(政治)

1) メーデーのあとにサンティアゴの大聖堂で行われるミサに政府首脳が出席するのは恒例のことですが、その後の記者会見でピニェラは「労働者の権利を守る、大統領府はいつでも彼らに開かれている。対話がわが政府の基本だ」としました。確かにその前日、共産党のトップをモネダ宮殿に招き、1時間以上も会話をしています。しかしそうした配慮にもかかわらずピニェラの人気に曇りが出始めたとの発表がありました。調査専門会社の4月の調査で大統領を評価するが一ヶ月前に比較して2%ダウンの50%、そしてなんと評価しないが18%から31%へ大幅アップ。バチェレットの場合は最初52%と同じ数字で出発したのに翌月にそれが62%に急上昇しています。これについて政府側は、国民の反応は十分に理解できる。すなわち地震被害の復興が国民の期待する速度で行われていないと見られているからで、国民の反応がマイナスになるのは無理も無い。ただ政府は当初の計画を着実に実施しており、これが完成に近づけば再度、国民の信頼を勝ち得ることが出来ると信じているとコメントしています。例えば、義務教育の学校はすべて授業が開始されました。
しかしピニェラが全部の会社の株を手放すなど選挙前に約束したことを実施していないことは明らかで、国民をだますわけには行きません。また初めて政権を握った右翼側に経験不足からくる混乱もあると国民は見ているようです。さらに与党の2大政党間の意見の食い違い(例えば、税制改定の場合、UDIは政府に条件を投げつけ、それが聞き入れなければ、国会で反対に回ると強硬です)も問題視されています。
しかし問題は新与党側だけではありません。メーデーの祝典に出席した旧与党側のメンバーはひどい目にあっています。20年間も政府としてチリの実権を握りながら、労働者の援護・救援を全くしなかったと労働者たちがこの集まりに参加した元労働大臣を罵倒するとか、元大統領府のトップのトア(彼女は社会党の党首になる可能性が高い)にコインを投げつけるとか(それが顔に当たりました)全面対立ですね。たった2ヶ月前までの左翼与党がこれほど手厳しい扱いを労働者から受けるなんて・・・。もちろん社会党側としては労働者にも理不尽な層はあるとするのでしょうね。

2) ピニェラは大統領府のヒンスピーテルにバチェレット政権の最後の年に締結された契約の実施状態を調査するよう指示を出しました。以前からいくつかの不正契約が噂されていましたが、第5州で契約された事項が全く実行されていないのに契約金が支払われていることが確認されこの通達となったもの。バチェレット側は選挙に負けると思っていなかったので、何をしても後でごまかせると考えていたのか、それとも選挙に勝つための資金が必要で、怪しい契約で選挙資金を作り出していたのかな?かなりの金額・件数が出てスキャンダルになりそうですね。同じような不正支出問題で首都圏のマイプ区でも旧与党(DC)の元区長が窮地に立っています。どうにかして切り抜けるか、刑務所行きかな?

3) バチェレット
彼女のニュースが二つあります。一つは2月27日の大地震の朝、彼女は国家緊急室で指示を出していましたが、彼女自身がツナミは無いだろうとの判断をしていたことが分かってきました。彼女のエラーが多数の死者を出したことになるのでしょうか。もう一つは今週開幕した上海万博の開催式に出席しました。チリも独自の展覧館を持っていますが、大きなマンホールのようなものが置かれ、その中をのぞくと地球の反対側にあるチリが見えるようになっています。開催式のときに、チリ側ではピニェラ大統領と中国大使がモネダ宮殿の前に立ってそのカメラを見ています。彼らは上海の人たちをチリから見ているわけですね。面白いアイデアです。