チリの風   その559 14年1月13日―19日

      
チロエ島に行ってきました。サーモンと観光の順風があるので島の景気は明らかに上向き。以前は崩れ落ちそうな家が目につきましたが、今では逆に新築・改築の家が目立ちます。予約を入れないでカストロに入ったら、5つ星から3つ星まで何軒も回ったのにすべてのホテルが満室で、しかたなく隣のダルカウエまで行きました。すごいもの。
日曜日のマラソン練習。出発時に26名、遅れた二人を入れると今週は28名で走りました。私も少しづつ走れるようになってきています。 その後、日本人会館に行ってアンデス会の月例会、そのあと官公庁グループの人と一緒に新年会のアサードを楽しみました。今年も楽しく1年が始まっています。
先月と比べると日照時間が短くなってきたのを感じます。

(政治)

1) 領海問題
ペルーではもう勝利間違いないと国中が湧き上がっている様子。逆にチリは領海の一部をペルーに奪われると悲壮感が漂っています。現在はチリ領の最北端アリカは目の前の200マイルが領海ですが、ペルーの場合、最南端タクナはわずか30マイルだけです。チリの領海が遮っているので。
これが変更になるとアリカの漁師は大変ですね。水揚げ量が激減します。漁師だけでなくそれに関連した人間が職を失うとニュースに出ています。ハーグ法廷の結審は27日、あと少しですね。
それより前にバチェレットが彼女の内閣を発表するらしい。
2) RN党の崩壊
先週に続いて今週もまた一人ぺレス議員が離党しました。彼女は大統領選挙でマテイ候補支援隊の中心メンバーでした。
さらにRN党員の閣僚は政府が終わる3月までは大人しくして、そのあと離党を声明するらしい。このままでは半壊、崩壊まちがいなしですね。
RN党総会で、ピニェラに対し3月に政権を終えた段階で同党に戻ってほしいとの依頼がでています。現在の政権を支えたのは中道に近いRN党と一番右のUDI党です。ピニェラはRNの出身なので政府にかみつくとしたらUDIと考えていましたが、それは誤りで、政府にかみついたり逆らったりしたのはほとんどRNでした。もちろん党の首脳部がアホだからでしょうね。それが党の崩壊に近づくと、助けてほしいとすり寄っているわけです。
これはチリに住んでいて、政治に関心を持っている人以外には何の役にも立たない情報ですが、世界中で同じような事があると言うのは理解してもらえるかな?

(経済)

1) チリ経済
ウォールストリート社などの調べで世界自由経済ランキングが発表されましたが、178か国中、チリは昨年と同じ7位でした。トップ10維持と大きく報道されました。
アメリカは12位、日本は25位ですよ。アルゼンチンは166位、べネスエラは175位、北朝鮮が178位です。政府の不自然な介入があるところは自由経済にはなりません。
その点、チリは自由貿易を守り、規則を順守するなど自由経済で世界のトップクラスに入るわけですね。

違った見方ですが、ファイナンシャルタイムズの記事で昨年、世界の5か国が投資先として危険性があるとしました。支払いがショートする可能性があるとかですが、今回さらに3か国が追加されました。その8か国は南ア、トルコ、ブラジル、インド、インドネシアハンガリーポーランドそれにチリです。チリは国内市場が成長していないことも問題視されています。
全く違った見解ですが、どちらも理由があるのですね。
ところで昨年のチリの不動産の動きですが、件数では史上4番目の数字。しかし値上げ幅は大きく、金額では前年を5%破る史上1位を記録しました。
中銀は現在の4.5%の金利を3%目指して段階的に下げていくことを発表しています。ペソが弱く対ドルで540ペソまで落ちました。4年ぶりの数字とか。不思議なことに、銅の価格は3.3ドルと順調なのですが。
さぁチリの2014年はどうなるのかな?
2) 火力発電所
5年間もかかった後に裁判所は第3州プンタ・アルカルデ火力発電所の建設を認めました。もちろん大気汚染を最小化するという条件が付いています。そこに作られる2か所の発電所の合計は740MW。14億ドルの投資がされるらしい。
政府はチリの電力価格は世界有数の高いもので、さらにこの先電力不足が心配されている。このような状況下で、今回アルカルデ発電所が認められたことはチリにとって大きな喜びだとコメントしています。
知らなかったのですが、最新技術では石炭の火力発電所はほとんど大気汚染をしないらしい。じゃ、日本はなぜ、原発をやめて最新の火力発電所を作らないのかな?原発が危ないのはアメリカ、ソ連、日本の事故で確認されていますからね。
3) 港湾労働者
続きますね、ストが。もう2週間。チリのほとんどすべての港が凍結しています。30度の暑さでも?
チリのイメージが変わりますね。そんな国に投資できるの?政府も解決に必死のようですが、面談しても有効な解決手段を提示できず時間だけが立っていきます。銅輸出も影響していますが、やっぱり一番の悪影響は果物ですね。業者は泣いているでしょうね。ちゃんと製品を作り、手続きもすべて終えたのにストでそれまでの仕事が全部消えていきそうです。
このストは違法ストと言う意見もありますが、少なくとも現在まで政府は積極的な手を打ってはいません。
4) 自然保護
数年前にバルディビア地区の川で白鳥が大量に死亡し、全滅の危機になりました。それに関連して製紙会社が放水した汚水が原因とされ、今週の法廷で1千万ドルの弁償金が科せられることになりました。いつかまた元のようになるのかな?
(一般)
1) 火事
火事が続きます。一向に収まる気配なし。山火事から町に近づき家屋の焼失も記録されています。最近、首都圏から南の第8州まではほとんど雨が降っていないらしい。
火事の数の多いのは8州の563件、5州の435件。焼失面積の多いのは7州の22000ヘクタール、首都圏の21000ヘクタールとか。

(スポーツ)

1) ダカールラリー
チリ人がはじめて優勝しました。4輪オートバイ部門でカサレはトップでゴールし、バルパライソの表彰台に立ちました。スポンサーがつかないときは、ガソリン代が払えないほど苦しく、機械の補修などはすべて自分たちでやっていたとカメラの前で喜びの涙。
しかしチリ人で一番有名だったオートバイのロペスがレースから脱落してから、一気に熱が冷め、ニュースにもあまり出ません。チリ人が優勝したのだから最後の日など、実況中継で空から彼の力走ぶりを放送してもよさそうですが、全く熱気はありませんでした。テレビ局の考え方か、スポンサーの問題かどちらかですね。
2) サッカー
世界選手権が近づいてきました。来週の水曜日に対コスタリカ戦がチリで行われます。欧州で活躍する選手は参加しませんが、その他の選手はブラジル大会の参加メンバーになるため必死のプレーをするはず。監督の目に留まらなければいきませんからね。
国内リーグ戦は、意外な結果で、第3週が終わった段階で1位はコンセプシオン大学、2位はパレスチノとコロコロ。カトリカは4位。負けが続いたチリ大学はとうとう監督のフィゲロアを首にしました。人気チームは勝たないとすぐに監督の責任を問いますからね。


以上