(政治)

1)  サンティアゴで南米首脳会議が開催されました。日本のメディアでこれを中南米会議としているのがありましたが、それは間違い。中米からの参加国はありません。だって会の名前がUnion de Naciones Sudamericanas (Unasur) ですから。
さてボリビアの危機をいかにして回避するかが議題でしたが、今回はベネスエラのチャベスを上手くコントロールしたようで、反米を明確にすることなく会を終了し、モラレス支援をしながら、オブザーバーをボリビアに派遣することになりました。(これは実施中)
もっとも(一応)会が上手くいったのがブラジルのルラの実力があったからと推測されます。表面上も水面下でもまとめ役に徹したらしい。
ボリビア外交問題を抱えるペルーのガルシア大統領はこの会議に欠席。理由は反アメリカにもなりたくないし、ボリビア援助もしたくないからと想像されています。

2)  しかしこれに続きがあって、この会議で実力を見せられなかったチャベスは帰国してすぐに世界人権会議のメンバーで駐ベネスエラのチリ人を国外追放にしました。追放された彼はベネスエラには報道の自由がないと批判したためこの処分になったもの。もっともチリだって本当の報道の自由は無いのでしょうが。(日本だって分かりませんね)
これらの一連の動きの背後にはアメリカとロシアの第2次冷戦と呼ばれる動きがあります。衰えの目立つアメリカと急激な伸びを示すロシアの力の差が減少し、既に同じレベルの戦いをしているようです。チャベスプーチンに急接近。ブラジルもロシア製の武器の購入を増加しているようです。
面白いですね。ピノチェット軍事革命の後、アジェンデ政権関係者は旧ソ連グループのあちこちの国にかくまってもらったわけですが、バチェレットもその一人です。その左翼グループが政権を担いながら、ロシアと組んだチャベスのグループを毛嫌いしてアメリカに荷担するのですから。思想とか主義なんてそんなものですね。
さて市民の意見調査で、「インフレがこのまま続けば、市民の生活は苦しくなる」と考える人が82%、「それは次回の選挙の時に影響する」と考える人が46%。つまりこれは私のようにずっと左翼政党に投票してきた人間がその反対側に投票すると意思表示をしているわけです。ずっと右翼だった人間がインフレがひどいから左翼に変えると言うのはまぁゼロでしょうね。
TVN(国営テレビ)がチリでもっとも重要な100人と言うテーマを掲げて人物を物色していますが、何とアジェンデを最も重要な人物に推す動きがあるとか。これなんか政治的に彼をプッシュしてその影に入って市民の目をくらまそうとする動きでしょうね。悲しい。

3)  地方選挙が近づいてきて、街角に候補者の顔写真のポスターが見られるようになりました。
テレビの番組でバチェレットがインタビューを受け、「大統領職の最終年が近づき、地方選挙が始まる現在、市民の目は次期大統領選に向けられます。つまり任期の最後が近い現職のあなたのことは忘れられると言うのが通常ですが」と厳しいコメントをされると彼女は「私は最後の日まで大統領としての職務を全うします。びっこのアヒルじゃありません」と元気一杯(いや苦々しげ)でした。
しかし今年の地方選挙は与党側の圧勝を考える人は誰もいないみたいですよ。