チリの風 その1014 2022年10月17日ー23日

穏やかな毎日が続くサンティアゴです。花粉症になる木の花があちこちに咲いています。私には困ったことです。
さて今週の話題は2つあります。まず日本人学校の第40回運動会。子供の元気な様子を見るのはたまらない喜びです。全力で走ってもしばらくすると子供にはまたエネルギーが戻ってきます。大人ではそうは行きません。私の二人の子供が昔はそこで走っていたのを思い出します。
それからクラッシクのコンサートに。チャイコフスキー白鳥の湖という曲を踊るバレーでしたが立派でした。
コロナの前は毎月のようにコンサートに行っていたのですが、もう3年ぶりになりました。
日曜日のマラソン練習は仲間の後を追いました。
2羽の小鳥が台所の花壇で生まれました。その両親が小鳥を育てています。可愛いです。毎日、餌と水を供給しています。

(政治)

1)ボリッチ動向
ボリッチを支持するは27%、支持しないは72%と市民が彼を見放しているのは明白です。その理由は簡単に説明できます。

 10月18日に社会暴動3回目の記念日が来ました。そして予想されていたのと同じくまた暴力デモが起きました。
 ボリッチは3年前の騒乱に関し、モネダ宮殿で演説しました。彼の考え方は暴動デモを評価するつもりはないが、長い間チリに社会格差問題があるのに、それを時の政権が解決しようとしていなかったことがきっかけになっているとして、暴動デモのすぐ後の集会で100万人を超える人が集まったのはその証拠としました。
さて首都圏レコレタ区長のハドゥエは政府を鋭く糾弾し、3年前にピニェラに要求した事項を全く取り上げていないとしました。彼は先の大統領選挙の候補者になった共産党員です。
さらに新左翼の議員のセレスはボリッチはピニェラよりレベルが低いと糾弾しました。彼女は各自が積み立てている厚生年金の基本金を一部引き出すのを認める法案を作って成立させました。私は皆さんのために働きますとコメント。もらえる年金は下がりますけどね。
つまり共産党新左翼はボリッチを糾弾するわけです。ピニェラ政権で働いたデルガードがボリッチは議員の時、警察援助の法案に反対票を投じているから今回、警察と手を組んで社会の安定を図ろうというのは信用しがたいとしています。右からも左からも嫌われています。

ボリッチは木曜日に零細企業連合の総会に出席しましたが、そのリーダーが出席者に「私たちには犯罪防止と新憲法とどちらが重要か?」と聞きました。全員が犯罪防止と答えると、その人たちは席を立ってくださいとすると全員が総立ちで拍手。そんなところでボリッチが話を始めると雰囲気が全く合わず、犯罪防止をなぜやらないんだとされます。
ボリッチも分かっていますと回答しましたが、出席者の一人がボリッチにかみつきクレームを言うと、私の発言を邪魔しないでと何度も何度もお願いしました。お互いに信頼が無いわけですね。そういうところにどうしてボリッチは行ったの?新左翼共産党が私たちの応援グループだとして連れて行ったのでしょうね。
大統領府のボリッチ動向の記録では地下鉄7号線の開所式に参加とか出てきますが、この零細企業グループの集会参加はありません???

今年の3回記念日に起きた事件に関し、政府は今年も問題が起きたことは認めましたが、昨年よりその傾向は軽かったと逃げました。150件のデモがあり、195人が逮捕されました。
商店略奪事件などは3年前と同じです。新左翼などはそれで逮捕された犯人を政治犯として全員釈放するよう要求していました。
 じゃ、ボリッチは今回の犯人を政府として裁判所に訴えることはしないのでしょうか。
 テレビのニュースに店から商品を持って出てくる犯人が多く映っています。もちろん近所の人が見ればすぐに誰かわかるでしょう。
 逮捕されてもすぐに釈放されるのかな?
 先週話題になった経済大臣がモネダ宮殿で警察トップと2時間の面談をして、社会騒乱の鎮静をどう図るか話をしたとか。
 彼は3年前は警官を調べて暴行罪で起訴するよう言っていたのですが、今はその頃のピニェラと同じようにコメントしています。
 右も左も同じですね。
 新聞の社説に3年前に暴動を呼び起こすことになったデモを繰り返すのは国のためにならないとされました。

