チリの風 その1015 2022年10月24日ー30日

最高最低気温の差が20度くらいの日が続くサンティアゴです。最高27度・最低7度とかです。ところが今日の日曜日は曇りで、いつものように朝に早足散歩をしたら霧雨でした。
友人たちを招待して昼食会をしました。嫁さんの作った料理は皆に喜ばれました。その後、日本語とスペイン語が混じった会話を楽しみました。それから次の旅行の航空券を買いました。11月からまた旅を始めます。
先日の怪我がまだ治らないのでマラソン・登山のスポーツはできませんが、軽くトレーニングを始めています。その歩き練習の時ごみ収集車と出会ったら、おっさんから、「どうしたの今日は走っていないね」と言われました。同じ地区に35年も住んでいると顔がよく知られています。
この週末から来週、月曜・火曜日と4連休になります。また多くの車が郊外に出ていきますね。今日までで30万台が出たとか。

 台所の外の花壇で生まれた2羽の小鳥は日々大きくなって、花壇の上まで飛び始め,金曜日の夜、どこかへ飛び立ちました。
 生まれてわずか10日で飛び立つのですね。

(政治)

1)ボリス動向
 10月31日は福音派の祝日です。ボリッチはキリスト教の旧教カトリックでなく新教福音派を金曜日モネダ宮殿に招待してお祝いしました。
 
 さて内政だけでなく外交部門もパッとしません。メキシコ・コロンビアなどまだ大使が決定していない国をどうするのか、外務大臣とのネゴがうまくいきません。彼の仕事が遅いのか、外務大臣が省内をまとめられないのかわかりませんが。
 経団連ソフォファの会合に参加し演説しました。「現在のチリは厳しい状況にある。もちろんそれはチリだけでなく世界中同じだ。そう考えればチリには未来がある。談合問題で訴えられた鶏肉・薬局・トイレットペーパーなどの問題産業はあるが、全般にあなた方は社会に責任をもって対処されている。素晴らしい、ありがとうと言いたい。その努力を一層高めてほしい」これってほめているのですか、ばかにしているのですか?
 この他、サイバーアタックに対応する防衛組織の発足を祝いました。
3)TPP11
 環太平洋パートナーシップ条約です。最初はTPP12でしたが、トランプがそこからアメリカを外したのでTPP11になりました。
 11か国の中に日本とチリが入っていました。11か国でどう運営していくかの会議がチリであり、バチェレット大統領のころですが、何とか継続できることになりました。その次のピニェラ政権の時も問題なかったのですが、ボリッチになって共産党新左翼が反対になり政府を反条約に動かそうとしています。憲法裁判所にその件が持ち込まれましたが、大きな動きはなさそうです。 
 駐チリ渋谷大使からチリがこの条約から抜けると日本企業の中にチリへの新規投資をあきらめるところが出るとするコメントが出ています。
 確かにそうでしょうね。
 犯罪抑制(市民の安全確保)と並んで経済促進が望まれていますが、その逆の方向に行くとはボリッチ政権は不可解です。

 ボリッチ政権の与党は上記の2グループのほかに以前の中道左派グループがあります。そこがチリの民主化以来、多くの大統領を出してきたのですが、そこも分裂気味です。その一つキリスト教民主党DCの有名代議士リンコンとウォーカー、それに首都圏と第10州の州知事合計4名が離党宣言しました。新憲法問題で賛成・反対に分かれたことなどから内部が噛み合えないのでしょうね。彼らは新憲法に反対したのは右翼だけではないとしています。そして中道左派グループをリードする新党を結成すようです。
 先週書いた下院の議長に関して共産党は最も有能なわが党の候補者をDCは応援しないが許せないと噛みつきました。
ボリッチが所属していた新左翼は行く道を失ったとされ、中道左派グループとも共産党ともうまくいっていません。
 それなら以前、チリの風で書いたようにボリッチは私は国民の皆さんのために働きますと、共産党新左翼と距離を置けばよいのでは。

(経済)

