チリの風 その985 2022年3月28日―4月3日

夏時間が終わって時間の無理がなくなりました。私の一番好きな街路樹リキダンバルの紅葉が進んでいます。
今週は、いつもと違うことが二つありました。先ず、民間健康保険会社イサプレの料金が値上げされますが、それに反対する組織が運動をしています。ある弁護士グループから誘われたので、その事務所に行って話し合いをし、私も反対グループに加盟しました。弁護士の話では、ほとんど100%値上げは避けられるだろうとのこと。裁判所の判決で、現行より料金が下がる可能性もあるらしい。どうなるか楽しみです。
もう一つはチリの身分証明書カルネの更新で、市民登録事務所に行きました。外国人は5年ごとに更新ですが、今までは街の中心街の外人登録局に行きました。毎回、すぐには手配が終わらず、2,3回行かされるほどでした。それは必要書類が多く手続きが複雑だったからです。そのため列を作って待たされるました。それが今回は何と5分で完成しました。先ず入所するのに長い列がありましたが、係官に中高年ですと言うと、すぐに中に入れてくれました。そして、今までの様にいろんな書類を見せることなく即手続きが完成しました。今月末に新しいカードが入手可能とか。これは彼らの最新システムの中に必要な情報が全部用意されていると言う証拠ですね、素晴らしい。チリはこの点で進んできています。
もちろん、仲間と山歩きをしました。そしてマラソン練習も、週日に一人でちゃんと10キロ、日曜日は仲間と楽しく走っています。
新年度の学校でのサッカー教室・登山教室の準備も進んでいます。

いつものように幸せな一週間でした。

(政治)

1)ボリッチ動向
外交問題ですが、二つあります。今週からボリビアの訴えでハーグ国際法廷でシララ川問題の論議が始まりました。その川の水をチリが不正使用していると言うものです。ボリビアからチリに流れてくる川ですから。下流に位置するチリが、その水を利用するのは不正ではないと思われますが。
それから4月2日はフォークランド戦争が始まって40年の記念日でした。その時、南米全ての国がアルゼンチンを応援しましたが、チリだけイギリスの味方をしました。さてその島に現在199名のチリ人が住んでいます(人口の6%とか)。大半が、1990年以降に渡った人たちです。あんな孤島でも、楽しく住めるのですね。
今日、ボリッチがアルゼンチン訪問を始めました。5名の大臣を率いて同国に到着。明日から公式行事が始まります。
2)マプチェ問題
先日、内務大臣がアラウカニア州(第9州)を訪問し、マプチェの集落を訪問しようとした時、銃による脅しを受けました。
今週はその北のビオビオ州(第8州)のカニェテに内務次官が訪問すると、道路が封鎖されて町に入ることが出来ません。
さてそのカニェテで殺人事件がありました。元警官が殺されましたが、捕まった二人は17歳で、ものを盗もうとして襲ったとか。そんな小さな町でも、そういう殺人事件が起きるようになったのですね。悲しい。
それから、その地区で老夫婦が持つ土地に覆面部隊が来て、3週間以内にお前たちはここから出て行けと命令をしました。その様子がちゃんと録画されテレビのニュースに出ました。以前、そうして家が燃やされ老夫婦が焼死しましたが、警察は何もできないのかな?ビデオがあるから覆面をしたその男を特定して逮捕するのは可能と思いますが。
ボリッチはピニェラがやっていた軍隊を前面に出して暴力行為を抑えるのは間違いとして、1週間前に軍隊を撤退させましたが、状況は悪くなっています。こうして毎日起きる事件に打つ手はないのでしょうか。なんと土曜日に、第9州で11軒の家が燃やされ、車両も多く焼けました。マプチェのグループが犯行声明を出しています。野党だけでなく、与党からも安全対策として打つ手はないのかとボリッチ政権に反対する声が上がっています。
ここで、やっぱり軍隊が必要とすれば赤っ恥ですね。
内務大臣がその問題に関し、そこをアラウカノと言わずワォルマプとしたところ、アルゼンチンからクレームが出ました。アラウカノはチリだけですが、ワォルマプは両国に住むマプチェを意味するからとか。もちろん彼女はそんな深い意味を知らずに使ったのでしょうね。チリ側は小さな問題を大げさに言わないでほしいとコメント。どうなるかな?
3)警察長官の不正問題
裁判所に呼び出された元長官は黙秘をしたので、裁判にする価値があるかどうか調べる5日間の間、施設に収容されることになりました。裁判所に行って自分の意見を述べないと言うのはどういう考えなのでしょう。彼が有罪になって刑務所に入れば、後任者は不正をする気にならないでしょうね。

