チリの風   その732  2017年5月15日―21日

先週に続いて、今週も雨になりました。最も各地の雨量は比較的少なく被害は先週よりはずっと軽いものでした。その後、気温が下がり、首都圏で最低マイナス2.5度を記録しました。何と天気予報ではサンティアゴは来週3日間も雨になります。
ナッジオの写真展覧会があり、見に行きました。カメラが生まれてから写真を通じてイメージ・情報を世界で共有できることになったわけで、歴史・文化それに自然の実態が伝ってきます。旅に出たいと言う気持ちが高まりますね。
土曜日は今年第1回目の登山教室。プロビンシア山の風間ルートを歩きました。参加者は37名。何年も登山教室をしていますが、多分、最高の参加者数。自然の中を歩く楽しさを皆に分かってもらえたかな?
日曜日のマラソン練習は3名で実施。寒い朝でしたが、気合を入れて走るとゴールした時、汗をかいていました。

(政治)

1) 大統領選挙
全然、熱気が高まりません。もうすぐ予備選挙があるとも思えません。
先週からの社会党の不祥事ですが、彼らは投資をして利益を上げながら所得税を払っていなかったようです。彼らのコメントでは政党は利益を目指した組織ではないから所得税を払う必要はないとか。そしたら何故投資をするのと聞かれそう。彼らに倫理感なんかないのですね。そういう彼らが法律を作るのです。その原資は軍事政権時に取り上げられたとする家屋などの補償金だったのですが、それも怪しいです。
もっともチリだけでなくラテンアメリカの各地で社会党はじり貧ですね。
共産党も似たような問題を起こし知らん顔をしています。キリスト教民主党社会党共産党と現在の与党グループとほぼ全滅状態。大統領選挙が盛り上がるわけないですね。
ピニェラは6億5千万ドル、妻は1億6千万ドルの資産を所有と公表。他の候補はカストは160万ドル、オサンドンは130万ドル、ベアツリス・サンチェスは18万ドル、マヨールは12万ドルとか。桁がかなり違いますね。
2) 警察軍の不正問題
警察軍の長官は、責任は既に逮捕されている経理担当のトップが全ての責任を負うべきとしています。もっともその彼は軍の長官の指示で働いたとしています。秘密資金(特別用途金)を引き出し、軍のトップレベルの人間の隠し給料にしていたことが明らかになっていますが、長官は自分はもらっていなかったと逃げています。ホンマかな? 
検察側は各自の持つ銀行口座の機密を外すように要求、それで金の動きがはっきりするわけです。
次に陸軍の元長官チェイレが検察に呼ばれ、8時間の訊問を受けました。彼が現役時代、左翼系の人間を逮捕し、拷問・死亡させたと言うわけです。 
さてその件で、人権問題ですが、有罪になって特別刑務所に収容されている罪人が受領している年金が多すぎると問題になっています。一般労働者が老齢になって年金生活に入ると、10万ペソ、20万ペソをもらっていますが、それらの囚人のトップは330万ペソ。一般企業の部長職の給料のようです。軍事政権以来長い月日がたっても、それらの旧軍人の特別手当に誰も手を付けようとしないわけです。
3) 大学教育の無償化
バチェレットの公約の一つですが、全然進んでいません。2016年の数字でチリでは14万人、12%の学生が無償で大学で勉強しました。アルゼンチンではそれが200万人、75%です。この数字を見るとそうかアルゼンチンはすごいと思いますが、大学生全体で卒業できなかった学生の割合はチリは29%、アルゼンチンは73%。何や、アルゼンチンでは誰でも大学生になれるんかと思わせる数字ですね。

(経済)

1) GDP
今年度第1四半期の数字が出ましたが、わずか0.1%でした。中銀は公定歩合をまた少し下げ2.5%にしました。
部屋を借りている人など、今がチャンス、マンションを手に入れましょうと業者は宣伝しています。
2) 銅価格
木曜日、かなり落ちて今週は厳しいと言われましたが、金曜日に全く逆の動きで大きく上昇。結局先週とほとんど同じの2.5ドル、為替も1ドル669ペソでした。
3) 各州の動き
今年度の第1四半期の数字ですが、上昇したのは1位が第12州(プンタ・アレナス)で10%、漁業関連企業が好調、2位は第1州(イキケ)で4%、逆に落ちこんだ1位は第2州(アントファガスタ)の13%、次いで3州(コピアポ)の7%。2州は銅の鉱山エスコディーダの長期ストが大きく影響しました。
4) 北朝鮮との貿易
2015年は2700万ドルの貿易がチリと北朝鮮の間で行われ、チリからの輸出は2百万ドル、輸入は2500万ドルでした。銅など原材料の輸出と鉄などの金属の輸入が中心です。

(一般)

1) 雨の被害
先日来の雨で北部は大きな被害を受けていますが、道路の補修などで200億ペソほど費用が掛かると公共事業省は発表。同じような降雨による被害のあった2015年で、約千軒の家を政府は被害者に提供するとしたのですが、2年たっても今だに10%の家も引き渡されていないとか。しかしバチェレットは役に立っていませんね。今週の世論調査で彼女を支持するは25%、拒否するは65%でした。
2) 大気汚染
明日の月曜日、サンティアゴで今年初めての準非常事態宣言が発令されます。排気ガス対策車は20%、それ以外は60%の車の通行が制限されます。いよいよ大気汚染のひどい冬が来たわけです。
3) スキー場
異例です。まだ5月なのにスキー場が操業開始。今年は外人観光客が50万人来ると見込まれています。
さてチリに来る観光客は66%が郊外が目的地で、サンティアゴを目指して来る観光客は33%だけ。それをなんとか、もう1泊してもらってサンティアゴ観光もしてほしいと首都圏観光局が作戦を開始。どうなるかな?

(スポーツ)

1) サッカー
今シーズンの優勝はチリ大学でした。最終日もどちらが勝つか分からない状態が続き、ファンはワクワクドキドキでしたが、最終的に両チームが勝ち、先週1位だったチリ大学が優勝、コロコロは2位に終わりました。


以上