(経済)

1) 失業率
チリの2011年の経済成長は本格的で、このため失業率は12月に6.2%まで下がりました。これは1996年に記録した6.1%以来の低い数字。98年のアジア危機、08年のリーマン・ブラザースの世界危機を乗り越えました。
それから、とにかく安い給料で仕事を作り失業者を減らすという政治宣伝向けの雰囲気ではなく、給料も2011年は前年対比、確実に上昇しているらしい。建設業・小売業など発展しましたからね。
2012年は、チリ一国なら問題ありませんが、遠くから逆風が吹いてきそうですね。

2) チリの貿易
昨年の数字ですが、チリの輸出は805億ドル、輸入は700億ドルでした。立派な輸出国ですね。輸出は前年対比14%アップ、その内訳で鉱山関係が60%と大半をしめ、チリの銅頼み体質ははっきりしています。
チリの経済は好調だと偉そうに言うなとクレームがつきますね。銅が落ち込んだときでは遅すぎる。今からその先の手を打たなければ。
日本は輸入国に変換したようですが、この先の国際収支は大丈夫でしょうか?

3) 原油の値段
チリはガソリン価格がこの木曜日から少し下がりました。上がったのではなく、逆に下がりました。今まで連続的に上昇していたのですが。
しかし不可解ですね、1バリル100ドルが150ドルまで上がるかもしれないと言われるときに小売価格を下げるのですから。いつも言うようにこれを下げないで次回の値上げ時を遅らせるほうが市民のためになると思うのですが。
ところで、このイラン紛争に関し、マスコミの論調はイランは何をしでかすのか分からないから制裁を加えるのは仕方のないとなっています。彼らは同じことをイラク戦争の前に論調していましたが、アメリカ政府の宣戦布告の理由は全く虚偽だったことが分かってもそれを取り上げようとしません。つまり今回も同じ理屈です。
しかしこれが継続すれば、原油価格の暴騰から各国経済への影響は計り知れませんが、それを目論んでいる側からすれば、作戦がぴたりと当たっているのでしょうね。アメリカは景気回復を計ってこの先の3年間に渡り低金利を適応するそうですが、借金大国のアメリカは財布の紐を占めなければ将来はないですね。

4) 銅の価格
1月に入って14%も上がり1ポンド3.9ドルまできました。昨年、価格が上昇しているときは、中国向けの輸出が伸びているからと言う説明。後半、下がり始めると欧米をはじめ、中国の不動産バブルがはじけて銅の需要は急降下と聞きました。それが12月の中国の銅輸入は過去最高水準を記録。これはどう説明するのですか?中国の主要輸出先の欧州は危機は深刻さを増しているし、中国の建設バブル崩壊は明白と思われます。銅の需要が何故増えるのかな?
しかし世界の株式市場で上昇が続き、昨年までの悲鳴が消えたようですが、状況は悪化していると思えるのに不思議ですね。
銅の価格の上昇でペソの値段も上がり1ドル486ペソまできました。チリペソはこの数ヶ月で最高の高いレベルです。

5) 水不足
既に3年目に入った水不足(水飢饉)で例えばアコンカグア川は公共事業省が水の配分に関与することになりました。チリでは水利権がはっきりしていて自分の持っている権利分だけ川から水を引けますが、それが守られていないこともあり、政府が直接、手を出すらしい。前回、この種の事件が起こったのは1996年とか。随分久しぶりですね。今回の水不足が、かなり深刻と言う証拠です。
これに対し政府は水を陸路移動させる・地下水を活用することを考えています。北の1州方中央部の7州までがその対象とか。
もちろんこれは農業牧畜だけでなく水力発電にも影響し、電気代の値上げ、電力のボルト・ダウン(220Vから10%下げる)も考えられています。産業界の中から2012年の工業生産に影響を与えるのではとの危惧の声もでています。もちろん水源の確保もこの先大事な政策になります。