これだけ書くともうボリッチに将来はないということになります。じゃ思い切って勝負をかけてみればどうでしょう。私の考えは3年前の社会騒乱をベースにして自己批判し、新左翼共産党の陰で行動するのではなく、彼らとは一線を置いて市民の皆さんのために働きたいと言う演説を切々と訴えれば、市民の心に響き、支持率が上昇し、それがベースになって新左翼共産党も彼を援護するようになる・・・甘いかな?
2)TPP11
 議会で承認された条約ですが、それを憲法裁判所に持ち込みこの条約を違法とさせる動きが出ています。与党の議員グループですね。
 彼らが次の選挙で全員落選してほしいです。
3)下院議長の交代
 中道左派グル-プの中心PPD党のソトが現在の下院議長をしていますが、来月に辞任します。彼の後任に共産党
 カリオラ議員が就任するはずでしたが、もめています。彼女は共産党員として初めての議長になるはずでした。共産党は彼女が議長にならなか
 ったら議会の混乱が極限まで行くだろうと脅しのコメントをしています。

(経済)

1)経済成長率
 今年のチリのGDPは2.2%と言われますが、それはラテンアメリカ平均の3.2%より低い数字です。また来年の予想は0.9%とラ米で最悪の予想とか。経済低迷が目立ちます。それはボリッチが大統領だからですか?
 近い将来にチリは厳しい経済危機に立ち向かうとされています。経済停滞、高インフレ、失業率の増加と問題が並びます。
 ただS&P社の発表ではチリの経済状況は現行のAランクが維持されるとしました。まだ下方低迷とはなっていない由。

2)銅価格と為替
 今週の銅価格は1ポンド3.42ドルと先週よりも下がりました。チリには厳しいニュースです。そこで為替も1ドル972ペソとペソ安になりました。

(一般)

1)コロナ問題
 最近新規患者数が増えています。水曜日は5611人でした。さらに木曜日は上がって6201人。これは9月2日以来の高い数字です。新規患者の陽性率も毎日のように14%まで上がっています。ピニェラの時、厚生大臣をしていたマニャリッチがこれだけ患者数が増えているのだから地下鉄やバスの乗客はマスクをするべきではないかとコメント。彼がコロナの責任者の時は野党側から彼は無策と厳しい批判が出ていました。
 一番きついコメントをしていたのは医師協会の会長ですが、彼女はボリッチの内務大臣になったときコロナ対策を全面的に白紙にしました。
 外出禁止とかマスク着用とか、手を打っても新規患者が減らなかった時期が続きましたが、ボリッチになってから何もしなくても減少してきたのは確かです。じゃどうして今また増えてきたのかな?土曜日にコンサートに行ったとき、満員の観衆でしたが、マスクをしていたのは私たち夫婦だけで、ほかにはほとんどいませんでした??
2)メトロ
 サンティアゴの地下鉄が営業を止めるという事件が最近よくありますが、デモで止まった他に、今週1号線が半分くらい止まりました。
 誰かが線路に降りて歩いていたらしい。そんな事故(犯罪?)はいつでもどこでも起こりそうですね。そんな事は3年前までほとんどなかったのですが。
 事件としては爆弾騒ぎがあります。数年前にあちこちに爆弾を置いて負傷者を出した犯人が今週45年の刑になりました。その裁判の翌日同じようにラス・コンデスのビルに袋が置かれていました。それが爆弾でした。それは普通グループではなく個人の犯罪です。
 昔のニュースを聞いて、自分もやってみようと思ったのでしょうね。
 マプチェ問題もいつものように覆面グル-プが家屋の放火事件を起こしています。
 

(スポーツ)

1)サッカー
 リーグ戦の取り残されていた過去の試合が実施され、カトリカが勝ちました。
 さて今週の結果はコロコロは勝利、チリ大学は引き分け。カトリカは敗戦でした。
 コロコロが勝って今シーズンの優勝が決定。33回目です。サンティアゴのイタリア広場はファンが埋め尽くしました。先日の3回目の騒乱とは関係ありません。


以上