チリの風 その907 2020年9月28日―10月4日

ちょっと前、もう夏になったかと思われるような日がありましたが、今週のサンティアゴは少し元に戻って3寒4温と言う感じです。丘のぼり散歩に登山靴を使い始めました。もう半年以上使っていなかった靴です。と言うのは近くの二つの山岳公園の一つが最近オープンしたので、久しぶりに山歩きをする気になったからです。日曜日のマラソン練習は仲間と4名で実施。毎週書いているように、生活が少しづつ元に戻ってきているのを感じます。

(政治)

1)ピニェラ動向
  来年度予算について全テレビ局を通じて演説。それをもとに国会で討議されます。来年度予算は今年より約10%規模が大きくなり、その分、赤字が増えるとしています。

2)憲法改正是非の投票
 投票日まであと3週間ですが、全く盛り上がりません。投票所の数は前回より25%増えて2715か所。私の投票所は今までと同じの歩いて半時間ちょっとの学校でした。嫁さんは人ごみに行くのは病気になる可能性があると参加拒否です。
 私は老人時間に行ってゆっくり投票します。もっともどれに入れるか大した興味もありません。今の憲法に反対する人は何を知っているのかな?現憲法のどこがおかしい・変えたいなど基礎知識はあるのかな?
 ピノチェットの作った憲法だから民主的なものにすると言うなら勉強不足と言えます。今の野党、左翼のラゴス元大統領が2005年に民主的な憲法に変換したというのを勉強していません。憲法改正になったら、その後の新憲法作成に大きな問題が出るのは間違いなし。右と左が罵り合うわけですね。そういうのはもう飽きてしまいました。次の選挙で右翼側はいちおう合意に達したようですが、左翼側は新左翼と旧左翼の間の合意が出来ず、それぞれ勝手に立候補するようです。勝手にしてくださいという感じですね。もう右が勝っても左が勝っても同じと言う気がしています。
3)教育問題
 今週から首都圏の一部で学校の授業が始まりました。ところが参加した生徒はごくわずか。子供が嫌がったのか、両親が登校を止めさせたのでしょうか。教師組合はこのよう時期の授業開始を厳しく批判していますが、教育大臣はこのように少しづつでも授業の再開を図りたいとしました。

(経済)

1)経済指数イマセック
  8月の数字はマイナス11.3%と苦しい状況。今まで厳しい中でチリ経済を支えてきた鉱業が今年初めてマイナス成長。銅の価格は高値安定ですが、生産量が下がってきたのでしょうね。銅の価格は今週は少し下がって2.94ドル。このため為替も1ドル790ペソとペソが弱くなりました。政府は今年のGDPはマイナス5.5%と今までの予想より少し良い数字で終わるだろうが、来年の景気回復は予想されたV字回復ではなく少し上向くという感触とのこと。失業率は。6ー8月で12.9%とピークを越えて、これから毎月下がっていきそうです。チリが正常化してきていることは毎週、感じます。

(一般)

1)コロナ問題
  欧州では第2次の大きな波が押し寄せているようですが、チリでは新規患者、死亡者数も大きく増えていません。厚生大臣パリスは首都圏は順調に良くなっていると確認しています。来週から首都圏のすべての区が自宅待機令の第1段階から外れます。国内で人口当たり最も感染が進んでいるのは最南端のプンタ・アレナスで、病室が足りなくなって今日、空軍機が患者4名を首都圏に運びました。

