チリの風 その137  05年8月8日―14日

今週は何だか暖かい日が続いてもう冬は終わり,春ですという感じになりましたが、油断するとまだまだ寒い日が戻ってくるでしょう。
チリの新聞に小泉首相の写真と郵政問題から国会解散のニュースが載ったので、昼食時、職工さんにいろいろ聞かれましたが、まぁチリでいえばコデルコ(国営銅公社)の民営化を巡る争いのようなものと答えました。ところで、彼のアメリカ追随政策は破綻寸前に見えますが、これに関連した南米での動きとして次のようなものがあります。今週ベネスエラのチャべス大統領がブラジル,アルゼンチンを訪問し、両国との友好を深めています。アルゼンチン擁護のため、アルゼンチン国債を買い上げたりしました。また原油価格の高騰について言及し、すべてアメリカ政府の図っていることで、イラク戦争がその原因と糾弾しています。アメリカべったり政策をとるチリには彼は絶対来ないでしょう。ごめん、これらは季節の挨拶じゃなかったみたい・・・。


(政治)
1)ピノチェット問題
しかしチリに住んで25年の私もこれは予測できませんでした。馬鹿にされていた司法ががぜん力を盛り返し、何とピノチェットではなくその家族(奥さんと末の息子)を逮捕しました。これには驚いた。そこまでやるとは。しかし中途半端だったのはピノチェット本人は触れずにその家族を標的にしたこと。もちろん、いきなりピノチェット本人でなく家族をおとりにして彼の反応を見るという作戦でしょうね。
息子は偽のパスポートを使ってアメリカに入り銀行口座を開設。そこに父親の隠し財産を入れたといわれます。今のところピノチェットは2700万ドルを隠し持っているとされています。
ピノチェット(もう89歳ですが)は自分の家族、元部下などが問題視されているがそれらはすべて誤りで責任があるとすればそれは自分だと文書で表明しました。一部の軍関係者から遅すぎると批判が出ていますが、これで彼がこれからの裁判の全面に立つのでしょう。今まで,高齢,老衰で思考能力がないとされ、裁判を回避してきたのですが、文書でもって家族部下をかばう能力があれば,今回はそれを理由に裁判を逃げることは難しい。もっとも最後は自分は病気だと病院に逃げ込む手かもしれないが。
CNN始め世界のテレビ局がこの事件を報道していたようです。
さてその翌日、奥さんのほうは釈放になりましたが、息子は依然として拘置所に据え置き。
しかし月日のたったことを感じさせられたのは今までだったら、どこからか出てきた人たち(主に中年以上の女性)がこの逮捕に抗議したのでしょうが,今回は全く街頭での抗議行動がありませんでした。そして軍も今までのように、全軍人を非常事態として兵営に緊急集合をかけることをしませんでした。右翼側の人間も、人権問題なら,左翼に問題があったと押し通せるが、国家の金を不正に蓄財したとされるこの事件では彼の擁護に力が入らないとしています。さぁ正念場,どう出るピノチェット、来週が楽しみです。

2)大統領,国会議員選挙予想
もう何回結果予想が出ても同じ数字なので誰も興味を示さなくなってきました。それより興味深いのはこれだけ現政権に不正事実が出てきてもラゴス大統領を信任する数が減少しないことです。彼の人気の強さは驚くべきもので,今年12月の大統領選挙の後、次回選挙に候補者として再度立候補するだろうとする予測が正しいように見えてきました。


(経済)
1)中央銀行金利の上昇を再度認め3.75%まで、じりじり上昇。一方ドルはなおも最安値を更新し、1ドル540ペソを割りました。
輸出業界は泣きの涙, 輸入業界は追い風に売り上げ拡大を狙って値下げ大作戦。特に06年モデルが来月出る車の業界は今月中に05年モデルを全部売ってしまおうと値下げ作戦の大盤振る舞い。これも影響して7月の物価上昇率は0.6%, 過去12ヶ月で3,1%の上昇となり、これは過去2年間で最悪の数字。銀行からの借金で車,マンション,一般物資の購入と景気過熱の影が・・・、これを経済発展と言う声もありますが。
コンピューターの値段なんか少し前に比べると大幅ダウンです。誰でもPCがもてる時代が近づいてきました。

