チリの風  その511  2013年2月11日―17日

先週の日曜日から南の旅に出ました。ロス・アンへレスからレンタ・カーでアンツコに。その周辺を廻りましたが、車を運転したアニータはこれで来年のダカールラリーに出る自信がついたと言っています。かなりひどい道を走りましたから。
戻ってきてすぐ金曜日に山歩き。瀬戸・佐藤さんと初級広場まで。 山に一人で入るのも良いし友人と歩くのも楽しいです。
日曜日はマラソン練習。朝、外に出ると霧雨でした。それでも千葉夫妻、山下・安留・佐藤・笠飯親子と私の14名で元気に12キロ。しっかり走りきりました。
ローマ法王の辞任のニュースはチリでも大々的に報道されました。彼はカトリック関係者にエゴを辞めてチームプレーを大事にしようなどと言っていますが、信者にそれを教えている側がそれではどうかな?バチカン銀行の不正などから法王がカトリック組織に嫌気が指したのなら、残ったほうから「これ以上しゃべれば、お前の命はない」と脅かされているでしょうね。

(政治)

1) ボリビア問題
しかし先日逮捕されたボリビア兵3名は依然として逮捕されたまま。ボリビア政府は政治犯かとか、ボリビアの海返還要求に対する嫌がらせと国連に持ち込むとまで強く抗議しています。確かに不法にチリ領土に潜入し、所持していた銃を発砲したにせよ、調べが終われば帰国させるのが通常と思われますが、ピニェラも意地を張っているのでしょうね。
ランチリがボリビアのラ・パスとサンタ・クルスに便を飛ばしていますが、ボリビア政府はランチリに飛行許可の更新をしないような発言をしています。ボリビア陸の孤島になってしまうのかな?ランチリはすぐに解決しますとコメントしていますが。
2) 大統領選挙
バチェレットは2週間もチリのバケーションを楽しみましたが、パパラッチのような写真が新聞に載るだけで表立った動きは全くありませんでした。
野党連合のひとつキリスト教民主党は内部争いが激しく、党首選択、大統領候補選択とことあるごとにいがみ合っています。それが普通なのかな?
与党側の2候補は独自に選挙活動を行っていますが、市民の目を引くような動きはありません。

(経済)

1) 国内総生産
昨年は5.6%の成長を見せましたが、今年はそれよりやや低い5.2%が見込まれています。2009年にマイナス成長をしましたが、2010年以降順調に5%以上の上昇です。
物価上昇率は昨年は1.5%でしたが今年はそれより上がって3%ほどが予想されています。
2) 世界各国の中でチリの経済安定度は2009年には133か国中40位でしたが、2012年にはトップ10に入りました。
その理由は歳入と歳出の差がわずか0.6%にまで縮小したからです。ほとんど借金がなく国の運営が出来ているのは素晴らしいですね。
3) チリの経済成長につれて国民の生活レベルも上がり飛行機を使用するのが増えていますが、2003年から2012年の10年間で国際線は99%、国内線は192%も乗客が増えています。 国内線で2003年はコンセプシオン行きがトップでしたが、2012年にはアントファガスタ行きが首位でした。これは観光と言うより鉱山関係者の動きでしょうね。国際線はずっとブエノス・アイレス往きがトップです。ブラジル行きがぐんぐん伸びているようです。
同じように2008年危機を乗り越えたビルの建設業界も動きを縮小せず、まだまだ新しい計画を実施中とか。2012年は583ビルが竣工しましたが、それは前年より6%アップ。2013年はさらに増加とか。建設ラッシュですね。

(一般)

1) 火事
今週のチリの話題はバルパライソの火事でしょう。火事なんか珍しくないと言われそうですが、何でも過去50年間になかったほどの大火事だったとか。100件ほどの家屋が全焼しました。 バルパライソの深い谷に建てられた貧民街のような地区には消防車が立ち入りにくい、消火栓が不十分とか理由があって、家屋が燃えているのに消火作業が進みません。
失火の原因と思われる工場で働いていた労働者が逮捕されました。どうなるかな?
火事の最中に家具を家の外に出すとそれを持って逃げる火事場泥棒。しかし逆に被災者を助ける動きも活発で、政府はもうこれ以上衣服は要りませんと言うほど服や靴が寄付されました。この両極端がチリの特徴ですね。
簡易住宅が被災者のために建設されますが、また火事にならないように地区の設計をする必要がありますね。
2) マプチェ問題
マプチェ運動の中心メンバーはほとんど全員、逮捕歴や刑務所に収容された経験がありますが、彼らの動きが今週もニュースになって報道されています。先週逮捕されたベルクホフは裁判が結審するまで刑務所に入ることになりました。
しかし問題の本質として読者からの投稿が掲載されましたが、社会省の発表でチリでもっとも貧しい地区はエルシージャでしたが、そこにはチリを代表する2大財閥、アンジェリーニとマッテが150万ヘクタールの土地を持ち、森林伐採で巨大な利益を上げているところ。つまり同地区は多きな利益を富豪に提供しているにもかかわらずチリ1の貧困地区になっているわけでそれはマプチェの問題か政府の問題かと問いかけています。
3) ベルリン映画祭
今週実施されたその映画祭で主演女優賞にチリの女優パウリーナ・ガルシアが選ばれました。私は彼女の映画を見たことはありませんが、大したものですね。
4) アリカのミイラ
アリカ地方のチンチョロ遺跡から出た人体のミイラは世界的に見てももっとも古いものです。そのミイラが東京の自然科学博物館に展示のため来週送られることになっています。これに関してミイラの数は限られており、海外の展示のために輸送されることは望ましいことではないと反対の声が上がっています。
5) 宝くじ
ロトと呼ばれる宝くじが昨年から23回連続で誰も当たらず、賞金が積み重なってなんと賞金総額が60億ペソにもなりました。12億円くらいですね。で、チリ中が熱狂して宝くじ販売店に押し寄せ、何とか一攫千金の夢を求めていました。
そしてとうとう今週、当たりが出ました。3人が数字を当てました。それぞれ15億ペソほどを獲得とか。その中の一人がニュースに出て、彼はアイセンでバスの運転手をしていますが、しばらく仕事は休みたい、サンティアゴに行って、好きなコロコロの試合を楽しみ、それから先の人生を考えるとか。大金が急に手に入ると人生変わりますよね。

(スポーツ)

1) サッカー
チーム別の南米カップ戦で最高水準のリベルタドール杯が始りました。チリの3チームが参加していますが、結果は2勝1敗。最高は昨年の覇者ワチパトで、敵地でグレミオと対戦し、2対1で勝利。チリのチームがブラジルで勝利をおさめるのはまれですからね。チリ大は勝利、イキケは敗戦でした。国内リーグ戦は不調でも人気のコロコロが、ワンダラースとホームで戦い何とか勝利。首位はカトリカが勢いを持続です。


以上