チリの風   その731  2017年5月8日―14日

今週のサンティアゴは珍しく雨の日が続きました。マラソン練習で外に出て走り始めると、途中で小雨になり、雨に弱い私は半分も行かなうちに諦めて家に戻りました。 それでも娘とチェコのソプラノ歌手のコンサートに行ったり、友だちに招待してもらって楽しい昼食を一緒にしたり楽しみました。
土曜日のサッカー教室は20名の参加者で楽しく練習。子供が毎月・毎年うまくなっていくのが分かります。それはボールさばきと走力の両方の面で進んでいきます。
日曜日、この週末から夏時間を自然時間に替えました。つまり朝は1時間早く太陽が昇ります(勿論、1時間夜が早く来ますが)。朝のマラソン練習は雨が降り出す前に、仲間と楽しく走りました。

(政治)

1) 大統領選挙
11月の選挙で勝利は間違いないだろうと言われるピニェラは自分の資産を6億ドルと公表しました。もちろん与党の方から虚偽の報告だとクレームが出ました。その根拠はフォーブス誌に掲載された数字27億ドルと大きな差があるからです。
ところで近年、ソキミチ(SQM)社の国会議員への不正援助が問題になっています。その会社はピノチェットに関連があったガチに右よりの会社ですが、左翼の議員にも援助を出していました。今週、与党グループの一つ、チリ社会党が自己資金をその会社に投資しているのが明らかになりました。しかし儲かるとなれば、その会社が裁判になっているかどうかなど気にしないわけですね。ピニェラを批判した社会党は自分たちのクレームがブーメランになって戻ってきたわけで、何かのエラーがあったのかもしれないとコメント。
まだあります。 共産党が所有していた100件近くの家屋を過去6か月で35億ペソで売却したとか。
いつも同じことを書いていますが、右翼も左翼も同じです。見せかけと実態は全く違う。こうした現行政党・議員を全部処分したいですね。
与党内でキリスト教民主党DCが他党と距離を置き始めました。党首のゴイッチはベネスエラ駐在のチリ大使を呼び戻せとか、公立病院の建設が当初の約束より大きく遅れていることから、バチェレットが唱える「すべて公費で建設する」を止めて、民間に委託して建設させればよいと公表。与党連合の崩壊・分裂は決定的ですね。
新聞に、一般市民は右翼にも左翼にもうんざりしているから、中道のDCにチャンスはあると出ました。その考え方は正しいですが、肝心のDCは実にいい加減な党で、国民の支持を失い毎回議員数を落としているので、そのチャンスは無いですね。
2) ボリビア問題
もう2か月にもなりますが、向こうの国境を越えたチリ領土内でボリビア軍人・公務員が逮捕されました。毎週、モラレス大統領はチリを公式に批判していますが、今週は今までと違った動きを見せました。
その1は、ボリビア軍の精鋭を国境線に近くに配置しました。何それ、北朝鮮方式?と言う感じです。
その2はバチカンローマ法王にわが軍人がチリに不法に留置されているが、何とかチリの不正を戒め、ボリビア軍人が刑務所から解放されるよう援助を願いたいとしました。
第4州の公立学校で「ボリビアの海」と言うタイトルの本を生徒に配布して問題になっています。日本の学校で「竹島は韓国領土」と言う本を配ったのと同じ感じですね。チリの教育省が問題の検討を始めました。
3) 警察問題
留置される警官の数は増加し、不正に使用された金額も増加し175億ペソと言われた不正支出は200億ペソにもなりそうとか。(不正入手の金の国庫への返納は全く行われていない)国会に呼ばれた警察軍長官のビジャロボスは私は責任を取るつもりはあるが辞職する気はないとコメント。何それ?
4) バチェレット動向
今週、彼女はアジアを訪問。先ずインドネシアそして中国へ。しかしマスコミに彼女の外遊が大きく報道されないのが不思議。まさかマスコミがそれほど値打ちはないと考えているとは思いませんが。
中国では習近平と面談し、またAIIB銀行への参加を確認しました。新聞の1面トップに掲載されても不思議はないのですが、ほとんど全く紙面・画面に出ません。

(経済)

1) 物価上昇率IPC
4月のIPCは0.2%で、今年になってからは2.7%。目標の3%以下を達成しています。この調子だと公定歩合を再度下げる可能性もあるらしい。
2) 銅価格と為替
銅は2.5ドルで低め安定、為替は1ドル671ペソとこれも安定です。1ドル700ペソは近いと言う意見もありましたね。
3) 新車の販売
今年に入って前年対比4か月連続で増加し、10%アップになっています。上級会社員はしっかり稼いでいるのですね。

(一般)

1) 雨の被害
今週の北部の雨は歴史的な量と言われ、第3州と4州で大きな被害が出ています。コンバルバラは平均年間雨量が30ミリですが、今回の雨では2日で180ミリになりました。6年分の雨が二日で降ったわけです。町中が泥に覆われました。
川の向こうに自分の家があると言うケースで、無理に渡ろうとして水に流され2人死亡しました。
何万もの家で水道が止まり、復旧には1週間かかるとか。停電しているところも多くあります。道路が寸断されラ・セレナからサンティアゴへのバスが一時、止まったようです。そこのバスターミナルは浸水で使用不可になっていました。 床上浸水で家屋内まで水が入り、学校、体育館・・と街中が苦しんでいます。ほんの2年前も似たような水害が起こったのですが。
来週もう一度、雨の前線が通過すると言われています。
2) 生活条件
生活環境(状況)に関する調査で過去5年で、サンティアゴ平均は下向きになっています。チリの全ての地区も下降気味ですが、首都圏が一番、落ち込みはひどいとか。
貧民街の増加、公共施設の劣化とか問題があるようです。政治・経済なども絡みチリがうまく行っていないとする証明のようですね。
その中ではうまく行っている地区は上から順に、ラス・コンデス区、ビタクタ区、プロビデンシア区、そしてプンタ・アレナス市、プエルト・バラス市でした。南米最南端の町プンタ・アレナスがチリで4番目に住みやすいところなんて嬉しいニュースですね。私はパタゴニアのこの町が大好きです。
逆に下から5位の区は全て首都圏でした。
3) 医者の不法行為
病気になった時、会社に医師の診断書を提出して病休を取りますが、その証明書を医者が売りに出しています。テレビの番組にアナウンサーがその医者とコンタクトを取り、街の中でそれを受け取ると言う仕組みが映されました。フェースブックなどで、その情報が出て、医者(もしくは秘書)にコンタクトとすると医者が診断書を作成し、決められた場所でそれを渡す。普通の場合、費用は100ドルくらいとか。しかし一人の医者が診断書を何百・何千枚と発行しているわけで、その医者の名前が分かっても逮捕されないのが不思議です。その医者は医師組合から除外されても同じ不正を続けるでしょう、刑務所に入れられるまでは。
4) 中毒
OECD参加国の少年がどれくらいプレーステーションで遊ぶか調べたところ、平均は145分、日本は90分、そして1位は何と195分でチリでした。
それから世界の高1で週にどれくらいスポーツを実施するか調べた結果は1位はロシアで80%、チリは13位で66%、日本はほとんど最下位の58%でした。

(スポーツ)

1) サッカー
国内リーグ戦はとうとう後1試合になりました。首位のコロコロは引き分け、2位のチリ大学は勝利を収めたので、順位は入れ替わり、チリ大有利で来週の最終戦にかかります。


以上