1)経済成長率
 IMFの予想ではチリの成長率は今年は2.1%、そして来年は…なんとマイナス1.3%だとか。そんなにひどいの?
2)銅価格と為替 
1ポンド3.47ドルと少し上がりました。そのため為替は1ドル945ペソとペソ高になっています。
 銅価格の変化とコストの関連で、コデルコ銅公社の現在までの国庫納入金が26億ドルと昨年同時期の52億ドルの半分になりました。大蔵大臣は渋い顔でしょうね。
 コデルコ社長のパチェコの記事が出ました。世界で2500万トンの銅の生産の中でコデルコは150万トンとそれほどのシェアーは持っていないと言われると、「しかし一社として世界トップクラスにあるわけで、世界そしてチリへの貢献は素晴らしいものがある。それをこれからも維持して行くのが私たちの使命だ」としました。
3)家屋の販売
この第3四半期に家屋の販売が前年対比38%も下がりました。もちろんこれは家屋の建設に影響し、大手の建設業者が倒産とか。なんでも十数社が破産もしくは破産寸前だとかで、370の建設が終了できないとみられています。
政府はこの状況をよくするため、援護政策を検討中です。
4)価格の上昇
 消費者物価の上昇の一つガソリン代ですが、93オクタンの場合今年になって320ペソ上がり、全国平均で1300ペソ以上になっています。
 もちろん各ドライバーに直接影響しますね。今週、このガソリン価格のほかに、ドライバーに影響する高速道路の支払いに抗議するデモがあり、車・トラックが一車線を封鎖したので渋滞が起きました。
 5)失業率はあまり変わりませんが、この4半期は8%と前期よりやや上昇。厳しいです。なんでも9月に18000人が失業したとか。
 昨年の今頃はコロナが収まってきたと10万人くらいが新しい仕事に就いたのですが。

(一般)

1)コロナ問題
 先週6000人まで新規患者が上がりましたが、今週は木曜日7366人。この2週間で患者数は62%上昇しました。もちろんいつも言っているようにPCR検査数が増えれば陽性者数は増えます。ただ少し前には陽性率が数%だったのに木曜日は17%でした。政府は全く対応しようとしません。首都圏だけではもう20%寸前です。つまりその辺を歩いている人の5人に一人はコロナにかかっているということですね。テレビの番組で人が混雑するところではマスクの着用を義務付けるのは必要ではないかと専門家に質問する場面もありました。
日本もかなり患者数が増えているようですから、また出入国にブレーキがかかりそうですね。
2)犯罪問題
 この6か月で、チリの家族の32%が犯罪に関わらされたとなっています。商店では3分の2が被害にあったようです。したがって市民がこの問題を重要視するには当然ですね。ボリッチにとって最重要事項になります。
 ボリッチは大統領に就任するときに犯罪の増加を抑え市民の安全を高めたいとしましたが、彼が就任した3月以降、犯罪数は減少ではなく増加の度合いを高めています。まったく手を打っていないか、間違った手を打っているかのどちらかです。
 さて殺人事件に関しては北部に問題は集中し、最北部のアリカでは昨年対比46%アップになっています。これは同地区に不法移民グループが根を下ろし、活動を高めているからでしょう。
 逮捕された犯人は、もちろんチリ人が90%と大半ですが、外人ではベネスエラ人が1位で26人、2位はコロンビア人で25人でした。
 北部で話題になっていた銅の盗難事件で、今週、犯人グループが逮捕されました。
 - 国外追放
 今年、先月までで国外追放は898名。一番多かったのはボリビア人で666名、次いでコロンビア人89名でした。
 - マプチェ問題
 南部の特別条約を国会でまた承認しました。それから材木運送のトラックが襲われ全焼しました。まったく変わりませんね。
 - 高校生デモ
 この件で元大学教授と話をしました。彼は国や警察・学校を批判する声が聴かれるが、問題の根源は家庭だとしました。一流高校の生徒が白いオーバーホールを着て道路に出て警官にモロトフ爆弾を投げつけるが、誰がその服を買うのか?母親だ。つまり両親は自分の子供がそうした犯罪行為にかかわっているのを知っている。父親は民間か公務員の幹部だろう。その両親は責任を取るべきだ。
 どうでしょう?
 私がその学校の校長なら、問題学生とその両親に連絡を取り、犯罪行為を続けるなら放校処分にする。行為をやめるなら処分はしないとします。


以上