チリの風 その984 2022年3月21日ー27日

秋になってきました。朝、散歩に出ると寒いほどで、今まで日陰を捜して歩いていたのに、今では太陽の当たっているところを歩いています。
交通渋滞がひどいです。特に朝ですが、私の住居の窓から外の交差点を見ていると車があふれています。
今は7時半ころまで暗いですが、冬時間になると6時半から明るくなるわけで、それが待ち遠しいです。
今週はインフルエンザの予防注射を打ちました。その接種場所は以前、コロナワクチンの3回目の接種をした公園です。
その時は3時間も待たされましたが、今回はほとんど誰もいませんでした。副作用もなくバッチリ。さぁ、この冬は風邪もひかないかな?そこから区役所の無料周回バスで家に戻ってきました。チリも国民にいろいろサービスをしています。
土曜日は登山教室。今回はいつもと違って隣の山岳公園で川めぐりコースを歩きました。山岳公園の入山者が溢れるほどでしたが、それはコロナ問題が少なくなっているからでしょう。
私たちのグループは12名の参加者でしたが、つり橋が一人ずつしか渡れないので、そこはすごい混みようでした。
日曜日はマラソン練習、いつもの通りです。こうして毎日、充実した生活を送れるのが幸せです。

(政治)

1)ボリッチ動向
 二つの世論調査で政権1週間の彼を支持するは50%、47%でした。ほとんど同じ数字ですね。
 私の考えでは今週の彼の行動で一番目立つのは大使任命です。その中で目立つのが二人います。一人はこの大統領選挙で社会党から出た女性で、彼女をチリの国連大使に任命。これは社会党にごまをすったのかな?
もう一人は共産党員で労働者連合の会長をしていたフィゲロアで、彼女をアルゼンチン大使にしました。フィゲロアは昔、国会の後ろの席で議事を見学しているとき、大蔵大臣を糾弾しはじめ、係員の阻止を無視して怒声を上げ続けたので実力排除されました。その時、ボリッチは彼女の近くにいました。

それから彼は空軍設立92周年記念日のパレードに参加しました。大統領になる前は、こんな行事は不要だと思っていたのでしょうが、今は大統領になったので、それに出席しました。

国会で各自が積み立てた厚生年金の5回目の引き出し案が討議されています。ボリッチはそれに反対していますが、左翼グループの多くが賛成し、成立を図っています。共産党の区長が、少し前まで野党グループが総力を挙げて国民のために闘ってきたのに、どうして新政権は違った見解を取るのだとクレームしています。
国民が自分の積み立てた年金基礎を引き出せば、年金をもらう年齢になった時、その額が激減するのは当然で、それを国民のために戦っているとする与党グループ(先月までの野党グループ)の考えは異常です。

こうしたことからボリッチは仲間に呼びかけました。与党として統一戦線を組もうということです。今までの中道左翼政権はキリスト教民主党DC、社会党PS、そこから分かれたPPDが3大政党でした。今回はその時期は見下されていた新左翼共産党が主力で、今までの政権と大きく変わっています。それを旧主力と新主力とすると、まるで仲間と言うより敵対グループのようになるわけです。新聞の特集でその中で特に社会党共産党の意見の違いが大きいとされています。
もっとも新主力の中も新左翼共産党は対立していますが。
ボリッチの呼びかけが成功するか、全く役に立たないかの二つの可能性があります。
2)新憲法委員会 
期間内に新憲法案は出来上がらないと、3か月期間を延長し、7月5日に成立することになりました。
もう最近同じことが言われますが、この新憲法は一般チリ人が納得するものではないだろう、つまりそのれを認定するかどうかの国民投票で拒否されるだろうと言われています。今の中央政権制を変えて、アメリカ合衆国の様に各州に自治を任せると言う意見もあるとか。新憲法の是非に一部づつ投票するわけではないから、全体として認めるとするのは大きな一歩を踏み出すことになりますね。
それを嫌がって拒否をすれば、ボリッチが心配するようにまた社会騒乱が再発しそうです。
3)元アントファガスタ市長の海外逃亡
汚職の罪で有罪になり、5年間の服役が決まった元市長が、刑務所に入る替わりに欧州に逃げました。2,3週間、欧州で滞在するならわかりますが、そこで住み始めれば、国際警察の手が入るのは当然で、海外逃亡したその人の考えが良く分かりません。欧州から強制送還されてチリに戻って来た時、どんなコメントをするのかな?

