(政治)

1) 第8州州知事問題
いやー、チリの政治問題で最近にない、派手なテンションです。昨年の大地震には及ばないかもしれませんが、見ごたえのある展開です。私はピニェラの動きを読み違えました。彼はもう少し腕が立つと思ってました。違いましたね。
ニュースを毎日、見ていない読者には何を書いてあるのか、理解に苦しむでしょうが、そこで説明です。
昨年の大地震で第8州は大きな被害受けました。被害者の援助は政府の責任。それを利用して、8州州知事のバン・ライセベルゲは、直接被害のなかった貧民地区の住人に、「この地震をテークチャンスして政府に報告し、皆さんの家屋建設の援助を勝ち取りたいと思います」としたわけです。
野党は、こんな行動の州知事を許すわけにはいかないと彼女の辞任を迫りました。ここで彼女の所属するUDI党は党首を含め、国会議員が全面支持を宣言し、ピニェラに彼女の保護を迫ったもの。
私はピニェラは彼女の知事職継続を認めないと見ました。その結果、UDIが彼をどれほど、脅してもひるむことはありません。次の何かの機会に、彼らがピニェラの要請を拒否し、この前のお返しだよと冷笑すれば、ピニェラの取る手段は簡単です。
「私を引き摺り下ろして喜ぶのは簡単だが、それでは次期の大統領選挙で与党連合は窮地に立つ。つまり自殺行為だね。私個人への支持でなく、大統領支持を要請しているんだ。そんな簡単なことが分からないのか?」
ねっ、これで切り抜けられるでしょ。しかしピニェラはこの手を選ばず、UDIの軍門に下りました。翌日、野党連合の知事継続反対のデモがありましたが、なんとそこにピニェラの所属するRN党の旗が!与党の中で争いが継続・鮮烈化しているわけです。
ピニェラは目立ちたがりで、どこにでも顔を出す人間ですが、この前のマガジャネス天然ガス騒ぎのときと同じく、この8州知事問題にも、自分が出ないで内務大臣に最終決定をテレビカメラの前で発表させました。意外と根性のない人間ですね。

2) ボリビアの海
ボリビアのモラレス大統領はチリとボリビアの間に存在する海問題の解決のためチリの最終提案を3月23日までに届けてほしいと要求しました。チリ政府はまじめな提案を出すことが重要で、それは期限を切って提出できるものでは無いと拒否しました。
チリの野党側からはそんな提案を突きつけてくるモラレス政権とは一時的にネゴを中止するべきとの憤慨がでています。現在ボリビア各地で最低賃金の上昇を要求する大規模デモが発生しており国内の不満を外に向ける作戦でしょうね。

3) G20世界大会がパリで開催されました。そこで食糧危機が話題になったとか。それは食糧関連問題から2008年に起こった世界危機が再来するのを防ぎたいと言うことらしい。
08年に小麦の価格は1トン当たり400ドルだったのが、危機の直後200ドル以下に落ち、それが現在300ドルとか。同じように大麦の例では600ドルが300ドルに落ち、500ドルまで戻っているらしい。
開発途上国の需要が増えているので価格上昇になっていると説明あり。そんなアホな理屈が世界的に通るのですかね。じゃちょっと前に価格が半分に落ちたのは誰も小麦を食べなくなったからですか? 誰かが価格の操作をして、世界を窮地に向け、それでさらに儲けが出るというストーリーでしょうね。
この現象はまだチリ国内ではまったく逆で、例えば貝などの場合、国際価格の低下で生産者は泣いているとのニュースが出ています。
一般の食料価格の高騰はチリには影響していませんが、専門家の意見では3ヶ月後にチリでも食料品の価格上昇が見られるだろうとのこと。物価上昇率に悪影響がでますね。これを見込んで今年の物価上昇率の予想は5.5%が見込まれています。