 

(経済)

1)経済見通し
中銀の発表ですが、昨年11.7%を記録した経済成長は今年は1-2%だろうとか。この2月の成長率は6.8%で、昨年平均から大きく下がってきています。
またインフレは昨年よりひどく10%が見込まれるらしい。
このため派手な消費をさせないため公定歩合を7%と2009年以来の高い数字にしました。
2023年はさらに低成長率が見込まれるが、その原因は新憲法が原因になるだろうとのこと。いやはや。確かにチリの命綱の鉱山関連事業は新憲法で国有化が可能になるとすれば、誰も投資はしませんね。
新聞の社説で、新憲法でチリの民主主義が危機に面していると書かれています。
コロナで落ち込んだ2020年から2021年は大きく取り戻したわけですが、大手679社の数字で21年は20年より売り上げが29.5%上昇し、利益は461%の大幅増になっています。さぁ2022年はどうかな?
2)株式市場
順調に伸びていき、今週は4907ポイントと2019年10月以降で初めて5000ポイントに近づくところに来ました。
3)銅価格と為替
1ポンド4.65ドルで終えました。一時4.71ドルと上昇しましたが、残念、最後は普通のレベルでした。為替は
1ドル787ペソとペソ高になっています。

(一般)

1)コロナ問題 
 現政権のコロナ対策がはっきりしないと言われ始めました。
 土曜日の新規感染者数は4823人で82日ぶりの低い数字。陽性率は6.6%でした。このまま治まって行くのかな?
2)青年闘士の日
これは37年前、軍事政権時に反政府運動家が殺された事件を記念する運動ですが、毎年デモ隊と警察が激しくぶつかります。
今年もそれで55名の逮捕者が出ました。警察官の負傷も記録されています。
先週、警官が発砲してデモ隊員が負傷した事件で、内務大臣は警察軍を批判しましたが、その警官はデモ隊から暴行を受けているビデオが出ると、彼女は一変して、私たちは警察の横にいて、警察の活動を応援したいとしました。このコメントに対し共産党の区長が、警官を応援するなんて、右翼的だなとクレーム。いやはやですね。
新聞の風刺漫画に内務大臣が出ました。制服交換として、白い医者の服の下に警官のユニフォームでした。彼女は内務大臣になる前は医師協会の会長でしたから。笑ってしまいますね。
この件に関し、新聞の社説で「内務大臣もやっと社会の秩序の維持が大事だと理解したのだろう」と書かれました。3年前の社会騒乱の時、ボリッチのグループは反政府としてデモをしていたのですが。
土曜日の11軒の家の放火事件で政府は現地警察に面談を申し入れました。
警察軍の新長官が、「こうした暴力事件に私たちは何も手を打てないと言われるのは同意出来かねるし、犯罪グループを抑えようとすると人権問題と言われるのもどうも」とコメントしています。
3)不法占拠
全国345の市町村の内、3分の1の地区で空き地を使った不法占拠が行われています。そこに掘っ立て小屋を建て、生活するわけです。最近の厚生年金の引き出しで入手した金で材料を買って小屋を作ったと言う話も出ています。都内のセリジョスではもう1万人が住んでおり、都内最大の不法占拠地区になっています。ボリッチはどんな手を打つのかな?

(スポーツ)

1)サッカー
ワールドカップの南米予選の最終戦が行われ、チリはホームでウルグアイと対戦し、0対2で惨敗。南米で10チーム中7位で全試合を終えました。これで2回連続、ワールドカップに参加できません。チリ代表チームの監督は交替になります。
FIFAのランキングで、毎回の様にランクを下げ、今は28位になっています。一桁だった時期が懐かしいですね。
国内リーグ戦は宿敵のカトリカ対チリ大学が行われ、最近、連敗しているカトリカが勝ちました。
順位は1位はコロコロ、2位はコブレサル、3位はニュブレンセです。
カトリカは7位、チリ大学は9位です。


以上