チリの風  その897  2020年7月20日―26日

先週の天気予報とは違って今週のサンティアゴの雨の日は火曜日だけでした。それでも7月としての雨量は過去14年で最高とか。夜は気温が下がりマイナス1度の日もあります。真冬ですね。
さて来週から私の住む地区は自宅待機令が緩み、週日は自由に外に出られます。
警察の許可なく外に出られるわけです。繁華街には行きませんが、散歩をしたいです。
道を歩いていると幸せを感じるなんて今まで考えたこともなかったです。

(政治)

1)ピニェラ動向
  もう何もできない、しないという最悪の雰囲気です。内閣大改装を考えているようです。任期はあるのに人気はないです。
2)国会の動き
 今週は例の厚生年金積み立ての10%引き出し問題が最大の話題で、夜のニュースがずっとこの話題と言う日もありました。
 聞きたくもないけど、国会で審議される内容が報道され、野党議員が「ピニェラ政権はコロナ問題で病気抑制の手法に失敗し、困窮する市民の援助にも失敗し、全く無策を続けている」と批判しました。ピニェラが貧困層に一人10万ペソ(4人家族で40万ペソ)、中堅クラスに50万ペソの援助案を出しましたが、いったいどれくらいの人(家族)がその恩恵に預かったのか分からず市民からお礼の言葉が出ているという報道もありません。食料品箱の提供も似たようなもの。いつもチリの風に書かれているように、アイデアを出してもそれをどう実践していくかのフォローが低いレベルなのですね。
 何でも市民調査では年金払い戻しに関し80%の人がその恩恵をあずかりたいとしているとか。つまりほとんどの市民が金に困っているというわけです。10%引き出してバケーションに行くのではなく、その日の家賃・食費にあてるとされています。このような情勢から、今週の議会では与党側の議員が多数、同法案に賛成の投票をして政府は全くメンツがつぶれました。野党は勝った勝ったと大騒ぎ、共産党は次の大統領選挙に自党から候補者を出すと胸を張っています。瀕死のピニェラは内閣を大きく変える必要があるとさえ言われています。与党の分裂、政府のコントロール不足と毎週、情勢は厳しくなっていきます。
 政府と与党、特に最右翼UDI党の争いの原因になった理由の一つは議員・市長の再選制限問題ですが、ピニェラは再選数を伸ばすことは拒否していますが、立候補できなくなったそれらの市長に他の市に立候補してはどうかとしています。子供だましみたいだけど、それで問題軽減になるのかな?私はそんな人に投票したくないですが。
 憲法改正に関する投票は10月に実施されますが、2日間かけるという案を止めて1日だけになりました。投票日は10月25日です。その日、自宅待機令が出ている地区はどうなるのかな?
 しかし今の状態では憲法改正の是非を議論するのは無理でしょう、もしくは意味がないでしょう。政治に興味を失ってきた私は生まれて初めて白票投票するかもしれません。どうでも良い、好きなようにしてくださいという感じです。それに関し今週、車のデモがありました。警官はデモ隊をコントロールせず車を止めませんでした??

(経済)

1)銅価格と為替
  先週と少し変わって1ポンド2.91ドル、1ドルは774ペソでした。
  中国の経済が活気を持っているという情報とは逆に、8月に予定されているG7会議 で中国制裁がきつくなると言われています。そうなれば中国に進出している各国の企業がそれを閉め自国に戻るでしょうから、問題は深刻化するかも。その前に現在進行中の水害問題が大騒ぎですが。もしそれが起こった時、中国はチリとしては最大の貿易国ですから、チリへの経済影響は深刻ですね。コロナ問題の後の経済回復を一層、混乱させるのは間違いないです。

(一般)

1)コロナ問題
  毎週、患者の数(新規患者・死亡者)が減少していますが、とうとう全国で9区、その内首都圏で7区の自宅待機令の緩和が行われます。
  もちろん、その逆に今までは規制がなかったのにこれから自宅待機になった地区、例えばコピアポなどもあり、各州・各地区で状況は大きく異なります。
  それから何か月も外出禁止が出ていた75歳以上の高齢者が、昨日の土曜日から週に3日、1時間ほど外で散歩できるようになりました。先の政府案ならまだ先の感じでしたが、急に政府は方針を変えたわけです。その日、警察の許可を取って買い物に出た私は道路でたくさんの老人に出会いました。楽しく歩いていますねとにっこり笑って彼らに話しかけましたが、みんな幸せそうでした。もっともそういう私は73歳ですから、彼らと同年配ですけど。
2)そのほか
 厚生年金
  今週、上下院で同法案が成立しました。ピニェラがそれを拒否するとか、憲法裁判所に訴えるなどの嫌がらせもできましたが、彼はあっさり敗戦を認め、法案成立を確認しました。来週中に公式に成立します。しかし、いつもの通りまだ正式に法律は認められていないのに、金曜日、厚生保険会社の事務所の前に長蛇の列。その人たちはいつ・どこで・どのようにすればいくらもらえるのかと問合せしたいとか。いつも情報不足ですからね。10%返してもらえると言っても、いったい自分は今どれだけ積み立ててるのか確かな数字を持っていないようです。
 教育
  学校の授業がどうなるか話題になりますが、各市町村が公立学校の授業開始に関し責任を持っているようで、首都圏ではサンティアゴ区.コリナ区、マイプ区などの区長は今年度は公立学校は開かれないとしています。
 スポーツ
  サンティアゴ近郊のスキー場でスノーボードをしていた5名が逮捕されました。サッカーをしていて捕まったプレーヤーは全国にたくさんいますがスキー場では今年初めての事件です。
 
 黒崎さん行方不明事件
  その犯人と思われるセペダがフランスに送還されました。彼女の遺体が見つかっていないので裁判は難しい進み方になるでしょうね
 爆弾騒ぎ
  数年前から爆弾騒ぎがチリで続いていますが、一度、逮捕されたのに証拠不足で有罪にならなかった男女がいます。その二人のチリ人はスペインにわたり、教会に爆弾を仕掛け破壊しました、そこで逮捕され有罪になったのですが。途中で国外追放になり、チリに戻ってきました。そしてチリでも同じように爆弾を作って仕掛けることを繰り返し、今回また逮捕されました。その二人は刑務所から外に出ればすぐにまた爆弾を作るでしょうね。
 地下鉄
  昨年10月の暴行事件で全焼したサン・パブロ駅が今週、再改装なってオープンしました。来週中に全路線で135ある駅の中で124が通常使用になります。来週、第5線は終点のマイプ駅まで運転されます。ここまで来るのに長い時間がかかりましたね。もう2度と同じような事件が起きないよう願いたいもの。甘いかな。

以上