(政治)

1) バチェレットの動き
毎週と同じく各地に飛んで新設の学校や病院の開所式に参加しましたが、今週の中で目立ったのはイースター島に飛んで現地の人と面談、また遺跡の修復を助ける約束や新空港建設を確認したことと、先週の大統領選挙の与党側代表のギジェルを大統領官邸に招いて話し合いをしたことです。
2) 大統領選挙
先週の選挙の前はピニェラが圧勝と言う予想でしたが、風が大きく変わりました。決選投票に勝つためには50%以上の票が必要ですが、ギジェルの与党側6候補の獲得した数字はピニェラの野党側2候補が獲得したそれより上なのです。このままだとバチェレットの後継者としてギジェルが当選しそう。 勿論そうは簡単に行かないでしょうが。もっとも専門家の見方ではその与党側の票からDC党の分を野党側に回すとピッタリ50対50になるそうだ。
選挙予想を出した各社に批判が集まっています。大手5社の予想と実際の数字の比較が掲載されましたが一番当たったところと当たらなかったところの比較をすると
   ピニェラ(37%)ギジェル(23%)サンチェス(20%)
Criteria予想   39%      24%       15%
CERC予想    44%      30%       11%
Criteriaの数字はサンチェス以外はかなり近いですが、CERCはあまりにひどく素人のお遊びとしか言えません。そこのダイレクターがテレビの番組でこれらの数字の根拠を調べているが大きなエラーは見つかっていなと白を切りました。そんな所にこれから誰も相談を持ち込まなければ良いわけですね。ギジェルは新左翼の解放戦線グループの票を取り込むために、候補者だったサンチェスに法務省でも内務省でもどの大臣職でも差し上げますから弊陣営に参加してほしいと頼み込んでいるらしい。解放戦線はまるでアジェンデ政策をコピ−しているのではと言われることもあります。現行年金制度を解体し、中高年にふさわしい年金を国が払うべしと言うなんて、ソ連でも東独でも中国でもキューバでもベネスエラでもどこの左翼政権でも実現されていないでしょうね。
ギジェルはあまり左寄りはいけないかと共産党員を選挙参謀から外したら共産党から強いクレームを受け再度、党の女性議員を参謀にしました。
3) 国会議員選挙
前回までは各区が2名を選出する仕組みで与野党が1名づつ当選するのが通常でした。今回は批判を受けそれを止めましたが、同じように2つのずるい仕組みを作りました。先ず、議員数を増加し、当選の可能性を増やす。また選挙区によって5名とか8名の当選者が出る大選挙区に改訂。さらに同じ政党の候補者が大量得票を受ければ、同党の少数票獲得者が浮かび上がる仕組みです。つまり上から順に投票の多い候補者が当選しません。首都圏ラ・フロリダ区などの第12選挙区では共産党の若手カミラ・バジェホが14%を獲得しトップ、そのおかげで同党のアマロ・ラブラはわずか2%で当選。彼より上の5%を獲得した候補者は泣きました。
今回の選挙で目立ったのは女性候補者の当選が初めて20%を越えました。それから現職議員の落選が今までで最高になりました。投票者の目が肥えてきたのかな?
今回の選挙の失敗の責任を取ってキリスト教民主党DC党首のゴイッチは辞任しました。副党首のウォケルも辞任。党は壊滅状態。有力党員(元大臣など)が何人も辞任しています。思想的には敵の共産党と一緒に政権を担うのか、全く逆にピニェラと一緒に政策を考えるのか党が2分されそう。
4) 議員の不正
中国からの移民の受け入れに上院議長でDC党のサルディバルが不正を行った可能性があるとして検察は調べを始めました。その基礎になったのは彼の携帯を盗み聞ぎしていたからで、それは裁判所の許可を得て行ったわけですが、国会内で議員の携帯電話の盗聴を日常茶飯事にするのはいかがなものかとクレームが出ています。その議員は先の選挙で落選し、3月からはただの老人ですが、自分には不正はないとコメントしています。