が終わるから。いずれにしても良かったですね。3月に入ったら学校が始まって、また事故が増えるというのでは困りますが。
 2月27日の日曜日は各地からサンティアゴへ20万台の車が戻ってくる由。

5)日本文化がチリの青少年に与える影響に
 こんなタイトルの記事が出るといったい何のことかと思いますが、日本の漫画、アニメなどがチリの14から30歳までの年代に大きな影響を与えているらしい。少女漫画に出てくるファッション(コスプレ)で町を歩くとか、部屋中にポスターを貼るとか、給料の大半をDVDやポスターにあてるという若者もいるらしい。まぁ日本にもそういうのはいるでしょうが、チリ人が日本文化?に狂っているというのは若干違和感があります。


(スポーツ)
1)サッカー
 今、チリ人のサッカー関係者で一番評価が高いのはスペインのチームの監督をしている通称エンジニア―のぺリグリーニ監督だろう。スペインの弱小チームだったビジャレアルは彼が率いるようになってから、ぐんぐん成績を上げ、チームの歴史上初めてスペインリーグで50%を超える勝率をマークし、欧州クラブ対抗戦UFAではベスト16まで勝ち進んでいる。
 それから、南米のクラブ対抗戦、リベルタドールカップでチリのチームが初めて勝ちました。チリ大学がアルゼンチンのキルメスにロスタイムにゴールが決まって3対2の辛勝。もちろん勝ちは勝ち。次はブラジルにいってサンパウロと対戦。
しかしこの試合で、チリのチームの選手がコーナーキックで攻めているとき、相手キーパーの大事なところをつかんで攻撃? もちろんアルゼンチンキーパーは手をあげて審判に合図したが、審判見逃す。これをテレビで流したので、チリ人解説も怒っていたが、当の選手はこんなのはよくあることだよと反省の色無し?私なら試合終了していてもレッドカードを出すべきと思うが・・

2)テニス
 来週、モスクワでデービスカップの世界リーグ戦が始まりますが、敵地でロシアと戦うチリチームが今週モスクワに到着。さてどんな展開になるのか。


さてマラソン練習の集大成としてフルマラソンを走りました。悔しいことに同伴のチリ人は4時間12分で走りきったのに、私は37k地点で両足痙攣になり、途中コースをカットしてゴールまで歩いて帰ってきたので、結局40kにしかならず(2k足りない)がっかり。それでも日ごろの鍛錬の成果で、午後寝込むこともなく通常の生活をしました。これでは4月10日の本番も見込みは少ない?かな


以上