チリの風  その640  15年8月3日−9日

チリの中部と北部が暴風雨に襲われました。サンティアゴも7年ぶりの大雨で木曜日78ミリの降り、あちこちで水害になりました。
それで今週は山歩きも中止、サッカー教室も中止。たまにはそんなこともありますね。
土曜日、私のアパートで仲間と9月の本番の前にアンデス民謡の練習をしました。楽しかったです。日曜日のマラソン練習は、他のメンバーは雨と思ったのか、私と山口さんの二人だけでした。朝は雨は降らず、もちろん楽しく走りました。その後、風呂に入り(今村さんに教えてもらったとおり、スポーツの後はシャワーでなく湯船につかる)それからテラスでホットケーキとコーヒを楽しみましたが、幸せです。

(政治)

1) 大決起集会
この月曜日、大集会がありました。政府・与党側の総決起集会です。参加者の誰もが大論争になるだろうと、各自がコメントを準備していったのに、ほとんど発言のチャンスがなかったとぼやいていました。会議は6時間も続いたのですが。
バチェレットは先に内務大臣と大蔵大臣を差し替えましたが、つまり先鋭の二人を保守的な二人に交替させたので、この大集会でバチェレットは政策の方向転換をするのだろうと考えられましたが、優柔不断の彼女は思い切った作戦には出ず、お茶をにごしただけでした。
経団連などが、この政府ではチリの将来はないだろうときついクレーム。労働・税金問題で彼らは政府と向かい合っていますからね。ただ新法案に真っ向から反対と言うのでは無く改正法案の手直しをしたほうが良いと言うスタンスです。
大学教育の無料化問題ではバチェレットの無策ぶりが顕著で方針が定まらず、何度も繰り返し決定が変わるので最後は誰もわからないと言う感じ。
世論調査でバチェレットを支持しないが70%になり、これは調査が開始されて以来最悪の数字とか。大変なことですね。支持は26%でした。 しかし彼女はコメントします。「私の人気がないとマスコミは言うけど、街で会う人は違うことを言いますよ」
そうでしょうね、市民が、大統領に面と向かってあんたやめなさいとは言わないでしょう。
それから二人の大臣を交替させたことを未だに引きずっているようです。一番、信頼していた二人でしたから。
2) 中絶法案
国会の委員会で投票があり可決しました。与党内でもキリスト教民主党が反対していますからもめます。カトリック教会がこの法案を通さないようにと要請していますし。
中絶が全部認められるのでは無く、母体に影響する時とか、暴行されて妊娠した時とかに限られています。この後、本会議で全議員の投票を待ちます。
3) 不正選挙資金問題
もちろん継続中ですが、前内務大臣が2回目の取り調べを受けました。彼は全くやましいことはない、税務局へ圧力をかけたこともないと白を切っています。もう少しすると本当のことが分かってきますよ。
バチェレットの息子夫婦の農地売買の問題も国会の委員会で審査中。それとは別に、検察が必死に捜査を続けており、関連者の関係がかなりはっきりしてきました。彼らはゆっくり眠られませんね。
4) ボリビア問題
モラレス大統領はチリのボリビア領事を批判。その領事はボリビア国内を回って反政府活動を行っているとし、国外追放もありうるとしました。チリ政府は直ちに反応して、チリのボリビア領事も同じ処置を受けるだろうと確認。しかしモラレスは目立つことをやるのが好きですね。

(経済)

1) 物価上昇率
6月のそれは0,4%で12か月通算では4.6%。高い数字が続いています。ドルが上がっているので、この先も物価上昇は継続しそうです。
専門家の見通しですが、2015年だけでなく16年のチリ経済も厳しいものになりそうです。
2) 新車販売
今年の新車の販売台数は26万台と前年対比24%減少の見込み。これは2008年の経済危機以来の低い数字になりそうです。
3) 為替問題 
1ドルが680ペソを超えました。2008年の11月以来のことです。3か月前に500ペソ台だったのですが。       
銅の価格も原油の価格も低いですね。
4) チリのラン航空がブラジルのタム航空と合併して来年から一つの会社、ラタム航空になります。ランは86年の歴史を来年で終えるわけです。

(一般)

1) 大雨
風速35メートルの強風を伴った大雨がチリ中北部を襲い、土石流などから家屋が崩壊、死傷者が出ています。海岸地区では最大11メートルの波が襲い、海岸沿いのホテル・レストランに被害続出でした。アリカ・イキケ・アントファガスタにも被害が出ました。港だけでなく飛行場にも問題が出ました。
サンティアゴの場合は東部の区は被害が少ないのに西部になると水害などの問題が出ます。専門家の意見では、街が小さな時代は住むのに適したところに家の建設をしたが、拡大化するにつれて家を建てるのに適していないところ(たとえば湿地)にも建設が始まったのが、基本的な問題としています。そこは地代が安いので立てる工事も簡易なものにして貧困層が住み着くわけです。そしていつも被害に会う。悲しいサイクル。政府の人間は毎年同じ地区に水害が出て恥ずかしくないものですね。その辺がチリ人化している私でも理解できません。日本で下町・山の手と言う分け方がありますが、サンティアゴではイタリア広場から東と西で区別されます。新聞に掲載された記事では、その東部の六区に住むのは全人口の17%、残りの83%は他の区の住民です。さてその6区の住民は62%が裕福な層で、ほかの区には2%だけ。格差がひどいですね。
2) 電力消費
チリの一人当たりの電力消費はラテンアメリカのトップとか。それも最近に急上昇。1990年に660キロワットだったのが2014年に3800KWとか。このままいくと電力不足になるのは目に見えていますね。火力発電は大気汚染、水力発電は環境破壊問題があるし、原子力はやめてほしいし。
3) ピノチェット軍事政権時に秘密警察のトップを務めていたコントレラが86歳で死亡しました。拷問・殺人などで有罪になり刑期は529年だったのですが、軍の病院で死亡。刑務所の中に16年いたことになっているが、特別刑務所でまるで別荘生活を送っていたと言う証言もあります。しかし彼も、彼に殺された人間も悲しい人生ですね。その夜のニュース番組で彼の軍隊時代から現在までの特集番組が組まれましたが、それだけの数の拷問、行方不明者、殺人を繰り返すのは通常の神経では耐えられないことは明らかです。

(スポーツ)

1) サッカー
国内リーグ戦は2試合目ですが、ほとんどの試合が雨で中止になりました。
17歳以下の世界大会が10月にチリで行われます。南・北朝鮮が出場しますが、中国も日本も来ません。大人の日本代表も北朝鮮に先日、敗北しましたね。アカンな。


以上