2)JPモルガン銀行は国別危険ランキングを発表しましたが, 開発途上国の中でチリは安全性で第3位をしめ、ラテンアメリカではトップを占めました。チリより上はポーランドとタイで、中国はチリの下です。

3)時候の挨拶のところで出ましたが、原油の値段がまた新記録となってチリ経済に圧迫をかけますが、公共バス料金が来週月曜日から10ペソ上がって350ペソになります。

4)アラウコ社のセルロース工場操業開始
私には良くわからない状況。だって環境汚染問題から工場操業停止に追い込まれていたのなら、どの点を改善して汚染がどれだけ改善されたのか数字で表明する必要があると思いますが、何だか企業グループのオーナー(アンジェリーニ91歳)と政府が話し合って再開を決めたように見受けられます。そんなので良いのかな?関連会社の人間を含めると4500名が働いているんだよとでも言ったのでしょか?
ただ生産量は最大キャパシティーの60%までの限定があるらしい。もちろんアウストラル大学関係者などは操業再開に反対しています。


(一般)
1)レニャカの暴行男が2週間の逃亡の後、やっと捕まりました。やっぱりある人家の物置に隠れていたのを見つかったもの。犯人に家に入られた人はそのあと怖かったでしょうね。

2)サンティアゴの道路は穴だらけと繰り返して報道されてしまったので、政府はしようがなく55億ペソをつぎ込んで道路工事を実施すると発表。今回はどんな補修をするのかな?

3)先週, 重量物運搬の専門会社にいった時,巨大なさいころ状の鉄の柱を見ました。何かと思って聞いてみると、橋げたでした。本土とチロエ島の間に架ける橋の材料とか。私の旅日記に出てきますが、今まで本土と島の間はフェリーで結ばれていますが、いよいよこれに橋をかけようとするもの。
さてこれをプエルト・モンまでどうして持っていけば一番安全で経済的なのかまだ結論が出ないのでとのこと、確かに道路交通法に違反する物体の運送は頭の痛いものです。私の経験ですが、銅鉱山の大型トラックに使うタイヤもこの範疇に入り、通常では運搬できません。トラックの前にパトロールの警官が必要です。この手配が実に困難。そして搬入が遅いと,マインからクレームが出るし・・・

4)外国の話題。まずペルーの話題ですが、インカ時代の文字(キプ;縄文字)の解読に成功したとアメリカ人グループが発表しました。それからクスコ周辺でコカの葉の栽培をすることをぺルー政府が正式に認めました。
その他に笑ってしまったのはブラジル(リオデジャネイロ),アルゼンチン(ブエノス・アイレス)で 普通外国人観光客が入れない危険地帯を歩くツァーが結構はやっているとのニュース。欧州人旅行者が主な対象とのことですが, 危ないといわれる地区を歩いてみたいとする外人がやっぱり多いのですね。


(スポーツ)
1)サッカー
南米カップが始まりました。南米カップ?と聞いてすぐ分かる人は日本には一人もいないでしょうね。私のようにサッカー好きで南米に住んでいても分からないのですから。チリ人も金儲けに始めた大会だろうと言っています。国別大会でもないのに南米カップの名前はおかしいですね。で、チリからカトリカとチリ大が参加。まずは両チームの間で1回戦が行われ、私の好きなカトリカが勝ちました。次の日、食堂でチリ大学のファンから、はしゃぐんじゃないと嫌味を言われましたが。
さてイギリスのリバプールに入ったゴンサレスはまだヴィザがもらえずプレーできません。本当に彼はどうなるのかな?
一方,サラスのチリ大学復帰第1戦はブラジルのサントス戦に決定。当初言われていたアルゼンチンのリバープレはチリに来ないとか。
カップ南米大会は9月に再開されますが,それに先駆けて来週ペルーとの練習試合。これにも勝ってほしいもの。メンバーが発表になって、とにかく攻める姿勢で戦うと監督のコメント。頼むで、ほんま。

2)オートバイ
デ・ガバルドがラリーの450ccクラスの世界選手権で昨年に続いて世界1の地位につきました。来期からもっと大きいモーターのオートバイに乗るとか。


以上