(経済)

1)新政権の経済政策
 厚生年金の5回目の引き出しや、ウクラニア問題を前にしながら、今年も高い経済成長を目指すとすることは極めて困難と思われますが、ボリッチ政権は国民に、もしくは支持者に夢を与えるのを当面の目標にするようです。
それに関してすぐにばけの皮が剥がれるコメントより真実を説明する方が良いのではと新聞に書かれました。
2)ガソリン・灯油価格の安定化
 チリではMEPCOと言うシステムがあり、毎日の価格の上昇の割合が決まっています。下降の場合も同じです。
 それを超えた数字を市場が要求すれば、時間をかけてその価格にするわけです。
 その基礎に政府が資本を注入し、一層の安定化をもくろむことになりました。
 ガソリンだけでなく、冬になって一般家庭が必要とする灯油にもそれを運用します。

3)銅価格と為替
 銅は1ポンド4.66ドルと先週より少し上がりました。そのため為替はペソが強くなり、1ドル790ペソでした。
 しかしこうして銅価格が高値安定しているのはチリにとって最高のニュースですね。ボリッチ応援のようです。
4)株式市場 チリの株式市場が世界1位の上昇です。
 誰も理解できません。ロシアのウクラニア侵入以降、チリの株式市場は13%の上昇を記録し、それは世界1位だとか。
 どうしてかな?

(一般)

1)コロナ問題
 今週の新規患者数は8000人前後で。先週より少なくなっています。そして陽性率も下がって10%以下が多いです。
陽性者数は一時は10万人を超えていましたが、今週は35000人とかなり下がってきています。病床もかなり余裕が出てきたとか。
 このまま収まるかな????
  
2)武器の盗難
 信じられないことが起きました。軍が保存している銃が何十丁と盗まれました。銃を積んだ車が軍の施設を抜け出すのにチェックは無いのでしょうか。まさか、軍の車で運び出されたのかな?
一般人が一人逮捕されましたが、良く分かりません。軍の誰かが関連しているのは間違いないでしょうね。
しかしそんな犯罪では、遅かれ早かれ関係者は全員逮捕されると、犯人グループは思わないのかな?

3)学生デモ
金曜日、全国各地で学生デモがあり、奨学金がこの10年間、全く増額されていないとクレームしました。
昔、そのデモ隊のリーダーをしていたのが今の大統領です。そのデモ隊に覆面をしたグループが加わり、騒動を起こし始めました。それを抑えるため警官が、放水車などを使いましたが、一部で発砲もあったとかで、その弾丸でデモ隊の一人が負傷しました。3年前から全く変わっていませんね。
政府は、これを重大事件とし警察軍に調査を指示しました。警察と政府の対立が始まるかな?右翼の議員は、この事件で逮捕者数と警官の負傷者数がほとんど同じと言うことは、デモ隊が警察軍に攻撃をかけていたことは自明で、警官が自衛処置として銃を使用したのは認められると政府を批判しました。
それから先週もありましたが、女子学生が校内での性的事件を訴えていますが、今年に入って現在まで48の訴えが文部省に入っています。
4)マプチェ問題
ボリッチ新政権の目玉になるかと思われましたが、マプチェ問題は全く進展していません。
数年前に、住居に火をつけ、中にいた老夫婦が焼死した事件で服役していた二人のマプチェが、刑務所内でハンガーストライキをして、政治犯として釈放せよと要求しました。裁判所は、彼らの刑の一部を軽くして、今日から日曜日に外出できるようにしました。もちろん、この処置に反対する声も大きくなっています。
マプチェのグループで最も暴力的な組織のCAMは政府との対話をするつもりはないらしい。政府のコメント・現地訪問で関係が良くなるとか、問題の軽減が図れる可能性はないとされています。
マプチェが麻薬と深く関係し、反政府のための闘争の経済基盤を手にしたことも問題の深刻化を大きくしているとか。
つまり近い将来に何かが良くなる可能性はほとんどないらしい。

(スポーツ)

1)サッカー
 今回、ワールドカップの南米予選の最終2試合があります。その最初の試合が今週有りました。
 チリは敵地でブラジルと対決し、0対4で惨敗しました。
 私は負けると思っていましたから、その通りでした。
 昔は、こうした試合を気合を入れてみました。
 チリのゴールが決まると、窓を開けて、通行中の人にも喜びをわけるため、大声で「ゴー―――ル」と叫んでいました。上層階の人から「うるさい、中国人」と言われたこともあります。
 今は全くそんな気になりません。
 最終戦は来週、チリで対ウルグアイ戦です。チリがアメリカ杯で優勝していた時、どの国と対戦しても勝ちそうだった事が懐かしいです。今はどこと試合をしても負けそうです。
国内リーグ戦ですが、1試合残っていた試合が行われ、そのけ結果、7試合が終わった段階で、首位はコブレサル、ついでコロコロ。3位はニュブレンセです。人気のチリ大学は8位、カトリカは9位と振るいません。

以上