2)政府援助金の不正受給
  これが今週の一番の話題かな?政府が貧困層中流階級に2種類の援助を用意し、実行したことは連絡済みです。今週、それを市民が国をだます手段に使わったことが明白になりました。このコロナ問題で収入が30%以上、下がった中堅層の人に、50万ペソほどの額を政府が寄与するというものでしたが、何と42万人もの人が収入がそれほど下がっていない(もしくは全く下がっていない)のに政府に援助を要請し受領したらしい。なんとそのうちの1割の人間は公務員でした。議員からそんな公務員は解雇しようと言うコメントが出ています。失業者を少なくしようと政府が苦慮している段階で新たに失業者を出すのはいかがなものかと言われそうですが、政府側は、11月末までに受給した援助金を全額政府に戻すよう指示しています。金利も罰金もないらしい。しかし逆に言えば、公務員が偽の申告をしたのを何万人もチェックできなかったなんて政府の対応機関のレベルの低さはひどいですね。(ごめん、これはきつい嫌味ですね)もちろん、それを不正に受給した人たちは、ほとんど全部、使ってしまっているでしょうから、またどこかで借金して返す必要があるでしょう。彼らにとってこれは厳しいです。
3)移民難民
  無理をして遠い祖国からチリに来て、何とか住み始めたけれどこのコロナ問題で仕事を失い多くの移民が難民になっています。その中から少しづつ祖国へ帰る便に乗っていることはお伝えしています。それとは全く逆にまだチリに来ようとする不法移民者が、何と最近は毎日300人もペルーとの国境の町アリカに来ます。正規には入国できないので、危ない場所を通過してヨレヨレでチリに入りますが、ほとんどそこで逮捕され、抑留されています。多くはべネスエラ人です。ボリビア経由の不正移民ルートも知られています。チリに来ても仕事はないのに。母国はそれよりひどいのでしょうね。
4)反政府運動
  昨年末のようにサンティアゴのイタリア広場で今週も金曜日、デモがありました。デモ隊は警察と対戦して揉めました。20名逮捕されています。デモ隊の一人が近くを流れる川に落ちて重症。人権委員会は青年を捕まえようとした警官を訴えています。その警官は拘留されていますが、ビデオをニュースを見ているとデモ隊が後ろから追ってくる警察に捕まらないように走っていて、その青年は目の前の電柱か何かにぶつかってバランスを失い川に落ちたように見えます。これから毎週同じことが続きますね。昨年の反政府運動が始まったのは10月18日。ほとんど1年経ちましたね
5)偽のナンバープレート
  高速道路の会社から使用料の請求が来ました。今までの100倍ほどでした。ビデオを調べると自分の車ではなく、盗難車でした。これはニュースに出た事件です。自動車泥棒はこの偽ナンバープレートを重要視し、盗んだ車に偽のナンバーを使用します。そしてなんとその偽物のベースは中国製と言うのが分かりました。しかし怪しい闇の市場では中国製品が大きく利用されていますね。さてチリと中国の友好条約が成立して今年で50年です。チリにとって中国は銅、果物、海産品の主要輸出先ですから、少々の問題には目をつむるということもあるでしょうね。チリ政府は右も左も中国が好きなようです。

6)ピューマ
  なんと毎週のようにピューマが首都圏東部の地区に出てきます。今週はラス・コンデス区に出てきました。サン・カルロス地区でピニェラの家の近くです。その後ろの山岳公園に私はいつも登っています。食べ物が少なくなったので人家の方に出てくるのでしょうね。
7)ビジャリカ火山
  この12月に昨年に続きチリで皆既日食が見られます。昨年はラ・セレナ近辺、今年は南部のプコンでした。世界からの観光客があふれるはずでしたが、コロナ問題で外人観光客はほぼゼロ。となるとチリ人観光客しかないわけですね。
  今週から風が吹いて、チリ国内の観光が条件付きで認められるようになりました。1週間で10万人以上が許可証を申請したとか。しかし、何とその町の前にあるビジャリカ火山が噴火を始めました。日食の日に煙が大空を覆えば、観光客は泣きますね。しかし今年は運がない。

(スポーツ)

1)サッカー
  国内リーグ戦は今日、首位のカトリカは4位のチリ大学と対戦しました。宿敵と言われるわけですが、昔は大学がチームを運営していましたが、今は両チームとも株式会社で大学と直接の関係はありません。
その前日、私が散歩をしていると、バスが停まってドアが開きました。運転手は手に持ったチリ大学の帽子を見せて俺はチリ大学ファンなんだとニッコリ。私はすぐに反応して、「あした、あした」と答えました。バスの運転手のおかしな言動の原因は私がカトリカのジャージを着て歩いていたからです。日本では考えられないアホな話ですね。試合は3対0でカトリカの楽勝。首位の座は堅いです。
  チリでもっとも人気のあるのはコロコロですが、今週も負けて下から2番目の位置。このままでは2軍落ちの可能性もあります。監督が急遽交代させられました。新監督で少しは勝てるかな?

  リベルタドール杯はチリの2チームは敵地で戦い両方ともとも負けました。1次予選突破はカトリカはノ―。コロコロはほとんど不可能です。それからワールドカップの南米予選がありますが、その選手が発表されました。ウルグアイとコロンビア戦です。どうなるでしょう。


以上