チリの風  その896 2020年7月13日―19日

サンティアゴは天気の良い日が続いて火曜日の最高・最低気温は23度と3度でした。昼頃、冬のオーバーを着て歩いている人と
半そでシャツの人がすれ違っていました。日曜日も好天気でしたが、予報では来週は月曜・火曜・水曜日と雨の予報です。
土曜日、少し軽い揺れがありました。また地震かな?

さて血液検査で病院に行きましたが、診断を待っている患者には老人が多く、彼らがコロナにかかれば生き延びられないとすぐに感じました。
そういう私も老人の一人ですが。
嫁さんの親戚がコロナで今日死亡しましたが、その人は94歳でした、
コロナで死亡したのか、老衰で天寿を全うしたのか判断は難しいですね。

(政治)

1)ピニェラ動向
  市民調査でピニェラを支持するは17%で、6月26日の調査の27%から10%下がりました。
  貧困層の一人10万ペソ援助と似たケースで、中間層に50万ペソを渡すアイデアを今週ピニェラは発表しましたが、それは素晴らしいアイデアだと人々が道路に出て喜びを表すことはありません。彼が言ってもそれにいろいろ条件をつけて、最後は一体誰がどれだけもらえるか分からないと信用しないのでしょうね。
  第2回目の食品援助が始まりました。今回は300万個を貧困層に届けるとか。最も前回の250万個を政府は全部終了したというけど、ある区長が届いていませんと言うのだから、真相は不明。今回も同じでしょうね。それから貧困層に一人10万ペソの援助もどこまで届いたのかニュースが全然ありません。それでは政府・大統領の人気が上がるわけはないです
  今日、ピニェラは全テレビ局を通じてコロナ対策を発表しました。どのように生活の通常化を図るかということですが、その「少し少し」計画では現在の自宅待機令は5段階の最大基準、その前の4段階では週日は自由に外出できるが、週末と祝日は自宅待機になるとか。
  
2)政治の動き
  コロナ問題は社会問題だけでなく、政治的に大きな影響を与えています。
  先週、下院の委員会で各自が積み立てた厚生年金基金を10%引き出すことができるという案が成立しそれが今週の下院の本会議で可決しました。次は上院に送られます。
  その討論の時、与党は反対、野党は賛成だったのですが、一部の与党議員が賛成に投票しました。そのうち3名の議員は、最右翼のUDI党ですが、党を離れることを発表。これは市民の多数がそのアイデアに賛成しているので、大衆に人気を得るため、賛成票を投じたのでしょう。
  政府としては2週連続の敗戦で、それが尾を引いて与党グループの分裂、各党内の対立、そしてピニェラの影響力が縮小していくと言う最悪のストーリーになっています。与党3大グループの党首を全部入れ替えるのが良いのではと言うコメントも出ています。上院でも与党議員の一部が賛成に投票すると公言しています。
  何十万人がその払い戻しを申請するか分かりませんが、その金はどこから出るのかな?年金運営会社はすべてどこかに投資しているわけで、自社に蓄えているわけではありません。実際に払い戻し要請者が会社の前に長い列を作るとかなり混乱するでしょうね。ピニェラが間違ってその法案を大統領特例で拒否すると内戦騒ぎになりますね。モネダ宮殿にも銃が撃ち込まれたりして。

(経済)

1)銅価格と為替
  銅の価格が13日2.97ドルまで上がりました。専門家は中国のGDPが第2四半期にV字回復したことから銅の価格が上がったと言っています。本当かどうかわかりませんが、チリにとっては良いニュースです。このため1ドルは787ペソまで下がりました。ペソ高です。
2)株式市場の凋落
  先週と同じく、国会の混乱でチリの株式市場は10日ほど前4300ポイントまで行ったのに、上記の厚生年金払い戻しを受けて、今週は4000ポイントを少し割りました。厳しいですね。

(一般)

1)コロナ問題
  病院が医療機器が足りないというニュースは無く医療機関は順調に機能しています。一日の新規患者も死亡者数も1か月前よりかなり低く、ピークは過ぎたと思われています。死亡者数が今週、急増したのでどうしたのかと思いましたが、死亡者が急増したのではなくこれまで問題になっていた疑惑患者の死亡者をこのリストに入れたからとか。
  
  チリ政府発表とWHOのチリ駐在の数字が違うというのは以前からありましたが、今週、チリ側がそれを改めたもの。理由はよくわかりませんが。それでもまだチリ政府の数とWHOの数には差があります。
  今週から南の方のアイセン州と川州の2州で待機令が解除され、レストランなどがオープンしました。入店客の距離とかは制限ありますが、久しぶりにお客さんが食事をしていました。正常化の一歩ですね
  

  この木曜日16日は聖カルメンと言うカトリックの祝日でした。
  北部のイキケ市の奥にあるティラナで毎年そのお祭りがあります。何日もグループがアンデス民謡を歌い踊ります。リオのカーニバルのチリ版ですね。アンデス民謡が好きな私は嫁さんと二人で一度、参加したいと思い年初、旅行代理店に行きました。ところがこのコロナ騒ぎでもちろん中止。参加予定者も観覧希望者もがっかり。そして首都圏近郊だけでなく全国のスキー場も白雪があふれているのにスキー客は一人もいませんね。今年はいつもと全く違う日々です。
2)そのほか
  暴動騒ぎ:
  下院で厚生年金引き出し案が成立した時、各地のマンションで窓が開いて、鍋たたきや国旗を振って喜ぶ市民が多数出ました。しかし最近の通り、夜になると、いつもの暴動騒ぎが起きました。スーパーマーケットの略奪、警察署への攻撃、モノを燃やして道路を封鎖と乱暴狼藉です。これは左翼の政府への挑戦の意思表示と言う声も出ました。しかし店に入ってモノを盗むのは左翼の実力行使ではなく単に犯罪行為と思いますがどうでしょう。昨年の10月18日以降の問題が再発したのは明白です。
  マプチェ問題:
  先週と同じく、警察と対決、放火騒ぎが継続です。
  移民難民:
  ボリビア人が領事館の前で泊まり込みを継続、ハイチ人も同じように自国へ帰らせてほしいと要求を始めました。


以上